3

後ろ手にドアを閉める。ついでに鍵も閉めてやれ。……ガチャ。
ふん。いい気味だ。踵を返し、朝の賑わう寮の廊下を校舎に向かう。辺りを見渡す。
賑わうといっても、もうじき授業が始まる時間帯なので人影もそう伺えない。
でも、あんまり騒がれたくない卓哉にとっては好都合だった。
男子寮に女なんて相当目立つだろうし。
「(………毎日、この時間帯にした方がいいかもな……。)」
なんてことを思いつつ、廊下奥の突き当たりに見えるエレベータに足を進める。
廊下はかなり長い。それもそのはず、この寮の収容人数はおよそ1100。それなりの大きさがある。
先に進んでいくうちに廊下先のエレベータの人ごみが見えてくる。人数を数える。
ひのふのみ…………悠々乗れそうだ。
そこで、はた、と気付く。
エレベータの狭い空間で女の存在は相当際立つのではないか、と。……うーむしかし乗らんことには…。
考えつつも足は止めない。乗り場付近まで近づいて来たとき、エレベータ待ちで談笑していた
一人の男子生徒と目が合う。にこやかだった表情が一瞬で変わり、口を半開きにして面食らっているようだ。
つい、目をそらす。……それでも歩みは止めない。止めたら何か言われる。
…………うーん、あの調子でじろじろ見られるのは嫌だし………ここは一つ、階段を使った方がいいか。
流石に五階から階段を使う奴はそうはいないからな……。そうしよう。
女という事を隠したいわけじゃない。いずればれる事だろうし。ただ単にじろじろ見られるのが嫌なだけ。
目を伏せてエレベータ前を横切り、いそいそと横の階段へ。……ふと声が聞こえる。
「……い、あの子……。」
「……何でここに女の……。」
「……わいくない? 何でうちの制服……」
耳が痛い。人の多い校内ではもっと酷くなるのだろうか……? つい、眉間にしわが寄る。
そんな声を尻目に階段をとん、とん、と降りていく。案の定人影は見えない。
「(…多少疲れるけれど、毎日階段かな、こりゃ。)」
耳を澄まし、気配を探りつつもトントントンと降りていく。
人は全くいない。素晴らしい♪
しかし、2-3階の踊り場まで降りてきたとき、2階から続々と人が階段を降りていくのが見えた。
…………つい、ささっと隠れてしまう。
「…………うーん……人が居なくなるのを見計らうか………いや、そんな事やっていては……」
ぶつぶつと階段の内側の手すりの壁からかがんで顔を覗かせ、悩む。
その時、すぐ上の三階から足音が聞こえた。声も聞こえる。
「……でさあ、そいつが……」
「ぬぅううう………。」
唸る。……四面楚歌とはまさにこの事…………。このままでは……。
一瞬の躊躇のあと。
「(……覚悟を決めるしかないか……。どうせいつかばれる事だし…………。)」
すっくと立ち、気合いを入れて階段を降り始める。後ろから追いつかれないように気持ち早めに。
2階の踊り場に降りる。人が見えない。
「(よかった、丁度、人波の切れ目だったんだな……。)」
安堵したその時、2階の入り口から丁度人が出てきて、鉢合わせる。
相手の足が止まった。顔を見る。知らない顔。明らかにこの姿に面食らっている。
その視線の先は顔と、歩くたびゆさゆさと揺れる胸元を往復している……。
本当に女であるのか確認している。…………そんなとこだろうか。
……いや、そうとも言い切れない。卓哉の服装はノーブラでワイシャツ一枚。急ぎのため、シャツを
着るのを忘れたので、うっすらとピンク色の先端が透けてみえる。それは今はブレザーで隠れているが。
そして、ブラジャーなど上から押え込むものがない胸の揺れ様は上のブレザーがある程度隠しているにせよ、
結構激しい。これは禁欲されている青少年には目の毒だ。
それがどれだけ刺激的なものか、当の本人には気付くはずもないが。
…………とりあえず無視。何か言われても面倒だし。
足をとめずに、ぷい、と目をそらし、口を開けて止まっている誰かを横切り、とっとと1階に向かう。
さらに降りていくと、次第に下からざわざわと聞こえる声が大きくなっていく。下は一階。人が集まる所。
………何人いるのか? 数人でもあんな思いしたのに、さらにあの中を突っ切らなきゃ行けないのか…。
とっとと引き返したい衝動にかられるが、そう言うわけにはいかない。後ろからも足音が聞こえるし。
「(ぅぅ……行きたくない………しかし行かねば……。)」
心の中で葛藤しつつも足は止めない。
誰にも気付かれずに行けたらなぁ……。無理か………。表情が曇る。
なんだかんだで1階に降りる。階段の敷居を潜り、次は校舎へと続く渡り廊下へ足を向ける。回りを確認する。
廊下の彼方此方に、まばらに人がいる。皆、進行方向は一緒。歩調を合わせ、距離を縮めない様にする。
「(………うう……見るなぁ……見るなよぉ………?)」
おっかなびっくり歩きながら、ちらちら見渡す。
ざっと数えて十数人見える………と、その内の卓哉の真横にいる二、三人のうち一人がその姿に気付く。
気付いた一人がポンポンポン! と隣の奴の肩を叩きこちらを指さし耳打ちする。
………連鎖的に広がっていく。酷い奴になると後ろを歩いている知り合いに知らせに行く。
「(………こ、これは嫌だ…………。)」
次第に足も早くなる。歩調を合わせててはいけない。
前を歩く数人もこれに気付いたようで、こちらをちらちら見やる。もちろん歩みは遅れてくる。
早足の卓哉と、声を掛ける気かしらんが、ちらちら振り向き、何かこそこそ言い合いながら
足をゆるゆる動かしている数人。距離が狭まる。
「(とっとと通り過ぎよう………。)」
つい伏し目がちに下を向き、避けるように離れて通り過ぎる。
「(……何でこんな事に……)」
卓哉は自分の体を呪った。
………校舎の中を進む。ずっと渡り廊下と同じような事が起こっている。じろじろ。ひそひそ。
…無視無視無視! ズンズンズンと足が次第に早くなる。教室は2階。急ごう。階段を上る。
と、ふと上の踊り場を伺うと、ここにも一人こちらを見て固まっているのが居た。
………あの顔は知ってる。同じクラスの佐藤。ちびで気弱。真っ先にいぢめられそうなタイプ。
うちの学園はいじめがないけど。……その佐藤の目線は俺の顔と胸元を往復し、まじまじと卓哉をみている。
でも、いまさらそんなこと気にせず卓哉は早足で階段を登る。胸もゆさゆさと揺れる。
……それを見た佐藤の顔がポッ、と少し赤くなる。佐藤はこういうのに免疫が無い。
自慰行為にもどこか罪悪感を感じてすらいるという、今時珍しいほどの純情さ。ましてこの学園は女っ気が
全く無いわけで。佐藤君の心情は推して知るべしだ。だが佐藤のその微妙な心情に卓哉は気付くはずもない。
「(何か言われるかな……。……説明するのも面倒くさいけど………。)」
距離が詰まる。そして、すれ違う瞬間。
「………あ、あのぅ………。」
………ほらきた。
でもさっきからのコレ。知り合いに挨拶する気力もないくらいウンザリしていた。
だからただ一言。
「……遅れるよ。」
それだけ言い、佐藤の胸元をポン、と手の甲で叩いた。
……そして通り過ぎ、続けて階段を上っていく。
その時、ふわっ、とほのかに香る、女性だけが持つ髪の甘い匂いが佐藤の鼻をかすめた。
男子校に突然現れた極上の美女の甘い香りと自分にかけられた凛とした綺麗な声。彼にとって非現実的な
その出来事に佐藤は少し放心する。………が、遠ざかって行くその美女の背中を見てるうちに我に返る。
……彼女がその先の階段を上らずに角を曲がる。自分と同じ方向。
「(あの人は一体……。)」
急いでその後を追った。……なんだか良く分からないが、とりあえず彼女のクラスを確かめたい。
つい好奇心が湧く。……佐藤も続いて角を曲がる。前に彼女の背中が見える。回りの注目を一身に受けて
ズンズンと早足で進んでいる。それをみて佐藤もつい早足になる。見失わないように。
謎の美女の背中についていく。良く見ると制服はだぼついて、ズボンも裾を少し引き摺っている。
「(制服が合ってないのかな………? いや、そもそもこの男子校に何故あんな人が……。)」
考えを張り巡らしつつ、後をつける。
…………と、彼女が教室に入った。
「(一体何処の……?)」
プレートを見る。
「(あの人のクラスは……………!? うちの組だ!? なんであんな人がうちの組に!?)」
自然と駆け足になり、佐藤も急いでクラスに入る。
「(……あの人は?)」
きょろきょろ。……いた。
異常に静まり返ったクラス。全員の視線は一点に注がれている。突然入ってきた美少女。
女特有の甘い匂いを振りまきながら真ん中を突っ切る。進路を塞いでいる男子が次々と道を開けていく。
今日日の有名アイドルでもそういないであろう、整った小さい顔。目はくりくりと大きく、まつげも長い。
鼻もすっきりと高く、凛としている。ブレザーを押し上げて、歩くたび揺れる大きい胸。ダボダボのズボンを
止めるため締め上げたベルトは、きつく締められていて相当くびれた腰なのがわかる。甘い匂いを振りまく、
さらさらして少し茶色がかった髪。男子用のブレザーもそのアンマッチさで逆に魅力を掻き立てるよう。
女っ気皆無の男子の中に突然現れた、極上の女神とすら言えるその存在。注目しない方がどうかしてる。
女神が窓際最後列の席で足を止める。窓際最後列。クラスで一番の特等席である。
かばんを掛け無造作にどかっと座る。ここでようやく女神が教室を見渡す。
もちろん静まり返ったクラスの全員の視線が自分に注がれている。……それを見て女神は顔をしかめ、
ばつが悪そうに、ぶぅ、と口を尖らせた後、それ以上の関与を拒絶するかのように机に突っ伏した。
クラス中がしばらく無音になる。……だが次第にざわざわとしはじめる。
もちろん話題はその女神様。
「……い、声掛けてみ……」
「……んであんな子がこ……」
「…ジーザス…」
ざわざわ。ざわざわ。
喧騒の中、佐藤は気付いた。
「(?………そういえばあの席は蘇芳君の………?)」
蘇芳君………蘇芳君………そういえば、あの顔。蘇芳君に似ているといえば似ている。じゃああれは………。
いやでも、違いすぎ。その……色んな……物が……。ちらちら伺いながら佐藤も自分の席に着く。
その時。がらっ! と再び引き戸が開き、担任の斎藤先生が姿を見せる。
「ほらー、席につけ席にー!」
日誌で拍手するようにパンパン音を立てながら声を荒げる。がたがたがた。
生徒もチラチラ卓哉を見やりつつ釈然としない顔で座っていく。その声に卓哉も、もそっと起きる。
見ると喧騒に紛れて灰谷も入ってくる。……灰谷。同じクラス。………そして隣の席でもある。
席に付いた百貫デブがおずおずと声を掛けてくる。
「……あの……随分、早いね。追いつけなかった。」
「…………………。」
ぴし。顎に手を置き、支えながら机の中に置きっぱなしの消しゴムを千切って投げる。
そっちを向かず。
「……ぅぅ。」
情けない声を上げ、萎縮する腐ったテディベア。
ふと回りを見るとこちらを見ている連中がちらちらと自分と灰谷を見比べている。
どういう関係だ? と探るように。決まっている。山から下りてきた畜生と人間だ。
……そうだ……灰谷。奴の動向を考える。
「(いくらなんでも衆人環視のなか襲って来ないだろうし…。
ここに居る限り警戒は解ける…な。いつも張り詰めてたら精神安定上、良くない。)」
なんてことを思った。
一人の生徒が声を上げた。
「せ、先生。あの窓際の子ですけど……」
