――「まだこれからだよ。」耳朶をかじるように、水川が囁いた。
余韻の冷めやらぬ身体は、耳元の囁きだけで十分に震えた。
水川は、くるりと土田の向きを変え、萎えた部分に口を付けた。
放たれた飛沫を丁寧に舐め取るように舌を動かしてゆく。
土田は堪らず水川の肩を掴み剥がそうと抵抗した。
「何を遠慮しているのかい？　僕は君の陶酔する姿を見たいだけなんだから。」
「だが......」
会話を交わす間も内腿を弄る手の動きは止まらない。
「それとも、自分だけが一方的に達かされるのが嫌なのかい？　それなら、僕も後で気持ちよくさせてもらうから気にしなくていいよ。」
土田は達されるどうこうよりも、水川がそれだけで満足できるのかと気がかりだったが、硬くなりはじめた場所の裏筋を指でなぞられると、気を使う余裕も薄れてきた。
水川が土田の昂ぶったものを含み、舌先で先端を刺激すると甘い嬌声が漏れた。
更に喉の奥まで深く呑み込んだり、歯をあてがい甘噛みして、快楽へと導いてゆく。
限界の近さを悟って水川が執拗に吸い上げると、土田は仰け反って熱い飛沫を放った。
水川はそれを呑み下しながら、掌で胸や下腹へと愛撫を続けた。


何度か達し、土田は朦朧とした目で天井を見ていた。正確には宙かもしれない。
上気して熱を帯びた身体が、汗と唾液でしっとりと濡れ、虚ろな瞳と合わさって水川を自然と誘う。
そんな様子の土田に、うっとりとした眼差しを注ぎながら、自らの着物を脱いでようやく肌を合わせた。
土田の早鐘を打つ心臓の音が、水川の耳に心地よく響いてくる。
水川はおもむろに胸の突起に舌を這わせ、指で擦って口に含み吸い上げた。
「......うっぁっ...」
土田の呼吸が再び乱れ震える。
胸から腹、そして下肢へと紅い痕を付けながら、水川は土田を追い詰めてゆく。
土田の肌の感触に浸り自身をも高めながら。
目を閉じて仰向けで横たわり快楽に酔い始めている土田の膝を曲げ、双丘の間を舌で丹念に舐めまわしてから、指を挿れた。
「...ンあっ...」
くまなく指を滑らせてから、身体の奥の感じやすい所を指と舌で弄って解す。
何度も達していた為か、すぐに解れ、浮いた腰が水川を誘う。
水川は指を抜き出し、熱を帯びた自身を宛がい、ゆっくりと貫いた。
土田が声にならない声を上げ、激しく仰け反った。
吸い付くように締め付けられ、鮮烈な快感が水川を襲う。
殆ど先端だけを含ませるまでにゆっくりと引き抜いては、一気に貫いて奥を揺する。
徐々に激しく律動を繰り返し、敏感な襞を擦り突き上げると、土田の呻きだったものが、喘ぎに変わり艶やかな声を発した。
「......かなっ...あっ...はぁっ...」
（？）
水川は角度を変えて最も敏感な所を突き上げながら、反応している土田自身にも掌で鋭く甘い刺激を与え、絶頂へと追い上げた。
二人の背を甘い疼きが駆け上がり、同時に熱い飛沫を放つ。
「...かなっ...めっ...」
「うっ......あぁっ」
（確か要と言わなかったか？）


土田は気を失ったのか、眠ってしまったのか、微動だにしない。
水川は隣に寄り添うように寝そべって、余韻を楽しんでいた。
（酔えたみたいでよかった。やっぱり要君が好きなんだね。）
いつの間にか、明け方のうっすらとした優しい光が、窓から差し込み、傷を癒すかのよう包み込んでいた。

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「薔薇でほろ酔いシリーズ」第５弾、水×土の続きです。
徹底的にやってしまいました。（汗）
土田を滅茶苦茶にすることができたので、私は満足です。（おいおいっ）
おかげで、水川先生はいいだけ遊んでいますが、フィクションですから。
≪2003/06/12≫