わたしの黒騎士様

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 【2】

 その後、色々あってボクとキャロルは仲良くなった……と思う。
 元々、敵対視していたのはボクだけだったし、以前のこちらの最悪な態度について、キャロルはまったく気にしていないようだ。
 屈託なく話しかけてくる彼女と接していると、器の違いを思い知らされる。
 それにキャロルのおかげで、ボクとアーサー様の距離は近くなった。
 望んでいた形とは少し違うけど、それでも嬉しい事に変わりはない。
 背中を押してくれたキャロルには感謝している。
 だけど、ちょっぴり不満があるのも確かだ……。

「あ」

 修練の片づけを済ませ、みんな揃って寮へと帰る移動中、ばったりとアーサー様に出くわした。
 彼はボクを見ると、にっこり微笑んだ。
 次の瞬間には、ぎゅうっと力一杯抱きしめられている。

「一日一回はこうしないと物足りなくて。相変わらず君は抱き心地がいいなぁ」
「は、放して……、みんな見てますっ!」

 他の従騎士達もいる前で、抱きしめられて真っ赤になった。
 恥ずかしい。
 アーサー様の人目を忍ばぬ派手な抱擁は、ボクには刺激的すぎる甘い毒だ。

「あ、あの、オレ達先に行ってるから」
「どうぞ、ごゆっくり」

 ああ、みんなが先に行ってしまう。
 アーサー様はボクを抱えたまま、笑顔で手を振り、彼らを見送った。
 二人っきりになると、強引に木陰へと引きずり込まれた。

「ここなら誰もいないから、存分に愛を語らえるね」

 頬に口付けられて、ドキドキした。
 低いけど通る声は耳に優しくて、いつまでも聞いていたい。
 彼は木の根元に腰を下ろすと、ボクを膝の上に座らせて抱きしめた。

「最近はどう? 寂しくない?」

 愛を語らうなんて言いながら、二人っきりの時に彼が口にするのは、騎士団の先輩としての気遣いに満ちた問いばかりだ。
 気にかけてもらえるのは嬉しいけど、ボクが欲しいのはそんな言葉じゃない。

「平気です。周りともうまく馴染んできているし、前みたいに一人でいたいとは言いません」
「それならいいんだ。表情も穏やかになってきた。以前の君は触れる者全てを棘で傷つける薔薇のようだったよ」

 アーサー様はボクの髪を撫でたり、頭や額にキスしたりと、過剰なスキンシップをしてくるけど、唇にキスしたり、体を求めてきたことは一度もない。
 唇へのキスはねだられたこともあるけど、本気じゃないことはすぐにわかった。
 ボクが拒むとわかっていてやっている。
 まるっきり子ども扱いされているんだ。




 結局、今日も彼はボクを抱っこして好きなだけ可愛がると解放してくれた。
 別れ際に頬にキスされる。

「それじゃ、またね」

 優しい手つきで頭を撫でられた。
 離れて行くアーサー様の手。
 ボクは寂しさと恨めしさのこもった瞳で、去っていく彼を見送る。

 どうすれば、アーサー様の恋人になれるんだろう。
 自分から告白しないとだめなのかな。

 急に自信がなくなった。
 好きって気持ちだけじゃ、好きになってはもらえないんだ。
 ボクはキャロルみたいに可愛くないし、レオン様みたいにカッコ良くもない。
 アーサー様の隣に相応しい魅力が、ボクには何一つ備わっていなかった。

