キハ４０近郊型気動車

キハ40主要走行線区

九州各地はもとより全国の非電化区間で今もなお活躍する国鉄型気動車です。 昭和52年より北海道向け極寒冷地仕様が登場し、追って暖地型の2000番台が登場しています。 このキハ40で疑問になるのは、”基本番台は存在しないのか？”という点です。 北海道仕様は100番台、寒冷地仕様は500番台、暖地仕様は2000番台と、確かに基本番台が 存在しません。これは昭和35年に客車であるオハ61系列を改造して気動車とした系列がキハ40を 名乗っており、100番台の落成直前まで活躍していたことに起因しています。両数そのものは 少なかったので小さく飛んで100番台とし、500番台と続番にならないように2000番台とした ことが窺えます。

車体は足回りを２年先に登場したキハ66、車体はキハ23系列をベースとして車体幅を 急行型と同じにして収容力を高めました。エンジンはキハ66のDML30HSを半分カットした形の DMF15HSAを搭載。半ペラとなったことで出力もキハ66の半分の220馬力となっています。 エンジンの能力自体は300馬力を超えていますが信頼性の確保が大命題となり、出力を 落とされています。 元々このエンジンはスハフ14やスハフ12の電源用エンジンとして開発されました。 今回、それが走行用となったことになります。

極寒冷地仕様の設計が先行したことから、車体は 扉を車端に寄せられており、100番台ではデッキが付けられていますが500番台以降は 省略されました。設計当時は全国津々浦々どのような線路条件でも投入できることが求められ、 さらにキハ10系列の予想外に早い老朽化もあって頑丈な車体を持たせることを主眼に置かれました。 その一方でキハ66の反省、つまりメインテナンスに手間がかからないこと、大量配備が出来ること、 価格が安いこと、が求められました。その矛盾は整備に手間がかかり高価なDML30の装備見送りと 重厚な車体の装架に現れています。非力なエンジンと重い車体を装備した扱いにくい車輌ではありますが、 車齢10年も経たないうちに国鉄が民営化されてしまいました。 収益性の薄いローカル線の車輌を一気に置き換えるよりも延命して少しずつ置き換えていくのが 得策なために、各社ではエンジンの交換やアコモ改善を行っています。

JR九州では民営化前から取り組まれていた冷房化を継続して行い、平成元年までに36両全車完了しています。 出力向上としては90年度以降にコマツのSA6D125-HD1(360PS/2000rpm)を装備した車輌が ９両登場し、形式名に＋100を加えキハ140としています。 しかし、その後出力向上はキハ200系列の増備で賄う方向となったのか分かりませんが、キハ40系列の チューンアップは数年間下火となります。キハ200-100番台が登場した97年ごろになると 再び出力向上車が登場し、+5000を車番に加え、キハ40では7000番台が登場します。 この番台は既存のエンジンを生かし、燃焼効率の良い直噴式として燃料供給の制御方式にも 改良を加えるなどして本来の出力である300馬力を安定して発揮できるようにしたもので、 エンジンの形式はPを加えたDMF15HSA-Pとなっています。キハ40では２両が改造されています。 その後、2000年からコマツ製のSA6D125HD-1A(300PS/2000rpm)に交換した車輌も登場。 従来はキハ47と同じ数を プラスしていましたが、さすがに10000を超えてしまうので47と頭の数字をそろえる意味で キハ40では+6000をして8000番台を名乗っています。

廃車
キハ40−2000の廃車は2004年までに３両発生していますが、いづれも鹿児島県での 風水害によるものです。第一号は昭和58年６月21日の全国的な豪雨で、指宿枕崎線の 喜入−前之浜において発生した土砂崩れに乗り上げた５両編成の列車の１両目にあったキハ40-2055。 そして平成５年の鹿児島県内を襲った集中豪雨（いわゆる8.6水害）によって日豊本線竜ヶ水駅構内で 土石流に巻き込まれたキハ40-2106、2124です。

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