「え?……ああ、蘇芳、来てるな。」
先生が窓際の席を見て、確認する。………と。
「蘇芳!?」
「えぇ!?」
一斉に声が上がり、再び全員、がたがたと卓哉の方を向く。その視線の圧力で顔が引き攣り、
苦笑いを浮かべる。つい目を伏せてしまう。
「だ、だってあれ!?」
「双子のお姉さんとか!?」
声が上がる。
「ま、まあ待ちなさい。説明するから……。」
先生が恐慌状態の生徒をまあまあとなだめる。
そのあと先生から大まかに説明があった。それが一種の病気である事。
本人であるかは、記憶も指紋も一致してるし、間違い無いという事。
説明の最中もチラチラと視線が集まる。………勘弁して欲しい。
「………まあ、そういうわけだから、皆も変わらず接してやってほしい。………じゃ、授業始めるぞ。」
一時間目は担任の先生でもあり国語教師でもある斎藤先生の授業。偶然だが、良かった。
説明が下手でろくに事情を知らない先生だったら、俺が直接、質問責めに合うところだった……。
安堵のため息を漏らしつつ、教科書とノートを広げる。
…授業が始まった当初はまだチラチラと視線が集まるが、授業が進行していくと
次第に誰も見なくなってきた。でも灰谷や佐藤、他のいくらか数人は頻繁に視線をよこすが。
「(しばらくこの調子かなあ……。)」
灰谷に千切った消しゴムを投げつけつつ、卓哉はげんなりして授業を受けるのだった。
そして。キーンコーンカーンコーン……。授業の終わりを知らせる電子音が鳴り響く。
「………よしじゃあ、今日はここまで。………号令。」
きりーつ。れーい。
先生が去っていく。………と。一斉にクラス全員の視線が卓哉に集まる。そして。
どかどかどかっっ! 人波が卓哉の席に殺到する。
「ぅぅっ!」
手で胸を隠し、怯む卓哉。
「お前マジで女なの!?」
「マジで可愛くない!?」
「なんで女に!?」
「結婚してくれ!」

「………………勘弁してくれ………。」
………げっそりする。
耳をふさぎ、突っ伏す。きこえなーい。きこえなーい。喧騒が遠くで聞こえる。知った事か。
「(早く次の授業始まってくれないか……。ん? そういえばつぎの授業なんだっけか……?)」
………………そうだ、体育。移動出来る。というか、せねば。
がたっ。突然勢い良く立ち上がる。後ろにいた生徒が面食らう。喧騒が一気に静まる。
卓哉の放つであろう、第一声を期待して。しかし。卓哉は鞄をごそごそと漁り、ジャージの入った袋を
取り出し
「………体育だから、行く。邪魔。」
ぐい。ぶっきらぼうにそういって人を割って脱出する。
その言葉に気付いたのか、回りの生徒は時計をちらっと見て、あぁそういえば、とばかりに散っていった。
廊下を体育館へと進む。ここでも注目の的だ。すれ違う他の生徒が皆卓哉を見て面食らっている。
さらにその後ろからクラスの連中がついてきて声を掛けてくる。これは目立つわけだ………。
「なあ、本当に蘇芳なの!?」
「…………そう。」
「ぜ、全然違うじゃん!」
「………男と女、外見全く一緒なわけないだろ。」
「な、何でそうなったの!?」
「………さっき聞いただろ。」
「………え? ……実は全てドッキリ?」
「…………むしろ、俺がな。」
「つーか、胸でけぇ……ちと、触らせて?」
「………ぁあ、お前がどっかで巨根ゲイとハメ撮りして、
そのテープを体育館の巨大スクリーンでこう、俺に見せてくれれば考えんこともないが……。」
「……ハァハァハァハァ!!!」
「…………とりあえず離れろ。」
ぴーちくぱーちくとうるさい連中の質問にヤケクソ気味に回答しつつ体育館の中へ。更衣室はその中だ。
がらっ。更衣室に入る。卓哉に続き、どやどやと後ろの連中も中になだれ込む。
さすがにここに来ると、各自が着替えようとようやく散らばっていく。………やれやれ。
一番奥の棚の前に進み、ジャージ袋の中身を棚にぶちまける。
そして入り口に背を向ける。目の前は壁。ネクタイをしゅるりと解き、上のブレザーを脱ぐ…と。
ふと気付く。……静かすぎる。手に持ったままのブレザーでなんとなく胸元を隠しつつ、振り向く。
全員と目が合う。
「……………おい。」
その声でそそくさ、と目を逸らし全員着替えを再開しはじめる。
むぅぅぅ………釈然としない思いを抱きつつ、再び奥の方に向きかえりブレザーを畳んで、置く。
そしてワイシャツの上三つのボタンを外し、手を十字にして裾にかけ一気に脱ぐ…と見せかけて振り向く!
一瞬、再び全員と目が合う。またそそくさと着替えを再開する青少年たち。
……………っ! まどろっこしい! 朝からのフラストレーションも手伝い、瞬時に頭に血が上る。
「何見てやがるっ! 早く着替えてとっとと出て行きやがれこのホモ野郎どもが!」
甲高い声を上げ、凄い剣幕で手近な生徒二、三人のケツをゲシゲシと勢い良く蹴り上げる!
その動きに合わせ、一枚のワイシャツごしに薄くピンク色の先端が透けてみえる胸が大きく揺れ、
その柔らかな存在をアピールする。しかし、じっと見ることはかなわない。
「さっさと散れ! 走れ! このグズども!」
某国のGKのような台詞とその剣幕に全員が慌ただしく着替える。
それでもまだ怒りが収まらない卓哉。ふと、チラチラこっちを見てるトランクス一丁の灰谷に目をつける。
「お前は一番早く出てけ! いや、そのままで良いから出てけ! そして凍死しろ! 死ね! いやむしろ殺す!」
ケツをゲシっと蹴り上げ怒鳴り散らす。
「ん、んなアホな!?!」
それはたまらんと、急いで着替える。
「着替えた奴からドンドン出てけゴルァ!」
物凄い剣幕でケツを次々蹴ってまわる。
戦場のような慌ただしさで人が激しく動く。
そして次々と出ていき、最後にはモタモタやってる一人が残った。
ちびの佐藤だ。まだ下は制服。
「……………。」
腕を組み、ジト目で睨む。…佐藤がハッと気付く。
「ごっごめんなさい! そ、その、僕はいつもこんなもんで、その………。」
縮こまり脅えた目で弁解する。
捨てられた小犬のようなその様子に頭に上った血も降りてくる。
「………ふぅ………。」
ま、こいつのこの様子なら害はあるまいて……。
そろそろ着替えを再開しよう。時間も無いし。奥の棚へもどり、佐藤に背を向けてベルトに手を掛ける。
……きっ。振り向く。……見てない。背を向けている。………ふむ、問題無いみたいだ。
とりあえず
「……こっち向くなよ。」
と言っておく。う、うん、と小さく返事が聞こえた。
ベルトをゆるめ……ずる、とズボンを脱ぐ。下はトランクス。これほど期待を裏切る下着はない。
まあ、誰も見てないわけだが。脱いだズボンを畳み、さっさとジャージのズボンを履く。
次はワイシャツ。一気に脱ぐ。ぶるるん。たわわな胸が開放される。ジャージの上を手に取る……。
その様子を佐藤はつい、見てしまった。
棚においてあるジャージを取ろうと棚の方を向いたとき、ふと無意識に目が向いてしまったのである。
卓哉はこちらに背を向けている。しかし、完全にではない。油断したのか、少し斜め、横顔が少し覗く角度。
ぷるん、と揺れる大きな形の良い胸。その先のちらりとみえる鮮やかなピンクの突起。
神秘的なほど綺麗な曲線を描く背中。きゅっとくびれた扇情的な腰。ゴクッ………唾を飲み込む。
目が釘付けになる。本能が、逸らせない。同じ男だったとはとても思えない。
いや、それが男だった事は既に忘れてしまっていた。
しかし……ばさっ。卓哉が上のジャージを着る。それで目が覚めた。慌てて棚のジャージを取り背を向ける。
……ここでようやく卓哉が佐藤を見やる。ジャージの上をもぞもぞとかぶっている。
「(…………本当、トロいんだなぁ……。)」
呆れるより同情してしまう。
ジャージのチャックを閉め直しつつ出て行く。通り過ぎる際、
「先に行くぞ。」
ポン、と肩を叩く。
……ビクッ! 震える佐藤。
「(本当、小動物みたいだな………)」
卓哉は思った。
体育。体育館に足を踏み込むと、体育の先生を前に皆既に整列していた。
先生は寮長兼体育教師の橋口先生。教員最初の目撃者。事情は良く知っているはず。
「……遅れました。」
「あ、ああ、早く並びなさい。」
そう促され、回りの注目を浴びながら列に加わる。
静まり返った中、先生の点呼が始まる。秋本。伊勢。………五十音順に呼ばれていく。
その時静寂を切って声が聞こえる。
「お、遅れました……」
佐藤だ。更衣室からぽてぽてと駆けてくる。
「遅いぞ! なにをもたもたしてる!」
先生の檄が飛ぶ。待遇が違うのが気の毒だが……。
佐藤はビクっと身を縮こまらせ、聞こえないほどのか細い声で……す、すいません……と返した。
可哀相に。縮こまるその姿は小犬そのものである。良くいじめられないもんだ。
佐藤が隣りに並ぶ。さとう。すおう。50音順だからまあ、そういうことだ。
あらかた点呼も終わり、準備体操が始まる。
適当に広がり、先生の号令で皆が動く。
「「…いっちにーさーんしー。」」
「「…ごーおろーくしーちはーち。」」
皆が気だるい声でリズムを取る。いつもの事だ。
「(ああ、帰ってきたんだなあ……1日だけだけど。)」
それでも卓哉はしみじみと思った。
………次第にそのリズムの声が小さく小さくなっていく。まだ終わりじゃないというのに。
「…………………………?」
卓哉は眉をひそめながらも体操を続ける。
……………気付かぬのは本人だけである。屈伸するたびジャージの隙間から、細く白い腰がチラチラと覗く。
胸も動きに合わせ大きく揺れ動く。まあ、ブラなんざ無いししょうがないのだが。
その驚くほど綺麗な容姿もあるだろう。目の保養というやつだ。
ついつい、禁欲少年たちの目は、その無防備な美少女にむけて一点に集められてしまう。
先生が何故か静かな生徒達に声を出させるため、笛を鳴らし、声を掛けるが、余り効果が無かった…。
次。二人一組になって屈伸。
「(俺は…………佐藤とだ。)」
1学期からずっと一緒の組み合わせ。
卓哉は佐藤と向き合った。
「す、すおう、くん…」
見ると佐藤はしどろもどろとして落ち付きが無いようだ。
「おい、大丈夫か?」
ぴし。おでこにデコピンをする。
「えぅ、うん、うん…。」
………だめだこりゃ。
「……まあ、いいや。背中押してくれ。」
卓哉は座って足を目いっぱい開き、体を前に倒し始める。
自分の役割を察知した佐藤は慌てて背中に回り込み、押す時一瞬躊躇したものの、結局本人に促され、押す。
ぐにゃあ。相変らず卓哉の体は柔らかい。足が180度に限りなく近く開いていて、胴はぺたりと床に付く。
……ぐいぐい。前。左右。一通り卓哉の屈伸が終わる。
次は交代して佐藤の番。立ち上がり、役割を交代する。佐藤が座って足を開く。
目いっぱい広げてるようだが殆ど開かない。相変らず固い体だ……。
「いくぞー。」
「う、うん……。」
………ぐい。
「……い、いたたた!」
ろくに倒れもしない所で止まる。
……呆れた。
「おい、本当に真面目にやってるんだろうな?」
「う、うん…、これが精いっぱい……。」
予想通りのなまっちょろい答えだ。しかし、いくらなんでもコレは駄目すぎだろう……。
「(うむ……ここは一つ、整体してやらねば。)」
……ニヤリ。小犬の腑抜けたような様子につい、
ふつふつと無邪気な悪戯心が湧く。
「………そら。」
どし。押すのではなく覆い被さり、圧し掛かった。
ぐにゅん。
「んぅ!?」
佐藤は後ろの衝撃に耐え切れず、限界を超えて前に曲がる。ゴリゴリッ!
