第16章
白夜と黄閃は二人並んで川べりの道を青星の仮住まいを目指して歩いていた。いつもなら、主人の側にはサブがいるはずなのだが、この二人は・・・。
「白夜〜、まだかよ〜その家は〜。」
「もうすぐだって。」
テクテクテクテク・・・。五分くらい歩いた。
「白夜〜、まだかよ〜。」
「もうすぐだっつってんだろ。」
黄閃の性格は、短気、熱情、非常にパワフルなヤツだ。
「ところで黄閃、お前のサブはどうした?」
黄閃の側にいるべきはずのサブがいないのに気づいた白夜が問いかけた。
「人のこと言えね〜じゃん、白夜。お前から先に説明しろよ。何でお前にサブがいないんだよ。」
白夜はしまったと思った。聞かなけりゃよかったと。自分の間抜けさをさらすことになる・・・。でもうそはつきたくない・・・。
「・・・どっかにおいてきた・・・。」
「・・・まじ?そりゃぁ・・・。まずいっしょ。」
「ま、死ぬことはないさ。あいつが死ぬようなことはない。」
「ふ〜ん、よっぽど強いようだな、お前のサブ。名前は?」
「クレバス。」
「そうか。じゃあ俺のサブについて。」
そう黄閃は言うと、首にかけてあったペンダントに手をかけた。ゴム栓のついた試験管を縮めたような形をしていた。黄閃が栓を開けると、中から、金色に光輝く鳥が出てきた。白夜はびびった。その体長に。黄閃と白夜が肩車しても、その鳥の頭までは届かないほどだった。
「こいつが俺のサブ。名前はライト。図体はでかいけど、甘えん坊なんだぜ。」
ライトは羽をのばすと、黄閃に頭をすり寄せてきた。
「さて、クレバスの顔を拝みに行くか。」
「はっ?」
白夜はあっけにとられた。
「ちょっと待て、どうやって探すんだよ?」
「あぁ、こいつね、主人のにおいから、サブの居場所が分かる能力持ってるんだ。不思議だろ?」
「へぇ〜・・・って、そうなら早く出せよ!」
「別にいいじゃん。話もできたし。」
そういうと、黄閃はライトに何か話しかけた。すると、ライトは白夜の顔の近くに頭を持ってきた。
「頭をなでてやってくれ。それが仲間入りの印だ。」
白夜が頭をそっとなでると、
「ミュウ。」
その図体からはとても想像できないような声で鳴いた。
「じゃあ行くか。白夜、乗れ!」
「はっ?」
「こうやって乗るんだよ!」
そういうと白夜は強引に白夜の手を掴みライトの背中に乗せた。
「ミューゥゥ!」
ライトは一声いななくと、赤影、青星がいる方角の空へ飛び出した。