第21章
その後の修行はごく普通のものだった。筋力を鍛え、精神力を鍛錬し、戦闘における行動の取り方を勉強するなどなど。
そしてある夜、修行を終えた青星、赤影の元へ白夜がやってきた。
「さて、もうすぐ三ヶ月になるが、修行の進み具合はどうかな?」
白夜が携帯を取りだして、二人の方へ向けた。携帯が円グラフを示した。
「おっ、だいぶ成長したなぁ。青星90%、赤影72%だ。最初は29%だったのにがんばってんじゃん。そうだな・・・。70%いったら後は・・・赤影、お前の場合、実践で鍛えていった方が手っ取り早いか。」
「どういうことよ?」
青星は半ば状況を理解しながらも、確認の意味で尋ねた。
白夜は携帯をパチンと閉めた。そしてポケットにすっと忍ばせると、
「じゃぁ赤影、かかってこい。」
そう言って、赤影の方を向き直った。月の光は相変わらず煌々と照っていた。
「は?」
赤影は戸惑った。なんせいきなり実践、しかも修行を終えて疲れ切ったところにだ。
「オラ、来ないならこっちから行くぞ!」
そういうと白夜は手を赤影の方へ突き出した。
「炸雪弾!」
小さな氷の粒が無数に赤影の方へ飛んできた。
「ったく、炎陣!」
赤影の周りを円柱状の炎の壁が包んだ。赤影が炎の外に白夜の姿を確認したのは・・・上!
「赤影、本気でかかってこい。じゃないと死ぬぞ!針氷!」
赤影の元に三本のつららが飛んできた。赤影はそれを紙一重でかわし、
「いいのか?!本気でいって!飛猟火!」
着地の瞬間を狙って三つの炎がうねるように飛んでいった。
「粒晶壁!」
今度は白夜の前に氷の壁が盾となった。相変わらず無駄がない。きちっと壁が溶けて無くなった。
「ところで赤影、何で俺がいきなり実戦を始めたか、その理由分かるか?」
白夜が飛んでくる炎をかわしながら言う。
「知るか!」
そういうと、赤影は白夜の後ろへ走り込んだ。
『よし!後ろを取った!』
と思ったのもつかの間、何と更に後ろに白夜がいた。
「こういう経験は実践じゃないとできないからだよ!」
そういうと、白夜は軽く赤影の頭をこづいた。
「まだまだだな・・・。」
そういうと白夜は寝に家の中へもどった。
「ったく、こんな疲れてて勝てるわけねぇよ。」
ぶつくさ言いながら赤影も家へもどった。
青白く光る月の下で、青星が一人たたずんでいた。
「はぁ、どうしようか・・・」
そっとつぶやくと青星も家へもどった。