春よ、来い



『忙しいところ申し訳ありませんが…ご一緒していただきたい所があるのです』
オウ亭における敗退、君主劉備の病気…今、蜀の政局は混乱を極めていたが、丞相である諸葛亮はどうしても趙雲に一緒に出かけて欲しい所があるから休みを取って欲しいと頼まれた。
従者もごく僅か。目的地が近づくと、その共の者も宿屋で待機するように諸葛亮は命じ、目的地には諸葛亮と趙雲、二人での道乗りだった。目的地は、小高い丘の上だという。


「孔明殿…一体何があるのでしょうか?」
林の中、並べて馬を操るもっともな趙雲の質問に、諸葛亮は旅に出てから、初めて趙雲の方を向いた。
「公に…公表する前に、まず、子龍殿…貴方に…ご報告しておきたいと…思いまして」
「私に…ですか?」
「ええ。それが…あの方の…望みだと、私は思うのです」


視界が明るくなり、目的地に辿りついた。
その先で…二人が見たものは…。



質素な…墓、だった。



それが…誰のものであるかは、趙雲は、諸葛亮に言われなくても十分検討がついた。


「何もかも事が終わってから連絡するようにとの遺言であったようで…私の元に報告があった時には、もう埋葬まですまされていました」
関羽が呉の裏切りにより死亡し、それに怒った君主、劉備は、趙雲の諌めも耳に貸さず、敵討ちとばかりに呉に戦いを挑んだ。
その時、墓の主は体を患っており、その戦いには参加してはいなかった。出陣前に、趙雲は彼を見舞っている。
『こんな俺の分も…子龍、お前は殿のお傍にいてくれ。そして…生きて、戻って来い』



約束は果たしたのに…
肝心の貴方が…この世から姿を消したとは…。


「…貴方は…今まで…一度も…約束を破った事はありませんでしたのに……」





孟起。





初めて趙雲の口から墓の主の名前が紡ぎ出された。
「これを…子龍殿へと…馬岱殿よりお預かりしております」
それは彼ががいつも持っていた短剣。
趙雲は諸葛亮より受け取った剣をしばらく見つめていたが、そっと、墓の上に置いた。
「…これは…彼にお返しします。…私は…あの人に、すばらしいものを…頂いていますから」



あの人との…想い出を。


彼の…真心を。



趙雲子龍が病気により彼の元に旅立ったのはそれから七年後の事であった。












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話の流れ(馬超や趙雲がが亡くなった時期) としては正史や演義に基づいていますが、キャラの年齢は無双設定という都合のいい設定です(汗)因みに諸葛亮が馬超の墓に立ち寄ったという話も演義の中にちゃんとあるそうです。(北伐の際、馬超の墓に立ち寄ったと記されているとか。まだこの辺りは演義で読んでないので自分では未確認です。すみません)


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