17

「気が付いたのね……」
 玲那の腕の中で、心は気が付いた。失神してしまったことが、妙に照れくさい。
「ごめんなさい。僕、僕いけないこと――」
 また唇をふさがれる。
「どうしていけないの? 心ちゃんは私のこと好き?」
「うん」
「私も心ちゃんが好き。お互い好きだから――それだけじゃダメかしら?」
 それ以上、何も言えなくなってしまう。
「僕、どれくらい……寝てました?」
「ほんの少しだけ、だから気にしなくても大丈夫ですよ――
 さあ、肢の診察を済ませてしまいましょうね。でも、その前に」
 心をベッドに座らせると、ウェットティッシュを手に取る。
 そうっと心の股間にあてがい、やさしく拭き取って後始末をしてくれる。
「自分で、自分で出来ます――出来ますからぁ」
 拭き取られるそばから、じんわりとほんの少しづつ愛液が滲み出してくる。
「心ちゃんはゆっくり、本当にゆっくり大人になっていくのね……こんな風に、蜜まで溢れるようになって――」
 心の股に顔を埋めて、その少ない愛液をむさぼる。舌で舐めとり、音を立てて啜り、美味そうに喉を鳴らして飲み下す。
「やめて、やめてください。そんな、そんなの」
「だって、無くなるまで全部飲んでしまわないと、いつまでも綺麗にならないわ。
 それに、とってもおいしいの。もうすぐ、もうすぐ終るから……」
 やがて満足したのか、今度はキチンと拭き取って綺麗にしてくれた。
 心の下着を手にして、嬉しそうに微笑む。どうやら穿かせてくれるつもりらしい。
 断っても無駄だと判断して、大人しく従うことにする。
「はい、あんよを通しましょうね……そう、そう良くできました。ちょっとだけ、おしりを持ち上げてね。よいしょっ――はい、できた」
 言われるままに足を通し、腰を浮かせて穿かせてもらう。ものすごく恥ずかしいが、何だか心地良い感じもする、妙な気分だ。
 玲那はうっとりした表情で、心の下半身を見つめている。その手がついっと伸びて、心のお尻を撫でてくる。
「かわいい、かわいいおしり――食べちゃいたい、このまま持って帰ってしまいたい」
 心に抱きついて押し倒すと、くるんと身体を入れ替えて、お尻に頬擦りを始めた。
 驚いた心が逃れようと、四つん這いの体勢になって身体をくねらせるが離してくれない。
 (くすぐったい……へんな気分。でも、気持ち良い……)
 このままでは、せっかく穿いた下着をまた剥ぎ取られてしまいかねない。
 そう考えた心は、どうにか雰囲気を変えようとする。
「あっあの、あんまり長いと皆が、待ってるから……肢の、診察をお願いします」
「……あ、ええと――そう、ね。はやくしないと、ごめんなさい」
 気の毒なほど意気消沈して、申し訳なさそうにしている。
 なんだか、こちらが悪いことをしているような気になってしまう。
 ちゅくんと、こころが痛む。
 (悲しませたく、ないよ。せんせい、せんせい)
「せんせい」
 心は瞳を閉じ、形の良い顎を軽く突き出すようクイッと持ち上げる。
 自覚はまるで無いが、キスをせがむその姿も態度も、完全に少女のものだ。
 求めに応じて、唇が重ねられる。舌が絡み合い、お互いの口中を蹂躙しながら、唾液を奪い合う。落ち着きかけていた二人の呼吸はどんどん荒くなり、身体に再び熱い炎が宿る。すでにお互い、相手以外は目に入っていない。
 ただ目の前の人が欲しい、そして目の前の人のものになりたい、それだけだ。
 玲那に、この人に愛して欲しい――
「せんせい……僕、ボク――」
「心ちゃん、ありがとう。私ったら、我慢できなくなって、あなたを困らせて……
