憧れの騎士様

エピソード2・リン編

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 冒険者になるために村を出てから、わたしは街でルーサーと暮らしていた。
 依頼で冒険に出れば、数ヶ月帰らないこともあるけど、それでも家は必要だから、ギルドのある街に部屋を借りている。
 同居しているのは、わたし達が二人で暮らして行動を共にすることを条件に、双方の両親が冒険者になることを許してくれたからだ。
 だけど、いくら幼なじみで気心のしれた仲といっても、年頃の男女の同居に賛成するなんて、うちの親も何を考えているんだろう。
 ルーサーが男だってことわかっているのかな? それとも、わたしが襲われることなんてないと確信しているんだろうか。
 どうせわたしは男みたいで、色気なんか皆無ですよ。

 わたし達が借りている部屋は、築百年という古いアパートだ。
 外観も見るからにオンボロ。鮮やかな赤茶色だったはずの壁の煉瓦は色焼けて変色し、あちこち崩れている。内装も似たようなもので、歩くたびに床板がぎしぎし音を立ててうるさい。
 家賃が安いから助かっているけど、もうちょっといい部屋に引っ越したいな。
 そのためには仕事をこなして、お金を稼がないとね。
 と、意欲を燃やしていたのだけど……。




 咳が出る。
 頭が痛くて、体がだるい。
 朝からずっと、わたしはベッドの上にいた。
 熱なんて、ここしばらく出したことなかったのに。
 昨日、雨に濡れたのが悪かったのかな。
 ルーサーは平気なのに、わたしだけ寝込むなんて、情けないな。

「薬は食後に、一日三回ですよ」

 診察を終えたお医者さんが帰っていく。
 ルーサーが呼んでくれた。
 彼は他にも甲斐甲斐しく世話をやいてくれていて、一人暮らしでなくて良かったって、こんな時には強く思う。

「風邪の熱だって。薬を飲んでおとなしく寝ていれば治るそうだよ」

 頭に乗せたタオルを取り替えてくれながら、ルーサーが言った。

「ごめんね、ルーサー」

 迷惑をかけていることを謝ると、彼は穏やかな微笑を浮かべた。

「お互い様だから、気にしないで。オレが倒れた時は、この倍ぐらい優しく看病してね」

 ルーサーの大きな手の平が、熱くなった頬に触れる。
 気持ちいい。
 心が弱くなっているせいか、彼の存在がすごく頼もしい。

 ふいに手が離れた。
 やだ、もっと触ってて。

「食料の買出しに言ってくるよ。食べやすいもの作ってあげる」

 姉貴分を気取っているわたしが、「行かないで」なんて情けないことが言えるわけもなく、渋々「行ってらっしゃい」と彼を送り出した。
 早く帰ってきて欲しい。
 心細さを紛らわせるために、毛布の端をぎゅっと握った。




 少し眠って目を覚ますと、ルーサーの気配がした。
 扉の向こうでカタコト音がしていて、いい匂いが漂ってくる。
 やがてドアが静かに開いて、ルーサーが顔を出した。

「気分はどう?」
「ちょっとマシになったかな。さっきよりは楽になった」

 ルーサーがスープを持ってきてくれた。
 たくさんの野菜が煮込んであって、栄養たっぷり。
 具も細かく刻んであるから食べやすそう。

 ルーサーはベッドの端に腰掛けると、わたしの体を支えて起こしてくれた。
 彼の腕に背中を預けて上半身を起こし、差し出されたお皿を受け取る。
 温かいスープはわたしの体だけでなく、心まで癒してくれた。

