憧れの騎士様

エピソード1・リン編

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「わかりました! わたしに任せてください」

 依頼主の前で、皮鎧に包まれた胸元を力強く叩く。
 わたしはリン。
 幼なじみのルーサーと冒険者をしている。
 今回受けた依頼は魔物退治。
 山中を通る街道で、何人もの若い女性が行方不明になっているらしい。
 目撃者である同行者によると、得体の知れない魔物が襲撃してきて、触手に女性達を絡めとって連れ去ったのだそうだ。

「魔物の吐く粘液は装備を溶かす力があるそうです。どうかお気をつけて」

 依頼主は近くに住む村の人々だ。
 領主にも被害を訴えているのだけど、なんだかんだと理由をつけて、討伐隊を送ることを渋っているんだって。
 高い税金を絞り取っているくせに、肝心な時には動いてくれないなんて、ひどい話だ。




 アイテムを仕入れて、準備をしてから村を出た。
 皮鎧と剣がわたしの装備。
 剣で身を立てようと、わたしは冒険者になった。

「ねえ、リン。今回の仕事は相手の魔物の情報も少ないし、やめた方がいいんじゃない?」

 後ろで消極的なことを言っているのはルーサーだ。
 慎重なのか臆病なのか、彼はいつもこんな感じ。

「わたし一人でも大丈夫。怖かったら、ルーサーは村で待ってればいいよ」

 くるっとまわって、ルーサーと向き合う。
 ルーサーは黒いローブを着た魔法使い。
 小さかった背は、成長期に入ったと同時にわたしを遥かに追い越した。
 女の子みたいだった顔は精悍さが加わり、ぐっと男っぽくなった。鼻筋の通った甘いマスクは道行く女性を振り向かせてしまうほどで、わたしでも見惚れてしまう。
 姿は立派に成長しても、温厚な性格は相変わらずで、争いごとは苦手。
 魔法も防御と補助、回復は頼れるけど、攻撃系だけは威力の弱い初歩のものしか放てない。
 まあ、わたしの剣があるから、サポートに徹してくれてればいいんだけどね。
 いざという時は、わたしが守ってあげるの。
 ルーサーは大事な弟分なんだから。

「リンが行くのに、留守番なんかしていられないよ」

 どんなに怖くても、ルーサーはわたしを一人で危険なところには行かせない。
 無理しちゃって。
 でも、それが彼の良いところ。
 健気でかわいい。
 体格ではすっかり負けてしまっているけど、思わずぎゅって抱きしめたくなってしまう。

「じゃあ、連れて行ってあげる」

 腰に手を当て、胸を逸らす。
 条件反射でやってしまう、このポーズ。
 ルーサーを安心させるために、強気な態度でいつも余裕を見せている。

「頼もしいね、リンは」

 ルーサーにそう言われると、くすぐったくて誇らしい気持ちになる。
 よおし、任せておきなさい。
 魔物なんか、わたしの剣で一刀両断にしてやるから。




 わたし達は街道を歩き、魔物が出るという山中に入った。
 昼間だというのに木々が生い茂って薄暗い。これじゃ、近づいてきてもわからないかも。

「ルーサー、気をつけて。わたしから離れちゃダメだよ」
「うん」

 ルーサーを背中に庇えるように、警戒しながら先を進む。

「でもさ、連れ去られているのは女の人ばかりなんだから、リンの方が危ないと思うんだけど」

 後ろでルーサーが心配そうな声を出した。
 振り向き、彼のローブの胸倉を掴んで、ぐいっと引き寄せる。

「ルーサーの方が危ないの! そこらの女より断然かわいくて綺麗なんだもの。魔物もわたしより、ルーサーを狙うって! だから、わたしの心配より自分の心配をしなさい!」

 悔しいけど、それは事実でもある。
 わたしはお世辞にも美人と言える容姿ではない。
 体も鍛えているから、筋肉質でがっちりしている。胸だけは無駄に大きいけど、色気はないと思う。
 ルーサーがわたしを好きだって言うのは、強い者への憧れみたいなものだろう。
 自分に自信がつけば、守ってあげたくなるタイプの女の子に夢中になる。体も腕も簡単に折れそうなほど細くて、剣なんか到底持てないような華奢な子が、ルーサーの隣に立つんだ。
 想像したら、ちょっと嫌な気持ちになった。

