すでに入浴を済ませた悠里はすでに自部屋にいた。
エレナから「一緒に映画でも見ないか」と誘われていたが、何となく身体に違和感を感じていたこともあり部屋に戻ってきたのだった。
それにしても何か身体がおかしい。
入浴を終えた辺りからなんとなくモヤモヤとした感じがしているのだ。
しかも、その感覚が次第に大きくなり、どうやら性的にムラムラとし始めてきている。
すでにペニスは痛いほどに張り詰め、エレナのことばかりが頭の中を駆け巡る。
どうにかして意識を違うところへ向けようとはしたものの、霞が掛かったようになりまともな考えすらまとまらない。
ただ性衝動だけが高まり、エレナの身体を思いっきり抱き締めたい、エレナとセックスがしたい。
気が付けばそんなことばかりを考えていた。
リビングではソファーに腰掛けケーキをついばみながら、何やら映画を見ているエレナがいた。
しかし、その映画の内容は全く頭に入ってはいなかった。
夕食の際にアップルティーに入れて悠里に飲ませた、媚薬の効き目のことばかりが気になって仕方ない。
予定では、風呂を終えた頃には効いてくるはずだった。
だが、どうしたことか全く何の兆しすらも見せていない。
入浴後も何事もなかったように彼は自室へと戻ってしまった。
それでも、『母さぁん、もう我慢できないよぉ・・・・・・』と泣きついてくるに違いないと思っていたが、すでに媚薬を摂取して三時間近くが経っているにもかかわらず、いっこうに襲ってこない。
余裕を持って待っていたけれども、実のところ内心は少し焦りが強くなり始めていた。
(・・・・・・まさか失敗したわけではあるまいな・・・・・・)
次第にネガティブな思考ばかりが浮かび始める。
確かにいつにないほど浮かれていた。
だけれども、調合を誤ってしまうことはなかったはずだ。
でも、もしかしたら間違っていたのかもしれない。
いや、結構強めに作ったのだからいまだに効果が出ないということは・・・・・・。
・・・・・・失敗したと見るのが妥当だろう。
(そんな・・・・・・このわたしが・・・・・・失敗? 最も優先すべきことで・・・・・・まさかの失敗・・・・・・)
失敗してしまってもそれはもう一度やり直せば済む。
だが今日という日はもう二度と来ない。
悠里の十六歳の誕生日は今日しかないのだ。
彼女にとっては今日がまさに勝負の日だったのた。
しばらく立ち直れそうにないほどの無力感が身も心も覆い尽くす。
とてつもない虚脱感に襲われたエレナは、ソファーの上に身を投げ出すように横たわった。
全てが煩わしくなり、不貞腐れて抜け殻のようになっていると、何やら気配を感じることに気付く。
面倒に思いながらも気配を感じた方に顔を横に向けると、すぐ側に悠里が立っていた。
「ん? どうした?」
なんだろうと思い、とりあえず声を掛けてみたものの、母の尋ねには一切反応しない。
赤みが差した虚ろな表情で、悠里はただ荒く呼吸をしているだけだ。
いつもとは明らかに異なる息子の雰囲気に違和感を感じ、エレナは身体を起こした。
次の瞬間、悠里が突然に抱き付いてきた。
不意を突かれた彼女は、あっという間にソファーに仰向けにされてしまう。
「・・・・・・悠・・・里? いったい・・・・・・どうしたんだ?」
あまりに突然のことにエレナは戸惑っていた。
彼女自身から抱きつくことは日に何度も何度もある。
しかし、息子から抱きついてくるなど、彼が中学生になって以来一度としてなかった。
「母さん・・・・・・母さぁん・・・・・・」
母の背に手を回し、艶めくブロンドの髪に顔をうずめ、ギューッと抱き締めてくる悠里。
抱きつかれているだけにもかかわらず、エレナは激しく混乱してしまっていた。
媚薬は失敗しているに違いないのに、この行動はどういうことなのだろうか。
幼子のように甘えた声で縋りつかれては何をどうしてしたら良いか分からない。
このままでは心が掻き乱されて落ち着いていられない。
ひとまず、背中を撫でさすって落ち着かせる。
そして、悠里の肩を掴んでそっと自分から引き離す。
「何があったんだ? とりあえず、落ち着いて話してみなさい」
両肩に手を掛けたまま、努めて落ち着き払った声で話しかけてみる。
悠里は何かをこらえるように、唇を噛み締め俯いていた。
相変わらず呼吸は荒く、熱があるかのように顔は赤らんでいる。
母の声に少し理性を取り戻したこともあり、打ち明けようかどうしようか躊躇していたが、拳を握り締め意を決した彼は顔を上げエレナを見据えた。
息子の見せた表情に彼女は思わず息を呑む。
頬を上気させ、目に涙を溜めた容貌は、彼女にはあまりに鮮烈すぎるものだった。
「なんだか胸が苦しくて、母さんのことばかりが頭に浮かんで・・・・・・」
そう話したところで再び俯くと、やっと聞こえる程度の呟き声で言葉を紡ぎ始める。
悠里の一挙手一投足にエレナの胸は高鳴り、ときめきを抑えられずにいた。
「母さんのことを考えると・・・・・・胸が高まって・・・・・・。は、恥ずかしいけど・・・・・・ここがこんなになっちゃうんだ・・・・・・」
そう言って立ち上がった彼のトランクスは、今にも突き破りかねないほどに起ち上がっていた。
エレナは唐突の事態に思わず目を見張る。
一枚の薄布の向こうには、今まで幾度となく想像してきた悠里のそそり立つペニスがあった。
しかも話から推測するに、その要因は彼女自身にあることに間違いない。
ということは、自分のやったことは失敗ではなかったのだろうか?