大きな音だ。圧力に耐え切れず、体勢を崩して突っ伏す佐藤。
「うぇ!? ……わ、悪い、大丈夫か!?」
卓哉が慌てて脇から手を廻し抱きかかえて起こし、至近距離で横から顔を覗き込む。……グッタリしてる。
……しかし当の佐藤は腰の痛みよりも、自分の周囲に立ち込める女性特有の甘い香りと、倒れるときと、
今、背中に感じる布2枚隔てただけの押し付けられた胸の心地良い弾力に、ポッ、と心を奪われていた。
その様子を羨ましそうに見る周りの男子……。イジメの火種は卓哉によって点けられそうだ……。
その後。今日はバレーだった。結局その授業の間じゅう、ずっと卓哉に周りの視線が集まっていた。
矢張り異様に視線を感じつつも、飛んでくるボールをトス、レシーブ、スパイクと、打ちまくる卓哉。
そのたび揺れる胸。覗くへそ。締まった腰。禁欲を強いられている男子はそればかり目で追い続けた。
そのため、それ目当てにやたらと卓哉にボールがまわるし、やたらとスパイクが決まる。
最初は感じる視線に薄気味悪さを感じていた卓哉も自分の大活躍に心が弾み、段々気に留めなくなっていく。
段々と無防備に走り、跳ね回る。ゆるゆるのズボンが、腰の少し下までずれるときもあった。
それで……さらに大活躍。……味方のミスも増えまくっているわけだが。
そして、卓哉の大活躍のうちに授業が終わる。朝からのストレスも吹き飛び、心は晴れやかであった。
意気揚々と更衣室に戻る。入ってから気付く。
「(………あ、そうだった。まだこれがあった……。)」
この連中の直中で着替えなければ……。再び心が沈む。周りを見ると案の定、チラチラと視線が集まってる。
「………く……。」
端正な顔を歪ませ、ゆっくりと自分の服の置いて有る棚の前に進む。
その前でくるりと踵を返し、腕を組んでジトっとした目で少年たちを見据える。
……全員着替え終わるのを待つことにしたようだ。
その、卓哉が自分たちが着替えるまで動かないような様子を見た青年たちは残念そうに
「はぁ……」
と、
ため息をした。それは全員のため息が揃い、ため息の大合唱となる。響き渡った。
ムキッ!
「なにを期待していたんだこのオカマ野郎どもがぁ!!!」
体育館に甲高い声と肉を鋭く打つバンバンという快音が響き渡ったのであった……。
授業の後は20分の中休み。卓哉は窓際の席でウンザリした顔で窓の外を向き、突っ伏している。
それもそうだ。その間、色んなクラスから人が殺到していた。お目当てはもちろん、
学園に突然現れた美少女である。常識を超えた突然の性転換を遂げた人間という物珍しさもあるだろう。
ドアの付近と廊下と教室の間の窓は人で埋め尽くされていた。押すな押すなと大騒ぎである。
ふと起き上がり、ちら、とみやる。どよっと歓声が上がり、一瞬の間の後、全員一斉に鼻の下が伸びる。
……男が女に変わったという突拍子もない話は2時間足らずで一気に学園に知れ渡ったのである。
それがこのざまである。
「(………ウンザリだ……。)」
再び端正な顔をしかめ、突っ伏す。
伏せたまま足を延ばし、ちらちらこっちを見ながら隣りに座っている灰谷の椅子をゴスッと蹴る。
「……おい、お前ちょっと行って全部食べてこい。」
「な、何を!?」
「………………………。」
「……………………………。」
「………………………チッ、使えない奴め。飛べない豚は只の豚というだろうが。」
適当に貶し言葉を吐き掛けてまた、ゴスッと蹴り上げる。
「訳わかんないし………。」
「……いや、そうだ。お前が屋上から飛び降りて注意を他に引け。
この窓に一瞬見える空飛ぶデブ。これは目を引くだろ。そうしろ。さあ、テイクオフ。」
さらに力の無い声で適当に罵ってストレス解消しつつ、ゴスッ。また蹴る。
「それは飛ぶって言うか自由落下では……。」
しかし、本当に何とかならないものか…………。
がやがや。がやがや。相変らず視線は自分に集中している。最高に居辛い。
「………おい、何とかしろよ。」
ゴスッ。まあ、こいつに頼んで解決するはずもないだろうが
この居心地の悪さについ、口から思い付いたまま声が出る。
「う、うーん、しょうがないんじゃない? その、卓哉、可愛いし………。」
「…………………。」
ぴし。再び千切った消しゴムを投げつけた。
「褒めてるつもりか。このブサイクめ。」
「ひ、酷い………。」
「………女々しい言葉を吐くな。キモイぞ。」
ぴし。もう一発。
…とにかく、もうやってられん。ここは一つ、ほとぼりが冷めるまで…そう、昼休みくらいまで姿を隠そう。
そう決めたその時、電子音が鳴り響いた。キーンコーンカーンコーン。授業開始のチャイム。
それを聞いて廊下に殺到していた生徒達はこちらを伺いつつも慌ただしく引き上げていった。
次は世界史の授業。チャイムが鳴ってしばらくすると、担当の先生が教室に帰ってくる。
……それを見て、席を立つ卓哉。教壇に立ち、日誌を広げて出席を取ろうとしている先生に
近づき、
「先生、気分が悪いので保健室に………。」
と告げた。教室中が
「えぇ?」
と、ざわめく。無視。
先生は
「あ、ああ、そうだな。無理しない方がいい。」
と気遣ってくれた。突然女になった生徒。
色々とあるのだろう。そう汲んでくれたかのようだ。……まあ、環境の問題で気分が悪いわけだが。
未練たらしい視線を背中に感じながらも、がらっと扉を開け、退室する。
廊下を保健室へ向かって歩く。授業中のため廊下にはだれもいない。登校からずっと感じてた視線から
ようやく開放されたのだった……。
保健室。
「失礼しまーす…」
がらっと扉を開ける。足を踏み入れ後ろ手に扉を閉めつつ、見渡す。
「(………だれもいない?)」
保健室の先生が座っているはずの椅子はもぬけの殻だ。
その片方の空間は、今はカーテンで仕切られていてみえないが、ベッドが二つ並んでいる所。
卓哉の目当てはそれだ。
「(………まあ、ベッドでごろ寝出来ればいいし……。)」
まあ、報告は後回し。とりあえずカーテンをしゃーーー、と開けた。
「………っ!!!」
誰か、寝ていた。だれもいないと思っていたので意表をつかれ、ドキっとする。
近づいて良く見ると…………佐藤だった。ジャージのまま寝ている。
佐藤は体育のあのときの事で腰を痛めて保健室に来ていた。まあ、若いため大事には至らず、
軽い腰痛が残るだけだったが。そして、気を効かせた先生が佐藤を横にして休ませていたのであった。
「(うーん、悪い事をしたなあ、起きたら謝ろう……。)」
とりあえず開いている隣りのベッドに腰を下ろす。何をするでもなく、佐藤の顔を見る。
すやすやと気持ちよさそうに寝ているようだ。………それを見ていたら眠りたくなってしまった。
俺も寝よう…………。それが目的でここに来たんだし。
ネクタイを外し、上のブレザーを脱ぐ。しゅるり。衣擦れの音が静寂の教室に響く。
脱いだものをベッドの上に放り、その下の布団を捲り上げて潜り込む………と。
「……ぅ〜ん、だ、誰………?」
背後から寝ぼけた声が聞こえる。振り向くと、佐藤が目を覚ましていた。
「…………佐藤。」
佐藤が寝ぼけ眼を擦りつつ、目の前の人物を確認する。卓哉は気付くのを待つ。
「…………す、蘇芳さ、君……!?」
大きな声を出して勢い良く上半身を起こす。
「なんだよ………俺が居て不都合でも?」
眉を吊り上げて抗議する。でも内心、別に怒ってない。
ただのポーズ。
「そ、そんなことは………。」
それでも佐藤はしどろもどろになって弁解する。
……その姿に卓哉は少し微笑ましく思えた。小犬を見る時に感じる感情に似ているかもしれない。
「さっきはふざけて悪かったな、佐藤。…腰、大丈夫か?」
「う、うん、湿布貼っただけですんだから…。」
「そうか…………。まだ痛むのか?」
「い、いや、そんなには………。」
……つまり痛いわけだ。自己嫌悪に苛まれる。これは悪い事をした。
「うッ………。腫れてるのか?」
佐藤に顔を寄せる。
「さ、さぁ、見てないからそれはわからないけど……
多分大丈夫だから、その、気にしないで下さい……。」
目を伏せて少し俯き加減になる佐藤。
それは佐藤の女の免疫力の無さから来た恥じらいだった。物凄い美人と超至近距離で話している。
良い匂いもする。視線を顔から少し下げると大きな胸が見える。良く見るとノーブラのため胸の先端が
ワイシャツにくっきりと浮き出ている。とても上を見ていられない。
さらに視線を下げると、急いで着替えたのかワイシャツのボタンのはまっていないところから
ほんの少しだけ浮き出た腹筋の縦ラインとへそが無防備に覗いた。もはや何処を見ても目の毒であった。
下を向いて俯き加減になる佐藤。しかしお人好しの卓哉には、それは痛みを堪えているようにみえた。
「ぅ………と、とりあえず見せてみろ。見てやるから。」
佐藤に詰め寄り、肩に手を掛け背中を向けさせようとする。卓哉の肩が手に触れた瞬間、ビクッ! として
「だ、大丈夫ですから…! 本当に!」
と弱々しく抵抗をする。
「良いから良いから……!」
卓哉は佐藤の布団をまくり、無理矢理うつ伏せに横たわらせた。
「い、いいたたた……。」
「………言わんこっちゃない。ほら、おとなしくしてろよ………。」
少し強引にうつ伏せにする。
卓哉がもがく佐藤の太腿の当たりで馬乗りになって背中をまくると……湿布が2枚張ってある。
そこはやはり少し腫れ上がっている。
「あぁ……これ………。」
痛々しい。
「も、もう良いですから……別に……。! い、いたたたた………」
身を捩ろうとしたが、腰が痛んだようだ。
これは結構重症かも………。益々自己嫌悪。な、なにかしてやれる事は………。
「そ、そうだ、さすってやるから………。」
何となしにそう提案する。
返事を待たずにスリスリ、とさする。自分でもこれで痛みが和らぐとは思わないが。
しかし、人の良い卓哉はなにかせずにはいられなかった。
スリスリスリスリ………。
「す、少しはマシになった……?」
自分でもマシになるとは到底思えないが……。
「う、うん………。」
でもまさか心からの親切を無下にするわけに行かず、そう答える。間抜けな会話。
いや、むしろ背中よりも太股に感じる柔らかなお尻の弾力と、女体の心地よい重さの方が心地よかった。
スリスリスリスリスリスリスリスリスリ…………。静かな教室の中、かすかにその音だけが響き渡る。
その時。……ガチャ。カーテンの向こうからドアの開く音と数人が入ってくる足音。
「あれ? 先生は留守?」
「……いててて、参ったな……。」
「ほら、そこ座れよ。」
声が聞こえる。
マ、マズイ! 卓哉はとっさにそう思った。別に見つかっても堂々として正直に事情を説明すればいいのだが。
でも今、卓哉は男から逃れてここに来たのもあって、とっさに逃げの選択をする。
しかし、どこに…………、いや、考えてる暇はない!
