「あっあ…やぁ……あぁっ」
俺の指の動き一つ、舌の動き一つで、が乱れてゆく。
の太股を片方の手でがっちりと固定して、逃れる事を許さない。
もう片方の手の指は、の秘部が銜え込んでいる。
舌先で、敏感な粒を舐め上げれば、の声は更に切なげになってゆく。
あふれ出る蜜を時折飲み下しながら、俺はを攻め続けた。
「あ…あ…んっ、は…あ…あぁあ……」
淫らなの声。
俺に攻められて、出している声。
理性なんて、俺の技で剥ぎ取った。
もう、の頭の中には何もないだろう。
俺の頭の中にも、もうを抱く以外の思考はない。
愛してる。
だから、もう…。
俺のモノにしてしまっていいだろ?
「は…あ……あぁ………あぁぁぁっ」
が、ひときわ高い声を上げて絶頂へ達した。
パーティーが終わって、俺はを連れてまた支度の為に借りたホテルへと戻ってきている。
あの、の父親という男との会話以来、俺はとまともに言葉を交わすことはなかった。
必要最低限の事だけ。
パーティー会場を後にして、ここに戻ってくる間も、全く口を利くことはなかった。
あんな所で交わす会話ではない事くらい、でも解っていただろう。
俺が、あの男と交わした言葉の真意を、が知りたいと望んでも。
ホテルの部屋に戻った俺は、スーツのジャケットとネクタイを脱ぎ捨て、シャツの首もとを緩め、ソファーに腰を落ち着けた。
待機していたメイドが、それを片付けてゆく。
は、部屋の入り口でただ、その様子を眺めているだけ。
そろそろ…が口を開くだろう。
「あの……景吾さん……」と、の声。
ほら、やはりな。
俺は首だけを動かしてに視線を向ける。
パーティーの時は、笑顔を振りまいていたけれど、それが終わるや否や、の表情は酷く困惑したものになっていた。
今も、そうだ。
「今日の…甲板での事……、どうしてあんな事を言ったんですか?嘘だったってバレるのは時間の問題なのに…」
は、俺があの男に言った事を嘘だと思っているんだな……。
少しくらい、俺の感情ってのを察する位してくれねぇか?
あの言葉に、一つも嘘はなかったんだぜ?
……天然だから、無理か…。
「ホント…お前って鈍いよなぁ……」
ため息交じりの俺の言葉。
こんな言葉を掛けたって、解らないんだろうな。
俺の気持ち。
「どういう…ことですか?」と小首を傾げて問う。
ほらな……。
「……鈍すぎだろ……」
もう、呆れるしかないな。
俺はぱちんと指を鳴らし、メイドに部屋から去るよう指示。
するとそれに従って、メイドは部屋から立ち去ってゆく。
そうなれば、この部屋には俺との二人きり。
俺はソファーから立ち上がり、ゆっくりとのもとへと近づいてゆく。
が、脅えたように後退って行くが、途中で閉まったドアに行き当たり、動きが止まる。
それを利用して、一気に俺はとの距離を詰めた。
の顔をはさむようにして、俺はドアに手を付く。
驚いたまま動けないままのを見下ろす。
「あの……景吾さん……?」
訳がわからないと言った様子のの眼を、じっと見詰める。
少しでも、俺の想いはお前に届くか?
真剣な想いを込めて見詰めれば、俺がお前を愛している事に、気付いてくれるのか?
「船の上で、あの男に言った言葉が嘘だったと……お前は本気で思ってんのか?」
俺はに問いかける。
「だって…景吾さん…、私は…私は貴方の婚約者のふりをしてただけで…。本当に結婚するような仲じゃないでしょ?なのに、どうしてあの時の言葉が嘘で無いと思えますか?」
が返したその言葉が、俺の奥の何かを壊した。
「今日のところは…偽りの…で終わらせるつもりだったんだけどな…。だが、やめた」
もう……どうなってもいい……。
「それって、どういう事ですか?」とが問いかけてくる。
バカ……。
「…鈍感すぎ……」
俺はそう言うや否や、の頬に手を添えて、そのまま唇を重ねた。
後は、欲望にまかせての唇を貪るだけ。
化粧品と甘いミルクの匂いが混じって、俺の鼻腔に届いてきた……。
それでも嫌な匂いに感じなかったのは、俺がおかしいだけなのか?
