新枕(にいまくら)




「よろしいんですの?今は勉学のお時間…皆様が探されているのでは…?我が君」
「…今日だけだ」
花仙と言われても信じそうな程の美しい女性。彼女に「我が君」と呼ばれたのは…まだまだ幼さが残る少年であった。
彼の名前は曹丕。字は子桓という。この若さにして魏の皇帝である。
昨年、父である先帝が病により急死した。
長子が後を継ぐ、というのがこの国の慣習であった。実際には兄が上に二人いたのだが、早世している為、現在の実質的な長子は曹丕。子供ではあるが彼の元に皇帝の位がやってきたのである。
曹丕が皇帝の位についたと同時に、後宮も新しく新帝の為に作りかえられた。
…とはいってもまだまだ子供といってもいい帝である。暫くは形のみの後宮であるだろうと思われていた。
『初めてお目にかかります。陛下。甄逸の娘、甄姫と申します』
彼女が来るまでは。


「甄の言いたいことは分かっている…勉学を疎かにするのは…良くないと言いたいのだろう?でも…今日は…一日甄の傍にいたくて」
甄姫に膝枕をしてもらい、横たわっている曹丕。
一見では姉と弟か、はたまた親子か…と思われるような二人ではあるが、正真正銘、夫と妻の間柄である。
どうやら曹丕は彼女の事をそうとう気に入ったらしく、頻繁に彼女の元に出入りしている。
とはいっても、話し相手をしたり、一緒に楽に興じたり、時には甄姫が勉学の相手をしたり…などといったような事ではあるが。
「いつも、私は我が君のお傍についておりますが?」
「…そういう…意味ではない」
自分の言いたい事が伝わらなかった事に少し苛立ったのか、曹丕は少し甄姫から目線を逸らした。
「今日は…甄の誕生日だと聞いた。だから…」
意外な言葉に甄姫は驚いたが、すぐに笑みに変わった。
「…まぁ…覚えていてくださったんですか」
自分の太腿にかかった曹丕の絹のような髪を撫で、丸みの帯びた頬に口付ける。
「甄は幸せものでございますわ。我が君に…覚えてていただけるなどと」
「そなたは…何が欲しい?誕生日の贈り物をしたいのだが…」
「まぁ…暖かいお言葉、ありがとうございます。私は我が君の傍にいるだけで十分でございます」
その言葉を聞いた曹丕はがばっと飛び起きた。
「それでは、私の気がすまぬのだ!何か、あるだろう?宝玉だとか…美しい衣装だとか!」
曹丕の必死な顔を見て甄姫は暫く考えてにこり、と笑った。
「…そこまで仰られるのなら、我が君、私の欲しいものを…お話いたしますわ」
艶やかな唇を曹丕の耳元に近づけ、そっと囁く。


「私の欲しいものは…我が君、貴方です」




「……私は…その…そのような…事は…した事が…ない…のだが」
甄姫の言いたいことが分かったのか、曹丕は顔を真っ赤にして年上の妻を見やる。
「ご安心なさいませ…私にお任せ下さればよいのです…全て…教えてさし上げますわ」


そう。私にお任せくだされば
貴方を素敵な殿方にしてさし上げます。

愛していますわ。我が君…



とあるサイトさんでの絵チャで出た宿題「嫁×子供曹丕」として書いたものです。絵では書きづらかったので小説にさせてもらいました。設定はほぼオリジナルです。
今の感覚だとやばいでしょうが…色々と昔の事書いた本とか読むとこういうのは割と普通なようですね。


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