「佐藤、俺は隠れるから適当に誤魔化してくれ!」
そう耳打ちし、佐藤をぐいっと仰向けにしてから上半身を起こさせる。
「いっ!」
佐藤の腰が痛み
つい声が出てしまう。
「………何だ? 誰かいるのか?」
カーテンに足音が近づいてくる。
急がねば! 卓哉は布団をガバッと頭からかぶり佐藤の腰に思い切り抱き着き、下半身と同化した。
しゃーーーーーー。カーテンが開く。
「あ、誰か居たのか。……先生は何処かしってる? 捻挫したやつがいるんだけど。」
「あ、ああ、先生は午後まで留守にするって出てったと思ったけど……。」
「あ、そうなのか………じゃあ、勝手にやっちゃっていいのかな……。」
…ぶつぶつ言いながらその一人は今度は棚を漁りはじめる。カーテンは閉めて行かない。
「い、行った………?」
卓哉がひそひそと聞いた。
「ま、まだです………。」
ひそひそ。
「ぅぅ………。」
卓哉の腰を抱きしめる手に、ついきゅっと力が入る。
……佐藤はその、ある種背徳的なその行為に少しくらくらとしていた。
布団一枚の下では、女の子がばれないようにがしっと腰にしがみつき、密着している。ぎゅうぎゅうと
太股に柔らかい胸が押し付けられてる。綺麗な顔が自分の股間をぐにゅ、と押しつぶしている。
………つい、勃起してしまう。
「(…………ん?)」
頬の辺りがなにかに押し上げられる。
「…………?」
気付くのに数秒要した。
「…………!!!!!!」
佐藤のペ○スが頬にグリグリと押し付けられる。
思わず声を上げそうになるが、いまこの状況で出るわけにもいかないし、じっとそのまま耐える。
グリグリ。どんどん大きくなっていく。
「(…………ぅぅ、佐藤の奴…。)」
しかし、耐えるのみ。
佐藤もそれをどうしようもない。しかし、罪悪感よりも女の子の顔にペニスを押し付けている感触が
彼をこれ以上ないくらい激しく興奮させていた。柄にも無く。
「よし、これで良いな。」
「よし、もう行こうぜ。」
「失礼しましたー。」
治療を終えた生徒が社交辞令の言葉を上げて去っていく。ガッチャン。ドアが閉まる音。
「………………行った?」
それを聞いて卓哉がもそもそと布団から這い出てくる。
佐藤の肩に手を掛け、後ろを向いたままずりずりと這い出す。図らずして殆ど座位の姿勢になる。
後ろの空間をじろじろと気にしている卓哉は全く無意識で、無防備だ。
大きな胸が佐藤の目の前でどアップで動く。至近距離で見ると透けてみえるのが良く分かる。
綺麗な胸の形が丸見えだ。心臓の鼓動が物凄く早くなる。くんくん。甘い匂い。恍惚となる。
……ここでようやく卓哉が前を向く。
「………佐藤?」
佐藤の返事が無い。
目線の先を良く見ると、胸をじっと凝視しているのが解った。
「ぁっ………悪い!!」
つい、謝罪の言葉が口に出る。邪魔になってると思った。体を離そうとする……。
……佐藤は目の前でふるふる揺れる胸を凝視していた。
「……………はぁ………はぁ………はぁ………。」
息が荒くなっていく……。と、卓哉が体を離そうとする。佐藤の目の前の胸が遠ざかろうとしている。
「(ぁ、離れていく……。)」
そう思ったときにはつい手が伸びていた。無意識的に。
遠ざかる体に手を廻し、抱きしめ、ぼふっ、と顔をたわわな胸に埋める。
「!!……おい、ちょ…っ!!」
その感触と声に、つい我に帰り、血の気が引く。
「(!……な……や、やってしまった………。)」
やろうと思ってやったのではない。無意識に手が出た。
……しかし、今更どう弁解のしようが無い。体が硬直する。高鳴る心臓が今度は焦燥のリズムに変わる。
それでも頭は胸の間に。良い匂い。呼吸のたびに甘い香りがする。
…………卓哉の背中に廻した手がさらに強く絞められる。さらに顔がむにゅんと押し付けられる。
「お、おい、お前、何やって………!」
卓哉が引き剥がそうとする。
しかし、きつく抱きしめられているため剥がす事はかなわない。
「…………ぅ…………!」
佐藤はちびで弱虫だし、腰の件の負い目もあるため、卓哉は今一つ強く出れない。
これが灰谷だったら、耳を千切れんばかりに引っ張った後、目に指を突っ込んでやるのだが。
「お、おい、放せよ……」
弱々しい声で言いつつ、頭をペンペンと叩く。
………しかし、佐藤は顔を胸に埋めたまま離れようとしない。本当は自分でも驚いて固まっているのだが。
佐藤の頭が葛藤する。
「(ど、どうしよう……今更冗談でしたではすまされないし……!?)」
……きゅっ。そう思いつつも佐藤は抱きしめた手にさらに力を込め、顔を胸に埋める。
柔らかい。良い匂い。………出来ればずっとこのままで居たい。
………その誘惑で、一瞬、ある考えがよぎる。
「(もし、もし、最後まで行けるとしたら…………。)」
想像する。
この柔らかい胸をはだけてむしゃぶりついたらどんなに甘い味がするのだろうか。
あの綺麗な唇に舌を刺し込んで口中を嘗め回したらどんなに甘い味がするのだろうか。
この締まった腰、へそ、腹筋、柔らかい脚を心行くまで嘗め回すのはどんな気分だろうか。
この丸い尻を揉みしだくとその弾力はどんなに柔らかく手を押し返してくるのだろうか。
この極上の女体の裸を隅々まで眺め、まさぐるとどんな感触がするのだろうか。
この女性のアソコに自分のペ○スを入れるとどんなに気持ち良くなるのだろうか。
Hな本で言われている通り、温かく、柔らかく、ヌルヌルとして、きついのだろうか。
この女性の腰を掴み、激しく腰を尻に叩き付け性交しているときはどんな気分になっているのだろうか。
それを考えると佐藤の鼓動が早くなっていった。頭に血が上る。
………そして、もう、それしか考えられなくなる。
「す、蘇芳さぁんっ!!」
がばっ!
「えっ…んむぅ!?」
飛び掛かり、突然のキス。ちゅうぅぅぅぅ、と卓哉の唇が吸われる。
「(甘い! 女の子の唇ってこんなに甘いものなのか!)」
佐藤は夢中になって吸う。
「んむっ、ん、んんっ………」
唇を吸われつつも、卓哉が身を捩って離れようとする。
しかし、佐藤の腕は卓哉の首にがっちりと廻され、自分の唇にぐいぐい押し付けている。
ちゅぅぅぅぅぅぅぅ、ちゅっ、ちゅぅぅぅぅぅ。物凄い吸引。佐藤は夢中で貪る。
「ん、んんんんーーーっ!」
佐藤の頭をかきむしりつつ、ただ吸われる事しか出来ない卓哉。
佐藤が卓哉の唾液を吸い取っていく。夢中で嚥下していく。ちゅぅぅぅぅぅっぅぅぅ。ごくっ。
しばらくして苦しくなったのか、一瞬唇が放される。その機に卓哉が口を開く。
「おい、ちょっと、止め…んぶっ!」
既に佐藤には聞く気はない。未知の体験への期待と欲望で頭がいっぱいである。
今度は口を開いたまま再び唇を合わせる。そして、卓哉の口に舌を差し入れようとする。
しかし卓哉は前歯をがっちりと閉じ、粘体動物の侵入を防ぐ………が、それも何時までも
耐え切れるものではない。無意識のうちに空気を求めて口を開く。
それまで前歯を嘗め回してただけだった舌が、一気に口腔内に潜り込んでくる。
「んむぅっ!」
卓哉が身を捩る。
しかし、依然としてがっちりと卓哉の顔を抱え込んだ佐藤の腕に卓哉の動きは押え込まれる。
「」
口の中を佐藤の舌が暴れまわる。強く吸われている。
唾液が流し込まれる。同時に唾液が味わわれる。
「んっっ……んっっっ…!」
卓哉は舌を使って佐藤の舌を押し返そうとする。しかし、それに佐藤は悦んで応えた。
むちゅ………ちゅぅぅぅぅ………ぴちゃっぐちゅぅぅぅ………………じゅるっ
押し合い、絡み合うピンク色の二つの粘体動物。卓哉の抵抗はお互いの口腔内を貪り合っただけだった。
「んちゅっ………じゅるる………くちゃっ…ぴちゃっ…」
甘い甘い卓哉の鮮やかなピンク色の唇の味に、佐藤は夢中で貪った。
「(甘い! 美味しい! もっと! もっと!)」
……くちゃっ…じゅるっ……ぴちゃ……じゅる…ちゅく…………
激しい水音が響き渡る。
その口腔内の柔らかく、激しい愛撫に卓哉の脳髄は次第にとろけていった。
………どさっ。卓哉が押し倒され、重なり合ったまま倒れ込んだ。………口も繋がったまま。
「はぁっ……れろっ………ぴちゃっ……ちゅくっ……ぶちゅ………。」
「んむっ……くちゃっ……ぶちゅっ……じゅるるるるるるる…………っはぁっ。」
いつしか卓哉の抵抗はとっくになくなり、目は潤んで、むしろ自ら口腔内を貪りにいく。
……じゅるるるる……んっ……ちゅくっ………くちゃ…………くちゃ……
……卓哉の手が佐藤の頭に回る。そして、自分の唇により強く押し付けていく。
ぐちゅっ…………ちゅぅぅぅぅぅぅぅ………ぴちゃ………くちゅ………
唾液を激しく、夢中で交換し合う。甘美な快感が二人を襲う。
卓哉がしがみついてきたのを見計らって、佐藤は口を貪りあいながら卓哉の頭に回した手を下に持っていく。
太股を掴み、閉じていた股を割る。そして、卓哉の脚の間に体を入れる。
くちゅっ………ぴちゅ………じゅるるる………くちゅっ………
卓哉からは抵抗らしい抵抗も無い。夢中で口腔内を貪り合う。
お互いの舌の弾力。ぬめり。絡み合うときの淫靡な音。二人は夢中だった。
………ぶちゃっ………れろっ………くちゃ……ぷちゃ……
口腔で繋がりあいながら、佐藤がズボンの上から尻を揉みしだく。ぐいぐいと。
「んふっ………ちゅっ………はぁっ………うふぅ………くちゃっ……」
卓哉は吐息を漏らし、佐藤の腰に足を絡めて、その行為を歓迎した。
そして佐藤はその心地よい弾力を存分に味わいつつ、さらに口腔を犯す。
「はむっ……ぷちゅっ………じゅるるるっ……ちゅくっ……ぴちゅ………。」
「じゅくっ……くちゃっ……ぶちゅっ……ちゅうぅぅぅぅぅ…………んふっ……。」
そのまましばらく二人は口腔性交を続けた。
そして、どちらからとも無く、体を離す。
「はふぅ…はふぅ…はふぅ…はふぅ…はふぅ…はふぅ……。」
