第12章
白夜は南西の方へ向かっていた。
「あ〜あ、めんどくさ。」
白夜がつぶやいた。白夜の欠点。それは気分屋である事である。どんなに重大なときでも、気分が乗らないときは・・・。
白夜は川原を見つけると、手頃な大きさの石を見つけると、それを枕にして寝っ転がった。「寝るか・・・。」
こいつは自分のサブをなんだと思っているのだろうか。
と、その時、白夜はある重大な事に気づいた。
「やべっ、そういやあいつらに、クレバスの外見伝えてなかった・・・。まいっか。」
また白夜は寝始めた。
そうして10分ほどたっただろうか。突然、
「ピッ・ピッ・ピッ・・・」
白夜の携帯が警告音を発した。白夜は跳ね起きた。
「あ〜あ、あんまりやる気ないんだけどなぁ・・・。」
白夜が茂みに身を隠すと、向こうからシーフを巻いた背の高い男がやってきた。どうやらブラックの一味のようだ。白夜は目を閉じた。
すると徐々に白夜の額に、雪の結晶の形をした紋章が浮かび上がってきた。
ブラックが白夜の間合いに近づいてくる。あと5歩・・・。あと3歩・・・。
ブラックが白夜の間合いに足を踏み込んだその時、
「氷翔網!」
ブラックの四方が氷で囲まれた。いわば氷で出来た壁が作られた。その中にはもちろん白夜とブラックだけが残っている。
「さて、始めようか、ブラックさんよ。やっきねぇから、すぐ終わらせてやるよ。」
「ふっ、おもしろい。やってみろ。俺はそこらの雑魚とは違うぞ!ブラック直属の26審将の一人、B/yだ。お前の属性は氷だな。ちょうどいい。お前とは気が合いそうだ。」
敵のブラックはそういうと、猛然とつっこんできた。
「Fire bullets!」
炎のかたまりが、炸裂弾でも撃ったように無数に飛んできた。
「粒晶壁!」
白夜が叫び、地面に手を付くと、白夜の前に氷の壁があられた。そして炎の弾を防いでいく。壁はどんどん溶けていくが、最後の一発まで、なんとかくい止めた。そして壁は崩れた。
「命拾いしたなぁ。あと一発多ければ完全に入ってたぜ。」
白夜は含み笑いをした。
「お前何言ってんだ?あと一発多けりゃ、壁をもう3p厚くしたよ。ついでにB/yかよ。いきがってもビリから2番目じゃねぇか。」
「何ッ!」
そう。白夜は完全に相手の攻撃量を見切ってそれにちょうど無駄なく、防御壁を作ったのだ。
「フッ。そうか。ならばこれで終わりにしよう!Blue fire!」
真っ青な炎が一直線に白夜に向かって襲いかかってきた。長さは5mくらいあるだろうか。先ほどの炎より比べものにならないほど高温な事は言うまでもない。
「粒晶壁・改!」
さっきとさほど変わらないような氷の壁が現れた。だが今回の壁は自分で形を変えていく。変化した形は、その青い炎と似たような形だが、少し大きかった。
「フッ、そんなもので防ぎきれると思っているのかぁ!」
「終わったな。」
白夜がそういうと、あの青い炎が氷の中に飲み込まれていった。そして赤く色が変わったかと思うと消えていった。
あとに残ったのは、空中から落ちてくる氷のかけらが2〜3片だった。
「チッ。少し多かったか。まだまだだな・・・。」
「・・・なぜ?」
「冥土のみやげに覚えとけ。炎は酸素がないと燃えないんだよ。」
白夜はあの炎の周りを氷で囲み、その中で炎を消してしまったのだ。青い炎だ。消費する酸素の量は、半端なく早い。
「See you。氷雪崩。」
そういうと、四方を囲んでいた氷の壁が一斉にブラックの方へなだれ込んだ。
もの凄い轟音が辺りに響いた。やがて音が収まると、そこには氷付けになったB/yの姿があった。
「シーフは加熱には強いが、冷却には少し弱いんだな。変温動物みたいに。ん?ちょっと違うか?」
そういうと、白夜は頭の部分の氷を砕いて、シーフを取り外した。闘いは終わった。
そしてその後、また白夜は昼寝を始めた。