「せっかく二人っきりで過ごせたのに、どうしてため息なんかついているんだい?」

 誰もいないと油断していた。
 驚いて声の主を見上げる。
 ボクよりずっと高い位置から、彼は落ち着き払った表情で見下ろしてきた。

「ハワード様」
「ここに来たのはついさっき。覗き見はしていないから、安心しなさい」

 一級騎士ハワード=マクレガー様。
 アーサー様は中性的な美しさを備えているが、彼は男性的に整った容姿をしている。
 一級騎士という肩書きと容姿に惹かれる人は多く、人気は高い方だ。だけど、なぜかそちら方面では浮いた噂一つなく、アーサー様一筋という一途な人だ。
 なのに、アーサー様にまとわりついているボクに対しても、邪険にすることはなく、逆に応援する素振りまでしてみせる。
 常に余裕の表情に浮かべている彼に、ボクは戦う前から敗北を認めるしかない。
 だって、アーサー様にとって、ボクは単なる後輩で、彼は恋人。
 この差は大きい。

「その様子だと今日も進展はなしか。アーサーも慎重になったものだ。少しは学習したというべきか」

 何がおかしいのか、ハワード様はくすくす笑った。
 そして、ボクに向き直り、手招きした。

「少し話をしよう。アーサーがどんな人間なのか教えてあげる。恋人になりたいなら聞いておいて損はないよ」

 ボクの知らないアーサー様の話。
 興味がないと言えば嘘になる。

 ボクはハワード様についていき、庭園の隅に置かれたベンチに座って彼の話に耳を傾けた。




「何から話そうかな。順番でいくなら、私とアーサーの馴れ初めでも話そうか」

 恋人になったきっかけ。
 それなら参考になるかな。
 耳を大きくして、一言も聞き逃すまいと気合を入れた。

「私は基本的に女性が好きなんだ。男と恋愛しようなんて、アーサーと出会うまで考えたこともなかった」

 アーサー様が入団した時、ハワード様は従騎士三年目だったそうだ。
 この三年目というのが、非常に微妙な立場なのだと、彼は苦笑した。

「普通なら二年勤めれば正騎士になれるんだ。ところが私は昇格に失敗した。理由は従騎士二年目の後半に当時付き合っていた恋人に他の男の影がちらつき始めたからだ。彼女は強引に口説かれて断りきれなかったと言っていたけど、どこまで本当だったのかはわからない」

 恋人を信じようとはしたものの、動揺から不調になった彼は、昇格の選定に漏れた。
 そのことを知った恋人は、ハワード様を捨て、言い寄られていた男と結婚してしまった。相手の男は金持ちの息子で、彼女が恋情より安定した生活を選んだのは誰の目にも明らかだった。

「今から思えば、彼女を信じ切れなかった私も悪かったんだがね。当時は裏切られたという気持ちの方が強かった。すっかり女性不信に陥って、二度と恋愛なんかするものかと心を閉ざした。騎士団を辞めることも考えたけど、負けっぱなしになるのも悔しくて、もう一年だけ頑張ろうと残ったんだ。アーサーと親しくなったのはその頃かな。こちらは人懐っこい後輩ぐらいにしか思ってなかったんだけど、向こうはそうじゃなかった。あの頃のアーサーは奔放な子でね。好意がすぐに恋愛感情に発展して騎士団内でも色々問題を起こしていたよ。従騎士仲間でも私は年長者だったから、何かと世話を焼いていたら、いつのまにか恋愛対象にされて口説かれていた。気がつくと抱きつかれていたり、キスされたりしてるんだ。不思議なことに嫌だとは思わなかったな。屈託なく甘えてくる彼に心が癒されて、いつの間にか受け入れていた。恋人が私だけでないことは承知の上だったから、割り切ることも容易かった」

 割り切っていたと言いながら、ハワード様は悲しそうだった。
 本当は納得なんかしていなかったんだってわかったけど、彼自身も自覚してることだろうから黙っていた。

「アーサーの性癖を黒騎士団のマードック団長は病気だと言っているけど、当たらずも遠からずだ。私もあれはある種のトラウマだと思う。彼の家は変わっていてね、両親にも、年の離れた兄にも愛人が大勢いて、みんなで仲良く暮らしているんだって。信じられるかい? 私は自分の耳を疑ったよ」

