朋友

あの子が、曹操さんの息子の曹丕さん?最近三成と仲良くしてる…ってきいたけど」
会うなり私にそう尋ねてきたのは…直接上司…いや、今は「元直接上司」と言う方が正しいか…の正室のねね様。
「仲良く…そう見えますか?」
私が不思議そうに訪ねると、ねね様は相変わらずだね。とくすくす笑った。
「三成は頭はいい。うちの人と比べると冷静だし、顔もいいよね。…でも、不器用。人と付き合うのは苦手だよね。私もうちの人も、それをすごく心配してたんだよ」
「…はぁ」
「でも、左近や、幸村、兼続と出会って、三成はだいぶ変わったよね。そうだね。硬い雪が少しづつ解けて、春になっていくような感じかな。…そんな途中に、曹丕さんと会った。あの子も、三成と似てるね。頭はいいけど、色んな意味で不器用」
曹丕を不器用…そんなこというのはねね様くらいですね…
「今回の事も…ちょっとまわりくどいことしてるから気づかない人にはまったく気づかない。…でも、三成は気づいてた。あの子の、したいことを。望みを。…たぶん、今までなら、気づいてても、それだけだったかもしれない。でも、三成は手を貸した。…すくなくとも、同じ思いが三成にもあったんでしょ?何とかしたい、そう思ったからでしょ?」

『魏の復興を。そして…民の…泣かぬ道を』

あいつは、いつか、そう呟いていた。
民の泣かぬ道。
言葉のたとえは違っても、それはみんなが笑って暮らせる世の中の事。

望みが同じなのなら…。
しかし…望みをかなえたとしても、当の本人はどうなのだろうか。

あの覇道の壁である父 曹孟徳。
超えがいのある壁だとはいっていたが、たとえ超えたとしても、あいつ自身はは本当に心から穏やかに笑えることができるのだろうか…?

ふと、考えに入ってしまった私の頭をねね様はぽん、と撫でた。
「友達にもいろんな種類がある。私は曹丕さんは三成にとっていい友達になると思うよ。同僚でも、部下でも、上司でもなく、『友達』にね」
ま、がんばりなよ、そういってねね様は去っていった。
同僚でも、部下でも、上司でもない。

友達…か。

まぁ、悪くない…響きだ。な。




三成視点で、ねねからいろいろと曹丕について話されるシーンを書いてみたくて突発的に書いたものです。戦国無双2に関しては全部クリアしてるわけじゃないので、いろいろと書いてるところがおかしい…かもしれません。「朋友」は「友達、友人」という意味です。


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