「オレはリンのことが心配」

 ルーサーが両腕でわたしを抱きしめた。
 弱いくせに。
 でも、嬉しい。
 今は一生懸命わたしの後ろをついてきてくれるから、心のどこかで安心している。

「わたしは平気だって。それに、いざとなったら騎士様が来てくれる」

 あの人のことを口にすると、途端にルーサーの表情が曇った。
 そんな顔しなくてもいいじゃない、わたし達の恩人なのに。

 騎士様とは、わたしが勝手にそう呼んでいるだけ。
 剣を使っていたと聞いたから、見知らぬ女性のためにでも、剣を捧げて戦う騎士の姿を重ねて呼んでいる。
 ルーサーだけが目撃している謎の人。
 姿形も、名前も知らない。
 わたし達が命の危機に瀕している時に颯爽と現れ、助けてくれるの。その時、わたしは気絶しているので、一度も見たことがない。
 後でルーサーから助けてもらったと聞くばかりで、どんな人なのかずっと気になっている。
 自惚れじゃないなら、わたしのことを影から見守ってくれているのかな。

「ルーサー、次に騎士様に会ったら、必ず名前を聞いておいてね」

 念を押しても、ルーサーは忘れてしまう。
 名前を聞いてどうするのって言われたけど、恩人の名前ぐらい知っておきたいじゃない。
 わたしは多分、恋をしている。
 柄じゃないとわかっていても、女の子なら、自分を守ってくれる男性に憧れるものでしょう?

「リンはオレより顔も知らないヤツの方がいいんだ」

 ルーサーがふて腐れている。

「騎士様とルーサーは別。並べて語れるものじゃないの」

 再び歩き始めると、ルーサーが妙に絡んでくる。
 前を歩くわたしは、ヤキモチを焼くルーサーを宥めてため息をついた。

「リンはオレのこと好き?」
「好きだよ、弟みたいで」

 がくっと、彼が肩を落としたのがわかった。

「わたしをモノにしたいなら、強くなりなさい」

 少なくとも、守られている男の子じゃダメ。
 でも、強いルーサーって想像できない。いつも温和でニコニコしているのが彼だもの。身勝手だけど、変わってほしくないな。

「強くって、どのぐらい?」
「わたしを守れるぐらいかな」

 その問答が終わるか終わらないかのタイミングだった。
 足下に何かの影が伸びてきて、とっさに宙へと逃れた。
 空中で反転し、着地すると、緑色をした鞭のような物が幾つも目の前に振り下ろされた。
 飛び跳ねて距離を置き、敵の姿を視界に捉える。

「な、何これ!?」

 異様な正体に、悲鳴みたいな声を上げた。
 サボテンみたいな形をした緑の物体が、トゲの代わりに触手を生やし、うねうねとナメクジみたいに動いてる。
 大きさは人間三人分ほどで、重量もかなりあるだろう、下敷きにでもされたら潰されて終わりだ。
 頂点には黄色の花びらのようなものが幾つか見えた。
 植物系の魔物なんだろうか。
 でも、こんなの見たことない。
 腰の剣を抜き、身構える。