 家長の男性が妾を囲う話はよく聞くけど、母親まで愛人を?
 それも、みんなで仲良く暮らしている?
 どういう状況なのか想像もつかない。

「おまけにアーサーが故郷で付き合っていたという恋人達は彼の家庭教師だ。当然女だけではなく男の恋人もいたそうだ。みんな愛らしくて素直な彼に目が眩んで手を出したんだろうね。好意を寄せ合う者同士がキスをしたり抱き合うことが普通なんだと、性的なスキンシップが当たり前みたいに吹き込んだんだ。家族も愛人達との関係を正当化するために、大勢の人間と愛し合うことは素晴らしいと繰り返し言い含めたんだろう。多くの出会いを大切にして人生を謳歌したいっていう彼の持論は、周囲によって深層意識に刷り込まれたものだ」

 それらはアーサー様から聞いた話を総合して出した推論だがと、ハワード様は付け足した。
 騎士団に入ってからは、それらの悪影響が断たれたせいか、恋愛関係については落ち着いてきたそうだ。
 噂で聞くほど、恋人の数も少なかった。
 騎士団内に数名、外部の人と合わせても両手の指で数え切れるほど。そして、みんな彼に他の恋人がいることを知っている。

「昔はもっとたくさんいたんだけどね、彼のたった一人になれないのならと諦めて去っていった。真剣に恋愛をするなら、相手には自分だけを見て欲しいという欲求が必ず沸く。だが、アーサーにはそれがない。愛していても執着はしない。自分一人のものにしたいなんて絶対言わない。それは彼が本物の恋を知らないからだ」

 アーサー様はボクが思っている以上に、複雑な思考の持ち主だ。
 ハワード様の話で、少しだけ知ることができた。

「エルマーはどう? 君も相手には一途になるタイプだろう。仮に想いが通じて恋人になったとして、アーサーが他の人間に愛を囁くことを許せるかい?」

 許せるかと問われて、頷くことはできない。
 だからといって、諦めることができるかと問われれば、それもできない。

「できることならボクだけを見て欲しい。でも、好きなんです。あの人しかボクの渇きを癒せない。生まれて初めてなんです。こんなに誰かを求めて、愛しいと思ったことはない」

 正直に自分の気持ちを告白した。
 ハワード様は「そうか」と呟いて、ボクの肩を叩いた。

「そこまで気持ちが固まっているなら、私は邪魔をしない。気持ちを伝えれば、アーサーは喜んで受け入れるだろう。彼は君から愛想を尽かさない限りは傍にいて全力で愛してくれるよ。少なくとも、彼のたった一人が現れるまではね」

 ハワード様の言葉に含みを感じた。
 そこに感じたのは、複雑に交わった感情。
 彼はボクを無条件で認めているわけじゃない。
 その証拠に、ボクを見つめる瞳には、微かな嫉妬の感情が宿っていた。

「私もそれまで離れる気はない。手放すには惜しいぐらい、アーサーの傍は居心地がいいんだ。本音を言えば、私を選んで欲しいと思っている。忘れてもらっては困るから釘を刺しておくが、私は君の恋敵だよ」

 ボクと彼の会話はそこで終わった。
 寮への道を急ぎながら、先ほど話したことを思い返した。

 ハワード様は何を考えているんだろう。
 アーサー様のたった一人になりたいと言いながら、わざわざ恋敵を増やして。
 自信があるから?
 それとも、他に考えがあるのかな。

 彼の思惑がどうであれ、ボクの気持ちは変わらない。
 好きだと伝えれば応えてくれる。
 彼の言葉はボクに行動するきっかけを与えた。




 寮に戻ると、ボク宛てに手紙がきていた。
 差出人は義母だった。
 手紙を読むと、家の様子と、帰宅を願う言葉が書かれていた。
 ボクが家を出たことを、父は自分のせいだとかなり気にして落ち込んでいるらしい。
 どこまで本当だかわからないけど。

