今日一日の業務が終わった。
予定通りに進んだスケジュールのおかげで、今日は早く帰宅できそうだ。

下りてゆくエレベーターの中で、秘書の女…佐々木という…が明日のスケジュールの最終確認をしている。
俺はそれに相槌だけを返し、それ以外何も話す事はなかった。
正直、この女は好きではない。
行動の端々に、俺を意識する様子がありありと見えるからだ。
野心というものに、人一倍敏感な俺は、この女の意図をすぐに理解した。
個人的な感情だけで解雇などできようもなく、俺はこの女とは仕事以外の会話は極力避け、どんなに話しかけられても一言二言で会話を完全に終わらせてしまうようにしている。
そう態度で示しても、一向に引き下がる気配がないから余計 始末におえない女だ。
容姿も並以上であり、仕事も出来るという自信が、その行動を助長しているのは目に見えて解った。

「あの、社長…」と、佐々木が俺に声を掛けてくる。
俺は、何も答えない。
「これから、一緒に食事でもいかがですか?とてもよいお店がありますの」
「先約がある」
佐々木の言葉を冷たくあしらった直後、丁度エレベーターがビル1階のホールに到着した。
「では、今度ご一緒しませんか?社長のお好みにぴったりな場所なのです」
冷たくあしらわれたというのに、佐々木は全く引き下がらない。
「俺は忙しい、他をあたれ」
俺は冷たくそう言いはなって、足早に玄関ホールを出入り口へ向かって歩いてゆく。
佐々木が慌てて俺の後を追ってきているようだが、無視。
出入り口の自動ドアを抜けた先には、俺の車が横付けされている。
待ち構えていた運転手が、後部座席のドアを開く。
俺はすぐさまそれに乗り込んだ。
車の窓越しに、佐々木が俺に視線を向けているようだが、俺はそれを完全に無視した。
ウゼェ女。
そう呟いたのは、口からだったか心でだったか……。
どうでもいいことだな。

車が動き出す。
「今日も、真っ直ぐお帰りでよろしいですか?」と運転手の元木が問うてくる。
「当然だ」と俺は簡潔に言葉を返す。
「かしこまりました」と元木は言うと、黙って運転に集中したようだ。
俺は、スーツのポケットから携帯電話を取り出すと、ダイアル履歴から今家に居るはずのの番号を呼び出し、通話ボタンを押して耳に当てた。
今、俺はと…その娘、と共に暮らしている。
数回のコールの後、はその呼び出しに応じた。
『俺だ。今から帰る』
俺がそう言うと、『はい、気をつけて帰ってきてくださいね』との返事が帰ってくる。
別に、俺が運転しているわけではないのだがな。
『ああ』と返事をして、俺は通話を切った。

30分ほどで、車は自宅マンションの玄関口に到着する。
俺は車から降りると、マンションの中へと入って行った。

最上階にある、俺の自宅。
扉を開ければすぐさま、ばたばたという足音が俺の耳に届いてきた。
「パパ、おかえいなしゃい〜」
玄関口に立つ俺に向かってそう言いながらが走ってくる。
は、俺をパパと呼ぶ。
そう呼ぶようにしつけた訳ではなく、が自然に呼ぶようになった事。
は最初こそあまり言い顔をしてはいなかったが、今では諦めた様子でいる。
別に俺はそう呼ばれることに抵抗も何もない。
むしろ嬉しいくらいだしな。
「ただいま、
俺は笑みを浮かべてそう言うと、を抱き上げてキスを与える。
それは、が俺を出迎えた時 必ずする行為。
その他にも、朝起きて直ぐや、仕事に出掛ける前にキスをするようにしている。
だけじゃない、にだってそうだ。
「いい子にしていたか?」と問えば、は「うん!」と元気に頷いた。
「お帰りなさい、景吾さん」と、そんな声も聞える。
視線を向ければそこにはエプロン姿のの姿。
「ああ」と俺はそう返事を返すと、に向かって手を伸ばす。
その意図に気付いたが、俺の元へと近づいてくる。
俺はを抱いたまま、の腰に空いている方の手を回して引寄せ、その唇にキス。
未だに、はこの行為になれないらしく、恥ずかしそうに頬を朱に染めた。

これが、日常になりつつある。
俺の帰りが遅い日は、出迎えはだけになるが……。
家に帰ったこの瞬間に、俺の中の疲れは一気に消え去ってゆく。
こんな幸せってもんも、あるんだな…なんて、柄にもなく思ってしまった。

 

帰宅時間が早ければ、3人で夕食をとる。
の作る、家庭料理というヤツだ。
食事だけでなく、家事全てはの仕事となっている。
メイドにやらせればいい事だとは言ったが、はそれを嫌がった。
それで、今に至る訳だ。

