第5章

赤影とフレアはとある街に着いた。とは言っても、彼の知っている範囲の場所ではあったが。その街の名前は「シャイン=シータ」。赤影はこの街の雰囲気はあまり好きではなかった。色々やばい噂がこの街には飛び交っていた。

「ところでさー、フレア。どこにどう行けばいいんだろうな。じいちゃんはシキは全て日本人だとは言ってたけどさ。」

「クルル?」

ところで、赤影の体には変化が見られていた。

まず何より、左腕の紋章に関することで言えば、その部分にあの布を巻いていないと能力が使えなくなるため、常に左腕に布を巻いておかなくてはならなくなったこと。しかもあの布は透明なはずなのに、赤影が着けると瞬時に赤色へと変化する。まあ、上着で隠れてはいるが。

そしてもう一つは能力を使うためには思ったより精神力がいるので、少々睡眠時間が長くなったこと。(気のせいかな?)

赤影は見た目とはうらはらに内側に不安を抱えていた。その不安は言わずともしれたことではあるが。そんな不安をうち消そうとするかのように赤影が喋り始めた。

「やだな〜、冬って。そう思わないか?フレア。」

「クルルル・・・。」

二人とも寒いところは苦手のようだ。そりゃそうだ。属性が炎なんだから。

「でも案外こういう時だからこそこの能力が役に立つんだなぁ。じゃあ、木の枝でも集めっか!」

「クルゥ!」

一人と一匹はそこらに落ちている木の枝を拾っていた。

赤影も、一体どこでたき火をやるつもりなのだろうか。町中でそんなことしていいのかよお前ら。お前つかまるぞ。そーらつかまるぞ。絶対つかまるぞ。ほーらね、やっぱりつかまった。

「クルルルルルゥゥ!」

「フレア?!」

赤影か振り向くと、フレアがいかにもというような男達に囲まれていた。

「なんだこの生き物。鳴き声がなんか変だぜ。」

「ま、どっかで捨てられた犬なんじゃねぇの?」

「フレアになにをする!」

赤影が叫んで走り寄った。

「なんだてめえは。」

男達は一斉に赤影の方を向いた。

「フレア、今だ!来い!」

一瞬の隙をついてフレアが逃げ出した。それと同時に赤影は持っていた木の枝をぶちまけると、

「On fire!」

木の枝が一斉に燃え始め、男達の行く手を阻んだ。そのおかげで赤影達を追うものは誰もいなかった。いや、一人だけいた。首に青い布を巻いた女が、赤影の一部始終を見ていた。そして後を追っていった。

 

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