馬上の旅は楽だけど尻が痛くなった。
なんか俺ダメダメじゃん。
休憩のあと、レギウスが厚手の布を二つ折りにして俺の腰に巻いてくれた。
竜の鱗のベルトで固定してみた。いい感じじゃん?
その日は野宿で、次の日も野宿。
この辺は町や村ないのかな?
「エラノダには明日着く。
少し急いで戻る事になったんだ。すまない。」
「レギウスの都合だから仕方ないよ。
でも、そろそろレギウスの本当のことが知りたい。」
レギウスが何者でもかまわないけど、隠し事されたままって嫌じゃん?
結構金持ちだったりしてさ。
軍馬持ってるくらいだから傭兵とかやってるのかな?
「ショウゴ…。エラノダに着いたら話す。
もう少し待ってくれるか?」
「もちろん。でも無理には話さなくていいよ?」
「いや、王都に入ったら話さないわけにはいかない事だ。」
は?王都!?
「ソワノ・デラって王都なの!?
それに、俺考えてみたらこの国の名前知らない…。」
レギウスが俺の言葉に驚いていた。
「一番初めに教えることだったな。すまない。
この国はアスナキアだ。ソワノ・デラは国の中心で王が住む王都だ。」
「そうなんだ。」
王都に着いたら地図を見せてもらおう。
「ショーゴ。なんか来る。」
突然フィルが俺の肩に飛んできた。
焚火の音でレギウスには聞こえて無いだろうと、そっちを見ると
レギウスの足元にゴツイ精霊がいた!!
レギウスと何か話してる。
「ショウゴ、急いで荷物をまとめるんだ。」
「わかった!」
焚火を消すと、俺たちは急いで馬に乗って森の中を走った。
暗い森の中どこをどう走ってるのか俺には全然わからなっかったけど
レギウスにはちゃんと見えているみたいだった。
だってさ、すごいスピードで馬を走らせてるんだぜ?
怖く無かったわけじゃないけど、レギウスがいれば大丈夫だって
普通に思えるんだ、俺。
明け方、目の前には門が見えてきた。
「エラノダだ。」
レギウスが表情を緩めて言った。
ああ、もう大丈夫なんだ…。良かった…。
俺は眠さに負けた。
目が覚めると、ふかふかベットの中だった。
慌てて起きると、俺はその部屋を飛び出した。
隣の部屋にはレギウスが書き物をしていたようだ。
「どうした?」
レギウスが優しい笑顔を向けてくれた。
「いや、なんか俺…。」
ベットだけの部屋に一人きりで目が覚めて不安になったんだけど
恥ずかしくて言えなかった。
「おなか空いてないか?」
「あ、まだ大丈夫。でも、のど渇いたな…。」
レギウスは書き物を片付けて水を持ってきてくれた。
俺は椅子に座って一気にそれを飲んだ。
生き返る〜。
「夕食までまだ時間があるな。
ショウゴ、俺の事を聞いてくれるか?」
「うん。聞きたい。」
レギウスは俺の向かいに座ると、水のお代わりを注いでくれた。
「俺は王の直属の騎士をやっている。
他の騎士と違って単独行動が多い上に、密偵のような仕事を任される事もある。」
「騎士だったんだ!王直属って凄いんだよな?」
「地位など俺にはどうでもいいことだ。
昨夜は巻き込んですまなかったな。」
騎士だってさ!
しかも権力に興味無いなんて、レギウスってばかっこいいよな〜。
「やっぱり追われてたんだ…。
そういえば、あのゴツイ精霊は何?」
「ああ、地の精霊だ。
俺は地の精霊の加護を強く受けているから知らせてくれたようだ。」
「あ、フィルも俺に教えてくれた。
精霊って凄いんだな」
レギウスは静かに頷いた。
やっぱり俺、ここでは経験不足だな。
王都に着いたらとりあえず基本的な事は何でも勉強しよう。
「ショウゴ、あっちの扉から浴室に行ける。
使うといい。」
「うん、そうする。」
三日くらいぶりに風呂だ!
前は毎日入れた風呂が今はあんまり頻繁に入れないから
すごく嬉しいんだよな〜。
湯につかって、それから全身を洗った。
一仕事終えた感じ。…あ、着替え忘れた。
俺は水分を拭いた布を腰に巻きつけ移動した。
また書き物をしていたレギウスは、そんな俺の姿に驚いてペンを落としていた。
無作法でごめん。でもペン落とすほど驚かれる俺の身体って…。
そんなに貧相か?
俺は荷物が置いてあるベットの部屋で服に着替えた。
レギウスのいる部屋に戻ると、本人は書き物の続きをしていた。
王様に出す書類かな?
「もうすぐ終わる。
この後は店を見てから夕食にしよう。」
「竜のベルトの付属品探しだね。
あるといいな…。」
俺は窓辺に椅子を移動して、外を見ながら想像してみた。
あのベルトに合う剣ってどんなのだろう?
俺はいろんな剣を想像して時間をつぶした。
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