「ルーサー、防御魔法をお願い!」

 わたしの指示を待つまでもなく、すでにルーサーは魔法の詠唱を終えていた。

「大地の力よ、我らが身に纏いし防具に宿り、盾となれ! アースシールド!」

 ルーサーの魔法力がわたしを包む。
 装備の強度を上げて、直接攻撃に備える魔法だ。

「ありがと、ルーサー!」

 わたしは戦意を漲らせ、敵を見据えた。
 地を蹴り上げて、魔物に挑む。
 四方八方から襲いくる触手の攻撃を巧みに避けて走りこみ、本体に剣を叩き込む。
 刃を当てた感触は、ぐねぐねしててゴムみたいだった。表面はぬるぬるで刀身を滑らせても切り傷一つつけられない。
 ぐにゃんと、刃の当たった部分がへこむ。
 そして反発して元に戻った。
 弾力で吹き飛ばされ、地面でお尻を強く打ってしまう。
 防御魔法の効果でダメージは少ないけど、打ち身の衝撃からは逃れられなかった。

「いったぁ!」

 すぐさま立ち上がろうとして、ばしゃんと何かの液体が全身にかかった。
 透明でネバネバしてて、気持ち悪い。
 魔物から出たものってことは、これってまさか……。

 見る間にわたしの装備が溶け出した。
 皮鎧はおろか、下のアンダーシャツ、剣までドロドロに崩れていく。

「ひっ!」

 体まで溶けた自分を想像して、背筋が凍りついた。
 だけど、体は溶けなくて、肌が外気にさらされていく。

「リン!」

 ルーサーの声を聞き、我に返った時には遅くて、体を触手に絡め取られていた。
 すごい力で捕らえられて、腕も足も動かない。

「リン、今助ける!」

 ルーサーが無謀にも魔物に挑もうとしていた。

「ダメ! 来ちゃダメ!」

 わたしは精一杯声を張り上げた。

「ルーサーじゃ勝てない! 今のうちに逃げなさい! わたしなら大丈夫だから!」

 全然大丈夫じゃなかったけど、そうでも言わなきゃルーサーは逃げない。
 ルーサーに触手が攻撃する。
 鞭のように伸びてくる触手を、ルーサーは身軽にかわしていくけど反撃には移れない。
 このままじゃ、いずれ捕まってやられる。
 だって、ルーサーには攻撃手段がないんだもの。
 触手がわたしの時と同じように、また何かを放った。
 触手が吐き出したものは、先ほどの粘液ではなく墨みたいに黒い煙幕だった。
 まともに浴びて、ルーサーが咳き込む。

「うっ、ゲホッ! ま、待て!」

 煙の中で苦しそうなルーサーの声がする。
 その間に魔物は素早く移動を始めた。

「ル……うぐぅっ!」

 触手が口元を覆い、声を封じられる。
 こんな状況でも、わたしはルーサーが心配でたまらなかった。
 あの煙幕が毒を含んでいたらどうしよう。
 騎士様、お願い。
 ルーサーを助けて!
 声にならないわたしの叫びは、あの人に届くのだろうか。




 魔物は山中の獣道を進み、緑に埋もれかけている廃屋に入っていった。
 貴族の別荘だったのだろうか、屋敷は大きく、中は蜘蛛の巣と埃だらけ、壁や天井も所々崩れていたりしたけど、高そうな調度品があちこちに残っていた。

 暗い屋敷の中を緑の体が這いずっていく。
 やがて、奥の暗がりから、人のうめき声が聞こえてきた。
 荒い息遣い。
 すすり泣くような声は、全て女のものだ。
 本能からくる恐怖に全身が総毛だった。
 この先にあるものは、見てはいけないものだと冷や汗が流れた。

 外れた扉を越えて、連れ込まれた部屋には、似たような魔物がもう一体いた。
 奥の魔物はこっちのより、さらに大きい。
 薄明かりに照らされて、声の正体もわかった。
 数人の女性が触手に絡め取られ、声をあげていたのだ。
 全員が裸で、体を這い回る触手に辱めを受けている。
 攫われた人達なのだろう。

