わたしの黒騎士様

エピソード4

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 【2】

 一週間の早朝草むしりの刑をやり遂げた後は、何事もなく日常が過ぎていく。
 エルマーと顔を合わせる機会もなく、あの一連の出来事も忘れかけようとしていた頃のことだった。

 わたしは白騎士団の会議室へと呼び出しを受けた。
 恐る恐る赴くと、室内には両騎士団の団長に副団長、一級騎士が複数いて、大事な会議の最中のようだ。
 ど、どうしてこんな場所に呼び出されたんだろう?
 しかも、エルマーまでいる。
 ま、まさか、この間の遭難の件でお咎めが?
 レオンの方を盗み見ると、険しい顔で腕組みをしていた。
 これから言い渡される事柄は、承服できない内容なんだろう。
 不安になってくる。

 静寂の中、口を開いたのはウォーレス団長だ。
 咳払いを一つして、並んで立っているわたしとエルマーに向き直る。

「エルマー=バーネット、キャロル=フランクリン。両名は従騎士であり、本来なら任務を与えることはないのだが、今回は適任者がいないということで特例を認めることになった。もちろん、サポートは我々が十分する。君達に拒否権はない。ことは一刻を争うのだ」

 任務?
 何か危険な仕事なのかな。
 処罰の話ではなくて、安堵した。

「この一週間で誘拐事件が五件も発生している。被害者は全員が良家の令嬢だ。彼女達はいずれも外出先で警護の隙を突かれて姿を消している。犯人は複数犯で身代金を要求する犯行声明も出しており、人身売買のブローカーが暗躍していると情報が入っていることから、金を入手後に令嬢達を売り飛ばす手はずも整えていると予想できる。しかし、未だアジトの発見には至っていない。そこで囮捜査を行うことに決定したのだが……」

 団長の語尾が鈍った。
 その後を引き継いで、グレン様が話し始める。

「攫われた令嬢の特徴は、いずれも小柄で愛らしい、いわゆる美少女系というヤツでね。残念ながら、我が騎士団内で該当する体格の持ち主は、成長過程にいる従騎士の中にしかいない。そして、不自然ではないほどに女装が似合うのは君達二人だけだと多数の推薦が出た。特にキャロルは実績がある。自信を持って任務にあたってくれ」

 ええーっ!?
 女装の任務?
 不自然ではないほどにって、一応女だし、当たり前と言えばそうなんだけど、囮なんてできるかな。
 狙われなかったら、恥をかくだけじゃない。
 複雑な気分。

「さっそくで悪いが、すぐに支度をしてもらおう。捜査の手が伸びていることは薄々勘付かれている。撤収の準備も始めていることだろう。犯人達を捕らえるチャンスは身代金の受け渡し期限である明日までだ、失敗は許されない。変装にはエミリア姫の好意で、衣装と装身具、そして侍女を派遣していただいた。化粧と鬘の手配は彼女達に任せてあるので、君達は急いで着替えてくれ」

 拒否権はないということで、わたしとエルマーは臨時の更衣室に放りこまれた。
 衣装を身につけて、隣の部屋に控えている侍女達に化粧と髪の仕上げをしてもらうことになっている。

 用意された衣装は、お忍びで出かける令嬢が外出着に着る簡素なドレス。
 ドレスは最後に背中のファスナーを上げてもらうだけで、自分で着られるタイプのもの。
 わたしのはピンクで、エルマーのは青だ。

 で、でも、エルマーがいるのにどうやって着替えよう。
 エルマーがこっちをじろりと睨んで、わたしを促した。

「さっさと着替えろ。女同士だし、ためらうことはないだろう」

 え?
 女同士って、どういうこと?