「いつから・・・・・・いつから、変になりはじめた?」
はやる気持ちを抑えながらも尋ねずにはいられない。
もはやエレナ自身も冷静にはいられなかった。
「お風呂の直後からおかしくなって・・・・・・」
それを聞き頭で理解した彼女は確信した、自分のしたことが成功していたことを。
そして、その媚薬の作用する対象――潜在的に好意を持つ相手、性的に興味を持つ相手の中で最も強い感情を持つ相手――が自分ということを。
そう、彼らはまさに相思相愛だったのだ。
「大丈夫だ。わたしが今楽にしてやるからな」
そう言って悠里の前に跪くと彼の下半身を覆う下着に手を掛けた。
布地越しにだけれども目の前に見ると、今まで想像していたモノよりも一回りほど大きいのが分かる。
それだけであまりの興奮で理性が飛びそうだ。
一度深呼吸をして興奮を落ち着かせながらも、高鳴る鼓動に急かされるようにトランクスをずり下げた。
その刹那、彼女の頬を大きく反り返ったペニスが打ちつける。
不意を突かれた彼女は、何が起きたのか一瞬理解できなかった。
だが事態を把握した途端、顔がカーッと熱くなっていくのを感じる。
打たれた頬に手を当ててみると、何やら粘つくものが手の平にべっとりとついた。
見るとぬらぬらと濡れ光る先走り液が付いていた。
それが何を意味するのかに気付いた直後、エレナの中で理性が機能を停止した。
ゆっくりと右手を伸ばし肉棒へと指を絡ませていく。
予想以上の熱さが、右手の末梢神経を通して身体の芯まで伝わってくる。
ビクビクと脈打つペニスをなだめるように、絡めた指をゆっくりと前後に動かし始める。
すでにカウパー氏線液でべっとりとしていることもあり、エレナの白く美しい手を汚していく。
軽く扱くと粘着質な音が耳に届く。
「ふわっ、はぁ――ッ、う・・・ぁ」
数回擦り上げるだけで悠里は我慢できずに声を上げてしまう。
一時間近くこらえて性的に焦らされていた悠里にとって、異性として愛する母に見られ、触られ、まして手コキされているとなれば、それだけで媚薬で高められた欲望がいっそう昂ってしまうのは当然だった。
喘ぎにも似た声に呼応するように動きを強めていくエレナ。
その瞳は情欲の色を呈し、張り詰めたペニスを見つめて離さない。
「どうだ、気持ちいいか?」
「うん・・・・・・ひんやりしてて・・・・・・すごく、気持ちイイよ」
「んふふっ、もっと気持ち良くしてやるからな」
扱くだけでは物足りなくなった彼女は、手を止めると股間へとゆっくりと顔を近づけていく。
たぎるような熱とむせ返る匂いを鼻先で感じながら先端へとキスをする。
驚いたようにビクッと震える逸物を、そのまま口へと誘い迎える。
まずは亀頭を口に含んで、転がすように舌先で嬲る。
舌に広がる苦味を味わいながら先端を一通り舐めしゃぶったところで、今度は一気に咥え込む。
舌を絡み付かせると、口腔全体で扱くように刺激する。
「あぁう・・・・・・気持ち良すぎる・・・・・・ッ!! はあぁ・・・・・・くぅぅ」
息子の反応に気を良くしたエレナは、動きを速く大きくすると口だけでなく喉までも使って責め始める。
口を窄めて吸い付きながら舌を這わせていく。
さらに頭を前後に勢い良く動かし、奥まで咥え込んだ時には喉の奥で亀頭を締め付け、舌で隅々まで嬲り回す。
頭を引いた時にはカリ首に引っ掛けるように唇をこすらせ、舌の腹で鈴口を擦り上げる。
今まで感じたことのない激しい快感が脳天を直撃し、悠里の余裕の無さを示すかのように肉棒が跳ねる。
「ひはッ!! ああぁ!! そんなにしたら・・・・・・ううっ、我慢できないよ・・・・・・ッ!!」
「じゅぷっ、ぷぢゅっ、ぐぶっ・・・・・・いいぞ、わたしの口に思う存分に出すがいい」