 気を使ってくれたのね? 優しい子」
 あえてすべては言わせず、玲那は心の言葉を遮った。
「さあ、肢の診察を済ませましょうね? お姉さん達が待ってらっしゃるわ」
「――。……はい」
 何ごとか言いかけ、心は目を伏せて口をつぐんだ。
 玲那の手が、左脛の包帯からほどいていく。現れた脛を見て、目を見開くが何も言わず、右足に取り掛かる。両足の包帯をほどき終わったところで、玲那の瞳は潤みきっていた。
「酷い。こんなに腫れて……」
 涙をこぼしながら、心の脛をそっと撫でる。愛しそうに、やさしく触れてくる。
「くすぐったいです。それに、こんなの大したことない」
「痛くないの? 本当に?」
「平気です。ボクは……男だから」
「え?」
 一瞬なにを言われたのか理解できない様子で、心を見つめる。しかし――
「うふふ。心ちゃんは相変わらずねぇ」
 にっこり微笑んで頭を撫でてくる。
 どうやら、彼女も環と同様に、『心』が『こころは男』なのを知っていたようだ……
 主治医ならば無理もなかろう、この様子では周りのほとんどの人は分かっているのだろう。
 (分かってなかったのは『心』本人だけ――ってコトかな?)
「それにしても酷いわ。綺麗で可愛い肢が……可哀想。お肌があんまり痛んでいないのは、よかったけど――」
 愛撫するように、脛に口付けをしてくる。何度も、何度も。
 唇が触れる度、ほんの微かな心地良さが心の身体に走る。
 どうしようもないくらいにムズムズして、堪らない。
「すべすべ――綺麗なお肌、可愛い、可愛いあんよ……」
 玲那はとうとう舌を這わせてきた。心の呼吸は少しづつ荒くなってくる。
「ん……んん。せんせい、くすぐったいです。くすぐったいよ」
「あらやだ。私ったら、また――もうすぐ、終りますからね?」
 なにやらジェルを手に取ると脛に塗りつけ、その上にガーゼ、シップを重ねて包帯を巻いていく。あっという間に両足に包帯が巻かれた。
「このジェルはお肌を保護するためのものだから、あとで処方箋を出しますからね。
 打撲はかなり重いから、お風呂などで温めたあとはなるべく冷やしてあげてね。
 つらいでしょうけど、がんばって、早く良くなって。ね?」
「はい、ありがとうございました――せんせい、あの……」
「なあに、心ちゃん?」
 心は疑問をぶつけることにした。彼女なら、答えてくれる気がしたから……
「ボクの、僕の身体はどこかおかしいんですか? どこが、変なんですか?
 あそこ……とか、お腹の中とか、そういうところですか? それとも――」
 (おかしいのは僕の、『こころ』なんですか?)
 少しづつ大きくなっていく声、しかし、最後は言葉にできなかった。
「心ちゃん。大丈夫、あなたの身体はどこもおかしくなんてないわ」
「でも、でもそれじゃどうして、僕は……」
「聞いて。心ちゃんの身体はね、ほんの少しだけのんびり屋さんなだけ。もしかしたら、寝坊助さんなのかもしれないけれど……健康そのものです。ちょっぴり小柄で繊細だけど、それは個性のうちだと思うの」
「だけど、だけどそれなら何で此処に――」
 玲那は心を抱き締めると、強引に唇を奪った。心が抵抗をやめて落ち着くまで、そのまま接吻を続けて離さなかった。
「お願いです、聞いて下さい。あなたの身体には、異常なんてありません――
 そして、あなたはとても美しい。私は医師を続けてきて、あなたより綺麗な方を、見たことなどありません。どうか、自信をもって下さい。心お嬢様」
「せんせい?」