 エルマーは上着を脱いで、アンダーシャツも脱ぎ捨てた。
 胸には白い布が巻いてあり、押さえてあるとはいえ、大きく隆起している。
 お、女の子?
 露わになった肢体は、筋肉がついていることを含んでも、十分魅力的にくびれた女性の体だった。

「一刻を争うと言われたはずだ。ぐずぐずしている暇はない」

 彼女は堂々と肌を晒して着替えていく。
 補正の必要もないぐらい大きく育った胸が羨ましい。

 見ている場合じゃない、わたしも着替えなくちゃ。
 上半身の衣服を脱ぐと、エルマーがこっちを見た。
 わたしの裸の胸元に目を留めると、嫌味な笑いが口元に宿った。

「貧乳」

 は、鼻で笑われたっ!?
 ムカつく!

「ちょっとぐらい大きいからって威張らないで! 胸のサイズなんか女の魅力には関係ないんだから!」
「ふん、ムキになるところを見ると、相当気にしてるんだな。こんなもの、騎士を目指すボクらには邪魔なだけだ」

 エルマーはぷいっとそっぽを向いた。
 何が言いたいんだろう?
 この子の考えていることは、さっぱりわからない。

「どうしてあなたは、わたしを目の仇にするの? 覚えてないけど、何かした?」

 途方に暮れて、真正面から問いかけた。
 あれこれ憶測で悩むより、本人に聞いたほうが早い。

「お前が気に入らない。それだけだ」
「そ、それだけってねぇ……」

 服を身につけながら、何度も問いただしたけど、明確な答えはなく、ただ気に入らないの一点張り。
 これから一緒に行動するのに、大丈夫なのかな。




 囮のわたし達は馬車に乗り、観劇に劇場を訪れた。
 御者や付き人は全て騎士団員の変装だ。
 適度に隙を見せつつ、誘拐犯が現れるのを待っている。

 ハイヒールは慣れたもの。
 令嬢らしいお淑やかな歩き方も、実家で習っていたこともあり、それなりに心得ている。
 だけど、エルマーはだめだった。
 妥協して低いヒールの靴を履いているものの、気をつけていないと大股で歩く。
 外見は黒髪の綺麗な令嬢なのに、動きは男のままだ。

「ちょ、ちょっと! それじゃ、不自然だよ。もっとゆっくり動いてっ、足は一直線上を歩くようにっ!」
「わかってるよ。ボクだってそうしたいけど、急には無理だ」

 少しでもごまかすために腕を組む。
 仲良しの令嬢のフリをして、客席に座った。

 情報では、犯人達はこういった場所で誘拐する女性を物色して、帰宅の道中を狙うそうだ。
 席は目立つように、一番上等の観覧席を用意してもらった。
 身代金目的でもあるから、金持ちであることをアピールする必要がある。
 エミリア姫から借りた大粒の宝石付きの指輪をはめた手を、これみよがしに上げてみたりと、演技をしてみた。

「お前、慣れてるな」

 エルマーが感心したように、話しかけてきた。

「うん、これでも一応お嬢様だったからね。結局、身にはつかなかったけど」

 嫌々叩き込まれた礼儀作法がこんなところで役に立つとは思わなかった。
 結局、社交界デビューもしていない。
 シェリーと比べられるのが嫌で、十六才になったらって言い訳して先延ばしにしていた。
 十六才になった時には、騎士団入りしている予定だったので、確信的に騙していたわけ。

「身につかなかったって、このぐらいできれば十分だろ。いちいちムカつくヤツだな」

 エルマーは急に不機嫌になった。
 こんなことで腹を立てられても困るんだけど。
 彼女はわたしのやること為すことが気に入らないようだ。

「そろそろ閉演だ。ここからが本番だから気を引き締めろ。足手まといになったら承知しない」
「そっちこそ、ヘマしないでよ」

 辛辣な言葉には、こっちも負けじとお返しする。
 表面上は微笑みながら、影で互いの足を踏みあっているわたし達だった。




 馬車に乗りこもうとした時、誰かの視線を感じた。
 素知らぬふりをして、馬車に乗り込む。
 馬車が走り出すと、背後に不審な馬車がぴたりとついてくる。
 黒塗りで客車の窓にはカーテンが引かれ、御者は帽子を深く被り、口元を布で覆っていた。
 あからさまに怪しい。

