第20章
B/hとの死闘を終えて、三月が経とうとしていた。色が消え始めてからもう半年になる。
さて、彼らは何をしていたのだろうか。
白夜は、相変わらず携帯に向けてプログラムを組んでいた。どうやら今回のプログラムはもの凄いものになりそうだ。データ保存用のカードが二十枚を越えていた。
黄閃はいつもは働いていた。皆を養うための収入源が黄閃にまかせられた、というより、黄閃が進んでやってくれた。
「働いてっと、筋力も鍛えられるしな。」
黄閃は笑いながらそういって、働いている。
青星は闘いの疲れもすっかり癒え、赤影とともに修行に励んでいた。
サブ達は、どうやらティアラをリーダーとして、その辺を駆け回っている。時々クレバスから戦闘法を習っているかのようだった。
さて、赤影と青星がまず覚えなければならなかった修行。それは発の制御だった。
発というのは技を発動させるプロセスのことで、「Fire ball!」や、「Running water!」とか言っていたものだった。
さて、話は修行の始めにさかのぼる。
その時は夜だった。月明かりが煌々と照る、綺麗な月夜だった。季節は春になっていた。
「白夜〜。この『呪文探し』って修行なんだよ一体!」
外で修行をしていた赤影が、プログラムを組んでいた白夜の元へ駆け込んできた。
「ん?それか?その名の通りだよ。お前、技を発動させるとき、英語使ってるだろ?」
「あぁ、それがどうしたんだよ。」
「お前日本人だろ?だから、お前も日本語で技を発動させた方が、自分の体質に合って・・・」
「Thank you〜!」
白夜がまだ言い切らないうちに、赤影は外へ飛び出した。
「ったく元気なヤツ・・・って、おい!ちょっと待て!」
白夜も外へかけだした。その瞬間!
「うわっ!」
外が一気に昼になった!赤影が発動させた炎が天空を切り裂いたのだった。たまたま黄閃の家は、周りに何もなかったため被害はなかったが、もしここが青星の家だったら、周りの森に火が移って、凄いことになっていたに違いなかった・・・。
「あっぶなっ!」
白夜は赤影の技の発動した方向とは逆にいたため、技を受けずにすんだ。
「赤影!人の説明は最後まで聞けよ!英語で発動させた場合と違って、日本語で発動させた場合は、今までかかっていた抵抗の量が1/4以下になるから、今までよりエネルギーを節約できる上、より強い技が打てるようになるんだよ!」
「早く言えよ!そういうことは!死ぬところだったぞ、白夜!」
「ったく・・・、やっぱすげぇよ、お前。」
白夜は赤影に聞こえないようにつぶやき、家の中に舞い戻った。