「心ちゃんの小っちゃなおっぱいも、おしりも、細くって長くて華奢な手足も、すべすべのお肌も、お人形みたいなお顔も、それから『お花』も――みんなみんな、ぜーんぶとっても綺麗で可愛いわ。今まで先生が見た中で一番、ううん、きっと世界で一番、だから、だからお願い、自信をもって下さい……あなたが、大好きです」
「ボクはおかしくないの?」
「ええ、もちろん」
「あそこも、お腹の中もどこもおかしくないのに、どうして先生に診てもらってるの?」
「それは、心ちゃんが大人になるための準備が、身体の中で整ったかどうかを調べるため」
「大人になる? 準備?」
「そう、赤ちゃんを産むための準備」
「あか……ちゃん? 産む? ボクが? なんで?」
「心ちゃん?」
「うそ? だよね? だってボク、男だよ?」
「心ちゃん?!!」
 ふらりと倒れ込んだ心を、玲那が抱き止めた。
 さきほどから、否、女になって以来ずっと、繰り返し繰り返し、興奮と弛緩を続けてきたこころ。その一部が崩れていく。
 例えるなら、熱した鉄を急激に冷やす、それを何度も繰り返したようなもの。
 確実に心のこころの、その一部は壊れた。おそらく、二度と戻らないところまで。
 ――それは普通なら何の問題にもならない、ほんの些細な部分に過ぎないかもしれない。
 しかし、もう決して元の心では在り得ないのだ――
「せんせい。ボク、赤ちゃんできちゃうの? いやだ、いやだよ……」
 玲那にしがみ付いて、頼りなく震える。
「違うわ、そうじゃないの。大丈夫、赤ちゃんは出来たりしてません。
 だってあなたは、まだ……」
「……なあに? 聞こえないよ、せんせい」
「あなたは綺麗な、とっても綺麗な身体のまま。誰にも汚されていません。
 そういうことですよ――」
 ゆっくりと唇を重ねる。これまでと比べると随分と大人しい、静かなキス。
 やさしくあたたかな、愛情の籠もったキスだ。
 しかしそれは、別の面から視ればもっとも残酷な口付け。
 心が二十数年の人生をかけて、特にこの数年で強固に創り上げてきたこころの壁。
 その崩れた隙間から顔を出した、何かを引き摺りだしてしまう。
 とろんとした、あどけない表情で玲那を見上げる心。
「ボクのこと好き? ボク、せんせいが好き」
「大好きよ」
「じゃあ、せんせいをください。せんせいが欲しいよ」
「心ちゃん……?」
「ボクが貰うだけじゃずるいから、せんせいにもあげる」
 心はいま自分が何をしているのか、分らなくなっていた。
 いや、そんなことはどうでもよくなっていた。
 ゆっくり立ち上がるとワンピースを脱ぎすてる。下着に手をかけ、一気に引き下ろした。
 玲那の耳元に囁きかける。
「せんせい、どうぞ召し上がれ……」
「心ちゃん、ダメよ。いけないわ」
「どうして? せんせいの好きなおしり。ほら、ほら」
 四つん這いになってお尻を振りながら、可愛らしく微笑む。
 チラチラと、ピンクの割れ目がほんの少しだけ見え隠れする。
 そこから漂ってくる甘い香りに、玲那の理性は、簡単に抑え込まれてしまう。
「――いただきます」
 瞳に狂喜の色を浮かべて、玲那は心のお尻にかぶりつく。
 乱暴につかんで揉みしだき、撫で回し、やわらかい肉を甘噛みする。
 割れ目にそって何度も舐めあげる。そのうちに、ヒクつきだしたアヌスが気になり、悪戯したくて堪らなくなる。先程からずっと、心は声がもれぬよう必死で耐えている。
 これ以上はいくらなんでも酷だと思えた。だが、だがもう我慢できない。
 アヌスに舌を当てると、心の身体がビクリと震えた。
「ひんっ! ダメぇ、せんせいそこダメ。汚い、汚いよぉ」