 賑やかな大通りを抜けて小道に入ると、不審な馬車の姿が見えなくなった。
 違ったんだろうか?
 失敗したのではと思い始めた時、前方からバンッと大きな破裂音がした。

「うわっ! 落ち着け、おとなしくしろ!」

 音に驚いた馬が足を止めて暴れだし、外にある御者席の方から慌てる声が聞こえた。
 何が起こったの?
 状況把握をする間もなく、客車の扉が開けられた。

「お嬢様方! 賊の襲撃です! 早く降りてください、こちらに馬車を用意しております!」

 見知らぬ男が切羽詰った声で叫ぶ。
 なるほど、こういう手口で誘拐したわけか。
 これなら混乱した令嬢は簡単に騙されてついていく。
 エルマーと目配せを交し合い、男に従って馬車を降りた。
 外は煙幕で周囲が見えない。
 煙の向こうで馬を制御する声が絶えず聞こえてくる。

「さあ、こちらです」

 男が案内したのは、やはりあの黒い馬車だった。
 わたし達が客車に乗り込むなり、男は中に霧状の液体が吹き出る箱を入れた。
 な、何これ!?
 意識が……消えていく……。

「うまくいった、馬車を出せ。ずらかるぞ」

 男が仲間に呼びかける声を最後に、わたしの意識は途切れた。




 冷やりとした感触に気持ち悪くなって目を覚ますと、そこは地下牢のような石造りの部屋だった。
 壁に備えつけられたロウソクの火だけが明かりで、夜中みたいに薄暗かった。
 わたしは石畳にぺったりと顔を貼り付けて寝そべっていた。
 げふっ、埃っぽい!
 掃除が行き届いてないな。

 気絶する前に嗅いだのは、睡眠効果のある薬だったみたい。
 後遺症はなく、寝覚めの気分はすっきりしていた。
 腕は後ろにまわされ、手首をロープで縛られている。
 うーん、動かせない。
 腹筋を使って、何とか起き上がった。

「気がついたか」

 傍らには、同じように縛られた状態で座っているエルマーがいた。

「ボクらが令嬢でないことがバレた。身代金を要求しようとしても、該当する家がないんだからな。幸い、正体はバレていないが、騎士団との繋がりは疑われている。ここでぼんやりしている時間はなさそうだ」
「そうだね。じゃあ、わたしがロープを切るから腕を出して」

 縛られたままの腕を動かして、エルマーのスカート部分につけてあった秘密のポケットから、ノコギリに似た形の小さな刃を取り出す。
 扉から腕が見えないように隠して、ロープを切るべく結び目を刃で傷つけていく。
 しばらく奮闘していると、ぷつりとロープが切れた。
 自由になったエルマーが、すかさず太腿に装備していた短剣を取り出し、わたしのロープを切った。

「手はず通りなら、そろそろ騎士団員が乗り込んでくる頃だ。ボクらは捕らわれている令嬢達の身柄を確保して、安全に逃がすのが仕事だ。それが無理なら最低でも内部をかく乱させる役割を果たさなければいけない」
「うん、次はこの部屋を出よう。近くの部屋に令嬢達もいるかもしれないしね」

 示し合わせて扉に近寄る。
 扉は鉄製で、上部につけられた覗き窓には鉄格子がはめてあった。
 鍵はかかっていない。
 縛っただけで安心して、かけ忘れたんだろうか。

 扉を開けると、石造りの廊下が続いていた。
 ここは一番奥の部屋で、左右に五つずつ、全部で十の扉が並んでいて、その向こうに階段があった。
 窓はない。
 地下で間違いないみたい。

 人の気配を探りつつ、身を屈めて慎重に進んでいく。
 幾つかの部屋から、女性のすすり泣きが聞こえた。
 それらの部屋には鍵がしっかり取り付けられていた。
 扉の窓から覗くと、ドレスを着た可憐な少女がやつれた様子で顔を覆って泣いている。
 他の部屋も似たようなものだ。
 階段を見上げると、鉄の扉があり、きっちりと閉められていた。
 階段脇の壁に、鍵束がかけてある。
 これが、各部屋の鍵なんだろう。

