第6章
「ハァ、ひぇぇ〜っ、危なかったなぁフレア。」
「ク・・・ル・・・・」
森の中に逃げ込んだ赤影はどっかりと座り込んだ。フレアも赤影の隣にちょこんと座った。
「しかし何で襲われたんだ?ただあいつらが不良だっただけだったのか?それとも俺を狙っていたとか。だが何のために?」
「・・・考えすぎ・・・。」
後ろで人のつぶやく声が聞こえた。
「えっ。」
フレアもきょとんとしている。
「クルゥ?」
「アンタもシキでしょ。」
赤影は素早く立ち上がり、声のしたであろう方向を向いた。声からすると女のようだった。
「何でそんなこと知ってる! まさか君・・・。」
人の姿は見えないが声の聞こえた方に向かって声を張り上げた。
「なんとか言ったらどうだ!」
「・・・バカ。」
また背後から声が聞こえた。赤影とフレアが振り向くとそこには一匹の猫のような動物をつれた、さっき赤影を観察していた女が無表情で立っていた、首に青い布を巻いて。いつの間に移動したのだろうか。
「あっ!その布巻いてるって事は、やっぱり。」
女は髪をかき上げると、ため息混じりに言った。
「そうね。あたしもシキよ。でもなんかがっかりしたわ。あたしの動きさえ分かんない男と何で最初に出会わなきゃなんないのか。これじゃ、いつ死んでもおかしくないわね。でもアンタは死んでない。運がいいわね、アンタって。」
『死ぬ・・・?そうか、黒羽のやつは刺客をもちろん送り込むんだ・・・。』
その時ようやく赤影の頭に事の重大さが記憶された。
「ところで君、名前は?」
女は口元をちょっと笑わせると、また無表情になった。
「あたしは『青星』、『青星水色(みずさ)』。呼び方は青星でいいわよ。属性は『水』ところでアンタは?」
「俺は『赤影色也』。属性は『炎』。呼び名は赤影で。」
「赤影ね。炎と水だったら水の方が強いわね・・・。よかった・・・。」
青星が少しにやりとした。赤影に寒気が走った。また青星が口を開く。
「一応これからよろしく。」
「あ、あぁ。」
それだけ言うと青星は黙り込んだ。赤影も黙った。
『あ〜あ、こんな女と旅になるのかなぁ・・・。どーするべ。やっぱすこし話しといた方がいいかな・・・。』
「そう言えば、君のサブの名前は?」
「この子の名前?」
青星のサブは猫と狐を足して二で割ったような感じだった。色の結晶はもちろん青だが。
「『ティアラ』だけど。」
「こいつは『フレア』。属性はあんまり合わないかもしてないけど、こいつもよろしく。」
「それはこの子しだいね。」
青星はふっと笑ってうつむいた。フレアもティアラもお互いを不思議そうに見つめている。その時、後ろからそっとしのんでいる影に二人は気づいているのだろうか。