わたしの黒騎士様

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 【3】

 王都に着いた頃には、ほとんど日が暮れていた。
 門は閉まっていて、番兵に身分証を見せて脇の小さな扉から入れてもらった。

 騎士団の敷地に帰り着き、借りていた馬を馬屋に返して馬具を片付けた。
 ぐったり疲れて寮に戻ろうと歩いていると、よく前を見ていなかったせいで、正面から誰かとぶつかった。

「申し訳ありません」

 敷地の中だし、相手はきっと上級騎士だ。
 そう思って丁寧に謝ると、相手はいきなりボクの腰を抱いてきた。

「え?」

 顔を近づけられて、ようやくその人物がアーサー様であることに気がついた。
 彼はいつになく真面目な顔で、ボクを見つめていた。

「何かあったの?」

 問われたことが意外で、言葉が返せない。
 そんなに表に出ていた?

「いえ、別に何も……」
「嘘をつかなくてもいい。何か悲しいことか、つらいことがあっただろう?」

 胸元にぐっと頭を押し付けられた。
 腰と背中にはしっかりと腕が回されている。
 いつものボクなら恥ずかしがって逃げようとしているところだ。
 でも、今日は彼の腕の中にずっといたい気分だった。

 恐る恐るアーサー様の背中に腕をまわして、服を握り締めた。
 背中を撫でていた手が、頭も撫でてくれる。
 全部受け入れてもらえたような安心感に包まれる。
 ハワード様が居心地がいいって言ってたのは、このことなんだろう。
 今なら正直な気持ちが言えそうだ。

「アーサー様、お願いがあります」

 逃げそうになる心を叱咤して声を出す。

「今夜、お部屋に行っていいですか? ボクを抱いてください」

 何か言い間違えた気がするんだけど、恥ずかしさで頭が一杯で何を間違えたのか考えることもできなかった。

「いいの?」

 アーサー様が確認してくる。
 ボクは頷いた。

「着換えたら部屋においで。今夜は一緒に寝よう」

 頬に軽く口付けられた。
 それだけの触れ合いでさえもドキドキする。
 アーサー様が立ち去っても、ボクはその場から動けなかった。
 顔は火照ったままだし、心臓もドクドク鳴りっぱなし。
 自分から言い出したことなのに、ボクはひどく動揺していた。




 体は部屋で綺麗に拭いて、夜着に着換えた。
 胸を押さえている布は巻いたままだ。
 一応、翌朝の着替えを持って、一級騎士の寮を訪ねた。

 幸いなことに、廊下では誰にも会わなかった。
 アーサー様の部屋の前に立ち、ドアプレートに書かれた名前を確認してノックした。

「いらっしゃい。どうぞ、入って」

 迎えてくれたアーサー様は、扉を開けて、ボクを中に入れた。
 ドアが閉まる音が聞こえて、緊張が高まる。

「無理やりにはしないから、そんなに固くならないで。人肌が欲しいだけなら朝まで添い寝してあげるよ」

 背中に手を添えて囁かれた声はとても優しくて。でも、言われた言葉は悲しくて、ボクは彼に抱きついていた。

「どうして、そんなこと言うんですか? ボクじゃだめですか? 恋人にはなれない? 同情だけで、ボクに構ってくれているなら、もういいです。ボクのことなんて忘れていいですから、もう関わらないで」

 愛してくれないなら、期待を持たせるようなことしないで。
 あなたが優しくしてくれるから、ボクはどうしても欲しくなってしまう。

「エルマー、私はだめだなんて言っていない。急がなくても大丈夫、私はずっと君の傍にいるよ」

 アーサー様はボクをぎゅうと抱きしめて、落ち着くようにと諭した。

「ベッドまで誘わなかったのは大事にしたいからだよ。今日の君は少しおかしかったから余計にね。何があったか、話してみて。色々するのはその後でもいいだろう?」

 い、色々って……。
 顔に熱が集まって暑い。
 動けなくなったボクを、アーサー様は寝室へと促した。
 二人で眠れるぐらいの大きなベッド。
 アーサー様は寝台の上に腰を下ろすと、手を差し出してボクを招いた。
 迷うことなく抱きつく。
 彼と向かい合う形で膝の上に乗って、首にしがみついた。

