あなたとふたりで ~ You are my color ~ 2「俺だって、クラレットを悦ばせたい…」 「えっ、ちょ、は、ハヤト…!?」 まるで、ドライアードの召喚術によって魅了されたかのような、 どこか心在らずなハヤトの声にクラレットは思わず目を瞬かせる。 だが、ハヤトはそんな彼女には構わず、彼女の身体を抱き寄せて、まるで子どもたちがじゃれあうかのようにベッドの上で、ハヤトはクラレットの体にむしゃぶりついた。 「ちょっ、やめて…くださいっ…くすぐったいですよっ…」 まるで人形になってしまったかのように、クラレットの身体はハヤトによって優しく愛撫される。 ハヤトは、自分の指先を彼女の手の甲に這わせたり、首もとをくすぐったりと、自分でもなぜこんなに自然と彼女の身体を慈しむことができるのか分からなかった。 こういう情事は初体験のハヤトではあるが、なぜか不思議と彼女がどうして欲しいのかが言葉にせずともなんとなく悟っていた。 むしろ先ほど彼女の過去について聞かされてしまえば、なおさらのことだった。 ただ、彼女の身体に興奮を覚えないわけではない。自分のひとつひとつの指の動きに合わせて、艶かしく吐息をつく彼女の表情は他の何よりも愛おしかった。 「あのさ、クラレット…」 「え…あ、はい…」 唐突に声をかけられて、はっとクラレットは顔を上げて彼の顔を見上げた。 先ほどの愛撫が心地よかったためか、夢中になっていた自分を恥じながらじっと彼の瞳を覗き込む。 「その……あの…」 いつもはっきりと物事を言う彼が口ごもるのは珍しい。 心なしか恥ずかしそうにクラレットの視線から逃げるように顔を背けているようにも見える。 「どうしたんですか、ハヤト。いつもの貴方らしくないですよ?」 「だから、さ……服、脱がしても、いいかな?」 つっかえつっかえ、恥ずかしそうに言葉にするハヤトに一瞬唖然となって、その直後くすくすと笑みをこぼした。 「ふふっ、そんなわざわざ、私に許しを求めなくてもいいじゃないですか。貴方と言う人は本当に……女心に疎いんですね」 本当はこんな風にわざわざ許可を求めてくるハヤトが初心で可愛らしかった。 だが「優しいんですね」というと、彼はまた照れてしまうだろう。それに、それを口にするにはクラレットも何だか照れくさかった。 「それ、じゃあ……脱がせる、ぞ?」 ハヤトの声は裏返ってしまっている。緊張しているのだろう、クラレットの衣服に手を伸ばそうとするも、 途中で引っ込めたりもどかしげに手を閉じ開きして、なかなか彼女の衣服からクラレットの肉体を曝け出そうとはしなかった。 そんな彼が可愛らしく、自分のことを考えてくれていることに嬉しさも覚えたが、少しだけもどかしくなった。 「まったくもう…。ハヤト、遠慮なんかしないでください。貴方が私のことを想ってくれているのは充分に分かりましたから。それに、あまり焦らされるのも…ちょっと恥ずかしいんですから…」 最後の言葉は掻き消えるほど小さな声で、クラレットはそう訴えた。 女性にそこまで言わせるのは、ハヤトでもそれが恥ずかしさを伴うことぐらいは理解できた。 それを悟った彼は思わず謝りそうになったが、ここで謝ってしまえば余計に彼女の羞恥を煽るだけだろうと考え、その返事として、軽く彼女の唇に自分のそれを落とした。 先ほども味わったクラレットの唇だが、改めてこうして落ち着いてみると、よく彼女の唇の感触を感じることができた。 先ほどは興奮でそれどころではなかったが、こうして押し当てるだけでも彼女の唇の柔らかさを感じることができる。 「はや……んっ……」 何かを言い募ろうとするクラレットを無視するかのように、ハヤトは啄ばむようなキスをしながら、彼女の衣服へと手を伸ばした。 腰の少し上側で巻いている布を解くには少し時間がかかったが、それでも外見よりも案外造りは簡単らしく、胸部の布の留め金をはずせば、はらりと衣服が解ける。 ハヤトはその衣服すらも器用に脱がさせて、彼女の上半身を露出させる。これで彼女の裸を守るものは純白のブラだけとなった。 