の後頭部に手を回して完全に逃げられないよう固定してしまえば、もう、俺の思うまま。
己が舌をの口腔に捻じ込み、犯してゆく。
の唇や舌がうごめいている。
それは、俺を拒む為のものだとすぐに解った。
だが、そんな行動でさえ、逆手にとって俺はの口腔を犯し続けた。
次第に、聞えてくるのはが喘ぐ声と、唾液が絡まりあう水音。
俺の中の征服欲が膨れ上がる。
もっともっと、を貪ってしまえ。
時折 がビクリと身を震わせている。
彼女が少なからず感じている事を知れば、もっともっと感じさせてやりたくて、縦横無尽にの口腔を荒らしまわった。
「ん…う…ぅぅ……」
そんな喘ぎ声と共に、の体がビクビクと震える。
この口付けだけで、が頂点へと導かれた証。
俺は、の全てを解放してやる。
するとは、もう、立って居られなかったようで、腰をぬかしたように座り込みがっくりと頭をたれた。
俺はそんなの目の前に膝を付き、の顎を持ち上げる。
「キスだけでイっちまったな」
そう言って、俺は笑って見せた。
高潮した頬。
潤んだ瞳。
濡れた唇。
お前、今 どんな顔してんのかわかってねぇだろ。
女の顔、してんだぜ?
今まで俺に見せていた、母親の顔は息を潜めて。
目の前に居るは、女。
女の、。
ソソられるのは、当然だろ?
俺はを抱き上げて、寝室へと向かった。
はどうやら先ほどの絶頂の余韻から抜け出せないらしく、抵抗を全くしない。
それをいい事に、俺はを寝室のベッドに押し倒した。
理性?
そんなもん、キスの途中で消えちまった。
段取り?
もう、どうでもいい。
が欲しい。
が欲しい。
もう、躊躇いなんて何処にもなかった。
深いキスで、の意識を鈍らせて、次から次に事へ進んだ。
の性感帯を探し当てては、舌先で唇で指先で弄る。
そうすれば、はビクリと反応して切なそうな声を上げた。
「け…ご、さ……だ…ぁ……あぁ」
否定の言葉すらつむげない位、弄って弄って感じさせる。
も理性を手放してしまえばいい。
そうなるように導いてやる。
お前に俺への心がなくても、俺にはお前への心がある。
それをこの行為で示すから、受け止めてくれよ。
なぁ、……。
邪魔なものは全て剥ぎ取った。
ドレスも、ネックレスもイヤリングも下着も…、の髪を結い上げていた飾りも何もかも全て。
ショール?
をここへつれてきた時にはもうなかったな。
どこかに落ちてるんだろうよ。
俺の下には、産まれたままの姿の。
本当に、子供を一人産んだとは思えないほどの美しい姿態。
目測を見誤るほど豊満な胸の果実を思う存分貪って、日焼けの少ない白い肌に紅い華びらを散らした。
「あ…あん…あぁ……あぁあ……」
の嬌声が俺の欲望を煽ってゆく。
肌からは、甘いミルクのような香り。
の匂い。
胸いっぱいにその匂いを吸い込んだりもした。
二度目の絶頂を終えたは、もう ぐったりとした様子で、衣服を脱ぎ去る俺の姿をボーっと見詰めていた。
俺は再びに覆いかぶさり、そして…。
待ち望んだ瞬間が、やってくる。
の中に、俺が沈み込む瞬間。
その場所は酷く狭く、まるで処女を貫いたように思えた。
はこの数年間、誰にも抱かれては居ない。
それが解って、嬉しかった。
「い…つぅ……」とが眉根をひそめる。
秘所に余計な力がこもり、俺の肉をきつく締め上げてしまう。
流石にそうなると、俺だけでなくも辛い。
「きつ……、…力を抜け……」
俺がそう促しても、には余裕がないらしく、一向に力が緩まる気配はなかった。
俺は、身を屈めての唇に深く口付ける。
すると、それに気をとられ、の力が抜けてゆく。
その隙に、俺はの奥へと一気に到達した。
ゆっくりと、腰を動かし快楽を求める。
上下二つの場所で繋がりあったまま。
密着する体と体。
俺にはの肌が強く感じられて、には俺の体が強く感じられているだろう。
遮るものは何もない。
深く結びつき、快楽に身を任せて腰を突き動かす。
その度に、の息が頬に触れる。
なぁ、気付いてるか?
