2001年10月、筑豊本線・篠栗線の電化開業と長崎本線ワンマン運転開始を機に 投入された系列。815系と同様日立Aトレインシステムを踏襲し、アルミ製の筒に 妻板でフタをしたような車体構成となっています。815系をベースとしていますが、 車内は885系でも採用された白壁に白木を使用した座席を配置しています。また、 運転席側の運転室窓が拡大されております。これは前面がガラス張りとなって 保安対策の強化が必要となったようで、815系に比して運転席が拡大しています。車内は用・個・美をコンセプトとしています。用とは用途に応じた車内構成、 つまり広く取った踊り場や増加したつり革などを指します。また、個は一人一人の 居住性の改善、つまり木を使用した座席や一人掛けの補助席などがこのコンセプトから 生まれたとのことです。美とは特に”用”や内装などを美しく配置、配色することとしたもので、 サークル状に配置された吊革や白にドットを配置した床材、黒とシルバーのモノトーンな 外装などにその片鱗を見せています。 実際、バリアフリー法への対応策として通路幅を確保(82センチ)、踊り場を広く取りました。 これはアルミ押し出し材によって車体外板の強度を保ちつつ、効果的に厚さを減じることに 成功したことが大きく貢献しています。
シートピッチは在来車両に比べてそれほど拡大していませんが、薄い木の板を 背ずりに使っている関係でずいぶん広がったようにも感じられます。閑散時には 踊り場周囲の補助座席を使用できるようにして着席定員の減少を防いでいます。 しかし、華奢な感は否めず、根元がぐらついているようなものも見受けられ、もう少し しっかりした設計になって欲しいと感じました。
2003年には筑豊地区に投入された車両のうち 24両が早くも817系1000番台によって置き換えられることになり、九州新幹線開業を翌年に控えて てこ入れの必要がある鹿児島に20両、大分地区にも4両が転出していきました。地域性は 側面戸袋部のステッカーに出ており、デザインは共通ですが、基調とする色は 筑豊地区が黄色、長崎地区は赤、大分地区は緑、鹿児島地区は青となっています。 1000番台は、車体構造に大きな変更はなく、高圧機器が将来3両編成化した際に備えて容量拡大が なされています。問題点としては九州地区、特に鹿児島の洗浄水の水質が悪いことで、 鹿児島に転入した車両の多くが半年程度で茶色くなって汚れてしまっていることがあります。 アルミ無塗装の外装がアダになっているようです。また、客扉の室内側は白色でしたが、汚れが目立つこともあり、鹿児島配置の車両の一部にステンレス無塗装のものが登場しました。2005年3月改正から 鳥栖−銀水間のワンマン運転開始により運用範囲が広がった815系の穴を埋めるように 大分と直方から817系が4編成、熊本へ転出して運用が開始されました。また、2007年3月からバリアフリー対応の方向幕を設置した1100番台が直方に配置され、玉突きで一部の基本番台が鹿児島へ転出しています。
形式 | クモハ817 | クハ816 | |
定員(着席) | 折畳腰掛使用 | 131(50) | 127(40) |
折畳腰掛未使用 | 130(40) | 126(32) | |
電気方式 | 交流20KV/60Hz | ||
最高速度 | 120km/h | ||
空車重量 | 33.8t | 28.4t | |
主要寸法 | 最大長 | 20000mm | |
最大幅 | 2994mm | ||
最大高 | 4096mm | ||
パンタ折畳高さ | 4295mm | ||
ボルスタ中心距離 | 13800mm | ||
床高さ | 1125mm | ||
走行装置 | 台車形式 | DT404K | TR404K |
車輪直径 | 810mm | ||
固定軸距 | 2100mm | ||
マクラバネ | 空気バネ | ||
駆動方式 | 平行カルダン | ‐ | |
台車重量 | 11.7t | 8.1t | |
主電動機 | MT401KA 150KW×4 | - | |
補助電源装置 | - | SC405K | |
電動空気圧縮機 | ‐ | MH410K-C1000ML | |
制御方式 | 交流回生付き・PMWコンバータ+VVVFインバータ | ||
ブレーキ方式 | 直通予備ブレーキ付き・回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ | ||
運転保安装置 | ATS-SK | ||
冷房装置 | AU407K屋上集中インバータ方式・42000kcal/h | ||
暖房装置 | 腰掛装架(シーズヒータ)・15500kcal/h | ||
便所 | - | 洋式(循環式) | |
移動制約者スペース | - | あり | |
備考 | ワンマン運転対応 |