九州内には高速道路が発達し、福岡を本拠に持つ日本最大のバス会社、西日本鉄道 (西鉄)の高速バスとの激しい競争にさらされている長崎本線に投入された新型車両です。 JR東日本の常磐線などと違い、需要の中でビジネスよりも観光のしめる割合の高い 九州では、落ち着きよりもインパクトで勝負する面が少なからずあり、787系(つばめ)、 883系(ソニック)を設計した水戸岡鋭冶氏も”あの手この手で勝負”ということで、 従来のレッドエクスプレス、813系、キハ200や883系などに多用していた原色の使用を バッサリとやめ、素材の色を活かした落ち着いた空間演出に出てきました。
真っ白な車体に黒い熱線吸収ガラスを使用し、車内も壁は白、シートは黒のレザーを使用し、 床は木目という”和風”に仕上がっています。博多寄り先頭車6号車は自由席ですが、 1号車のグリーン車と共に前面展望が出来るようになっています。ただし、夜間と停車時は 仕切りの液晶ガラスが白く曇って前は見えません。短距離利用客で満員になることもあるのが ”かもめ”の現状で、そのために立ち席スペースとしても使えるよう、デッキや コモンスペースなどの面積を広く取っています。
座席設備はレザーシートを採用したという点では画期的でしたが、全体的に華奢な印象は 拭えず、6号車(喫煙車)の灰皿がもげていたり、肘掛に内蔵されているテーブルの出し方が 分からない、足載せがない、床の木が黒ずんでいる、などのマイナス点も指摘されています。 また、客室の扉は、障子をイメージしたガラス戸なのですが、混雑時に頻繁に開閉しないよう 考慮した結果でしょうか、自動扉の作動がやや遅く、勢い余って体当たりしたのか、ヒビが 入った状態の車両を見たこともあります。難しいところですね。
白い車体ですが、普段はやや汚れがち(かもめというよりすずめ?)で走っています。 冬休み前に一旦きれいになっていますのでこれからどうなるかを注目していきましょう。 足回りは883系譲りの振り子式で、IGBTインバータ制御となっています。
この制御方式、ややうるさくなくもないです。
形式 | クモハ885 Mc |
モハ885-0 M |
サハ885-0 T |
サハ885-100 T1 |
モハ885-100 M1 |
クロハ884 Thsc |
---|---|---|---|---|---|---|
最高運転速度 | 130km/h (曲線速度+30km/h) | |||||
電気方式 | 交流20000V:60Hz | |||||
座席定員 | 48 | 60 | 46 | 40 | ||
自重(t) | 38.3 | 40.1 | 36.3 | 37.2 | 40.2 | 36.3 |
車体長(mm) | 21400 | 20000 | 21400 | |||
車体幅(mm) | 2910 | |||||
動力装置 | 軽量ボルスタレス台車:DT406K(M)、TR406K(T) | |||||
動力伝達方式 | 平行カルダン | - | 平行カルダン | - | ||
主電動機出力 | 190KW×4 | - | 190KW×4 | - | ||
補助電源装置 | - | SIV | - | SIV | ||
電動空気圧縮機 | 2000L/min | - | 2000L/min | - | ||
制御方式 | PWMコンバータ+VVVFインバータ制御、回生ブレーキ付き | |||||
ブレーキ方式 | 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ、直通予備ブレーキ、応荷重装置付き | |||||
連結器 | 密着連結器(先頭部およびサハ885-100に接する部分)・半永久連結器 | |||||
自動列車停止装置 | ATS−SK形 | |||||
列車無線 | 空間波無線、反復信タイプ | |||||
空調装置 | 屋上集中2分散式
冷房42000kcal/h (21000kcal/h×2台)、暖房13760kcal/h(6880kcal×2台) | |||||
設備 | トイレ | 自販機 | トイレ | ミニショップ | トイレ・電話 | トイレ |
シートピッチ | 普通車980mm G車1150mm |