 それにしても義母は父にはもったいないぐらい、若くて綺麗で優しい女性だ。
 義理の娘、それも不完全な厄介な者を、わざわざ家に呼び戻そうとするなんて。
 いっそ憎しみすら覚えるほど嫌な人であれば、完全に縁を切ってやろうと思えるのにな。
 父はどうでもいいけど、弟のエリックにも会いたいし、一度帰ってみよう。

 そうと決まれば行動は早かった。
 ちょうど翌日が休日になっていたので、出かけることにする。
 早朝に王都を出れば、夜には戻ってこられる。
 実家が近いということも、帰宅をすぐに決断した理由だった。




 久しぶりに実家へと続く道を馬で走った。
 ボクの実家には王都から馬を半日走らせれば着く事ができる。
 街を一つ、村を三つ領内に抱え持つ大貴族だ。

 街の中心に建つ生家に到着すると、前触れのない訪問にも関わらず、執事や侍女達が出迎えにきてくれた。
 乱れなく整列して、頭を下げる彼らの後ろから、幼児を抱えた女性が現れた。
 父が後妻に迎えた義理の母、レオノーラ様だ。
 まだ二十代後半の彼女は、母というより姉のような人かもしれない。
 華美な装飾はないが、優雅で品のある装いに、きちんと結い上げられた髪。
 姿は性格を表す。
 レオノーラ様は淑やかで慎み深い人だ。
 ボクの母とは比べ物にならないほど、母性に満ち溢れ、傍にいるだけで穏やかな気持ちになれる女性だった。

「お帰りなさいませ、エルマ様。お父様は領内を見回っておいでです。しばらくすれば、戻られますわ。さあエリック、お姉様が帰ってこられたわよ」

 レオノーラ様はボクに微笑みかけ、腕の中の子供を促した。
 彼女はエルマとボクを呼ぶ。
 元の名前の綴りを少し変えてつけられた、女としてのボクの名だ。

 半分だけ血の繋がった弟は、皮肉なことにボクと同じ髪と目の色をしていた。
 成長すれば、きっとボク達はそっくりになるだろう。
 男と女の違いだけで、弟は誰に責められることも、嘆かれることもなく、両親に愛されて、全てのものを手に入れる。
 あの父も、待望の男子だったせいか、エリックには愛情を注いでいた。
 ボクがどんなに望んでも得られなかったものを、生まれつき持ち合わせているこの子を妬ましく思わなかったと言えば嘘になる。
 でも、憎むことは出来なかった。

「ねぇちゃ」

 小さな手がボクに伸ばされた。
 にこにこ笑い、舌足らずな口を動かして、エリックはボクを呼ぶ。
 無垢な幼子の前では、恨みつらみも掻き消えてしまう。
 ボクは彼の小さな手を両の手の平で包み込んだ。

「ほんの少し見なかっただけなのに、大きくなった気がする。抱いてもいいですか?」
「ええ、どうぞ」

 レオノーラ様は快くエリックをボクに渡した。
 人見知りもしないのか、弟はボクにおとなしく抱かれた。
 温もりを感じていると、この子に対する愛着や情が湧いてくる。不思議なものだ。




 少しすると、エリックは昼寝を始めてしまい、ベッドに運んで寝かしつけた。
 用事は済んだので帰ろうとするボクをレオノーラ様は引きとめ、お茶を用意するからと別室に案内され、椅子を勧められた。

 侍女がお茶の支度を整え、席を外す。
 ボクを気遣って、レオノーラ様は人払いを命じたらしい。
 彼女はボクの向かいに座り、近況を尋ねた後、引き止めた理由であろう本題を切り出した。

「騎士団での生活がお辛ければ、いつでも帰ってきてください。お部屋はそのまま残してあります。お父様も心配しておられます」
「ありがとう。でも、何とかやっていけてます。それに、将来のことを考えれば、騎士になることが最善だと思うんです。この家はエリックが継ぐんだし、最低限の作法も身につかないようでは結婚も無理でしょう。ボクには剣の他に何の取り柄もないから、一から爵位を得て財を築くしかないんです」

