第15章
赤と白のすじが走った。閃光のようにかたまりになって飛び込んできた二つの影。それは二つに割れた。赤い光は青星の方へ、白い光はB/hの方へ向かっていた。
「なっ、なんだ?」
不意打ちを食らったB/hは迫ってくる白い光に身構えた。
その時、身構え、側にいたティアラが、ふと赤い光の方へと駆けだした。
「フレア!」
青星はようやく気づいた。赤い光の正体、それはフレアだった。ティアラとフレアが顔を寄せ合った。
洞窟で、突然牢に閉じこめられた衝撃で、フレアはパニックを起こした。赤影から助けたと分かった瞬間、気を失っている赤影のことも忘れ、大急ぎで外へ飛び出したのだった。
「と言うことは、あれがもしかして・・・。」
B/hに身構えられ、突っ込んでいこうとした白い光は一度間合いを取るように止まった。
「クレバス!」
クレバスは全身が細いトゲで包まれ、トゲが擦れ合ってかしゃかしゃと独特の音を奏でていた。オオカミのような姿形で、全身が透き通った、透明と言ってもいいくらいの白色をしていた。表情をあまり変えず、静かにB/hとの間合いを取っている。
「まずいわね・・・、たかがサブ一匹にあんな強いヤツまかせきれない・・・。やっぱりここは時間との勝負。Running river!」
そういうと、青星は右手を差し出した。右手から放たれた水は思いっきり赤影の顔に直撃した。
「いってぇ・・・冷たッ!」
「赤影!よく聞きなさい、時間がないから!」
「あっ、青星。どうしてここに?」
「話は後、アンタは私のティアラとフレアを守ってて!そこら辺にいるブラックを適当に倒しながら!命令は絶対!いいわね!」
「お・おう・・・。」
赤影はわけが分からずも青星の気迫に圧倒され、二の句も告げないままフレア、ティアラを自分の後ろへ守りつつ、
「Flying fire!(飛び火)」
向かってくるブラックのシーフを着実に燃やしていた。
「さて、」
青星はクレバスの方へ駆けだした。
クレバスとB/hはまだにらみ合ったままだった。だが、青星がこちらへやってきそうな様子を見ると、クレバスの方へ向かっていった。
「束縛敷!」
クレバスの動きが止まった。クレバスがやられるかと思われた瞬間、ブラックの方が動きを止めた。クレバスは丸まって、トゲで体を固めていた。
「うまい・・・。」
青星は駆け寄りながら、一人で感心していた。