お前の腰がゆるゆると動いている事に。
お前の舌が俺に応えるように動いている事に。
そして不意に、背筋に何かが触れた。
それはつい先ほどまで、シーツを掴んでいたの両手。
俺の背に、が手をまわして抱きついている。
俺は、の唇を解放した。
そして、腰の動きを更に激しいものに変える。
するとその快感を耐える為に、の手に力が篭った。
背中にはしる、痛み。
が立てた爪が、容赦なく俺の肌に食い込んでくる。
それすら喜びだ。
もっともっと、力を入れて爪を立てろ。
俺にお前の証を刻め。
それを許すのは、…お前だけ。
後にも、先にもお前だけ。
嬌声をあげるを見詰めて、俺は頬に笑みを浮かべた。
限界が近い。
俺もも、果てるその時が近づいている。
「あ…や……あぁっ…あーっ」
が先に、完全に上り詰めて果てる。
絶頂で収縮する膣が、俺の肉を締め付け、精を放てとばかりに誘う。
その誘いに促され、俺も高みに上り詰め、の胎内に精を注ぎ込む。
とたんに、の手がぱたりとシーツの上に落ちた。
行為を終え、気絶してしまったの中から俺は自身を引きずり出す。
の隣に余韻の残る身を横たえて、俺は一つため息を付く。
次第に、戻ってくる理性。
……やっちまった……。
後悔したって、おせぇだろ。
―――本当に結婚するような仲じゃないでしょ?―――
そう言われて、カッとなったんだ。
俺はもう、と結婚する気持ちでいたのにと…。
バカだな、俺は。
プロポーズすらしてないってのに。
それどころか、出会ってまだほんの少ししか経ってねぇ。
付き合ってすらいねぇ。
それなのに、がその気で居るなんてありえねぇだろ?
こういう所は、相変わらずガキなんだな……。
また、ため息が零れた。
俺は、少しだけ体を起こしての姿を見やる。
胸元に、俺が散らした幾つもの華。
色が鮮やかだし、そう簡単には消えないだろうな。
の体にゆっくりと視線をめぐらせる。
行き着いた先はの秘部。
まだ愛液が乾いておらず、濡れ輝いている。
再び欲望が沸き起こり、俺はその場所に手を伸ばす。
割れ目を押し開き、指を中に埋めれば、くちゅりと卑猥な音がした。
しかし、そこで俺は我に戻り、指を引き抜く。
あぶねぇ……、そのまま寝込みを襲うとこだったぜ……。
俺はふと、に埋めた自分の指に視線を向けた。
そこに付着しているのは、の愛液…だけじゃない。
俺の精液も………。
ああ、そうだよな……。
避妊なんてしてなかった。
そんなもの頭から消え去って、ただただを貪った。
でも…、後悔なんてないな。
を抱いた事も、避妊をしなかった事も。
子供が出来ても、構わない。
の兄弟が増えるだけだし……。
さて明日、眼を覚ましたに何を言おうか。
及んだ行為を詰られるのは確実なんだが……。
ちゃんと気持ちを伝えて…プロポーズもしてしまうか。
順序が違うといわれるかもしれないが、もう崩れてしまった順序だ。
今更、それに従ってったってな……。
返って、順序に従わずにいるのも面白そうだな。
の反応も、楽しみだし……。
俺はそう思い立つと、を腕に引寄せて枕に頭を乗せた。
さて、今夜は眠ろう。
一枚のシーツに二人身を包んで……全ては明日の朝に………。
でもよ……。
俺の真剣な告白とプロポーズに「はぁ?」って素っ頓狂な返事すんなよな…。
何処まで天然なんだ、お前は……。
ムカついたから、強引にを丸め込んで、その日のうちにの両親に挨拶しにいってやった。
さて、と三人で暮らせる日が来るのが、楽しみだよな。
あ、場合によっては四人になるか?
何はともあれ、これから先が楽しみだ。
せっかく手に入れた縁だ。
そうそう簡単に切るような事はしないからな。
もう、絶対に放さないぜ、?
back/あとがき |