787系特急電車

自由席車内の一例(改装前)

旧ビュフェスペース

ビュフェスペース改造後の客室

リレーつばめ号走行線区

門司港・博多−新八代

リレーつばめ
2004年3月の九州新幹線暫定開業と同時に登場した博多−新八代間の 在来線特急列車。元々はつばめを名乗っており、 こちらは平成4年7月の改正で登場した特急列車。名門特急の”つばめ”の名称を引っさげて 17年ぶりに鹿児島本線に登場しました。
従来、博多‐西鹿児島には”有明”が走っていましたが、停車駅のパターンが多く、 使われている車両も国鉄時代からの485系と新型の783系で、性能の差があり、 所要時間にもバラツキがありました。鹿児島県の沿線自治体からは八代以北の停車駅を 削って速達化を望む声があり、熊本以北は停車駅の多い”有明”を走らせ、西鹿児島まで 行く列車は識別のため”つばめ”と改称して停車駅を減らして統一し、速達化と ”つばめ””有明”が1時間に1本ずつのパターンダイヤを実現しました。 平成4年改正以降、博多‐西鹿児島の所要時間は3時間50分前後に統一されています。

”つばめ”をイメージしたグレーの濃淡に包まれた車体に、先に登場したハイパーサルーン (783系)と打って変わって1座席1窓の小窓が並ぶようになりました。 車内はグレー調にまとめられ、落ち着いた雰囲気を出していますが、夜間などに”暗い”とか ”酔う”というマイナス評判もあります。グレーの内装の乗り物、といえばまず乗用車が 挙げられますがそれにならって落ち着いたスペースを、ということもあったかと思います。
設計者である水戸岡 鋭冶氏が提示した案はJR九州の予算を大幅に越えるものでしたが、 4時間近い時間を車内で過ごすという点で車内にくつろげるスペースを、ということで 設計者の意図を最大限に取り入れて作られたそうです。セミコンパートメントや、 食堂車などが全国的に廃止の方向にある中で、珍しくカフェテリアを備えた車両があるのが その現れですが、その一方で、当初の運用(基本7連6M1T/増結9連6M3T)が縮小され、6連か7連で 運用されるようになると、1両がセミコンパートメントやカフェテリアに取られることになり、 疑問の声も上がっていました。 しかしながら、客室乗務員による接客サービスなど、ハード以上にソフト面での評価が高いことで 知られている九州の看板特急でした。編成は幾多もの変遷を経て、 現在は九州新幹線の部分開業に伴って博多−新八代の 特急リレーつばめとして活躍しています。

編成の変遷
92年7月に52両(9連×5本、7連1本)が登場して鹿児島に配置されました。 94年春までにさらに追加され、総計120両が出揃います。編成は9連、7連ともに 当初サハシの位置が3号車に 揃えられていましたが、94年春を境に編成中間に置くように改められ、 9連では5号車、7連では4号車に置かれるようになりました。 93年より日豊本線の特急にちりんシーガイア、94年より長崎本線の特急かもめにも 投入されるようになり、南福岡配置車両も登場しましたが、編成自体はそれほど大きな 変更もありませんでした。

大きな動きがあったのは99年春です。従来、電動車ユニット3つが 組み込まれていたのを2ユニットに減じ、同時に7連と6連に組み替えることで捻出した 電動車ユニットに対し、クロハ786とクハ787を新製して4連を組成することにしました。 99年分は全て新しく製作された12両によって4連6本を作りましたが、その際に 余剰となったサハが6両、モハユニットが5組ありました。2000年分はこのうちのサハ 5両を先頭車化改造し、クハ787-100としてさらにクロハ786を増備することで 4連5本を作りました。4連は有明増発用として99年春より投入。博多−熊本で日本初の 特急の20分ヘッド運転を実現しました。

再び動きがあったのは九州新幹線開業に先立つ2002年頃からです。 2003年2月をもってビュフェの運用は全て終了し、サハシ787は 新幹線800系の定員に合わせ7両で343名とすべく座席23席を旧ビュフェスペースに 設置され、サハ787−200へと改造されました。改造の過渡期においては、コンプレッサーが 不足するためにサハ787-100にコンプレッサを設置する工事もあったそうです。 それ以前の2002年夏には一部の6連に対し 不足するサハは追加で3両新製されています(波動用の手持ちのサハ1両と合わせて6連→ 7連4本が誕生)。新造サハの追加が先行したのは2001年10月から従来の回数券を廃止して 発売された2枚きっぷ・4枚きっぷが好調で利用者が増加したのに対処するため、という理由がありました。

また、それに合わせ、さらに重厚なスタイルとすべく 室内外がリニューアルされています。
2004年3月13日に新幹線開業とともに 鹿児島の787系は全て南福岡へ転属し、博多−新八代のリレーつばめとして新たな責務を担っています。 なお、サハ787-200組み込みの6連はなお2編成残り、こちらはラッシュ時の有明や 篠栗線の特急かいおうに使用されています。2004年秋からこちらもつばめと同じ内容の リニューアル工事を受け、塗装などがありあけロゴながらも変更されています。


現在では日本を代表する在来線特急の誉れ高いことは、周知のとおりです。鹿児島本線は 国鉄時代、591系電車がテストされていた頃に振り子式電車の投入線区の候補となりましたが、 結局交流電車の振り子式は開発されず、この787系も、783系と性能を 揃えるということや九州新幹線との絡みもあり、振り子式は使われていません。 交流式振り子電車の登場は94年のソニック用883系まで待つことになりました。 詳細は883系ソニックの解説をご覧下さい。


787系主要諸元表
形式 クモロ787
Msc
モハ786
M`
サハシ787
TB
モハ787
M
サハ787-100
T
サハ787
T
クモハ786
M`c
最高運転速度 130km/h (曲線速度+20km/h)
電気方式 交流20000V
座席定員 24 42 24 56 64 56 56
空車重量(t) 43.5 44.4 35.6 42.0 31.1 32.7 45.2
車体長(mm) 21200 20000 21200
車体幅(mm) 2948
屋根高さ(mm) 3670 4053 3670
パンタ折り畳み高さ - 4280 - 4280
ボルスタ中心距離(mm) 14150
動力装置 軽量ボルスタレス台車:DT400K(M)、TR400K(T)
動力伝達方式 中空軸平行カルダン - 中空軸平行カルダン - 中空軸平行カルダン
主電動機出力 150KW×4 - 150KW×4 - - 150KW×4
補助電源装置 - SIV - SIV
電動空気圧縮機 - 2000L/min 2000L/min -
制御方式 サイリスタ位相制御、弱界磁制御、発電ブレーキ、抑速ブレーキ
ブレーキ方式 発電ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ、直通予備ブレーキ、応荷重装置付
連結器 密着連結器・半永久連結器(Mユニット間のみ)
緩衝器 ゴム緩衝器(初期0タイプ)
自動列車停止装置 ATS−S形
列車無線 空間波無線、反復信タイプ
空調装置 屋上準集中(ヒートポンプ)
冷房42000kcal/h (21000kcal/h×2台)、暖房30000kcal/h(15000kcal×2台)

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