「今日は実家に帰ったんです。義理の母と弟と、父に……会いました」

 アーサー様は黙って話を聞いてくれている。
 ボクは過去を打ち明けた。
 現在の、父や弟に対する複雑な気持ちも全部一緒に。

「エルは父上に愛して欲しいんだね」

 話を聞き終わったアーサー様は、そう言ってボクの頭を撫でた。

 愛して欲しい?
 諦めたつもりだったのに、ボクはまだ期待していたというのだろうか。

「何とも思っていないのなら、つらくはならないよ。君の苦しみを取り除く方法は簡単だ。何も考えずに父上の胸に飛び込んでいけばいい。義母上は、君が愛されていると言ってくれたんだろう?」
「でも、そんなの信じられない」

 拒絶されて傷つくのが怖い。
 それなら曖昧なままで、遠くにいた方がいい。

「君には私がいるよ。もしも、父上が君を受け入れてくれなかったとしても、私がその分愛してあげる。君が欲しいだけの愛を与えてあげるから、一度だけ勇気を出してみて」

 アーサー様の言葉で、抱いていた不安が消えていく。
 この人なら本当にボクが望むだけの愛をくれると信じられる。
 飢えるほど渇いてしまった心に、たくさん愛情が注ぎ込まれていく。

 どんな結果になっても、彼が傍にいてくれる。
 約束してもらえたから確かめる勇気が出てきた。

「わかりました。もう一度、父に会ってきます」

 アーサー様はにっこり微笑んで、ボクの額にキスをした。
 口づけは頬に下り、首筋を伝って肩へと散らされていく。
 腰に置かれていたはずの彼の手は、パジャマの上着の裾をめくって中へと入り込んでいく。

「や……、ちょっと……」

 口付けられた肌が熱を帯びて、くすぐったい。
 さっきまで真面目な話をしていたのに、どうしてこんなことになってるんだろう?
 自分の体が寝台の上に横たえられるのを、他人事みたいに感じていた。




 アーサー様はボクを仰向けに寝かせると、ボタンを外してパジャマの前を開いた。
 室内のやや冷えた空気が肌に触れる。
 布で戒められた胸元が彼の目に晒された。
 ハッとして隠す。
 今さらだけど、ボクが女だってことアーサー様は気づいてたのかな?

「あ、あの、これは……」

 驚いているだろうかと、アーサー様の様子を窺うと、特に何とも思ってないみたい。
 逆にボクの方が焦っている。

「何となくそうじゃないかと思ってた。私としては君の性別がどちらでも悦ばせる自信はあるから大したことじゃない。大事なのは、君と結ばれることだけだから」

 アーサー様が笑ってくれたから、ホッとして肩の力を抜いた。
 ボクは心のどこかで怖がっていた。
 男じゃなくて、がっかりされたらどうしようって。

「エルは胸が大きいんだね。こんなに窮屈に押し込めて、苦しいだろう」

 アーサー様はボクの胸を覆っている布の合わせ目を解いて外した。
 ぎゅうぎゅうに押し込めていた二つの膨らみが、解放された勢いでぷるんと弾む。

「やっ」

 我に返って恥ずかしくなった。
 慌てて隠そうとしたけど、先にアーサー様の手が胸に触れていた。

「隠しちゃだめだよ、これからいっぱい可愛がってあげるんだから」

 胸の先端が舌でぺろりと舐められた。
 乳首が口に含まれて弄くられ、全体は両手で柔らかく揉み解されてしまう。
 むずむず股間が疼いてくる。
 自分でも制御しきれない感覚に、つい声を上げていた。

