シンゲン×フェア 1



「…さて、どうしたもんですかねぇ」
窓に満月光る静かな店内で、シンゲンは呟く。
彼の目線の先には、テーブルに突っ伏して眠るフェアがいた。
過酷な戦いの日々も終わり、彼女の店は以前と比べ物にならないほど忙しくなった。
この時間は料理を食べに来る客が居ないとはいえ
以前のフェアならば店で居眠りなんてしないはずだったのに、最近は時々こういう事がある。
まあ、今日の後片付け及び明日の仕込みを完璧に終えているあたりは、フェアらしいのだが。
「お疲れなんですね、御主人」
そう言ってシンゲンはフェアの髪を撫でる。
白いうなじ。息をするたび微かに揺れる細い肩。
フェアの無防備で少女らしい色気に、シンゲンの理性がグラリと揺らぐ。
…が、そこは我慢してシンゲンはフェアを起こす事にした。

「ごしゅじ~ん。こんな所で寝てたら風邪ひきますよー。眼鏡ザムライに襲われちゃいますよー」
瞬間、ガバッと起き上がる女店主。
「…今なんかすっごい寒気がしたんだけど…」
シンゲンは笑いながら
「ホラホラ、早く御自分の部屋でお休みなさい」
とフェアを促す。
普段なら、ここで二人の会話は終わり。
フェアは眠い目をこすりながら自室に行き、またいつも通りの朝がやってくる…はずだった。
しかし、そこに奇跡が起きた。
フェアの方からシンゲンに寄りかかってきたのだ。
フェアに対し猛烈アプローチを繰り返してきたシンゲンだが、
ようやくフェアも彼を受け入れる準備が出来たのかもしれない。
シンゲンは年甲斐もなく胸を高鳴らせ、そっとフェアの顔に触れる。
さぁ、いざ口付けを…しようとして気付く。
熱い。いくらなんでもフェアの体温は熱すぎだ。
「…御主人?もしかして本当に風邪引いて熱があるんじゃ…」
フェアは虚ろな目をしている。
「…そう…なの?わたし今まで頑丈だったから、そういうのなった事なくて…分かんな…い…」
言うやいなや、またバランスを崩すフェア。
シンゲンはフェアを受けとめ、すぐさま抱きかかえた。
さっきまで朦朧としていたはずのフェアだったが、
予想外の出来事に驚き、真っ赤な顔を更に赤くして暴れだす。
「ちょっとシンゲン!やめてよ!わたし一人で行け…」
「そういう台詞は完璧に歩けるようになってから言いなさい!」
シンゲンの声が静かな一階に響く。
思ったよりきつい口調で怒ってしまった。
シンゲンは、ふと我に返りフェアに目をやる。
フェアはシンゲンから目をそらし、口を開いた。


つづく

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