「ごちそうさま。おいしかった、ありがとう」

 食べ終わったら、薬を差し出される。
 ルーサーは抜かりなく用意してくれていた。
 うはあ、苦い。
 でも、頑張って飲む。
 早く治さないと、仕事ができない。

「後片付けしてくるから、リンは寝てるんだよ」

 ルーサーが食器を持って出て行こうとする。
 あ、行っちゃう。
 反射的に手を伸ばしていた。
 後ろから、彼のシャツの裾を掴んで引き止める。

「ルーサー、戻ってくるよね?」

 ルーサーはびっくりしたみたいだったけど、ゆっくりと微笑んで、わたしの額に手を触れた。

「今夜は付きっ切りで看病してあげる」
「うん」

 約束してくれたから、安心して手を離す。
 ドアが閉まってすぐに、洗い物をしている音が聞こえてきた。




 ルーサーはちゃんと戻ってきてくれた。
 椅子を持ってきて、ベッドの横に座って本を開いて読み始める。
 病人に話しかけるのは良くないと思ったからだろう。
 わたしは黙って、彼の様子を見つめた。

 わたしには難しくてわからない内容でも、ルーサーは理解して知識にしていく。
 子供の頃は守っているって自負から、彼の保護者を気取っていたけれど、街に出てきてから、密かに立場は逆転しつつある。
 人との交渉ごとや、トラブルの処理、家事などの生活能力においても、ルーサーの方が上だ。
 彼は成長するにつれて次第に社交的になり、街に来てからは冒険者の知り合いをたくさん作っている。相談事なんかも、しょっちゅう持ち込まれているみたいで、わたしを置いて一人で酒場に行くこともよくあった。
 自立して一人前になっていく姿を喜んで見守ってあげなければいけないのだろうけど、寂しさは拭いきれない。
 いつも後ろにくっついていたのに、振り返ってもどこにもいない。
 そんな日が来ることを、わたしはずっと恐れていた。
 体の自由が利かないこんな日は、特に不安が大きくなる。

「ルーサー」

 呼びかけたら、彼は顔をこっちに向けた。

「一緒に寝て」

 精一杯の勇気を出して言ったのに、ルーサーは顔を強張らせた。
 何よ、その反応。
 わたしのこと好きって、いつも言ってるくせに。

 本当はもう、興味なんかなくなってるのかな。
 昔の義理で付き合ってくれてるの?
 親が一緒にいなさいって言うから、無理してるの?

「嘘だよ。もう、大丈夫だから放っておいて。自分の部屋で寝ればいいよ」

 悲しくなって、転がって背中を向けた。
 涙が出てきそうになるのを、無理に堪える。

「リンはどれだけオレの理性を試す気なのさ?」

 ベッドのマットがさらにかけられた重みで音を立てた。
 後ろの首筋の辺りに、息がかかった。
 びくって体が反応する。

「冗談でも、そういうこと言わないで」

 小さく呟いて、ルーサーが離れていく。
 わたしは飛び起きて腕を伸ばし、彼の服を掴んでいた。

「冗談なんかじゃないよ」

 わたしは何を言っているんだろう。
 きっと熱のせい。
 でも、これが本音だってわかっている。

「一緒にいて、お願い」

 驚くほど素直に、わたしは訴えていた。
 ルーサーはこっちに向き直って、困ったような顔をした。
 やっぱり迷惑?
 引っ込めたはずの涙が、じわんと浮かんできた。

「あー、もう! どうして、こんな時にそういう顔するんだよ!」

 ルーサーが髪をぐちゃぐちゃ掻き毟って声を上げた。
 驚く間もなく、彼の体がわたしの上に覆いかぶさってくる。

「リン、わざとしてる? オレ、もう遠慮しないからね」

 わざとって、どういう意味なのかな?
 それより、嫌じゃないってこと?
 わたしはそっちの方がすごく気になる。

「ルーサー。一緒に寝るの、嫌じゃないの?」

 恐る恐る聞いてみたら、彼は顔をしかめた。
 わたし、変なこと言った?

