縁(えにし)って、凄いものだと思う。

出会って、別れて、それでまた出会って。

縁で繰り返される、人と人との出会い。

それは、今までの出会いと別れが折り重なって積み上げられた偶然が起こす、奇跡なんだね。

 

 

 

 

 

ある雨の日の事だった。
私は3年間付き合っていた彼氏との関係に終止符を打った。
お腹に、命が宿っているとも知らず……。

 

 

体調不良を感じたのは、それから暫く後。
微熱が長く続いて、時々むかむかする事もあって…何より、月経がきていなかった。
妊娠検査薬での判定は、陽性。
私は別れた彼の子を身篭っていた。

堕ろすか、産むか。
二者択一。
でも、私は迷わず産むを選んだ。

幼い頃から、両親に叩き込まれていた事。
『命は、大切』
それがあったから。

でも、それを理由に彼と復縁なんて出来なかった。
彼にはもう、別の恋人が居たから。
子供が出来たから、復縁して結婚して……。
それで幸せになれるのかって考えたら、なんだかそんなの無理かなって。
結局、離婚してしまいそうな気がしたから、彼には何もいわないことにした。
途中で片親になるのも、最初から片親なのも変わらないじゃない?
だから、私は一人で産む事を決心したの。

両親に妊娠の事、彼には何も告げず一人で産む事を伝えたら、二人とも「頑張りなさい」って言ってくれた。
「どんな理由があったにせよ、命が芽生えたという事は、めでたい事」
父がそう言ってくれたときは、不覚にも涙がこみ上げた。
両親は、私の事を応援してくれるって、サポートしてくれるって約束してくれた。
優しい両親。
お腹の子に父親は居ないけど、私は両親のような親になりたいと、そう思った。

 

それからが大変だった。
私はとある会社の秘書職についていたんだけど、その仕事はハードな部分が多くて、妊娠している私には続ける事が出来なかった。
だから、会社をやめ、小さな会社のアルバイトの事務職についた。
アルバイトなら、病院に行く時間も取れたし、つわりが酷い時は休む事も許されたから……。
たぶん、その会社の社長さんは人が良かったんだろう。
妊娠している事を知っても、私を雇ってくれたから。
臨月ギリギリまで働いて、無給だけれど、産休も貰って。

私は女の子を出産した。

 

 

 

 

今思えば。
彼氏と別れていなければ。
子供ができていなければ。
秘書職を辞めて、人のいい社長の居る会社に就職していなければ。
子供を産んでいなければ。

 

私たちの縁(えにし)があれほど強く結びつく事なんて、なかったんだよ。

 

 







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