 わたしを連れてきた魔物は、捧げ物をするように触手を高く持ち上げた。
 奥の魔物は女性達を下ろし、わたしの体を受け取った。
 腕と足、胴に触手が絡みついて拘束し、溶けてまとわりついていた装備を全て引き剥がされた。
 わたしは普段、鎧を身につける時には胸を白い布できつく巻いて押さえている。そうしないと邪魔なほど大きいからだ。
 その胸が、魔物の前でさらされた。
 戒めを解かれた膨らみが、勢い良く弾んで飛び出してきた。

「いやあっ!」

 隠そうとしても、両腕は頭の上に上げられて、がっちり固定されている。
 両足は膝を曲げられ、開脚させられた。
 体を捕らえているものとは別の、無数の触手が襲ってきて、胸に絡みつき、絞ったり緩めたり、揺すったりしてくる。
 いやらしい動きに、別の意味で恐怖を覚えた。
 先に捕まっていた人達がされていたことを、これからわたしもされるんだ。

「放せ! 放せってば!」

 逃げようと暴れてもびくともしない。
 開けた口に触手が入り込んできて、どろりとした苦いものを飲まされる。

「う……、けほっ、な、何? あ、やぁ……!」

 いきなり体の奥が熱くなった。
 足を捕らえられて動かせないから、疼きを我慢できずに、無意識に腰を揺らしてしまう。

「う、うん……、はぁん……」

 あれは媚薬なの?
 体の奥に眠る、牝の本能に火がついたみたいに、いやらしい快感に悶え始める。
 股の間をぬるぬるした触手が滑った。
 挿入はしてこず、入り口を往復し、圧迫するように刺激してくる。

「やぁん……あ…あん、あはぁん……」

 その度に、腰を振ってしまう。
 乳房は絡みついた触手で、ぐにゅぐにゅ揉まれ、乳首は擦られて弾かれて、いじくりまわされている。

「あぁ…いやぁん! …ぅ…だめぇ…胸弱いのぉ……」

 男を知らない体は、自慰によってのみ、快感を覚えている。
 大きくて目立つせいか、わたしは胸を触るのが好きだ。
 そのせいで余計に大きくなったのかはわからないけど、誰かに揉まれていることを妄想して、いつも体を慰めていた。
 でも、こんなの嫌だ。
 だけど、体は反応して気持ちよくなっていく。
 股間の秘所から蜜が滴り落ちてくる。
 体はさらに上へと持ち上げられて、魔物の天辺に咲く花の上に座らされた。
 花弁の中には舌のような感触を持つ触手がいて、蜜を吸うみたいに淫水の湧き出る泉を舐めてきた。

「あうんっ…ああん……、やぁ…いやあ……っ!」

 胸への責めも休みなく続く。
 谷間に触手が挟み込まれ、それを包み込み、擦り合わせるかのように、両脇から乳房が寄せられては離され、そのたびにたぷんたぷんと弾みまくる。
 かと思えば、膨らみを強調するみたいに縛られ、乳首を中心に撫で回されたりする。
 強弱をつけて弱点の胸を弄ばれ、わたしは何度も絶頂に達した。
 触手は口にも侵入し、あの媚薬入りの液体を飲ませてくる。

 強制的に呼び起こされる劣情の渦に呑みこまれ、次第にぼんやりしてくる意識の中で思い浮かべたのは、憧れの騎士様ではなく、ルーサーだった。
 無事でいるのかな。
 こんなことなら、ルーサーに処女をあげれば良かった。
 弱くても、大好き。
 一緒にいると、楽しくて、ホッとするの。

「こんなのやだよぉ。ルーサー、助けて……」

 涙がぽろっとこぼれて、わたしの意識は白い世界に溶け込んでいった。




「リン! 目を覚まして!」

 途切れた意識から、わたしを揺り起こしたのは、ルーサーの声だった。
 瞼を上げると、彼の姿が目に入った。
 魔物はどこにもいなくて、わたしはルーサーの腕の中で抱えられていた。

「良かった、もう大丈夫だからね」

 ルーサーの優しい笑顔、また見られるなんて夢みたい。
 飛び起きて、彼の頭を胸に抱きこむ。

「ルーサー、無事だったんだ! ケガしてない? 毒とかにやられてたりしない!?」
「んぐっ! へ、平気……」

 良かったぁ。
 あれ? なんか胸の辺りの感触が変。それに涼しい……。
 ちらっと胸元に視線を向けると、わたしは剥き出しの乳房の間にルーサーの頭を押し付けていた。
 装備を溶かされたから、裸だったんだ!