 心は小声で抗議するが、玲那は止まらない。
「汚くないわ。キレイよ……とってもキレイ。ほーら、ちゅっちゅっ」
 アヌスにキスを繰り返し、何度も舌を這わせる。その度に心は腰をくねらせ、逃れようともがく。それがまるで、おいで、おいでと誘っているように感じられて、ますますそこに引き寄せられてしまう。
「いや、いやぁ。ひん、ひぃ、やぁ……いやぁ、いやぁ、はふっ、ひぅ、ひっ、はぅ……やっ、いやぁぁああああ!!!!!!ッ」
 玲那の舌が深々とねじ込まれ、ついに心は絶叫してしまう。
「心ちゃん?!! どうしたの? 心ちゃん?」
「心!! 先生! 入るわよ?!」
 すぐさま恋と愛がカーテンの中へ入ってくる。二人の目の前でお尻を鷲掴みにされ、アヌスに舌を差し込まれている心。玲那の舌がうごめく度に、悲鳴のような声を上げて、ビクビクと身体を痙攣させる。その大きな瞳を見開いて、ぽろぽろと涙をこぼしながら、腰をくねらせて喘ぐ様子を見ているのに、二人はさして驚いてはいない。
 はじめは多少あっけにとられたようすではあったが、すぐに元に戻り、顔を見合わせてクスクスと笑い出す。
「いやだ先生ったら、妙に遅いと思ったら……」
「うふふ、本当に……いけない先生。約束違反ですよ?
 診察の時は診るだけ――のはずですわ」
 チュポンッと音を立てて玲那が舌を引き抜くと、心はくたりと崩折れる。
 玲那は恥ずかしそうに口元に手を当てて笑うと、
「ええ、御覧の通りみているだけですわ。味を――」
「うふふ。先生ったら、お上手ですね」
「ごめんなさい、久しぶりで……我慢できなくって、それに心ちゃんがあんまりにも
 がんばり屋さんで、ご褒美をあげたくなってしまって」
 あくまで、心が誘ったとは言わない。理性がさせた最後の気遣いなのか、それとも――
「あらあら、心ちゃん良かったわね。ご褒美をいただけたの――そういうことでしたら、よろしくお願いいたします。でも、やさしくしてあげて下さいね?」
「どーせ大したこと無いのに、ピーピー泣いてたんでしょう。泣き虫なんだから……」
「いいえ! そんなことありません。とっても良い子だったんですよ?――
 あっ!! そうだわ、ちょっと心ちゃんを御覧になってあげて下さい」
 玲那は心の両太腿を持って抱え上げると、大股開きで二人に見せつける。
「……いやだぁ、やめて!! やめろぉ、見るなぁ! せんせいやめてぇ」
 二人は『お花』を覗き込んでくる。そこは普段の『心』を知る者には信じ難いほど、すっかり愛液で潤んでいた。
「お分かりいただけますか? 心ちゃんたら、こんなに、こんなに……」
「まあ、すごいわ」
 感心したように、頬を染めてうっとりする恋。
 愛は無言のまま指先で愛液をこそげ取る。触れられた瞬間、心はピクリと反応する。
 あまりの無頓着な様子に、恋が咎めるような視線を送るが気にもせず、それを口へと運ぶ。
「――ん。なかなか……にしても、ずいぶんと大人になったねェ、心?」
 心には何のことだか、さっぱり分からない。ただ、自分と玲那のこの様子を、さらりと受け流してしまう二人に、不思議な底の知れなさを感じていた。
 泣きながら怯えた様子で放心し続ける心を見て、愛おしさが掻き立てられたのか、玲那は心を抱えなおすと、やさしく唇を重ねる。
 いまこの場にいる味方は、『やさしい』玲那だけのような気がして、心は必死に抱きつき、彼女を求める。
「心ちゃん、ご褒美の続きですよ――」
 唇を離すと、やさしく囁きかけながら『お花』に顔を寄せていく。