食事を終えた後は、入浴の時間。
こういう時はと一緒に入るようにしている。
子供を入浴させるのは父親の仕事なのだという話を聞いたことがあったし、いいスキンシップにもなるからな。
入浴を済ませて、リビングへ向かえば、がコーヒーテーブルの上に晩酌の用意をしている。
の気の回し方はメイド並だ。
別に俺はをメイドの変わりにしたくて同棲を始めたわけじゃないんだが。
もちろんその事を伝えなかった訳じゃない。
しかし、その行動はにとって当たり前の事であるらしい。
はどうやら世話焼きな性格のようだ。
一緒に住んでいると、色々なの顔が見る事が出来る。
少々、強行した感が否めなかったが、同棲を始めて良かったと思う。
「風呂、行ってこい」
俺がそう言うと、は「はい」と頷いてリビングから出て行った。
はリビングの隅で一人 座り込んで着せ替え人形で遊んでいる。
リビングにすえつけられたソファーに座り、俺はの様子を見ながら、ブランデーの注がれたグラスに口を付けるのだった。
暫くすると、が入浴を終えてリビングへと戻ってくる。
時間を見れば、もう9時を回っていた。
ふと見れば、が座ったままの状態でウトウトと船をこいでいる。
はそんなの姿を見てクスリと笑うと、の許へと近づく。
、歯磨きして寝ようね」
に言われ、は少しだけ眼を覚ましたようだ。
眠たそうな顔のままコクリと頷き、に抱きかかえられてリビングから出て行った。
十分ほどして、がリビングへと戻ってくる。
は寝たか?」と俺が問えば、は「もうぐっすりですよ」と笑った。

 

が眠れば、これから先は大人の時間だ。
俺が視線を向けると、は恥ずかしそうに頬を朱に染めた。

 

 

水音と、の嬌声と、俺の乱れた吐息の音が支配するリビング。
お互い生まれたままの姿で、快楽を貪る。
唯一、俺の自身は避妊具で覆われ、の左の薬指には婚約指輪が光っていた。
ソファーの上、は俺に組み敷かれ淫らに喘ぐ。
その声をもっと出させようと、俺は腰の動きを早めた。
結合部から、の愛液が後から後から零れ落ちているのを感じる。
そろそろ、限界が近い。
俺から与えられる快楽に耐えようと、は俺の背に掴まり爪を立てている。
それすら甘美な痛みで、俺の快感を煽るだけ。
「ひぁ…あぁぁぁぁっ」
がひときわ高い声を上げて、頂点に達する。
それと同時に、俺も欲望を避妊具の中に吐き出した。

はまだ、妊娠を望んでいない。
子供を作るのは、結婚してから…。
それが、が俺に体を許す条件だった。

頂点に達したは恍惚とした顔のまま、天井を見詰めている。
俺はの中から自身を抜き出すと、その唇に口付けを落とす。
そのままそれを深めてゆきながら、俺は避妊具を新しいものに取り替える。
それに気付いたが、俺の肩を突っ撥ねるように手を突く。
俺は唇を解放し、「どうした?」と問う。
「あの…今日はもう……だってもう2回もシて…明日につかえたら困るし…」
恥ずかしそうに言う
「次で最後にしてやる」
俺はそう言うと、強引にと体を繋げた。
「あ…や…、も…だめっ…けいご…さ……ぁぁ」
俺が腰を動かしてやれば、拒否の言葉も嬌声でかき消される。
更に腰の動きを早め、俺はを快楽の渦へと引きずり込んでいった。

 

 

 

 

 

次の日の朝。
一番に眼を覚ますのは、一番最初に眠った
俺達は3人、同じベッドで眠っている。
キングサイズのベッドは3人で眠ってもまだ余裕があった。
「ママ〜、パパ〜、おきてぇ〜」と言う声とともに腕をゆすられる。
俺が瞼を開けば、腕の中にはまだ眠っているが居て、その向こうにの姿が見えた。
「おあよお ごじゃいましゅ!」
がニコニコ笑って言う。
「おはよう、
…おはよ……」
の挨拶に俺だけでなく、も返事を返す。
どうやら、もお目覚めのようだ。
はまだ体に眠気があるのかのそのそと体を起こす。
が、「いっつ…」と顔をしかめて腰を手で押さえた。
そして、恨めしそうに俺を睨んでくる。
俺は、しれっとそれをスルーして起き上がった。
がそんな俺の所へやってくる。
俺はと目覚めのキスを交わした。
更に、とも目覚めの口付けを交わす。
そして、は満足したのかベッドからおりて寝室からぱたぱたと足音を立てて出てゆく。
今度は、俺がに口付けを…と思ったが、はプイとそっぽをむいてしまう。
「……昨日の事…怒ってんのかよ?」
「当然です。私が気を失った後もやったでしょ?」
俺の問いに、はそっぽを向いたまま答える。
「…4回目でやめにしてやったんだ、そこまで怒る必要ねぇだろ?」
俺がそう言うと、は大きくため息をつく。
「3回目でやめるんじゃなかったんですか?…まったく、どこまで絶倫なんですか……もう……」
そんな呆れたような声で、は言葉を紡ぐ。
「……3回も4回も変わんねぇだろ」
思わず言ってしまったその言葉。
流石に後悔したな。
「1ヶ月、干させていただきます。どんなに求められても拒否しますんで。…無理やりしたら家出て行きますからね…」
そう言っては俺に顔を向けギロリと睨む。
「え…おい、それは流石に…」
俺の言葉も無視して、はよろよろと起き上がり、ベッドからおりて寝室を出て行こうとする。
、せめて1週間にっ!」
「却下です!」
俺の言葉を即答で切り捨て、は寝室から出てゆき、ドアをばたんと閉めた。

 

1週間ならまだしも、1ヶ月.行為無しは……。
流石に地獄だぞ……。

一人取り残された寝室で、俺は途方にくれるのだった。
俺を途方にくれさせる事が出来るのは、くらいだろうな……。

 

さて……どうやっての機嫌をとるか……。
考えとかねぇとな…。
1ヶ月は干されたくねぇからな……。

 

そして、1日が始まる……。







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