「やだっ! ルーサー、そのローブ脱ぎなさい!」

 ルーサーを突き飛ばして転がすと、ローブを剥ぎ取ろうと手をかける。

「ちょ、ちょっとリン。そういうことは家の中で二人っきりの時にしようよ。外で初体験なんて大胆過ぎだよ。それにあっちで気を失っている人達が途中で目を覚ましたら……」

 ルーサーは何か勘違いをしていた。
 人を発情したケダモノのように言うんじゃない!

「何をバカ言ってるの! 装備を溶かされて裸だから、そのローブを着るの!」

 ルーサーの頭を叩いて、ローブを奪い取る。
 裾が長いけど、この際、贅沢は言っていられない。
 ルーサーはローブの下にアンダーシャツとズボンを身につけている。ローブがなければ、一般人と変わらないけど、裸じゃないからいいでしょう。

 廃屋には魔物の姿はなく、捕らえられていた女性達だけが倒れていた。
 全員が気を失っていて、外傷はない。
 体より精神の方が心配だけど、これは専門の人に診せないとどうにもならない。

「それで魔物はどうなったの?」

 ルーサーに聞くと、彼は眼を泳がせた。
 やがて渋々と、答えたくなさそうに、ぽつぽつと話し始める。

「あー、うん、また例の騎士様が来てくれたんだ。オレを助けて、ここの魔物も退治してくれた。終わったら、みんなの介抱をオレに任せて、いつも通りどこかに行ってしまったよ」

 あの人が来てくれた。
 わたしの声が届いたのかな。

「で? それで? 名前は? 今度こそ聞いてくれたんでしょうね!?」

 わたしは鼻息を荒くして、ルーサーににじり寄った。

「ごめん、また聞きそびれちゃった」

 なのに、ルーサーはすっとぼけて横を向いた。
 絶対、わざとだ。
 こいつ、騎士様に嫉妬してるんだ。

「もう! ルーサーの役立たず!」

 安心したこともあって、わたしはルーサーを怒鳴りつけた。
 彼に処女をあげようなんて考えてしまったことなど、すでに記憶の彼方に葬り去っていた。
 やっぱり初めては騎士様がいいな。
 まだ見ぬ逞しい体に抱かれている所を想像して、体を熱くしながら夢想に浸る。

「名前はいいから、今度は引き止めておいてね。ちゃんとお礼がしたいんだから」

 そうだよ。
 こんなに助けてもらっているんだから、一度ぐらいお礼しなきゃ。
 普通に考えても、当然の行為だ。

「ええー、いいじゃないかぁ。あの人もお礼なんか期待してないって。第一、お礼って何をする気なの?」

 ルーサーはあくまで邪魔をする気だ。
 負けてたまるか。

「もちろん、誠心誠意をこめておもてなしするに決まってるじゃない。おいしい手料理をご馳走して、お望みならわたしの初めても捧げたいな」

 わたしはわざとうっとりとした声を出して、思い描いたお礼の方法を話して聞かせた。
 言い終わると、頬に手を当てて、きゃあっと柄にもなく照れまくる。

「だめだ! そんなこと許さない!」

 ルーサーが喚いているけど、耳に蓋をする。
 まったく独占欲の強いお子様なんだから。
 わたしを所有物扱いするなんて十年早い。




 わたしの騎士様。
 あなたはどこにいるの?
 出会えたら、きっと一目で恋に落ちる。
 わたしはそう確信している――。


 END

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