「あぁ……、ぁああんっ」

 今の声、何?
 一際高い声が口から飛び出てびっくりした。

「いいね、その声。もっと聞かせて」

 耳元で囁かれ、ぶるっと体が震えた。
 耳朶が甘く噛まれて、別の快感が呼び起こされる。

「はぁ……、あんっ」

 喘ぐことしかできない口を何度も唇で塞がされた。
 滑り込んできた舌が、口内をゆっくりと嬲り、ボクの舌を絡めとる。

「んっ……、ううん……、ふぅ……」

 甘いキスだけど、うっとりできる余裕はない。
 指先で乳首を捏ねられ、快感が高まっていく。
 ボクの胸はアーサー様の大きな手の平でも包みきれずに持て余されている。
 彼の手から離される度に、大きく揺れて恥ずかしかった。

 急に触れ合っていた熱が離れた。
 ボクに覆い被さっていたアーサー様が、体を起こして服を脱ぎだす。
 均整の取れた逞しい体が、急に視界に飛び込んできて目のやり場に困った。
 でも、逸らすこともできずに見てしまう。
 下肢に備わっている男性の象徴までも、彼は惜しむことなく曝け出した。

「さあ、次はエルの番だよ」

 あっという間にズボンが下ろされ、下着も足から抜かれた。
 袖を通しているだけだった上着も奪われ、文字通り一糸纏わぬ姿でベッドの上にいる。
 展開についていけない。
 気がつけば、ボクはアーサー様の体の下に組み敷かれていた。

「や、待って、アーサー様!」

 ようやく状況が呑みこめて慌てた。
 このまま結ばれてしまうことに、微かな抵抗を感じてしまったのだ。

「どうしたの? 嫌?」
「嫌じゃないんです。でも、もっとその……」

 うう、自分でも何が言いたいのかわからない。
 じれったくて、もじもじしていたら、アーサー様は何かに気づいたらしく、にこっと笑った。

「エルは初めてなんだよね。雰囲気が欲しいってことかな?」

 そうだと意思表示のために、首を縦に振る。

「心配しなくても、前戯はたっぷりするつもりだよ。私も愛しい君の体を堪能したいしね」
「ああっ」

 つつっと脇に指を滑らされて、びくんと腰が跳ねた。
 全身が感じてしまう。
 どこに触れられてもえっちな声を上げて悶えるほど、ボクの体は昂っていた。

「綺麗な体だ。肌も瑞々しくて触り心地がいい」

 惚れ惚れとした口調で褒めて、アーサー様はボクの体を撫で回した。
 男であることを強要され続け、誰にも望まれなかった女の体を、彼は愛してくれてる。
 ボクの性別がどっちでも大したことじゃないと言ってくれたことで、この人への好意がますます大きくなっていく。

 太腿を撫でていた手が、足の間にある秘部へと進んでくる。
 指先が湿り始めた割れ目に触れ、ゆっくりと侵入してきた。

「……はぁ……、あ……ん……、アーサー様ぁ……」

 指は浅く出入りを繰り返してすぐ抜かれた。
 足を持ち上げられ、開かされる。
 アーサー様はボクの広げた足の間に屈みこむと、顔を寄せて割れ目を舐めた。

「ひあっ……、ああんっ……」

 舐めたり吸い付いたり、彼の口と舌が秘裂をまさぐる。
 目を開けていられなくて、固く目を閉じて恥ずかしさに耐えた。

「エルは照れ屋さんだな。そういうところが可愛いんだけど」

 くすくすと、アーサー様の笑い声が近くで聞こえた。

「姿勢を変えようか。うつ伏せになってみて」

 ころんとひっくり返され、枕に顔を伏せて両膝をつく。
 お尻がぐっと持ち上げられ、無防備に晒された秘所に再びアーサー様の舌が触れた。

「や、やだ! 恥ずかしい!」

 さっきのも恥ずかしかったけど、これもだめだ。
 ボクの悲鳴もお構いなしに、アーサー様はお尻を撫でながら、ぴちゃぴちゃ舌を動かしてくる。
 枕に突っ伏して快感に身悶えた。