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…。」
潤んだ目で見詰め合う。
佐藤が上半身を起こし、卓哉のワイシャツのボタンに手を伸ばす。
「!……っ…も、もうこれ以上は…。」
卓哉が、はっ、と我に帰り、軽く上半身を起こし行動を制止する。
「蘇芳さん………んっ!」
「んぅ!」
もう一度佐藤が唇を奪う。今度は激しいものじゃなく、舌を口に刺し込んで
口内をベロン、と一回舐め上げただけのもの。唇を放す。
卓哉の目が潤む。抵抗する気を奪った。
胸に手を伸ばし、ボタンを外していく。プチ、プチ、プチ。次第にあらわになる大きな胸。
ボタンを外すその手を止めようと卓哉の手が佐藤の手を弱々しく掴み、首を振る。
でも、それはポーズでしかない。男同士でそんな…と思いつつも、甘い愛撫で体は快楽を欲していた。
手をのけ、ボタンを全部外していった。ぽろん、と胸が開放される。
形の良い大きな胸が眼前に姿を現わした。更衣室でちらりとしか見れなかったもの。それが大きく目の前に。
凝視する。目が血走る。
「はぁ………これが蘇芳さんの……………。」
武者震いで震える手で触る。
「ぅ……お、おい、怖いよ………。」
手は肩に置いたまま、胸を晒したまま非難する。
しかし、聞こえてない。
………ぎゅぅぅぅぅぅぅうううう!!! 思い切り掴んできた。
「い、痛っ!」
………はっ! その声で佐藤が我に帰る。
「ご、ごめんなさい! 僕、夢中で、その…。」
ぱっと手を放ししどろもどろと弁解する。だがすぐに
「じゃ、じゃあえと、コレは………どうですか?」
やわやわやわと揉んでくる。胸にじわっと快感が生まれる。
「き、気持ち良いですか……。」
今度は円を描くようにぐにぐに揉みながら見上げて聞いてくる。
「え……そ、それは、その……ぅ。」
返答に困る。
男に胸を揉まれるなんて。それに、この行為の最後にあるのはきっと…。今すぐ止めさせなければ、と思う。
……でも正直、気持ちいいのは止めたくない。……でも相手は同じ男……。卓哉の心が葛藤する。
そんな葛藤を余所に、佐藤は胸を揉み続ける。
「ああ、女の人の胸ってこんなに柔らかいのか……。」
初めての感触に感激する。むにむにむにむに。息は荒く、大きく形を歪める胸を凝視しつつ、揉む。
「…………く…………」
胸がじんじんする。気持ち良い。止めなきゃ。でも止められない。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…………んっ」
「うんっ!」
佐藤が揉むだけでは我慢出来ず、胸を口に含んだ。いきなりピンク色の先端を舌でころころと転がす。
「んっ!」
じんじんが強くなる。
「す、凄い。ほんとに固くなった……。」
今度は甘噛みしつつ言う。
「ば、馬鹿! そういう事を言うか………?」
頭を小突く。
「ご、ごめんなはい……んむっ。」
律義に返事を返し、また味わう。乳房全体を嘗め回す。れろんれろんと。
佐藤は口が小さいので大きく動かさないと乳房全体を舐めきれない。胸の上で激しく首を振る。
「うおうはん………っちゅ……あ、あまいれふ。おいひいれふぅ………ちゅっ。」
「ぅ、ううううう……。」
卑猥な褒め言葉を言われるが、返す言葉も無くただ身を捩じらして唸る。
ちゅっ…ちゅばっ…じゅるるるっ………ちゅぱ……ちゅうぅぅぅぅ……
卑猥な水音が響く。
「お、音立てるなよ……」
卓哉が弱々しく言う。
そうじゃなく、もっと他にいう言葉があるだろうに……。そう思うけど。
「は、はい。……はむっ。」
また律義に応え、ちゅうう……ちゅぅぅぅぅ。夢中でむしゃぶりつく。
先端を重点的に吸ってくる。たまに甘噛みして。
「んんふぅ………っ!」
身を捩り、激しく感じる。
でも次第に
「………じゅうぅぅぅぅ……ちゅっ……れろっ……むちゅっ……。」
また大きい音になる。夢中で吸う。何も出てきはしないのだが。
…………数分後。心行くまで胸の感触と味を堪能した佐藤。残るは………最もいやらしいところ。
胸元から上半身を起こし、ズボンを脱がそうと、息荒くベルトに手を掛ける。
「っ!……だ、駄目だって……。」
卓哉の理性がその手を制止する。腰をくねらせ、佐藤の手を掴む。
……だが、力が入らない。体は既に最後まで続ける事を渇望している。抗うのは俺は男、という理性。
それだけだった。
でももはや、佐藤の未知の経験への情熱は誰も消す事が出来まい。
制止する卓哉のその手を軽くいなし、卓哉のベルトをかちゃかちゃと外す。
「(もうすぐ……もうすぐ……。)」
脱がせながら佐藤の息が荒くなる。心臓の鼓動がさらに早くなる。
卓哉がときおり体をぴくっ、ぴくっ、と震わせながらも、おとなしく脱がされていく。
その震えは、灰谷のときのあの初体験の痛みの記憶の恐怖。そして、男同士なのに、というまだ続く理性。
そして……先ほどからの行為でうずいて仕方が無いアソコを沈めてほしいという体の欲望。
脱がされている最中、これらが激しく卓哉の頭の中をぐるぐると回っているためだ。
かちゃ……ずるっ。
トランクスごとズボンを剥ぎ取る佐藤。
反射的にさっ、と佐藤の横に投げ出されていた足を閉じ、手で隠しつつ、腰をくねらせ、恥じらう。
「な、なぁ、やっぱり、変だよ……こんなの……。も、もう、やめよう……。」
絞り出すような声で言う。
「そ、そんなことないです。蘇芳さん、とても綺麗です!」
閉じられた足のむちむちした太股の間に手を差し込み、開かせながら目を見て力説する。
そして、足はあっけなく開かれる。口で言うほど抗う気はないようだ。
しかし、卓哉の手はまだアソコを隠していて、待望のソレはまだ見る事が出来ない。
「で、でも、俺達男同士だしさ……その………。」
さっきから心に突っかかっていた台詞が口に出る。
でも。
「な……蘇芳さんは今は綺麗な女の子じゃないですか!」
焦らされてつい、声が荒げられる。
……それは本当は自分でもわかっている。でも、でも……。
………そんな卓哉の葛藤を余所に佐藤の頭の中はまだ見ぬ秘所への、青い性の欲求で一杯だ。
「蘇芳さん、手をどけますよ……。」
と火が点いた佐藤が最後の砦をどかす。……砦はあっけなく崩れる。
………ついに潤いきった秘所が佐藤の眼前にさらけ出された。
「こ、これが女の子の……こ、こんななってるんだ……。………き、綺麗です、蘇芳さん……!」
佐藤が初めて見る女の子の無毛のアソコ。全て丸見えだ。かなり興奮している。太股をぐい、と広げさせ、
顔を股間に埋めて限界まで接近する。そして、そこを凝視し、目を離さずに褒め称えた。鼻息がかかる。
……いや、匂いを嗅いでいる。
「ああ、これが、これが………おま○こ………なんだ………!!!」
心臓の音が離れた卓哉の耳にまで聞こえる。はぁはぁという息使いが部屋中に響く。
「………す、凄い、凄いです………毛が生えてないから………丸見えで……………!」
まじまじとみながらうっとりと息を漏らす。凄い形相だ。
「ぅぅ……。」
その感激ぶりと人が変わったような迫力に、卓哉の頭に初体験のあの恐怖が思い起こされる。
「……ぃ、ぃゃ………。」
無意識に女のような声が出てしまう。しかし、誰も気にとめない。
それが当たり前であるといった風に。手で佐藤の頭を押し返し、腰をくねらせ、足を閉じようとする。
しかし、佐藤は内股をがっちり押さえつけていて足を閉じる事はかなわない。
「だ、大丈夫です、痛いこと、しませんから………」
顔をちらちら見てそういいつつも、意識は初めて見る女性器に釘付けだ。
……佐藤が初めて女性のアソコを見たのはそう、中学時代、道端で見かけたヘアヌード写真集。
拾えなかった。なんか自分が汚れてしまう気がしたし。純情な佐藤はそれが精いっぱいだった。
毛で隠れていたからどんな形か全然わからなかった。もちろん見て、すぐ逃げたのもある。
そしていま、数年間、想像して想像して、恋焦がれていたもの全てが目の前に見える。
「ああ、凄い……濡れてる……本当に濡れるんだ………。」
はぁはぁと息が吹きかけられる。
内股を押さえつけながらスリスリとムッチリした太股を撫で回す。それだけでもどんどん濡れてしまう。
…卓哉はまだ葛藤している。このままでは最後までやられてしまう……。…でもこの疼きを……。
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ………はむっ!」
それまで凝視するだけだった佐藤が
堪えきれずに勢い良くむしゃぶりついた。
卓哉の股間に甘ったるい電流が走る。
「っうきゃぁん!」
思わず可愛い声が出る。
「………じゅるるるるる………はぁっ……レロッ…お、おいひい、おいひいれすすおうさぁん……!」
興奮しながら激しく穴を嘗め回す。目茶苦茶な舌使い。……それでも疼ききった股間には最高の愛撫だ。
「んぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんん!!」
大きな声で鳴き、悶える。
「はふっっ……じゅるるる……はぁ…ど、どんどん溢れてくる……ぜ、全部飲んであげますからね…!」
「んぁん!!」
そこにいるのは、ちびで弱虫の佐藤ではなく、雌への欲情に駈られた一匹の雄だった。
じゅるるるるるる……ちゅぅぅぅぅぅぅっぅう……れろっ……
凄い水音。前についている穴という穴を目茶苦茶に嘗め回す。そしてその愛撫で溢れてくる愛液を吸う。
「んっくぅぅぅぅぅん!!」
佐藤の頭を押さえつけ、腰を激しくくねらせ、悶える。
「ちゅっ……じゅるるるるるるるる……ああ、おいひい、さ、さいこうですぅ、すろうさんっ……!」
「んっふぅううん、くぅぅぅぅ!!」
突起を柔らかい舌でグリグリと潰される。腰がのけぞり、浮く。
執拗な愛撫は続く。膣口に浅く舌を差し入れ、敏感な入り口周辺を引っ掻き回す。
「うぁぁぁん! やはぁぁぁぁぁ!」
