夢幻-ゆめまぼろし-



夜に聞こえた笛の音色。
普段は特に気にも留めぬものなのに…
今日の音色は心惹かれた。
何故か、笛の音色が、自分を呼んでいるような感じがしたから。
誰が吹いているのだろうかと、宮殿を歩いていると…

そこにいたのは…我が主、だった。

「子桓様……」
私の気配に気づいたのか、主は笛を吹くのを止めた。
「仲達…どうした。こんな時間まで職務か?…ご苦労だな」
月明かりに照らされた主は、この世の者とは思えないような雰囲気で…近づくのが躊躇われた。
「笛の…音が…しましたので。気になりまして…」
自分でも主の質問に見当はずれな答えをしている、と一瞬思ったが、口に出たのはこの言葉だった。
「『音楽は言葉にならなかった言葉』とはある者の言葉だ。…仲達、そなたは笛の音が気になってこちらに来た…と言った。…私の…言葉にならない言葉を感じたか?」
私が歩みよらないからか…主は自分から私の方へ歩み寄ってくる。そして、私の髪にそっと触れる。
自惚れていいのだろうか。
主は、私を想って…奏でていたのだと。
思っても…いいのだろうか?

「…あなたの…恋情を…笛の…音色に…感じました」

月明かりの中、一つになる影。

その先は…月のみぞ知る。



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「Ich FESTA 2005」に寄稿した司馬懿×曹丕小説です。
「微エロ妄想さんに50のお題」で司馬懿×曹丕を書(描)こうという企画でした。私が書いたのは『恋情』というお題です。
ハマったジャンルで、必ず一回(以上)は書く音楽ネタ。
今まで書いたものは現代ものなので、楽器は全てピアノだったのですが、流石に、三国志でピアノは使えないので(パラレルなら使えたでしょうが…)笛にしました。
曹丕って楽器もうまそう。楽器の弾ける男性って理想です。

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