「見張りは階段の上にいるようだな。鍵もここにあるし、令嬢達を救出するのは簡単だが、上階にどれだけ敵がいるかはわからない。上で騒ぎが起こるまで様子を見よう」

 騎士達の突入を待つことにして、階段に一番近い鍵のかかっていない部屋に潜り込む。
 一息つくと、エルマーが小声で話しかけてきた。

「悪かったな」

 言われた意味がわからなくて、答えに困った。
 黙っているわたしに、彼女は言いにくそうに口を動かした。

「八つ当たりだってことは自分でもわかっている。だけど、しょうがないじゃないか、同じように男のフリをしていたって、お前はちゃんと女として生きてきた。好きな人を追いかけて、自分の意思でこの道を選んだんだろう? でも、ボクは……」

 エルマーは唇を引き結び、言葉を切った。
 わたしは続きを待った。
 そうせざるおえないような、重い空気を感じたからだ。

「ボクの生家は血統を重んじる貴族の本家だ。当然、両親は跡継ぎに男の子を儲けることを強く望まれていた。でも、母は体が弱くて子供は一人が限界だと言われていたのに、できたのは女のボクで、二人は男の子が生まれたと周囲を騙した。母は父が妾を持ち、自分以外の女性との間に子供を作ることに耐えられなかったんだ。母を愛していた父は、娘を息子として育てることに同意した。どうせ、いつかはバレてしまう嘘なのに、生まれた子供の将来なんかどうでも良かったんだ」

 エルマーは声量に気をつけながらも、鬱憤を晴らすかのように喋り続けた。
 わたしの家も貴族の家系だけど、跡継ぎは男児が優先とされているものの、女性でも当主の血を引いていれば跡継ぎになれる。両親の間に男の子が生まれなかったので、長女のわたしが婿を迎えて跡を継ぐはずだったけど、妹のシェリーでもいいんだ。
 そういう意味では、家を出ることにためらいはなかった。
 むしろ、その方が誰にとってもいいことだと思っていた。

「それでも幼い頃は問題なかった。だが、大きくなるにつれて自分の体が男ではなく女であることを自覚した。女の好む遊びや服装に憧れも抱いた。一度、そのことを口にしたら、母は半狂乱になってボクを罵り鞭で打った。父との生活を守ることだけが彼女の望みだったんだ。父はボクに懇願した。母のために男として生きてくれと」

 エルマーはそこで男として生きようと決意した。
 母のためではなく、自分にはその道しか残されていないと諦めたからだ。

「その後、母はボクが十一の時に病に倒れて亡くなった。二年後に父は後妻を迎えた。彼女はまだ若く妊娠した。生まれたのは弟だった。男だったんだよ、父の血を引く正真正銘の男児だ」

 その事実が示すことに、すぐ思い当たった。
 エルマーは憎悪に漲る双眸で、過去を振り返っている。

「もちろん義母にも弟にも罪はない。許せないのは父だけだ。弟が生まれたと知るなり、父はボクに言ったんだ。今まで悪かった。跡継ぎとして生きる必要はなくなったから、これからは女に戻って好きなように生きていいんだって。生まれてからずっと男として生きてきたのに、今さら女に戻れだなんて勝手すぎる。何が悪かっただ。結局、ボクが邪魔になっただけだ。娘が長男のままじゃ、弟が跡を継げないからな」

 父への怒りを吐き出して、エルマーは荒い息を吐いた。
 わたしに対して語るというより、胸の内を吐露した独白に近い。

「貴族の令嬢として生活しようとしても、がさつなボクにできるわけがない。母のせいで女の嗜みからは一切遠ざけられて育ったんだ。言葉遣いだって直らない。周囲の目は不出来な娘には厳しいものだ。期待は全て幼い弟に向き、ボクの居場所はなくなった。だから、騎士団に入った。あの家から逃げ出したかったんだ」

 彼女の過去に、自分と共通したものを感じた。
 不出来を嘆かれ、期待は全て兄弟に向かい、疎外感に耐え切れず、逃げ出したところなんてそっくりだ。

「白騎士団での生活は思ったほど嫌じゃなかった。始めは男にもなりきれない自分に引け目を感じて仲間に入れなかったけど、話してみたらみんないいヤツだったし、それにあの人と出会えた……」

 エルマーは俯いて、ごにょごにょ最後を濁した。
 あの人って誰だろう?
 気のせいか顔が赤くなってない?