それを目の辺りにしたハヤトは思わず感想をこぼしてしまった。 「クラレットって案外…着やせするタイプなんだ……」 「なっ……!」 一瞬にして、ぼっと火が灯ったかのように、クラレットの顔は真っ赤になってしまった。 ハヤトの目線の先をたどってみると、自分の二つの双丘に注がれている。 あまりクラレットの身体のことについては意識したことがなかったハヤトではあったが、目の前で窮屈そうにブラに収まっている乳房を見てしまえば、そんな感想も口から出てしまう。 彼女の乳房は年頃の少女より少しだけ大きく、質感もありそうだった。 普段はゆったりとした衣服を着るため、あまり気づかれることはない。 しかし、ハヤトは落ち着きもあり理知的な彼女が魅力的な肉体を持っているというクラレットに対するギャップが、彼をさらに興奮へと駆り立てた。 「クラレットの胸って大きいんだな…」 「や、やだっ、ハヤト! そ、そんなこと言わないでくださいっ!」 ブラの上から乳房を弄るハヤトの言葉に、ただクラレットは恥ずかしさが募るだけだった。 別にクラレットも自分の身体についてどうこう思っているわけではなかったが、こう改めて自分の身体を観察され、触れられると、何も考えられなくなってしまう。 だがそれでも、自身の身体に欲情してくれることは嬉しく思い、クラレットは自分からブラのホックを外し、そのままの乳房をさらけ出した。 「わ、私の胸を…は、ハヤトの…好きなようにしてくださっていいんです、よ…? 滅茶苦茶にしてくれても、いい、んです…」 そう宣言して、一瞬だけクラレットの脳裏に過去の陵辱が浮かんだ。しかし、と思い彼女は首を振った。 この人になら、どうにされてもいい。この人は私のことを愛してくれる。クラレットという一人の女の子として彼は愛してくれる。なら、何も迷う必要はなかった。 クラレットという個人を必要としてくれるのなら。彼女は、何もかも彼に差し出す気でいた。 気が狂っているのかもしれない。だが、それでも、その気持ちに変わりはなかった。 「クラレット……」 だがそんなクラレットの言葉に、ハヤトは微笑むだけで、先ほどと同じような愛撫を繰り返すだけだった。 もちろん、言うとおり今にも彼女の身体を滅茶苦茶にしたかった。 けれど、そんなことをしたら、無色の派閥の連中と何も変わりはしないのではないか、そういう疑問が彼の頭をよぎったのだ。 しかし、クラレットはそんなハヤトの気持ちを悟ったのか、頬を赤らめながら潤んだ瞳で彼の瞳の奥を覗き込んだ。 「私を気遣ってくれるその優しさ、とても嬉しいです。ですが…私は、、貴方にとっての『たった一人の女の子』になりたいんです。だから、私は貴方に犯されたい。身体も心も、すべて貴方のものになりたい…」 そこまで言うと、彼女はハヤトの頬に手を添えて唇を重ね合わせた。 深く舌を相手の口内に潜り込ませて、まるで相手の舌を味わうかのように何度も何度も絡ませあう。 しばらくして、唇を離すと二人の間には銀色に光る唾液の橋が出来上がっていた。 「分かった、クラレット。だけど、嫌になったら何時でも言っても良いからな? 無理だけはして欲しくないんだ、俺…君のことが大切だから」 そう言うと、ハヤトは彼女の乳房を鷲?みし、優しく揉みしだいていく。 「やっ…んんぅっ…、は、ハヤトぉ…っ!」 一際、クラレットは甲高い嬌声を上げ彼の名を口にした。 それを嬉しく思ったのか、さらにこね回すように、豊かに形を変える乳房を揉みその頂きに唇を寄せる。 その頂点は鮮やかな色を持ちながらも、淫靡に硬く尖っており、ハヤトはそのまま吸い付いた。 「あ、はっ…、は、や…っ、んぅ、あ、んんっ…!!」 ピリッとした快感に、思わず目を見開いてしまう。だが、ハヤトの乳房を責める手の勢いは止まらず、むしろ徐々にその手つきが大胆になっていった。指と指の間からは乳肉がはみ出て、それが彼女に卑猥さをもたらしていく。 「クラレット、可愛いよ……」 「はぁぁ…え、はや……んぁあああっ!」 ハヤトは乳房だけでなく、ぴんっと自己主張している突起に舌を這わせて再度吸い付いた。 