「嫌なわけない。できれば毎日でも一緒に寝たい」

 ルーサーの返事はとっても嬉しいものだった。
 だけど、それならどうしてあんなに困っていたんだろう。

「嫌がっているみたいに見えた」

 横を向いて非難がましく呟いたら、頬にキスされた。

「そうじゃなくて、理性が持つか自信がなかっただけ」
「理性って何の?」
「男と女が一つのベッドで何するかなんて、聞かなくてもわかるだろ。病気の寝込みを襲うほど、オレは卑怯じゃない」

 ルーサーが困っていた理由がわかった。
 わたしはすっごく酷なことを頼んでいたんだ。
 そう思ったら、引き止める気にはなれなかった。

「わかった。一人でも寝られるから出て行って」

 落ち着いて笑って言えたけど、聞いていたルーサーの眉は険しく真ん中に寄っていた。

「あのね、もう遠慮しないって言っただろ」

 毛布がめくられて、ルーサーが入ってくる。
 再びかけられた毛布の中で、彼に抱きしめられた。

「リンには憧れの騎士様がいるって知ってても、見込みがある限りは諦めないからね。むしろ、オレの方が近くにいる」

 いつもと違って、わたしはルーサーの胸に抱かれていた。
 薄布一枚を通して意外に鍛えられている胸板に触れて、男性らしさを感じてドキドキした。
 心臓の鼓動は早くても、騎士様に恋して浮かれている感覚とは違う。
 地に根っこをおろしているような安心感に包まれる。

 唇にキスをされても、少しも抵抗する気が起きなかった。
 こうなることが、すごく自然なことみたい。

「リン、好きだ。ずっと、ずっと好きだった」

 耳の傍で、ルーサーの熱っぽい囁きが聞こえて、耳朶や首筋に唇と舌が這っていく。
 本調子じゃない頭では、何をされているのかいまいち把握できていなかったけど、わたしも手に触れる彼の体を抱きしめて、少しでも多く温もりを得ようとした。

「わたしも好き、大好きだよぉ」

 パジャマの上着のボタンを外されながら、うわ言みたいに答えていた。
 途端に、ルーサーの手が止まった。
 するっと手が離れて、わたしの上から影が消えた。

「や……、行かないでぇ」

 追いすがろうと伸ばした手を優しく掴んで、ルーサーはもう一度抱きしめてくれた。

「ちょっと待っててね。汗をかいているから体を拭いて、着替えなくちゃ」

 子供をなだめるみたいに頭を撫でて、額にキスしてくれる。
 小さな頃は、わたしがルーサーに同じことをしてあげてた。
 昔は村の大人達に、リンはルーサーを守る騎士だねって言われても、誇らしくて嬉しかったのに、今は嫌。
 わたしもお姫様になりたいの。
 ルーサーに、わたしの騎士様になって欲しいの。
 自分が守られるようなタイプじゃないってわかっていても、心の底ではいつも願っている。

「すぐ戻ってくるよ」

 ルーサーの言葉に「絶対ね」と何度も念を押して、わたしはようやく彼を解放した。




 すぐって言ってたのに、ルーサーはちょっと遅かった。

「遅いよぉ」

 わたしは駄々っ子みたいに文句を言った。
 待ってる間の心細さが、わたしをいっそうワガママにしていた。

「ごめん、オレも汗を流しとこうと思ってさ。リンだって一緒に寝るのに、汗臭かったら嫌だろう?」

 ルーサーの体からは石鹸の香りがした。
 いい匂い。
 香りを放つ手が、再びパジャマのボタンにかかる。
 ルーサーは桶にお湯を汲んできてくれていた。
 体を拭いてくれるんだ。

 前を肌蹴られると、すぐに裸の胸が現れる。
 ルーサーはベッドに胡坐をかいて、わたしを抱き起こした。右手で体を支えて、左手で拭いていくつもりみたい。
 温かく湿ったタオルで、肩から脇へと順番に、体を拭く手が下りていく。
 胸を拭き終わった後に、ルーサーの手の平が左の膨らみを包み込んだ。
 柔らかく揉まれて、乳首を指先で擦られる。
 そんなことをされても、わたしは彼を信じきって身を任せていた。どこに触れられても、全然嫌じゃなかった。