 ボクの言葉にレオノーラ様の表情が曇った。
 またやってしまった。
 無意識に言った言葉が、嫌味になっていたことに気づいて後悔の念が起こる。

「エルマ様、それは誤解です。エリックがいても、あなたがこの家の長子であることに変わりはありません。それはお父様も同じお考えです」
「どうでしょうね。父は昔からボクに関心などなかった。ただ母との生活を守るために儲けた子供ですから、その必要もなくなった今は邪魔なだけでしょう」
「違います。お父様はあなたのことを愛しておられます。仕方がなかったんです。亡き奥様は、お父様の関心が少しでも他の者に向けられることを恐れておられた。それはわが子のエルマ様に対しても同じでした」

 レオノーラ様はハッとして口元を押さえた。
 迷いを見せて視線を彷徨わせた後、意を決したようにボクに向き直った。

「お父様はあなたには言わないで欲しいとおっしゃっていましたが、話さねば一生心を開いてもらえないでしょう」

 彼女は静かな声で話し始めた。

「奥様はとても臆病な方でしたのね。お父様の愛情を独り占めにしていなければ、心が不安で平静ではいられなかった。お父様が少しでもエルマ様を可愛がれば、夫を奪われたと、怒りに任せてあなたを傷つけかねないほど取り乱されたそうです。お父様はエルマ様を守るために、あえて無関心を装っておいでだったのです。奥様が亡くなられてからは、あなたとどう距離を縮めればいいのかわからなくて、いつも悩んでおられました。どうか、信じてください」

 話を聞いて、困惑する。
 いきなりそんなことを言われても信じることなんてできない。
 愛されていたなんて、そんなこと……。

 混乱した頭を振って、立ち上がった。
 ここにいたくなかった。
 何かに追い立てられるみたいに、ドアを開けた。

「エルマ様!」

 後ろからレオノーラ様の声が追いかけてきたが、立ち止まらなかった。

 夢中で廊下を走っていた最中、聞き覚えのある男性の声が聞こえて足を止めた。
 ちょうど扉が開いていて、声の主がエリックが寝ているベッドを覗き込んでいる姿が見えた。
 こちらから見える彼の顔は横顔になっていて、誰だかすぐにわかった。
 父だ。

「何だ寝てしまったのか。せっかく早めに帰ってきたのに」

 父は愛おしそうにエリックの寝顔を見つめていた。声は残念がっていたけど、その表情は優しげで、母の隣にいた時のものと同じだった。
 一気に過去に引き戻された気がした。
 二人がいる場所だけが特別で、ボクはそれを外で見ている。
 際限のない闇と孤独。
 諦めと絶望の感情が吹き出してきた。

 気配に気づいたのか、父がこちらを振り返った。
 その顔が驚愕に引きつる。

「エルマ……」

 父の口が完全に言葉を紡ぐ前に、足が動いていた。
 全速力で廊下を駆け抜け、馬屋に走る。
 すぐに帰るつもりだったから、馬具は着けたままだ。

 馬を引き出して飛び乗り、走らせる。
 屋敷の玄関前を通り過ぎると同時に、扉が勢いよく開けられた。

「エルマ様、お待ちになって!」

 予想通りと言うべきか、追ってきたのはレオノーラ様だった。

「ここはあなたの家です。私達はいつでも待っています。必ず帰ってきてください」

 返事ができなかった。
 ただ泣くことを堪えて唇を噛むことしかできない。
 どんなに優しい言葉をかけてくれても、彼女はエリックの母だ。
 甘えるわけにはいかない。

 馬首を門へと向けて駆け出した。
 心がざわざわ音を立てて、溢れ出してきた様々な感情が暴れまわっている。

 何も考えずに飛び込む場所が欲しかった。
 思いっきり泣きたかった。

 その時ボクが思い浮かべたのは、初めて抱いてもらった温かい腕を持つ、彼のことだけだった。

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