第23章
ライトの背中にはゆっくりとした時間が流れていた。ライトの羽ばたきとともに二人の気持ちは揺れていた。
「・・・えっ?冗談でしょ?」
その空気を破るように青星が尋ね直した。
「いや、マジで。一目見たときから気になっていたんだ。一緒に旅する中で、俺は青星のまっすぐな瞳に惚れちまった。」
白夜は照れくさそうに下を向きながら話していた。こんな白夜、青星は初めて見た。いや、青星だけではない。メンバー全員が見たこともないような表情でいた。
「俺のこと・・・嫌い?」
白夜は唐突に聞いてきた。
「嫌いじゃないけど・・・。」
「マジで?」
「うん・・・だけど・・・考えさせて・・・。まだ心の整理がついていないの。」
「わかった。待つよ。」
白夜はそういうとふっと笑って、空を仰いだ。頭の上には限りない青空が続いていた。
青星の心は久々に動揺した。
――確かに白夜はかっこいいし、なんか惹かれるところもあるし・・・。でも・・・何でだろう・・・なんか心に引っかかる・・・――
ライトの羽ばたきと同じリズムで、青星の鼓動は刻まれていた。この鼓動が白夜に聞こえてしまうんじゃないかと、青星が心配しているくらいに。
さっきとはうってかわって、時間が飛ぶように流れていった。そして数分ほど経っただろうか。
「白夜・・・。」
青星が重々しく口を開いた。
「あぁ。で?」
白夜が緊張した面もちで青星と向き合った。
「うん・・・よろしく。」
照れた表情で青星も笑った。
「マジで?!よっしゃ〜!!」
無邪気に白夜は喜んだ。お互い手を差し出して、握手を交わした。
その時、黄閃がごろっと動いた。二人は驚いて手を振り払った。
「Zzz...」
黄閃は相変わらず寝ている。どうやら寝返りをうっただけのようだ。
二人の目があった。だがすぐに視線を外した。
「どうやらもうすぐみたいね。白夜。」
青星が進行方向を見てつぶやいた。髪が風でたなびいた。
「そうだな。」
行く先には暗雲立ちこめた大きな山がそびえ立っていた。