息子の限界の近いことを感じ取ると、今度は先端へのピンポイント攻撃へと責めをシフトさせる。
舌をチロチロと動かし鈴口を執拗に弄り回す。
舌先で尿道を突き、抉るように刺激すると、赤く腫れた亀頭が一際大きく膨らんだ。
その直後、エレナの口内へと粘液質の白濁液が一気に噴き出した。
「はあッ――ふうっうぅ、あああぁぁああぁ!!!」
自慰で果てるのとは桁違いの気持ち良さに、目の前がチカチカと明滅する。
よろけそうになる身体を支えようと、手を伸ばした先にあったエレナの頭を掴む。
そのまま身体を預けるように寄り掛かる。
すると、ペニスを一気に喉奥まで深々と挿し込む形になってしまう。
喉を突かれての口内射精に思わずむせそうになるが、エレナは一滴たりともも零すまいと嚥下する。
だが、喉に纏わり付くほどに粘っこいスペルマをすべて飲み下せるはずもない。
しかも薬の影響からか、常人にはあり得ない量の精子が次々と放出されていく。
その全てを受け止めようとするには明らかに無理があった。
そして、口内容量の限界を越えてしまい、持ちこたえられなくなり、その蠱惑的な唇からドロリとした白濁が一気にあふれでる。
口角から溢れた精液が顎を伝って滴り、エレナの胸元や腹部、太ももを汚していく。
ようやく射精が止まった時には、彼女の身体はドロドロになっていた。
「ごめん、母さん・・・・・・」
一度射精したことで少し落ち着いた悠里は、母親を精液まみれにしてしまったことに気落ちしていた。
「確かに、ここまでになるとは思わなかったな」
悠里はとりあえずしゃがみ込むと、近くにあったティッシュを取り、エレナの口元や顎を綺麗に拭ってあげる。
そのまま胸元を拭おうと手を伸ばしたところで慌てて手を引っ込めた。
彼女には、息子が何をしようとしたのかがすぐ分かったが、突如として悪戯心が湧き上がり、少しからかいたい衝動に駆られる。
「ん、どうした? 口元以外は拭ってくれないのか?」
「他のところは・・・・・・か、母さんが自分ですれば、いいじゃん・・・・・・」
大きく開いた胸元を意識しないように、そっぽを向いてティッシュ箱を渡す。
そうでないと自分を抑えらそうになかったのだ。
それに何故か恥ずかしさが込み上げてきていた。
「ふふっ、わたしの口にあれだけ出しておいて、今さら恥ずかしがる必要もないだろう?」
いつもの無表情とは一転、悠里の反応を楽しむように悪戯な笑みを浮かべていた。
さっきまでの行為を思い出すと、あまりに大胆なことをしていたことに改めて気付かされ、顔が焼け付くように熱い。
どう返していいか分からず、赤ら顔ままそ知らぬふりをするしかできなかった。
ふと正面を向くと、あと数センチという目と鼻の先に母の端正な顔があった。
「このままキスするか? お前がしたいならいいぞ」
「なッ――何を・・・・・・」
へーゼル色の瞳が真っ直ぐに悠里を見据えている。
今にも吸い込まれそうな澄んだ瞳を前にすると、自分の全てを見透かされているような錯覚さえ感じる。
「わたしはしたい、悠里と気持ちを確かめ合いたい」
その上、そんなことを臆面も無く言われては、早鐘のように心臓が脈打ってしまう。
ルージュを引いたように紅く、しっとりと潤った柔らかな唇。
そこについ先刻まで自分のモノが咥えられていた。
その唇と自分の唇が触れ、重なり合い、キスをする――そう考えるだけで無性にいやらしさを感じる。
「まあ、自分の精液の付いた唇では嫌に決まってるか」
とっくにその気になっていた悠里を余所に、エレナは不意にそう漏らした。
そんな息子の気持ちを知ってかしらずか、舌を出すと唇をひと舐めして見せる。
「お前の精液だというだけでわたしはこの上なく興奮するがな」
そう言いながら右手を胸元へ持っていくと、そこに付着していた残滓に指を絡めて掬い取る。
