平成4年7月に豊肥本線の急行火の山、久大本線の急行由布を特急に格上げするにあたり、 余剰となったJR四国の特急用気動車を購入して、これにあてました。
これが現在の特急あそ、ゆふです。車両は国鉄末期の昭和60年に登場しました。 四国で昭和47年以来活躍し、老朽化してきたキハ181系を置き換える目的で、 瀬戸内の潮風に強いステンレスの車体を持って登場しました。
豪華絢爛な車両を製作する能力は、当時累積赤字に苦しむ国鉄にあるはずもなく、 制作費を極力切り詰めた結果、変速機などは廃車となった車両部品を再利用しています。
また、国鉄が、地域密着のコンセプトのもとに製作した車両ですので 輸送単位が小さい四国にあわせて、2両編成から組めるようにしています。 使い勝手の良い気動車でしたが、四国山地の急カーブなどには能力不足で 2000系が登場するとキハ185は余剰となってきました。これをJR九州が購入して活用したわけです。購入は平成3年度に行われ、20両が 入りました。翌年の改正で営業を開始し、投入で余剰となった 急行由布・火の山用のキハ58系は、快速シーサイドライナーや急行えびの・ くまがわに転用されています。
購入にあたり、従来あったグリーン席・普通席の合造車キロハ186は全席普通車の キハ186となり、グリーン車の広いシートピッチ(座席間隔)のまま普通座席に交換されました。 さらに、九州山地を横断するために、出力向上の目的でキハ186のエンジンを1台増設して 2基エンジンとしています。それでも出力が不足し、冷房を切って九州山地を越える シーンも見られます。外装は四国時代のブルーを基調としたカラーから赤を基調とした色に変更となっています。 先頭車は貫通扉がついており、その後ろは出入口のデッキとなっていますが、助士席側の窓が 拡大されており、 客室との仕切りにも大きな窓がついているので、デッキ越しに前面展望を楽しむことも可能です。 大分寄り先頭車が指定席、反対側久留米・熊本方向が自由席となっています。 あそ・ゆふともに九州を横断し、東西方向に走るのですが、ガラスが熱線吸収ガラスではないので、 真夏など南側になる窓際は強い日差しでカーテンが開けられないのがつらいところです。
2001年からアコモ改善を行い、前面を真っ赤にしたリニューアル車が登場しました。 さらに2004年の九州新幹線開業時には肥薩線の急行くまがわと豊肥本線の特急あそが 廃止となりました。そのかわりに九州の二つの温泉地、別府と人吉を結ぶ特急列車として 九州横断特急が別府から豊肥本線・肥薩線経由で設定され新八代で新幹線と接続しています。 また、これを補完するために肥薩線には特急くまがわが設定され、どちらもキハ185系気動車で 運行されています。
形式 |
キハ185- 0番台 |
キハ185- 1000番台 |
キハ186 |
寸法(mm) |
L:21300×W:2943×H:3845 | ||
重量 |
39.0 t |
38.4 t |
33.7 t |
車体 |
ステンレス | ||
機関形式 出力 |
DMF13HS 250PS/1,900rpm × 2 | ||
変速機 |
TC2A 又は DF115A (変速1段・直結1段手動変速) | ||
最終減速比 |
2.613 | ||
燃料タンク容量(L) |
600×2 |
800 | |
冷房装置 | AU26×2: 14,000〜28,000kcal×2 | ||
ブレーキ方式 |
機関ブレーキ付 CLE | ||
ブレーキ装置 |
踏面両抱 | ||
台車形式 |
DT55 | ||
車輪径 |
860mm | ||
許容最高速度 |
110km/h | ||
車体構造・客室 |
2扉リクライニング | ||
出入口 |
折戸:850mm×2 | ||
乗車定員 | 60 | 64 | 56 |