長い間、想い続けたこの方を、癒して差し上げたいと願っていたこの方を…傷つけようとしている。 それでも、わたくしのもたらす何かを感じて欲しい。
あなたの心を手に入れられないのならば、せめてその身体にわたくしを刻みつけましょう。決して忘れられないように…
クラヴィス様の冷たい唇、逃げる舌を追いかけ、捕らえ、貪欲に貪る。 唇を味わいながら、クラヴィス様の服を襟元から引き裂いた。 部屋中に布のつんざく音が響き渡る。
わたくしの下で、ビクリとクラヴィス様の体が震えた。 押しのけようとするその手が煩わしい。布の切れ端で、両手を一つにまとめてしまいましょう。
長い口づけから解放すると、クラヴィス様が空気を求めて激しく咳き込む。 生理的な涙が頬を伝い、露になった耳元や首筋が上気して淫靡な色を見せつけた。 その姿だけで、わたくしの雄が猛々しく反り返る。 堪らず、クラヴィス様のロープの裾を捲し上げると両足を抱え上げ、何の準備もできていない、その秘腔に突き立てた。 クラヴィス様の全身が硬直し、肉体が激痛を訴えているのに、瞳を閉じ、強く唇を噛みしめ、悲鳴を飲み込まれてしまう。 あなたは、わたくしには…声ひとつくださらないのですね。
「声を聞かせて下さい。あなたの苦痛にむせび泣く声を、聞きたい」
クラヴィス様は、さらに血を流すほどに唇を噛みしめられた。
「強情な方ですね」
その頑なな態度が、わたくしに苛虐性を自分をさらに追いつめていくことに、気が付かないのでしょうか?
クラヴィス様の痛みのために、うなだれているモノを手のひらで包み込み、先端をしごく。 それが自分の力で勃ち上るのに、たいした時間はかからない。
「うう…」
全身に力を入れて、刺激を阻止しようとされても、所詮は無駄な足掻き。腰が微妙に動き始める。わたくしの手を避ける為なのか、感じているのかわからない。 わかっているのは、この行為に慣れていらっしゃる事だけ。 自分の瞳が嫉妬の怒りに細められ、唇が歪むのを感じる。
「オスカーの感触を忘れさせるくらい、可愛がってさしあげます」
胸の飾りを唇で捕らえ、軽く噛みながら舌でねぶる。
「あっ」
クラヴィス様が、思わず声を洩らすが慌てて唇を噛みしめた。
「感じるのでしょう?あなたの体は敏感ですね。ほら、もうこんなに」 「うっ…」
クラヴィス様の勃ち上がった雄を強く握り締める。容赦ない刺激に、上半身が弓なりに仰け反り、わたくしを咥え込んだ場所が、キリキリと締めつけてくる。
押し返そうとする力に逆らい注挿を繰り返す。 浅く、浅く、いきなり深く。 強く、ゆるく、荒々しく体を揺さぶった。
「あう…っ!あっ…」
堪え切れない喘ぎが、耳に心地よい。もっと、間近で表情が見たくて、向かい合うように、抱き起こす。 クラヴィス様は、わたくから顔を背けた。心が拒否をしたところで、オスカーによって慣らされた体は、快楽を知り、自然と求めてしまうもの。 瞳からは、涙。 その涙は、何を語っているのでしょうか?屈辱?羞恥? 何であろうと、わたくしのもたらしたものが、あなたを感じさせているのですね。甘美な陶酔感。
「もっと…わたくしを感じて下さい」
細い腰を持ち上げ、また沈める。クラヴィス様の浅い呼吸が、微妙だった腰の動きが、呼吸と同じリズムをとり始める。
不意にノックの音。
「クラヴィス様、俺です」
ドアが開かれていくのを、クラヴィス様は、目を見開いて見つめる。 その唇が、全身が驚愕に震える。
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