  「あっ……、んっ、ああっ……いやあああっ」

 体の芯から震えが来て、秘所から蜜が溢れ出た。
 アーサー様は溢れ出た愛液で濡れているボクの足の付け根にキスを繰り返した。

「やめてぇ……、あぁ……」

 キスが止んだと思ったら、左向きに横を向かされ、ぴったりと後ろから寄り添う形で密着される。
 アーサー様は左手でボクを抱き寄せて胸を揉み、右手で秘所を触り始めた。
 達してたくさんの愛液で満たされた蜜壷は、彼の指を抵抗なく受け入れていく。
 指が動くたびにくちゅくちゅ水音が聞こえる。
 性器の敏感な部分にも触れられ、性的な痺れに襲われて、羞恥のあまり涙が浮かんできた。

「泣かないで」

 アーサー様がボクの目尻に口づけた。
 唇にも優しいキスをされる。

「愛してるよ、エルマー」

 名前を囁かれた。
 でも、それは男だったボクの名前。

「アーサー様。ボクの本当の名前はエルマなんです。女に戻ることになった時に改めてつけられたものだけど……」

 彼には女の名前で呼んでもらいたかった。
 女としてのボクを認め、愛してほしかったんだ。

「二人でいる時はそう呼ぶよ。エルマ、君は今日から私の恋人だ」
「はい」

 たった一人の恋人ではないけど、ボクは愛しい人を手に入れた。
 ボクだけを見てなんて、わがままは言わないから、傍にいさせて欲しい。

 ボクが下になり、正面から抱き合った。
 足の間に硬く大きくなった彼自身が押し当てられる。
 しっとりと十分濡れたボクの秘所に、それがゆっくりと挿入されていく。

「あうっ」

 指以上の異物を受け入れる感触に驚いたけど、夢中になって、アーサー様にしがみつき、腕に力を込めた。
 足は彼の体を挟み込み、動きに逆らわず身を任せた。

「アーサー様、ボク、あなたが好き……。あ、愛して……ます……」
「私も愛しているよ。君が離れていってもずっとね」

 え?
 最後の方、よく聞こえなかった。
 その一瞬だけ、微笑を浮かべていたアーサー様の顔が悲しそうに歪んで見えた。

 気のせいだったのかな?
 疑問を問いかける暇もなく、ボクの中にいるアーサー様が動き出す。

「ああっ、んぁあっ……、はっ、ぁあっ……っ!」

 膝を曲げられ、さらに深く貫かれた。
 気持ちいいとか、痛いとか、考えることもできないほど、すごい圧迫感で満たされた。
 繋がっている今、アーサー様が見ているのはボクだけだ。
 無意識に彼の背中に爪を立て、ひっかいた。

「エル……、痛くない?」

 気遣う言葉がかけられた。
 余裕がなくていっぱいいっぱいだったけど、ボクは首を横に振った。

「痛くない。もっとアーサー様が欲しい……」

 アーサー様は壊れ物を扱うように、ゆっくりとボクの頬にキスをした。

「もう少しだけ我慢してね」

 頷いて、彼に抱きつく。
 一緒に動いているうちに、次第に腰の動きが早くなっていく。

「あっ、ああっ、うぅ……、ぁあああっ」
「……はっ、あっ……くぅ……」

 達したのか、アーサー様が恍惚とした声を上げ、ボクの中から抜け出して、お腹の上に精を放った。
 ボクの方は疲労感に襲われ、ぐったりと体を横たえる。
 これが初めての体験。
 緊張から解き放たれて、ボクはその後すぐに眠りについてしまった。




 翌朝、目覚めたボクが身につけていたものは、パジャマの上着だけだった。
 しかも、アーサー様のものらしく、袖は余っているし、襟刳りも大きく開いている。
 隣で眠っている彼は、上半身裸でズボンだけ穿いている。
 もしかしなくても、自分の上着をボクに着せたのかな。