今度は口内に含んだ突起に舌を這わせて、舌先で嬲り、唾液に塗れさせる。 それだけに飽き足らず、まるで赤子のように母乳を求めるかのように強く音を立てて吸っていく。 「や、やだっ…は、はひゃと…、音を立てないでください、ぃっ…!」 その拒絶の言葉が心からのものではないことぐらいは、ハヤトも悟ることができる。 その証拠に、口に含んでいるここはもっとしてと言わんばかりに、自己主張を止めることがない。 ハヤトはこんなにもクラレットが喘いでくれることが嬉かった。 今、彼女は自分だけを見ていてくれている。たとえ、どんなに過去が凄惨なものであったとしても、今、この瞬間だけはそれを忘れていてくれる。 だからハヤトは少しでも彼女が過去を忘れてくれるように、彼女に快楽を与えようとした。 それに、と彼は思う。 たとえ、彼女の過去がどうであれ、それがどうしたと思う。 もちろん、それに対する怒りはあるが、だからといってクラレットという女の子を嫌いになったわけでもない。 クラレットはクラレットだ。無色の派閥の召喚師でもなく、魔王の器でもなく、ハヤトが大切にしたい、たった一人の女の子なのだ。 なぜ、普通の女の子にそんな過酷な運命が背負われたのだろう。 それを思うとハヤトは悔しくてたまらなかった。だが、それでも今、彼女はそれを忘れてくれている。 「や、はぁっ…! はやとぉっ…怖い、怖いです…っ、どこかに、飛んでいきそう、で…っ!」 「大丈夫…俺が君の傍にいるからっ…!」 「ひっ、ぁあああぁっ、は、やとぉ…っ!!」 そう言うと彼は吸っていた彼女の乳首を軽く噛んだ。 電撃にも似た快楽が一瞬にしてクラレットの身体全身を駆け抜けて、彼女は軽く達してしまった。 「はぁ、ん、はぁ…はやと…」 達した余韻からか、彼女の声はますます艶を含んだものになっていた。 ハヤトはまた彼女に襲いかかりたい衝動に駆られるがそこは殆ど蕩けかけていた理性で押さえつけて、代わりに彼女の髪を指先ですいた。 「……それじゃあ、今度は私が、して差し上げますね?」 なんとか絶頂の余韻から回復したクラレットは恥ずかしさを堪えた様な表情で、目を伏せながらも、ハヤトの身体に自分の身を寄せて指先を彼の胸から腹部、そして腿と這わせて、股間の辺りまで伸ばしてきた。 これにはさすがに面食らい、ハヤトは驚いたようにクラレットの手が伸びている先と、彼女の顔を見比べる。 「え、あ、あの、く、クラレット…!?」 「な、なんですかっ…わ、私を淫らな女だと思ってるんですか!?」 ハヤトの戸惑いにキッと視線を鋭くさせて、涙目になりながら憤るクラレットに彼は慌てて首を横に振った。 「ち、違うよっ! その、は、恥ずかしいんだけど…」 「さんざん、私の…わ、わたしの、む、胸を! その……あ、あんなにイジめてたのは、は、ハヤトでしょう!? わ、私だって恥ずかしかったんですから!」 そう無理やり会話を打ち切ると、クラレットはハヤトのズボンのベルトを外し、彼のズボンを引き下げた。 ハヤトは女性にズボンを脱がされる経験なんてあるわけがない。慣れてない状況に、思わず恥ずかしさで顔を背けてしまった。 しかし、身体は正直というべきか、彼の下着は既に盛り上がりを見せており、彼のズボンを剥いたクラレットでさえも予想していなかったかのように頬を紅潮させる。 「…クラレット…?」 「こ、コホンっ! ちょ、ちょっと驚いただけですっ。いいですから、じっとしててください!」 羞恥を誤魔化すためだろうか、咳払いし彼女は少し早口でそう言うと、トランクスの隙間から彼の欲望を手にして取り出した。 それを目にしたクラレットは思わず息を漏らしてしまう。 彼のモノは猛々しく、物欲しそうに震えていた。過去に男性器をさんざん見せ付けられ、嫌悪感さえ抱いていた彼女だったが、なぜかハヤトのそれは可愛らしく見えた。 先ほどの愛撫でハヤト自身も興奮してくれた、そう思うと嬉しくて、もっと彼を悦ばせたいという気持ちに駆られる。 