はれて絳攸と想いを通わせた藍楸瑛は最高の幸福を味わっていた。

永遠に親友でもいいと覚悟さえしていた絳攸が

自分に好意を持っていてくれたのだ。

都合のいい夢だったのでは?

楸瑛は思わず疑ってみたが、次の日に顔をあわせた愛しい人は

初々しくも頬を染め、不機嫌な表情をしながらも実は照れているのだった。

絳攸のすべてが何故こんなにも愛しいのだろうか?

楸瑛は甘く優しい視線で絳攸を見ていた。

そんな二人の醸し出す甘い空間に、劉輝は居たたまれないとばかりに

仕事に没頭する。

そう、ここは執務室なのだ。

劉輝にしてみれば二人が幸せそうにしているのは嬉しいことだ。

だがものには限度もある。

秀麗に会いたい。秀麗に会いたい。秀麗に会いたい。秀麗に会いたい。

秀麗に会いたい。秀麗に会いたい。秀麗に会いたい。秀麗に会いたい。


「秀麗に会いたい!!」


劉輝は思わず叫んでいた。

絳攸はそんな劉輝にうるさいと怒鳴り返す。


「今日は秀麗殿に夕餉に招かれている。
連れっててやるから死ぬ気で仕事を片付けろ。」


絳攸の言葉に劉輝は満面の笑みで頷き、仕事に取り組む。

楸瑛はやはり甘い視線を絳攸に向け続けていた。


「常春頭!!貴様も腐った目で俺を眺めている暇があるのか!?」


絳攸は楸瑛の視線にたえかねて、つい怒鳴りとばす。

こんな反応しか返せない自分に自己嫌悪してしまうが

今は執務中だ。

そして一途な片思いをしている劉輝にも気が引けるのだった。


「腐ってるって君ね…。
まぁ秀麗殿の夕餉を食べ損ねるのは勿体無い。手伝うよ。」


楸瑛はいつもの顔に戻り、仕事にとりかかる。

だが内心では、今夜絳攸をどんな風に味わおうかと思案していた。

あれだけ感じやすい体なのだ。

これからは離れないように快楽をしっかりと覚えこませて

楸瑛なしではいられない、と思わせるつもりでいた。




夕刻、何とか書簡を片付け終えた3人は秀麗の手料理を味わうことができた。

泊まると駄々をこねる劉輝に邵可は快く承諾した。

楸瑛はこれで主上を送る手間がはぶけたと内心ほくそえんだ。


「では我々はお暇します。」


絳攸と楸瑛は邵可や秀麗に礼を述べると、邵可邸をあとにした。




夜空には三日月が白く輝いていた。


「邵可様の邸は心が和む。
…家族とはいいものだな。」


絳攸は何処か切なげに呟く。


「邵可殿がどれだけ家族を愛しているのか伝わってくるね。
絳攸、君は私とどんな家庭を築きたい?」


楸瑛は絳攸の肩を抱きながら優しく問い掛ける。


「なっ…何を言っている!?
家庭って、俺はまだ黎深様の邸を出るつもりはない!!」


慌てたように絳攸は言うが、楸瑛は分かっていて聞いたのだ。

まだ出るつもりはない、ならばいつか自分と暮してくれるということ。


「つれないことを言うね。恋人としては悲しいよ。
今夜はうちで一晩中慰めてもらうよ?」


楸瑛は絳攸の手を掴むと、待たしていた軒に絳攸を押し込んむ。

続けて乗り込んだ楸瑛は素早く絳攸の唇を奪うと、長く甘い口づけに酔わせた。

絳攸の瞳がとろりと溶け、淡い瞳がなんとも色っぽくぬれそぼる。

力の抜けた絳攸を楸瑛は優しく抱きしめた。



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