腰が踊るように跳ねる。つい、腰をぐいぐいと頭に押し付けてしまう。
「ああ、いやあひい、いやあひいれす、すおうはんん!!」
股間に顔を埋めつつ興奮する佐藤。
大きな胸を震わせ、くびれた腰を艶めかしく、激しく躍らせて、大きく脚を開き、
男の顔を股に受入れ、喘ぐ。その姿は佐藤の言うとおり本当にいやらしい。
佐藤の舌がさらに跳ね回る。先を尖らせ、尿道をグリグリと強く刺激する。
「ぁぁぁあああああああん! そ、そこはぁっ!!」
しかし、その叫びもむなしく、愛撫は執拗に続く。
………じゅるるるるるる………ちゅぅぅぅぅぅ……れろれろれろれろ………
「あっあっあっあっあっあっ………!!!!!」
いつしか、波がやってくる。
………腰ががくがく動く。佐藤の顔にアソコがぐりぐり擦り付けられる。
「はふっ、はふぅっ、ひんっ、ひぃっ、あはっ、んっ、んひぃっ…………!!」
……しかし。佐藤が突然愛撫をぴたっと止めて、股座から顔を上げた。
「………っ! えっ………あっ………。」
……いけなかった。思わず切ない声を上げ、身を捩る。
「っはぁっ、はぁ、はぁっ、はぁ………???」
肩で息をしながら呆然とした顔で、佐藤を見る。
佐藤は上半身を起こし、ずい、と圧し掛かり顔を寄せてくる。口の周りは愛液とよだれでべとべとだ。
「す、蘇芳さん、ぼ、僕もう我慢が………。」
血走った目。荒い息。手はズボンに掛けられている。
卓哉の脚の間で、ベルトを慌ただしい手つきでカチャカチャと外そうとしている。
でも、武者震いに震えたその手は全く虚空を切るばかりだった。
………ちび佐藤が俺の体を激しく求めてきている。
……そうだ、ここで断ればきっと犯られずにすむ……。俺は男だし……こんなの、間違ってる。でも……。
ここに来て最後の決断を迫られる。卓哉は激しく葛藤する。……そしてギリギリの理性を搾りだす。
「っ、さ、佐藤、やっぱり、こんなの、やめよう……間違ってる………」
弱々しい声で言う。
「そ、そんな、何も間違ってませんよ……!?」
かちゃかちゃと外しながら言う。
本当に我慢出来ないらしい。
「だ、だって俺は男だし………。」
「そ、そんな、蘇芳さんは何処からどう見ても可愛い女の子です!」
…………かちゃ。ベルトが外れる。尻ごむ卓哉を無視して、佐藤は一気にズボンとトランクスを脱ぐ。
プルン。控えめな剛直が弾けるように姿を見せる。さらにワイシャツも勢い良く脱ぎ散らかし、全裸になる。
…………目が釘付けになる。胸がきゅんとなる。男だったらありえない感情。
……女になって別に性欲がなくなったわけじゃない。気持ちいい事は嫌いじゃない。
でも、体を自ら許したら心まで女になってしまう気がする。それに……何よりあとで自己嫌悪に陥る。
それだけが不安だ。だから………。いや、でも、佐藤は知らず知らずやってたんだろうけど、
やっぱりぎりぎりで行きそこなって焦らされた体が疼く。身を捩じらせる。早くすっきりしたい………でも。
この一線を超えては………。
卓哉の葛藤は続く。
……だが。佐藤は圧し掛かってた上半身を戻し、改めて卓哉の股間に体を埋めた。
そして卓哉の腰を掴んで引き寄せ、自分の腰と密着させる。
「あっ………よせ………っ!!」
弱々しく抗議し、身を捩じらせる。だがそれ以上の抗議はしない。
拒絶するまでもなく股を開き、股座に男を迎え入れたまま。今更何を言っているのかと自分でも思った。
………佐藤がペ○スを卓哉の股間にあてがう。……………入れられる!
「!!!!…………」
その瞬間に身構える。
しかし。佐藤はペ○スの先でグリグリと秘口を弄りながらこちらの様子を伺うのみだった。
「え、ぁ………んふ………………??」
………い、いれないのだろうか? 卓哉は面食らった。
ぐりぐり。カウパーのドロドロと滲み出ている先っぽが秘口に宛がわれ、擦っている。くちゃくちゃと。
カウパーと愛液がヌルヌルと卓哉のマ○コで混ざり合う。とんでもなく卑猥なその光景と音、
そしてじわりと来る快感に、さっき行きそこなってそのままなのもあって、卓哉の激情は一気に燃え盛った。
「ぁ…………ああ…………あ………。」
切なげな声を出しながら、グリグリと秘所を擦るペ○スの動きに合わせて思わず腰をくねらせる。
「(……いれたい。いれたい。いれたい。いれたい。)」
くちゃくちゃ。くちゃくちゃ。くねくね。
頭がその言葉で埋め尽くされた。何も考えられない。ポーーーーっとしてくる。
でも…でも。卓哉の理性はそれでもなお、強固だった。
………地獄だった。せめて無理矢理入れてくれればどんなによかったか。
「ふぅ…ふぅ…はぁ…んふぅ……。」
卓哉の息が荒くなる。くちゃくちゃくちゃくちゃ。くねくねくね。
水音は止まらない。無意識に動く腰も。
もう少しで、折れる。そんな卓哉を見て佐藤が甘く囁いた。
「す、蘇芳さん、今時の女の子の間じゃあ、セックスってスポーツ感覚なんですって……。」
「…んふっ…ぅ………??」
卓哉がボーっとした頭で話を汲み取ろうとする。
くねくね。くちゃくちゃくちゃ。その間も腰の動きとペニスの動きは止まらない。
「……それで、で、今、卓哉さんは女の子、じゃない、ですか。」
「……うん……。んふ……っ。」
くちゃくちゃくちゃくちゃ。くねくねくね。
目を合わせない。二人とも目は擦り合わされるお互いの性器に釘付けだ。
「はぁはぁ、で、何、何でセックスしないんですか?」
「だ、だって、俺は元々男だから………。
このからだは………んふっ………今だけの奴で………んぅ……。」
くちゃくちゃくちゃくねくねくね。
カウパーと愛液の混合液がダラダラと流れ落ちる。すでに卓哉のお尻の下には物凄い大きな水溜まりが。
「はぁはぁはぁ……え、ええ、そう、今は女の子です。なんで、男の、考え方なんです……? ふはっ。
 セックスは……好きな異性、としか、やってはいけないってのは…ふっ…男の考え方じゃないですか?」
「う、うんんと………そ、それ、わ…んふっ……。」
○ニスの動きを強く、早くする佐藤。
にっちゃにっちゃにっちゃにっちゃにっちゃにっちゃ。
「! あ……ぁぁああ………あ………!」
切なく喘ぐ卓哉。腰の動きもそれに合わせて活発になる。
ぐりぐりぐりぐりぐり。気持ち良い。気持ちいい。きもちいい。
「はぁはぁ、す、おうさん、今は、間違いなく女の子なんだから、男の考え方なのは、間違って、ます。
女の子にとって…はぁ…スポーツ…なんですから…。…すおうさん、スポーツ、好き……んっ…ですよね?」
ぬっちゃぬっちゃぬっちゃぬっちゃ。
「うん、っふっ、うん……う、うん、すきぃ………あはっ……。」
ぐりぐりくねくねぐりぐり。
のけぞり、だらしなく喘ぐ卓哉。歯を食いしばり、即時挿入の燃え上がる欲求を押さえつける佐藤の
おとした涎がダラダラと卓哉の綺麗な腹筋のラインとへそをつたってシーツに落ちる。二人とも限界寸前だ。
もう、卓哉はなにも考えられない。でも、納得した。別にセックスしていいらしい。
「はぁ……じゃあ……んふっ……これ…………。」
くねくねくねにっちゃにっちゃにっちゃ。
………………最後の砦は崩れた。後に残ったのは性欲に満ち溢れる雌でった。
……佐藤もさっきから自分で何言ってるのかわからない。適当いってむりやり納得させた。
でも、何としてでも、合意の上やらなければ犯罪だ。そう、おもったから。……佐藤は気弱な男だった。
本当はすぐにでも入れなければ気が狂いそうだったが。
「はぁ、はぁ、はぁ………じゃ、じゃあ、入れますよ………」
心臓が高鳴る。頭に血が上る。
息を荒げ、ぐい、と圧し掛かり膣口に狙いをつける。もうすぐ、もうすぐ女の味が………。
未知の快楽の体験への期待と焦りが手をがたがたと震えさせる。
「う、うん………うん…………うん…………うん………。」
卓哉ももう、目がうつろである。
卓哉も柔らかい股関節をつかって挿入しやすいように手で太股を持って脚を180度近く大開脚させる。
お尻が腰を支えに宙に浮く。股間にはダラダラとはしたなく涎を垂らす口。
その流れは後ろの穴で雫となり、シーツに落ちる。
…………ぐっ。……するっ。
「あ、あれ……?」
ペニ○はアソコの陰核を擦っただけ。
「んふっ!」
卓哉の喘ぎ声が聞こえる。でも、それは欲しかったものと違う。卓哉が非難の目で見てくる。
こ、今度こそ。………ぐっ。………するっ。
「んっ!」
また陰核と、○ニスがコリッと擦れる。
でも違う。欲しいのはこの刺激じゃない。
「んぅぅ……」
大開脚し、挿入を待っている卓哉が
腰をくねくねと動かし悶える。待ちきれなくなったのか、片手を太股から放し、佐藤のペニ○を握る。
焦らされたのもあって、つい強く握る。ぎゅむぅぅぅぅぅ。
「あぁっ…………」
切ない声を上げる佐藤。
思わず達してしまいそうになるが、こんな極上の女体を目の前に出す事など出来ない。踏ん張って耐える。
そんな佐藤の様子には目もくれないで、握ったペニ○を自分の入り口に誘導する。
「………いまのは、オシッコの穴でぇ………ホントは……んふぅ…ん………こぉこぉ……」
今迄聞いた事のない甘い声。卓哉の目はもはや快楽に染まりきっていて、虚ろだ。
入り口にペニ○を沿える。先っぽが膣口に入る。
「あっ!」
「んぅっ♪」
同時に快楽の声が上がる。
佐藤の息が荒くなる。……先っぽがヌルヌルと温かい。もっと奥はどんな感じなんだろう?
………それは入れれば解る事。すこし腰を突き出せば入るだろう。……鼓動が早くなる。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……!」
最早、我慢の限界。
佐藤が卓哉の胸に、ぐに、と両手をつき、一気に腰を進め、挿入する。
「ん!」
ジュプッ!大きな水音。
「うあっ!!」
「んあぁぁぁぁああ!」
二人の声も同時に上がる。
卓哉の胎内は潤っているため、一気にペニスは奥の子宮口を叩く。ズン!