その手を目の前にかざし、興味深そうに眺めるエレナ。
指同士を互いにヌチャヌチャと擦り合わせて広げると、まるで白い糸が伸びるように引き伸ばされていく。
何度も何度も同じことを繰り返し、その様子をしげしげと見つめる。
「これが命の素とは、全く生命とは本当に不思議なものだ」
息子の種子液を母親が弄っているという、あまりにも現実離れした情景。
それでいながら、冷静な顔で感想を述べる母親。
行動と言説のあまりのギャップに、悠里は再び劣情に駆られていた。
とその時、エレナは突然見つめていた指を口元へやると、その精液まみれの指を舐めしゃぶり始めた。
手の平に舌を這わせ、掌紋の溝の隅々に至るまで舐め取っていく。
そのまま舌を指に絡ませると、一本一本はもちろん、指の合間に至るまで丁寧に舐め尽くす。
「ふむ、匂いも生臭くて味も濃厚で・・・・・・まさに美味だな」
執拗なまでに舐めしゃぶるその光景は、悠里には卑猥なほどに扇情的だった。
加えて、熱の篭った吐息を漏らしながら、この上ない美食を堪能したかのような言葉を発する。
早くも彼のペニスは屹立していた。
注がれる視線に気付いたエレナは、双眸で悠里を捉えると意味ありげに妖しい笑みを浮かべた。
「どうかしたのか? そんなに食い入るように見つめて」
「ど、どうもしないよ・・・・・・ただ、その・・・・・・な、なんでもないよ!!」
「自分のザーメンを舐めるわたしを見て欲情したのか? ふふふ、スケベなやつめ」
自分の精液の付着した手を舐める仕草に性的興奮を覚えたが、それを悟られたくない思いからわざと大きな声でぶっきらぼうに返した悠里だったが、エレナはさらに艶めかしく誘い掛ける。
今度は人差し指だけを口に含み、ちゅぽちゅぽとわざとらしく音を出しながら抜き差しする。
そのままゆっくりと抜いていくと、ぢゅぽんと一際大きな音を立てて引き抜いた。
人差し指と唇の間には唾液が糸を引き、それを見せ付けるように悠里の目の前に手をかざす。
「母さんッ!!」
エレナのあからさまな誘惑に辛抱堪らなくなった悠里は思い切り抱き付いた。
好きな女性にあんなことを見せつけられて何もしない男がいるわけがない。
悠里も多聞に漏れずに抱き付いた――はずだった。
確かに抱き付いたはずだったのだが、それより素早く左手一本で頭を制され、その動きを止められてしまった。
「そうあわてるな」
「えっ・・・・・・?」
「先に身体を流してくるから続きは後でな」
「そんな・・・・・・今すぐにでも、母さんとしたいのに・・・・・・」
ここまで来てお預けを食らい、今にも泣き出しそうな表情を浮かべる悠里。
キャミソールの裾を掴むと、行かないでと言いたげにぎゅっと握り締める。
「そんな顔をするな、すぐ戻ってくるから・・・・・・少しだけ、少しだけ待っててくれるね?」
そんな息子に対してエレナは、自身は昂る気持ちを極力抑え、努めて柔和な微笑みを向けて言い聞かせる。
不意に見せる母の陽だまりのような優しげな笑みに弱い悠里は、拗ねたような顔をしながらも握り締めていた拳を緩めた。
「よーし、いい子だ」
そう言って、まだ綺麗なままの左手を伸ばして頭を撫でさする。
そのまま何度か優しく撫でた後、立ち上がるとリビングを後にした。
悠里は母の後姿を追うように廊下へと視線を向け続ける。
その目は名残惜しさを隠せない色をしていたが、徐々に次への期待を膨らませていた。
「わたしの寝室で待っているんだぞ? すぐ戻るからそれまでちゃんとしているように」
と、彼女自身も後ろ髪を引かれるのかひょこっと顔だけ覗かせ、そう告げると今度こそバスルームへと向かった。
少し後にバスルームの扉が閉まる音が遠くで聞こえてきた。
その音に呼応するように悠里も立ち上がると、ひとまず後処理に取り掛かった。