「ボクがみんなと馴染めなくて、一人でいた時に、あの人が声をかけてくれたんだ。ボクがみんなと違うことを少しこぼしたら、気を張らずに自分らしく生きればいいよって言ってくれたんだ。頑張れば、頑張った分だけ返ってくるからって。ほんの一言だったけど、ボクには彼の言葉が光に思えた」

 なんだか少しだけ、わたしとレオンの出会いに似てるかも。
 わたしもレオンがくれた言葉が光になった。
 エルマーがその人を慕う気持ちがわかる気がする。

「でも、どうしても素直になれなくて、せっかく話しかけてもらえても、心にもないことを口にして逃げてしまうんだ。きっと、もう嫌われてるよね。ボク、お前みたいにかわいくないし、生意気だし。ボクはお前が羨ましかったんだ。どんなに邪険にしたって構ってもらえるんだから。ボ、ボクだって、あの人に頭を撫でてもらって、ぎゅーって抱きしめられたいのにっ!」

 えっと、あの……。
 もしかして、エルマーが言ってるのは、あの人のこと?
 まさか、敵意を向けられていた理由って、あの人がわたしに構うから嫉妬してたってことなの?

「エルマー。あなたが言ってるのって、アーサー様のこと?」

 エルマーは赤くなった顔をさらに俯けて頷いた。

「だ、だけど、アーサー様には恋人が……」

 しかも、たくさん。

「知ってるよ。白騎士団にも何人かいるし、どの人も強くて大人で、勝ち目がないこともわかってるから、嫉妬とかそういう感情は無い」
「それじゃあ、どうしてわたしにだけ。わたしはアーサー様のこと好きじゃない。レオン一筋なんだから」
「好きじゃないくせに愛されてる。それが気に入らない」

 本当に八つ当たりだ。
 そんなこと言われたって、わたしにはどうしようもないことなのに。

「でも、もういい。胸の内を吐き出してスッとした。嫌な思いさせて悪かった。ごめん」

 素直に謝られて拍子抜けした。
 エルマーって、態度は捻くれてるけど、根は真っ直ぐな子だと思う。
 良くも悪くも感情がストレートなんだ。
 照れ屋な性格が、それを表に出すことを邪魔しているみたい。
 彼女の本質がわかってくると、腹の立つ態度も可愛く思えてくる。

「アーサー様はエルマーのこと嫌ってないと思う。もっと積極的に好意を伝えれば、応えてくれるはずだよ」

 実際、アーサー様はエルマーのことを心配していた。
 嫌っているはずはない。
 プレイボーイなアーサー様の性癖を考えると、恋愛対象としてはお勧めできないけど、応援したくなってきた。
 エルマーは全てをわかって、彼を好きだと言っているから。
 何とか気持ち、伝わるといいな。

「そうかな? ……ボク、嫌われてない?」
「うん、大丈夫」

 自信を持って請合うと、エルマーは朱に染めた顔に微笑を浮かべた。
 初めて見た彼女の笑顔は、穏やかで素敵だった。

「エルマー、笑うとかわいいよ。その調子」
「う、ほ、褒めたって何も出ないぞ!」

 照れまくって視線を彷徨わせる姿に、笑いが込み上げてくる。
 いじり甲斐がありそう。
 褒め殺して、反応をもっとみたくなる。
 わたしはエルマーのことを気に入ってしまったようだ。
 騎士団で女の子のライバルに出会えるなんて思わなかった。
 仲良くなれるかな。
 友達になれたら、今後の生活がもっと楽しくなりそうだ。

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