「んあぁっ!」
子宮口を押し上げられた卓哉が大きく声を上げる。
「ああ、これ、これが女の子の……………。」
卓哉の秘口は狭く、きちきちと物凄い強さで締め付け、ヌルヌルして熱い。……恐ろしく気持ちいい。
入れたペニスが浮くようだ。オナニーなんて比較にならない。
「くぅぅぅぅぅ………はぁぁ………。」
卓哉も疼きの元に蓋をされて、おもわず腰をくねらせ、よがる。
卓哉の経験の少ないアソコも今迄の愛撫ですっかりほぐれ、少しひりひりするがそれ以上の快楽が
全身を駆け巡る。すこし、佐藤のモノが小さいのもあるだろう。
…………快楽にしばらく恍惚とする二人。
しばらくして佐藤がいきなり激しく抽旋を開始する。胸が目の前で弾む。いや、それ以上に股間がヤバイ。
「うぁぁっ!」
「うんんっ♪」
ぬるぬるきつきつに加えて、でこぼこしている。脳髄が痺れる物凄い快楽。
思わず腰が浮く。……実は卓哉の性器はミミズ千匹という名器の一つだった。しかもキツイ。
気分の高揚しきった童貞ではとても耐えられるものではない。数回の抽旋で………。
「あ、で、でますぅぅっっっ!!!」
ずぐっ! 腰を目一杯奥に突き込む。ペニスの先っぽがコリコリしたところを激しく押し上げる。子宮口だ。
「んくっ!♪」
灰谷のときとは違い、子宮を押し上げられても顔が快楽に染まる卓哉。
どくっどくっどくっどくっ………子宮に大量の精液が流し込まれる。……その量は灰谷を上回る量。
ぎゅうぎゅうと締め付けられ、絞り出されるかのよう。
長い時間、放出する。卓哉の腰をがっちりと掴んだまま、自分の腰を力いっぱい密着させて精を吐く佐藤。
「……………ふぅぅぅ………はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。」
佐藤がペニ○を抜く。
………ゴポッ。とても一回で出したとは思えない量の精液が、無毛のそこをつたって、滝のように
シーツに垂れる。………垂れてきた分だけでも50ccはある。
「はふっ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ………。」
精を吐き、どさっと尻餅をつき崩れ落ちる佐藤。
その下で、手で足を大きく開き、その中心から精液をダラダラと垂れ流している卓哉が身を捩り
「ん〜〜!」
と不満そうな声を上げた。卓哉は最初のクンニからずっとイケないで昂ぶったままだ。
気が狂いそうな焦燥感に襲われている。腰をくねくね動かす。でも、どうにもならない。
……と。卓哉がガバッと起き上がり、どさっと佐藤に覆い被さった。
「うぁ! ご、ごめんなさいぃぃぃぃ!!」
何故か反射的に謝る佐藤。
しかし、そんな様子を気にもせず、身を縮こまらせる佐藤を組み敷いて腹の当たりに馬乗りになる。
「ううぅっ!!」
しかし、佐藤は殴られると思っているのか、ばたばたと脚を動かし、暴れる。
「………いいから、じっとしてろっ!」
後ろ手に手探りでペニ○をさがし、ぎゅっと握り締め、
つい甲高い声で戒める。ここは保健室で、誰かきたらどうしようなんて考えは最早、頭の片隅にすらない。
今は栓が欲しい。股間の疼きと洪水を止める、栓。硬い肉でできた、精液が先っぽから出る栓。
ぎゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ………。
「うはぁっ!」
強制的に送り込まれた鈍い快楽に、萎えていっているペ○スに再び硬度が戻る。
卓哉はその硬度を保ちつつある栓を、にぎにぎと刺激を与えつつ、自分の股間をもっていく。
その股間からはダラダラと精液がまだこぼれていて、佐藤の腹に水溜まりが出来る。
……栓を、しなければ。高揚した頭でそう思う。まだ堅くなりきってない栓を、
これ以上我慢出来ないといった様子で入り口に宛がい……………一気に飲み込む。
ずるっ!! 騎乗位で一気に最奥まで。子宮をズンと押し上げる。
「んぁはっぁっっ!!!♪」
「くぅぅぅぅぅぅ!!!」
喘ぎのデュエット。
「ん〜〜〜〜〜♪」
佐藤の胸に手を置き、くりんくりんと結合した腰を回転させ、具合を確かめ、喘ぐ卓哉。
股間からはダラダラと愛液と精液の滝が、ペニスをつたって落ちているので、凄い水音がする。
ブシュッ…グシュッ…。その音にうっとりしつつ、胸を自分でぐにぐにと弄び、快楽に震える。
「ふぅぅぅっっっ!!」
再びさっきのヌルヌルキツキツでこぼこが、佐藤のペニスをぐいぐい責める。
強制的に快楽が送り込まれる。吸い取られる。絞り取られる。しかし、ペニスは快楽に応え、
硬度を取り戻していく。
突然、卓哉が激しく腰を振り始める。ずしゅっ! じゅぴっ! ぴちゅっ!
ベッドが大きくきしむ。ぎしっぎしっぎしっぎしっ! しかし、今更どうでもいい事。
腰の動きは目茶苦茶である。前後にがくがく動かしたかと思えば、次の瞬間には円運動。
次は逆回転した後、上下に擦り立てる。その後も不確定にくびれた腰が動き続ける。
凄い水音が響く。じゃぴっ! じゅくっ! くちゃっ!
「あっ! んはっ! くはっ! んはっ! いはっ! んくっ! くふっ! んくっ! …ぁあああああぁぁぁぁっ!♪」
はしたない喘ぎ、はしたない水音。涎を垂らして快楽を貪る。股間からは未だ精液と愛液の滝が見える。
佐藤の手を取り、大きく弾む胸に押し付ける。愛撫を強要する。
……その柔らかな感触。股間から突き上げる快楽。ゆっくりと…佐藤は再び欲情に燃え上がった。
ずにっぐにっ! 力を入れて握り潰す。しかし、快楽に染まった卓哉には快楽しか届いてない様子だ。
腰をさらに無茶苦茶に擦り立てる卓哉。ぐしゅっ! ぐしゅっ! ぷちゅっ!
「うぁん! あぅ! あぁ! あっ! あはっ! あっ! あくっ! んあっ!♪」
大きな喘ぎ声。廊下に響いている。
「うぅぅ!!」
きつきつが、ぬるぬるが、でこぼこが、全て絞り取ろうとしている。
ペニスがふわふわする。少しも立たないうちに、その魔性の肉壷に絞り取られようとしている。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ………。」
佐藤がイキそうになる。
大きな胸を激しく揉みしだきながら、下から激しくガスガスと突き上げる。
「はぁ! はぁ! はぁ! はぁ! はぁ! はぁ! はぁ! はぁ!」
ズンズンズンズンズンズン!!!
「んはっ! んっ! くひっ! んあんっ! はひっ! くふぅ!」
自分も派手に動くと抜けるので、卓哉は
腰をゆるゆるとくねらせながら、胸を弄ぶ佐藤の手を上から握り、下からの突きを甘んじて全て受け止める。
ズンズンズンズンズン!! 色々な角度から子宮が押し上げられ、その振動で子宮の中に溜まっていた精液が
だらだらとペニスをつたって落ちてくる。激しい擦り合いで、愛液と精液の混合液が、接合部で泡立つ。
恍惚とした表情で、腰をくねらせつつ激しい突きを子宮で受け止めながらその様子を見る卓哉。
………妖絶な笑みを浮かべる。これがあの蘇芳さんだろうか。こみ上げる射精感の中、ふと思う。
「ぅぁ、で、またでますぅぅぅぅぅ!!!!!!」
ズン! 佐藤が最後に思い切り突き上げる。上に載せた卓哉ごと腰が宙に浮く。そして吐精。
揉みしだいていた胸を強く握り締める。形の良い胸が大きく歪んだ。
卓哉はくねらせていた腰を止め、先っぽがうまく子宮口の入り口に来るよう、調節する。
「(…………ここだ♪)」
お腹の奥の奥が温かくなるポイント。そこで腰を止める。
子宮の奥で精液を受け止めている。……………温かくて、気持ちいい。
ドクッドクッドクッドクッ……………。佐藤は脳細胞が死ぬんじゃないかと思う程の快楽を味わいつつ、
卓哉の腰を思い切り押し上げ、卓哉の胎内に精を吐き出す。それを卓哉は悦んで最奥で受け止める。
「――――――――――っっっっっっっっはぁっっ………っはぁっはぁっはぁっはぁっはぁっ…!!」
佐藤は長い長い射精が終わり、胸を揉んでいた手をどさっとベッドに投げ出し、大の字になる。
もう、これ以上はできないっぽい。全身に広がる疲労感の中、肩でぜいぜいと息をする。
………………??? まだ、蘇芳さんが上から降りない。
目を開ける。まだ跨って………見下ろしてる。妖艶に微笑んで。カーテンごしの太陽の薄明かりの中、
全身に浮き出た卓哉の汗が怪しく光り、その妖艶さにさらに怪しい魅力を付け足す。
美しい……………美しすぎて、寒気がした。
ふと、結合部を見る。
……………ペニスの根元に精液の水溜まりが出来ている。………凄い量。
2回の射精だけでこんなに……自分でも目を疑う。これは先ほど流れ出てきた50ccより明らかに多い。
……ところで、蘇芳さんはこんなに、受け止めて妊娠とか大丈夫なのかな……?
性転換だから妊娠はしないのかな………大の字に寝そべって呑気にそんなことを思う。
その時。
……きゅぅっ………………!!!
