第18章
その場に倒れ込んだ青星の所に、ティアラが駆け寄った。青星のそばにティアラがうずくまると、すっと青色の円柱状の結界ができた。青星とティアラは中にいた。
「サブって結界作れたのかよ・・・。」
赤影が感心しているとき、B/hはくるっと体の向きを変えた。3対1は分が悪いと感じたのだろう。赤影が気づくのに一瞬遅れたその隙に、B/hはすでに逃げ出そうとしていた。
「あっ!待て・・・」
そう叫んだと同時に、クレバスが大きく叫び声をあげてうずくまった。
「シャウ!」
その時、クレバスの体を覆っていた針が一斉に四方八方へ飛び散った。
飛び散った針が、B/hの背中に無数に突き刺さった。B/hの後ろ身は白い針で覆われた。
むろんその針は赤影の方へも飛んできたが、『Fire Wall』で難なくかわした。フレアは元々炎から生まれているから、氷の攻撃は影響するはずもない。
その針は背中に刺さるだけにとどまらず、シーフを巻いた頭にも直撃していた。さっきの赤影の攻撃で外れかけていたシーフが、地面に落ちた・・・。
闘いは終わった。
すると、シーフの落ちたその場所に、小さな黒い影がすっとかげった。
「・・・?」
赤影が不思議に思う間もなく、その影はだんだん大きくなっていく。赤影も、クレバスも、フレアも、一斉に空を見上げた。そこには大きな金色の羽の鳥に乗った、白夜ともう一人の男がいた。太陽と重なって、ライトの金色の羽が、まぶしく輝いていた。
「白夜!」
赤影が思わず叫んだ。
「シャ?」
クレバスは不思議そうに、地面に下りてくる鳥に近づいた。
ここでようやくパーティーが合流した。ティアラは安心したように結界を解いた。
「お疲れ赤影、どうやらクレバスも見つかったようだな。世話かけた。」
クレバス探しをサボりながらよく言うよ・・・。クレバスは白夜の顔を見ても、あまり顔色を変えなかった。だが、安心したような表情を浮かべたようだった。
「白夜、そいつは?」
赤影が隣にいる男を向いて尋ねた。
「紹介するよ。『黄閃慶色』。新しいメンバー、シキの一員だ。」
「よろしく!」
黄閃が明るい笑顔で右手を差し出した。
「あぁ、よろしく。」
赤影も右手を差し出して、握手にこたえた。
「さて、とりあえずここを離れるか。長くとどまるとまずい。」
白夜はあっさりと言った。
「行くってったって、どこに?また青星の家?」
「いや、俺の家。」
黄閃が真面目な顔で言った。
「じゃあ行くか。赤影、青星を抱えてこい。」
白夜がクレバスとフレアをライトの背中に乗せながら言った。
「あぁ。」
赤影は結界をはっていたティアラの方へ足を運び、倒れている青星を抱えた。しなやかな青星の体が赤影の腕で支えられた。
――こんな細い体で、よく戦うな・・・。――
赤影は何か、こみ上げてくる熱い思いがあった。
パーティー全員を乗せたライトは、再び澄み切った、遠い青空へ舞い上がった。