第23章

飛び続けて、何時間が経過しただろうか。東の方に輝いていた朝日が、いつの間にか頭上で照っていた。

ライトの背中は何か不思議な力があるらしく、何人乗っても狭くならず、かつ乗り心地はまるで部屋の中にいるようだ。しかもその上に、いくら重いものを乗せても、きちんと飛んでいるのだ。

「よし、じゃぁこれからやることを発表する。」

白夜が唐突に切り出した。

「これから?」

青星が応えた。黄閃はお昼寝中だ。

「あぁ、ようやく俺のプログラムが組み上がった。かなりの量になったがな。まず、混一色(ホンイーソー)という人物に会う。」

「混一色?誰それ?」

「俗に言うmixer(ミキサー)だ。」

「・・・?わかんないんだけど。」

「単純に言えば、能力を混合する能力を持った人物だ。」

「能力を混合って、どういうこと?」

「そのまんまだよ。例えば、お前の水と、黄閃の雷を混合するだろ。そうしたらどういう事が起こるか分かるか?」

「そっか。相乗効果が起こって、威力が数倍になる。」

「その通り。さすが青星。」

「んで?その人はどこにいるの?」

「・・・龍山。」

「・・・まじで?」

――龍山、そこは何人も足を踏み入れない未開拓の地。一度入ったものは二度と出られないという。――

「何でそんなところに行くの?ていうか、何でそんなこと知ってるの?」

「コイツだよ。」

そこには、白夜の手に握られた携帯があった。携帯には日本地図といくつかの色に光る点が、またいくつかあった。黒、緑、桃色、灰色・・・。

「この灰色の所に混一色がいる。な?」

「やっぱり龍山に行くのね。はぁ。」

「ま、大丈夫だ。よっぽどのことがない限り。そのために赤影をここまで鍛えたんだ。」

「頼りになるのかなぁ・・・。」

修行で力を出し切った、熟睡している赤影を見て、青星はふっと微笑んだ。その瞳は空の青さを吸い込んだ湖のような色だった。

その瞳を見つめる白夜の姿があった。そして、白夜が静かにつぶやいた。

「青星・・・俺と付き合ってくれ。」

羽ばたくライトの背中に、一時風が流れた。

 

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