「うん。せんせ、せんせえぇ。やさしくして、下さい。いっぱい、いっぱい」
 (めちゃめちゃに、バラバラのぐちゃぐちゃに、やさしく、やさしくして……)
 クリトリスを口に含むと舌で転がし、何度も吸い上げては弾力を楽しむように噛む。
 強い刺激が与えられる度に、細く小さな身体を踊らせて可愛らしい悲鳴を上げる。
「ひぃ、ぅあ、はふ。ひぅ、ふう、ぁふ、はぁああ!! ひっ、ひぅ……ひぅ」
 心の狂態を、恋と愛は嬉しそうに見つめる。
 (ああ……見られてる。姉さんに、愛にこんな姿――)
 玲那はクリトリスから口を離すと、『お花』の中心を舌で探りだす。
 両手で割れ目を思い切り左右に拡げ、覗き込むようにして花びらを舐る。
「こっちがお留守よ、先生」
 愛が手を伸ばして、乳房の頂きの蕾を摘み、乱暴に捻る。
「ひぅうう!! やめてぇ……ふぁ、ぁあ、ああぅ……はぅ」
 一瞬痛がったものの、そのまま少し力を緩めて弄られるうちに快感へと変わっていく。
「愛ちゃんたら、乱暴はダメ。 せっかく先生が優しくして下さってるのに――」
 恋は愛を咎めつつ、玲那の顔の下から手を通すと指先でアヌスを探り当て、ゆっくりと指を滑り込ませていく。
「ふぁああああ!! いやっいやぁああん!!! あふぅ、はぅ、ひぅ……ひいいぃ」
 とんでもなく熱くてキツイのに、同時にそれに倍するほど柔軟な心のアヌスは、しっかりと恋の指を咥えて締め上げる。ぷちゅぷちゅと指が出し入れされる度に、心は悲鳴を上げて玲那にしがみ付く。
「先生、心ちゃんはおしりが好きみたいなんですよ。ご存知でした?」
「まあ、それは――私も大好きなんです。でも、心ちゃんもそうだったなんて……」
「先生が好きなのは悪戯する方でしょう? 心はされるのが良いみたいね」
「愛ちゃん? どうして知ってるの?」
「あ――いや、その」
「また私が知らない間に虐めたのね!」
「何よ! 恋姉だって」
「お二人とも、喧嘩はダメですよ? 教育に良くありません」
 のほほんと、玲那は二人を仲裁する。しかし三人とも、無駄話をしていても、心を責める手は少しも休めない。
 玲那にしても舌で責める代わりに、指先でクリトリスを摘んで弄りつつ、ラビアを執拗に開いたり閉じたりしている。
「あらあら、すごいわ」
「先生、どうなさいました?」
「心ちゃんのジュースがこんなに……」
「うわぁ……ほんとだ」
 恋がアヌスに指を出し入れする度に、じわじわと愛液が滲み出してくる。
「でもさあ、おしりを悪戯されてこんなにとろとろになっちゃうなんて、心ってば処女なのに、エッチな子だよねぇ?」
 大声ではっきりと言われて、心はほんの少しだけ正気に返る。
「ちがっ違うぅ……エッチじゃない!! 違うよぉ! ひぁ、あぅ」
「そうですよ。おしりが気持ち良いのはエッチなのとは違います。
 これは快感の誤反応なんです。ですから場合によって、性器による普通の行為より、快感を得やすいこともあるんですよ。でも気を付けないといけないのは、直腸の皮膚は女性器のよりも、繊細で傷つきやすいという事なんです」
 玲那は心を援護するためか、急に講釈を始める。
 流石にこんな時に、真面目な顔で長々と話をされるとは思ってもみなかったらしく、愛はあっけにとられている。
「先生、相変わらずですね」
 恋は笑いを堪えつつ、心のアヌスを責め続ける。
 たかだか指で触れているに過ぎないのに、にゅちにゅちとした柔らかな感触に、陶然となってくる。自慰行為での、自分の膣の感触などは比べ物にならない。
 もしも自分が男で、これが指でなくペニスだったとしたら?