萎えかけたペニスがまたきつく締め上げられる。
「(…ぅっ!!…………えっ………!?)」
殆ど快感はなかった。まあ、すこしはあった……が、
その刺激にまたペニスがむくむくと反応する。生理的なもの……。驚いて蘇芳さんの顔を見る。
………妖艶な笑み。
「(ひょ、ひょっとして…………。)」
嫌な予感がする。
……が、しかし。
………にゅるっ……ぽてん。
蘇芳さんが僕を跨いだまま立ち上がった。硬度を取り戻しつつあったペニスが抜けて、
だらしなく体の上に倒れ込む。精液と、愛液まみれでべとべと。………我ながら凄いな、と思った。
…………ごぷっ………。上の方で水音がした。上を見る、と蘇芳さんが跨って立っている。
妖絶に微笑む綺麗な顔。汗ばんでつやつやと光る大きな胸。くびれた腰。肉付きの良いすらりとした足。
そして毛の生えていない丸見えのアソコ。後ろ手に手を組み、軽く股間を突き出した姿勢で立っている。
神秘的なまでに美しい体のラインが目の前にさらけ出される。
………いや、それよりも。立ち上がった蘇芳さんの股間。そこから音が発生していた。
…………ごぽっ…………。
ひとかたまりの精液がドロリ………と蘇芳さんの小さな、割れ目から生まれてくる。
ゆっくり…ゆっくり…糸を引き、落ちていく。つつーーーー………びちゃ。僕のペニスの上に落ちる。
さらに精液のトッピング。さらに酷い事になった僕のペニス。………でもまだ終わりじゃない。
「……んっ……ふぅっ……。」
蘇芳さんの端正な顔がしかめられる。力んでいるようだ。
…………ごぽぽっ…………。
……するともうひとつの精液の塊が生まれてきた。今度のは水っぽい。愛液も混じっているんだろうか。
……だらだらっ……びちゃびちゃ……さらにトッピングされる僕のペニス。
今度はさっきよりも量が多い。まるでオシッコ浴びせ掛けられているみたい。
蘇芳さんのつるつるのおマン○から出る、精液と愛液のオシッコ。………最後の方は凄い水っぽい。
…………じゃーーーーー………。ペニスのみに関わらず、ぼくの骨盤の辺りが精液でドロドロになる。
「………んんん……くんっ………。」
さらに力む蘇芳さん。
………ぽたぽたっ…………。
雫は出てくるけれども、もうストック切れみたい……。
………力むのを止め、ウフフッと髪を掻き揚げながら、無邪気に笑いかけてきた。
………アリーナ席で拝む、精液出産ショー。ベッドの上だけじゃなく部屋全体が栗の花の匂いで充満する。
その、僕の人生で恐らく1番淫靡だった蘇芳さんの行為に、股間が再び熱くなってしまった。
……汁まみれのペニスが再び硬度を持つ。2連発の疲れも何処へやら。
もう一度、蘇芳さんと繋がりたい。もう一回、蘇芳さんの子宮に精を吐き出したい。
そして、あわよくば……今のをもう一度やって欲しい……。性の欲求が一気に噴出する。
はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…。飢えた目で蘇芳さんの体を凝視する。
それを見て、全てを察してくれたのか、フフッと妖絶に笑い……………僕に背を向けた。
………そしてそのまま、今し方のショーの汁にまみれた僕の腰に躊躇い無く腰を下ろした。
背面座位。ビチャッ……。衝撃で汁が飛び散る。僕のペニスの上に、挿れずに座った。
大事なところが汚い汁まみれになってしまう。まあ、元はといえば彼女の中から出てきたんだけど……。
しかし、そんなのを気にせず蘇芳さんはそのままグリグリと僕の骨盤と自分の股間を擦りあわせる。
蘇芳さんのお尻、お尻の穴、お○ンコ、太股……精液と愛液と汗でべとべとになってしまう。
…………この極めて不潔で不浄な行為に………蘇芳さんは嬉しそうに腰をくねらせる。
それを見て、我慢が出来なくなってしまった。ガバッっと上半身を起こし、胸を両手でわしづかむ。
胸を目茶苦茶に揉みしだき、激しく形を歪ませる。それを見て、蘇芳さんは、フフッと笑って
僕のベタベタに汚れたペニスを手に取った。興奮でガチガチに硬質化している。
こっちは何時入れてもオーケーです……。
………
「その時」
に供えて胸を放し、再び横たわり、蘇芳さんの艶めかしい腰を掴んで、待つ。
それで、僕がさっさと挿れたいのを察してくれた蘇芳さんがペニスを掴み、腰を上げる。
…………阿吽の呼吸とはこの事だと思う。ぐちょぐちょに汁にまみれた二人の腰が離れる。
その際、何本もの粘質の糸を伴った。つつーーーーー。とてつもなく汚ならしく、淫靡だ。
そして、蘇芳さんは僕のペニスの先に腰を持っていき……くねくねと腰を動かしアソコに照準を合わせる。
そして………一息で、挿入。
「んはっ!♪」
「うぁっ!!」
また、同時に声が上がる。
すんなりと奥に到達する……………そして
「その時」
を胸いっぱいに感じる。
ペニスをぎゅうぎゅうと包み込む熱いヌルヌル。腰を動かす度に感じるでこぼこ。
ああ…………これこれ……。最高だぁ…………。
卓哉の行為で劣情に燃えた佐藤は、最初から物凄い勢いで腰を突き上げる。
汁まみれの二人の股間から、びちゃっ! びちゃっ! びちゃっ! びちゃっ! と派手な音を立て、水が飛ぶ。
「はぁ! はぁ! はぁ! はぁ! はぁ! はぁ! はぁ! はぁ! はぁ!」
物凄い勢いで上に挿さっている卓哉を
突き上げていく。
「あはぁ♪んふぅ♪くひん♪ふくっ♪きひっ♪」
今度もまた自ら腰を激しく動かして、
抜けてしまうようなことはせずに、腰をゆるゆると動かして佐藤の突きをしっかりと奥で受け止める。
卓哉が激しく上下にゆすぶられる。胸も大きく揺れる。ゆさゆさゆさ。佐藤からは見えないのが口惜しい。
「っっくっっ!!」
さっきにもまして凄い具合の良さに、佐藤は早くも射精感を覚えつつあった。
でも、さすがに2連発した直後、そう簡単に達する事はない。
「ふくっ、んっ♪」
卓哉は腰をうねうね捩じらせつつ、気持ちよさそうに物凄い膣圧で締め付ける。
思い切り絞めるとより密着して擦れて気持ちいい。しかし、やりすぎると相手の暴発を招く諸刃の剣。
程よい感覚で締め上げる。…………結局、主導権は卓哉が握っていたみたいである。
ズンズンズンズンズンズンズンズン!!! びちゃびちゃびちゃびちゃびちゃびちゃびちゃ!!!
凄い音を立てて激しく交わる。ぎっしぎっしぎっしぎっしぎっし。派手にベッドの揺れる音もあわさる。
「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、はっ……!」
気が遠くなりそうになりながらも、ガスガスと突き上げる。
「くひぃ♪あふんっ♪ふはぁ♪んきっ♪」
卓哉は気持ちよさそうに腰を振り、身を捩る。
これではまるで佐藤は卓哉のオナニーに付き合っているかのようだが、本人の視点からはそうは見えまい。
…………しかし、変化が訪れる。
「ふっ! はっ! ふっ! くっ! ふはっ! ふぅっ! んあぁっ……!!」
卓哉の声が高く、荒くなっていく。
佐藤はなおも激しく、ガスガスガス! と腰を突き上げる。佐藤がイク気配はない。
びちゃびちゃびちゃびちゃびちゃびちゃ!!!! さらに卓哉のからだが宙に舞う。
「あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!」卓哉の声が更にせっぱ詰まっていく。
そして最後。
佐藤が一発一発を強く叩き込むように突き上げる。ズン! ズン! ズン! ズン! ズン!
子宮口が今迄に無い強さで思い切り押し上げられる。…………………その衝撃で。
「んぁぁぁぁあああああああああああああああぁぁーーーーーーーーーっっっっっ。」
絶叫して、達した。
体を反らし、白目を剥き、舌を出して派手に。
愛液がぷしゅっぷしゅっと結合部から吹き出す。ぴくぴくと痙攣する。
「――――――――――!!!!!!!!! っっっっ、く、はぁ……………。」
…………がく。
繋がったまま後ろに倒れ込んでくる。動かしていた腰を止め、慌てて受け止める。
顔を覗き込むと…………失神している。派手にイかせたみたい。……佐藤はすこし自分に自信がついた。
………でも……………これ、どうしよう。
蘇芳さんが失神したまま咥え込んでる、僕のペニス。………このままじゃ収まりつかない。
どうしよう………時折ぴくぴくと締まるアソコに挿れたまま考える。
そうしていたら……ふと気付く。失神してても結構締まるんだなあ、と。
………きゅっきゅっ。ほら。……結構気持ちいい。…………きゅっきゅっ。……うーん、良い。
これは、もしかしたら………いや、でも…………いやいや、もう、ここまでやったんだし………。
しばらく葛藤した後、すぐに決心する。
……少しおマ○コを貸してもらおう。先にイっちゃって、ずるいよね。
それくらいはしてもらわないと………。一人うんうんとうなずきながら、勝手に事を運ぶ。
くたっとした蘇芳さんから一回ペニスを抜く。………でろっ。白く濁った液体が流れてくる。
精液なのか、泡立った愛液なのか、詳細は定かではないが。
うわぁ、寝ていても蘇芳さんはエロイなあ………。(褒め言葉のつもりだが、褒め言葉になってない。)
ペニスを抜いたらその体をうつ伏せに横たえた。その上に覆い被さり、足を気持ち大きく広げさせ、
お尻に腰を密着させる。ごそごそごそ……………。あった。おマン○の穴。………では。
ずにゅっ。
「んんっ!」
つい声が出る。蘇芳さんは無反応だけど。中はさっきと一緒。ぬるぬるきつきつでこぼこ。
早速抽旋を開始する。蘇芳さんがうつ伏せで膝は立てられないから、床にむけてペニス擦る感じで低く動く。
パンパンパンパン……。ずちゅずちゅずちゅずちゅ……。
グッタリしている蘇芳さんのおマン○に挿入して一方的にセックス。
がくがく体が揺れる。死姦みたい。やったことないけど。
腰をがくがく振りながら顔を覗く。………たまに唸って眉をひそめる。………なんか可愛い。
ちゅ。ついキスをする。さらに腰を振る。失神してもたまに異物感を感じるのか、たまにきゅっきゅっと
締めてくる。その不規則性がたまらない。パンパンパンパン……。ずちゅずちゅずちゅずちゅ…。
がくがく…。なんだか、いけない悪戯してるような背徳感があって、妙に興奮する。
息が荒くなる。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。」
ずちゅずちゅずちゅずちゅ…。
射精感がこみ上げてきた。もちろん中山車しなきゃ。…………その方が燃えるし。
気絶してる女の子に中だし………。想像して興奮する。……さらに腰が早く動く。
ずちゅずちゅずちゅずちゅずちゅずちゅずちゅ……。
「う……うんん……。」
蘇芳さんの唸り声が聞こえる。
僕の腰に合わせてガクガクする蘇芳さん。なんだか、蘇芳さん、人形みたい。ダッチワイフ、だっけ?
ずちゅずちゅずちゅ!………来た。来た来た来た来た来た! 蘇芳さんも僕の腰に合わせてがくがく揺れる。
「んくっ!!」
ずん! 最奥で止めて………吐精。ドクッ……ドクッ……ドクッ……ドクッ……。
子宮に吐き出されていく、精子。抵抗出来ない女の子に中山車。なんだか変態ちっくで興奮する。
「う、うぅぅぅん………。」
蘇芳さんが起きたみたい。丁度吐きおわった。
……ずるっ。ペニスを抜く。…………どろっ…。蘇芳さんのつるつるのおマン○からあふれ出る精子。
うーん、やっぱり蘇芳さんはエロい。最高だ。
………むくっ。卓哉が起きる。
「う、うーーーん…………?…………あれ? 一体………。」
キョロキョロと見渡す卓哉。何故自分がここにいるのか思い出せない。
そんな卓哉に佐藤が近づく。
「……蘇芳さん。」
「え?」
振り向く。……ドアップで唇を寄せる佐藤の顔。
「お、おわぁぁぁ!!!」
ボコっ! つい拳が出る。
「ぐふっ!」
人中にヒット。
顔を押え、うずくまる裸の佐藤。
「な、何をするのか!?……………んん!?」
卓哉がようやく
自分の姿に気付く。
「わ、な、何で裸!?…………うわ、何だこのべとべと!?」
軽くパニックに陥る。
胸を隠し、恥じらいつつ周りを見渡す、というか、この周りの惨状は一体……。
ベッドは栗の花の匂いのする体液でドロドロのぐちゃぐちゃ。なぜか自分は汁まみれ………。
しかも股間から精液を垂れ流している…………。
うずくまっている佐藤を横目に、もうひとつのベッドの布団にスバッと入り込み、
佐藤から裸を隠しつつ何故こんな事になったのか、思い出してみる。
「(視線がうざくて………。保健室来たらこいつが寝てて………。さすって………隠れて………。
ぅ……そう、キスされて………うぅ……裸に剥かれて………あわや挿入……………。
………ん? あわや挿入…………あわや挿入………。……そ、そっから思い出せない…。」
(良い子の皆には説明しよう!
簡単に言うと、佐藤は計らずしも、卓哉に一種の催眠術を掛けてしまったのでありますた。
その間の記憶はもちろん無いと。ちゃんちゃん。)
とにかく、股間から溢れるこの白い体液……。そしてこの立ち込める匂い。
裸の俺と佐藤………。卓哉の頭の中で簡単な概要がまとまる。
……きっ!
「……佐藤。」
「ぅ、すおうさん、酷い…………。」
「佐藤、コレは、お前のか?」
抗議を無視し精液の流れ出る股間を指差しそう聞いた。それを見て少し照れながら……。
「………ぅ、ぅん。すおうさん、最高だったよ。」
とりあえず最高の褒め言葉を送る佐藤。
しかし。
「ぅ、うぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!!!!」
ドガシャーーーーン!!!
後に少年は言った。女心は本当に複雑だぜベイベー、と

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