気に入らなかった。
何が?
あの人の傍にいたあいつが?
それとも
私以外のものを傍においていたあの人が?
再 会
「どうした。仲達」
いつの間にか、近くに来ていた曹丕殿が私に声をかける。
今日は一人のようである。
「お一人とは…珍しいですね」
少し、皮肉交じりに言葉をかえす。
最近は、いつも、あいつと一緒だったから。
「三成の事か?今日は客人が来ていてそちらへ行っている」
「仲が…およろしいようで」
「そう見えるか?」
何だろう。
この感情は。
にっ、と口だけに笑みを浮かべて、私の耳元に口を寄せる。
「そんなに…気に入らないか?私の傍に三成がいるのが」
「ご冗談を。人を傍に置くなど珍しい…と思っただけです」
冷静に。
冷静に。
この方は私をからかっているだけだ。そうなのだ。
「仲達、お前もその珍しい人間の一人であろう」
「それは…」
「父に言われたから?そうではないだろう。お前は、父…曹操の命だけでは私の傍にはいまい…それは お前の意志だ」
父君についていろと言われたから、と言おうとした私をさえぎるように言葉を紡ぐ。
「そして、私も、父に言われらからそなたを傍に置いた訳ではない。…切っ掛けは父の言葉であれど、 あくまでそれを続けたのは私の意志だ」
こんなに饒舌な彼も珍しい。
「お前が、私の傍を去りたいなら、止めはせぬ。だが、お前とって、それは利益にはならぬ…と思うが?」
耳元から口を離すと、彼の黒髪がするり、と流れた。
「…相変わらず、ですね。あなたは」
「その言葉、そのままそっくり返そう」
諸葛亮と共に智謀を振るうのも悪くはなかったが
私には、やはり、こちらの方が居心地がよいようだ。
私も、変わったものだ…
終
高月棗さんのリクエストのイッヒでクールないちゃいちゃ、とリクエストで書いたのですが…
どこがクール?おまけにかなーり長い間お待たせした割には…ううう。
一応、私は自分の意思でお前を傍に置いていたのだ、というのは愛の告白のつもりなんですけど…それらしく聞こえない。ごめんなさいー