 困惑しつつ、アーサー様の寝顔を見ていると、蒼い瞳がうっすらと開いた。
 寝ぼけ眼で起き上がった彼は、ボクを見てにっこーと満面に笑みを浮かべ、抱きついてきた。

「昨夜も満足したけど、似合ってる。かわいいっ」

 朝一番の熱い抱擁。
 ボクは頭を回転させ、昨夜のことを思い返した。
 行為の後、睡魔に負けて身を清めることもできずに眠ってしまったんだ。
 その後、アーサー様が体を拭いて、着せてくれたんだろうけど、これは何?

「アーサー様、ボクのパジャマは?」

 尋ねながら部屋を見回すと、ベッドサイドのテーブルにきちんと畳まれて置いてある。
 首を傾げるボクの頬にアーサー様の手が添えられて、正面を向かされた。
 彼の唇がボクのそれを捕らえて、ちゅっと吸い付かれる。
 おはようのキスだ。
 こんなことしてもらえるなんて、まだ夢の中にいるみたい。

「始めは好奇心で着せてみたんだけど、予想以上にかわいくてそのままにしておきたくなったんだ」

 アーサー様は自分のパジャマの上着を着ているボクを見てご満悦だ。
 ぶかぶかの上着だけを着ているのがポイントだと言う。
 そう言われても、どの辺がいいのか、ボクにはわからない。

 返事に困っていると、ドアがノックされた。
 こんな早朝に誰だろう?

「アーサー、起きてるかい? 私だ」

 ハワード様だ。
 ぎくりとして、寝具で身を隠す。
 後ろめたいことをしているわけじゃないけど、ここで顔を合わせるのは気まずい。

「はーい。ハワード、おはよう」

 ところが、アーサー様はためらいもなくドアを開けに行ってしまった。
 室内に入ってきたハワード様は、寝具に包まって呆然と座り込んでいるボクを見て苦笑した。

「ついに食べられてしまったか。近いうちにこうなるんじゃないかとは思っていたけどね」

 何だこの余裕は。
 恋人の情事を目の当たりにしているのに、怒っているわけでも、悲しんでいるわけでもない。
 ハワード様はこの状況を面白がっている?
 彼はアーサー様に微笑みかけ、傍に寄って顔を近づけた。

「朝の挨拶に来たんだけど、お邪魔だったかな?」
「そんなことないよ、嬉しい」

 アーサー様は本気で嬉しがっている。
 ハワード様に抱きついて、濃厚なキスを唇にした。
 舌を絡め、甘い吐息をついて……。

 ボ、ボクの立場は?
 さっきまでボクのことを愛してくれてたのに、目の前で他の人とキスするなんてひどい。

 悔しさで目が潤みだす。
 ボクの方をちらりと見たハワード様は、アーサー様の肩をトントンと叩いて、ボクを指差した。

「エルマーが泣き出しそうだ。ちゃんとご機嫌を取らないと、また愛想を尽かされてしまうよ」

 アーサー様がボクを振り返り、こちらに戻って来た。
 またってどういうこと?

「ごめんね。もちろんエルのことも愛してるよ」

 アーサー様はボクに抱きつくと、熱いキスをしてくれた。
 ハワード様とのキスに負けないぐらい、濃密で甘い口づけ。

 ボクも彼の頭に手をまわして応える。
 見せつけるつもりでハワード様の方を盗み見ると、彼は相変わらずの余裕の表情で、笑みさえ浮かべて見物していた。
 アーサー様と付き合うなら、こういうことは日常茶飯事ってことなんだろう。
 ま、負けないぞ。

 生まれて初めて恋した人は、多くの恋人を持つプレイボーイだ。
 きっと、ボクは幾度も嫉妬で苦しむことになる。
 だけど、諦めることはできない。
 それら全てのことを知っていながら、離れることが出来ないほど、ボクは彼のことが好きなんだ。


 END

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