 きっと簡単に果ててしまうに違いない。そんな事を想像するだけで、恋はどうしようもなく濡れてきて、自分を抑えられなくなってしまう。
 {心ちゃんが男の人になりたい気持ち、分る気がするわ}
 実際はそんな生易しいものではない、ずっと切実なものなのだが、恋には分ろうはずもない。
「あん、ぁあ、はぅ……ひ、ひぅ、やぁあああん!! あはぁあん、ひぁああ」
 心はいつの間にか、我知らず笑みを浮かべている。涙に濡れた頬を紅く染めて、嬌声を上げ続ける。
 不意に恋の指がアヌスから引き抜かれた。
「先生、それでは後はよろしくお願いします――愛ちゃん、行きますよ?」
「はいはい、じゃ、先生よろしくね」
 二人が出て行こうとカーテンを開けたその時、心の目に看護婦さんの姿が入った。
 (看護婦さん?……そういえば、いたんだ。姉さんと愛以外に――っ!!)
「あぁ! やぁああああ!!! 見ちゃやだぁああ、ダメェ、見たらダメぇ!!」
 強烈な羞恥心が一気に押し寄せて、パニックに陥る。
 自分がよがり狂い、嬌声を上げる様を、布一枚隔てた場所でずっと聞かれていた。
 もしかしたら、自分が気付かないでいただけで、見られてすらいたのかもしれない。
 初対面で見ず知らずの、あの若い看護婦さんに。
「どうしたの? どうしたの心ちゃん? 大丈夫ですよ――」
 小さな子供をあやすように言い聞かせながら、玲那は心を取り押さえて、その指を深々とアヌスに挿入してくる。それだけで心は身動きを封じられ、為すがままにされてしまう。感触を愉しむように心の体内をかき回し、滲み出す愛液を美味そうに啜り上げる。
「ああん、はぅ……ひっ、ひぁあああ……いやぁ、ずるいぃ! せんせいずるいよぉ!!」
「心ちゃん?! 私……なにか酷いことを?」
「違うよぅ、違うけどずるいのぉ」
「どうして? 先生を嫌いになってしまったの?」
「だってぇ、ボク何にもできないよぉ! せんせいちょうだい!! くれなきゃやだぁ」
「分ったわ。でも、もう少しだけお願い、心ちゃんのをちょうだいね?」
 心の返事を待たず、玲那は『お花』にむしゃぶりついてくる。
 ピンクの花びらを舐め上げ、甘噛みしながらこそげ落とすように愛液を啜る。
 表面をあらかた舐めてしまうと、今度は膣の中に舌を滑り込ませてくる。
 胎内から最後の一滴まで搾り取ろうとでもするように、窮屈なそこを舌でかき回す。
 同時にアヌスでは、湿った音を立てつつ挿入した指を出し入れして、愛液をさらに溢れさせようとしている。
 どうやら先程の言葉通りには、心と攻守を入れ替えるつもりはないらしい。
 最後の最後まで心を嬲りつくして、こころゆくまで愉しもうとしているようだ。
「嘘つきぃ……いやぁ、ダメぇ! ダメぇ、くる、来るぅ!! 来ちゃうよぉ
 あぁん……ひゃはぁああ、ひぃ、ふぁああああああああああ!!!!」
 くたりと動かなくなった心の股に顔を埋めて、玲那はまだ責め立てている。
 もうすでに半ば意識を失っているのに、刺激を受ける度に心の身体は反応している。
 やがて愛液をきれいに舐め取ってしまうと、ようやく玲那は顔を上げた。
「心ちゃん、お待たせ――心ちゃん?」
「嘘つき……嘘つきぃ。せんせいの嘘つきぃ……きらい、きらぁい……うそつきぃ」
 虚ろな目で何度も、何度も『嘘つき』とうわ言を繰り返している。
「ごめんなさい。心ちゃん、ごめんなさい。私ったら、酷いことを、ごめんなさい」
 何度も謝りながら、唇を重ねる。

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