「それじゃあ…、今、気持ちよくさせてあげますから、ね…」 まるで自分に言い聞かせるようにそう呟くと、彼の肉棒を手に添えながら赤々とした綺麗な舌先をちろっと先端に滑らせた。 「―――くぁ…っ!」 それだけでも、ハヤトにとっては新鮮な感触であり、思わず射精しそうになった。 が、もっと快楽を味わいたいという欲望からか、それを抑制するだけの理性を働かせてぐっと堪えていた。 本能のために理性を働かすというのもおかしいな。 そう言葉にして思ったわけではないが、自分の貪欲な性欲求にハヤトは苦笑する。 「ふふっ、私に任せておいてくださいね…んっ…ちゅっ…」 一方のクラレットも、頂点から竿、袋へと舌を這わせて、ねっとりと舐めあげる。 過去の経験でどこを攻めたら男性は喜ぶのか、それぐらいのことは既知している。 今まで忌み嫌っていた過去がこんなところで役立つなんて。 馬鹿馬鹿しいとは思いながらも、ハヤトを悦ばせるためなら、過去なんてもう気にしてられない。 そう思い始めていた。 舌は竿全体を嘗め回したあと、再び肉棒の頂点まで戻ってきた。 そして少しだけ間があったあと、彼女はくぷっと口の中にそれを咥え込んでしまった。 「んっ…んぐっ……はむゅ…、んちゅっ…ちゅぶっ…」 「え、あっ、クラレ…!」 こういう行為は知識としてはあるものの、実際にされると巨大な興奮がかすかに残っている理性を蕩けさせてしまう。 何よりハヤトにとって、クラレットが自分のためにこんな淫らなことをしてくれていることが、悦びでもあり、欲情を煽る一因ともなっていた。 「きもひひいれすか…? はひゃと……」 肉棒を口内に含んだまま頬を赤く染めて、喋る彼女は何者よりも可愛らしくて、それでいて淫靡だった。 このとき初めてハヤトのなかで、独占欲というものが強まる。 彼女を穢した奴らを殴り飛ばしたい。たしかにそう口にしたが、その心は殺意を伴うものへとなっていた。 もし、目の前にいたのなら、その人間が何者であろうと、その言葉通り実行していただろう。 もう誰であっても彼女を傷つけさせるつもりはない。彼女は自分だけのものだ。 その思いが強まったとき、とうとうハヤトは我慢ができなくなり、彼女の喉奥まで欲望を突き入れた。 「んぐっっ!? ふぅううっんん…!! ふぁ、ふぁひゃ…んうっ…!」 勿論、その唐突なハヤトの行動に息苦しさを覚え、思わずクラレットは涙目になるが、彼のものから口を離そうとはせず、 むしろ、より彼の快感を高めようとして舌をそれに絡めて行く。 「もう、ダメ…だ! クラレット、顔、離して!」 そのためか、快感を高められていくハヤトはすぐに限界を向かえ、彼女に顔を離すよう促す。 しかし、クラレットはそれに聞かず、逆に奥まで彼のものを咥え込んでしまった。 「く、くられ…っと…ぁ、ああっ、ダメだ―――っ! で、出る――っ!!」 ハヤトは彼女の顔を剥がそうとするも、間に合わず次の瞬間、熱い欲望の塊を勢いよく彼女の口内へと吐き出した。 クラレットはぎゅっと瞳を瞑り、ごくごくっと喉を鳴らせてその白濁液を飲み込んでいった。 全ては飲み込み切れなかったのか口の両端からつっと白い筋を零したまま、彼女は潤んだ瞳でハヤトの顔を見上げる。 「これが、ハヤトの……何だか不思議です。今まではただ苦くて嫌悪していたものなのに……全然、そんなことがない…」 「クラレット、そんな無理しなくてもよかったのに…」 陶然とした表情を浮かべて、口元から零れる液を拭い取って唇に含むクラレットの様子を見て、興奮も覚えたハヤトではあったが途中から強引に行き過ぎてしまったことを心配して、彼女にそう言った。 だが、微笑み、クラレットは首を横に振った。 「いいえ、無理なんかしてません…。あなたが悦んでくれる事が、気持ちよくなってくれることが、私は嬉しいんです。だから、気にしないで……」 照れたようなはにかんだ笑みを見せた彼女は、その証拠に、と言わんばかりにぎゅっと彼の身体を抱きしめた。 つづく 前へ | 目次 | 次へ |
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