「……はぁ…ん…、ああ……」

 気持ちよくなってきて、熱だかえっちな気分からなのかわからない喘ぎが洩れた。
 わたしに火をつけておきながら、ルーサーは膨らみをいじるのをすぐにやめて、持ち上げて下の方を拭き始めた。右の膨らみも同じように触って拭いて、そのままお腹の方に移動していく。

「背中を拭くから、上を脱いで」

 言われた通りに上を脱いだ。
 ルーサーは風邪が悪化するからと、腕と背中を手早く拭いて、替えのパジャマを着せてくれた。
 ちょっと物足りなかった。
 胸なら、いくら触ってくれてもいいのに。

 その代わり、まだ下半身が残っていた。
 パジャマのズボンを脱いで、下を覆うものは心もとない小さな布一枚だけになる。
 ルーサーはわたしを寝かせて足下にまわった。
 足の先から上へ上へと、丁寧に拭いていかれる。
 いきなり太腿に触れられるより、這い登ってこられる方がぞくぞくした。
 ああ、膝の裏まできた。
 もうすぐ、もうすぐ……。

 太腿を内側から外側にかけて、念入りに拭き清められた。
 そこで一度タオルを絞り、彼はわたしに手渡した。

「オレができるのはここまで。そこは自分でやって」

 そこっていうのは、股布で隠れている、お尻とわたしの大事なところ。
 ルーサーは最後まで理性的だったけど、わたしはすでにおかしくなっていた。
 本能が、彼の手を求めている。

「できないよ、ルーサーがして」

 ルーサーに抱きついてお願いする。
 ごくんと彼の喉が鳴ったのが聞こえた。

「だめ。本当にこれ以上はだめ」
「お願い」

 彼の手を取って、そこへと導いた。
 体を拭く目的なんて忘れていた。
 彼の指で与えられる刺激が欲しい。
 頭の中はそのことでいっぱいだった。

「オレでいいの?」

 最後の確認なんだろう。
 ルーサーの声は上ずっていた。

「いいの。ルーサーじゃないと嫌なの」

 答えの代わりに布の間から彼の指が滑り込んできた。
 期待と興奮でそこはすでに濡れていて、指が動くたびにくちゅくちゅ音を立てた。

「ああ…あんっ…、うん……ああぁん……はうんっ」

 ルーサーの胸に顔を寄せて、淫らな声をあげまくった。
 肌には彼の唇が痕を残し、お尻にまわされた手が、撫で回しながらむにむにと揉んでくる。
 優しい愛撫を受けて、何度も軽めに快感が打ち寄せてきて、その度に腰が動いた。
 頭がどうにかなっちゃいそう。
 ううん、もうどうにかなってる。
 ふわふわしてて、何も見えないし、聞こえない。
 ただ、ルーサーが触れてくれている部分だけを、わたしの意識は捉えていた。

「あ…ぁ…、ふぁ…あ…あああああっ!」

 指の動きに身を委ねていて一番大きな熱い波が来たなって思ったら、わたしの意識は闇の中に落ちた。
 でもね、すごく温かかった。
 体を逞しい腕で包み込まれて、守ってもらっているみたいだった。
 きっとこの手は、彼のもの。
 わたしは幸せな気持ちと満足感でいっぱいで、訪れた眠りを受け入れていった。




 朝になって起きてみたら、熱はすっかり下がっていた。
 パジャマはちゃんと上下着せられているし、体のどこにもベトついた感じは残っていなかった。夢を見ていたのかなと思ったけど、隣で眠っているルーサーを見つけて、現実に起きたことだと認識させられた。
 でも、最後までしてなかった証拠に、秘所に違和感はなかった。
 指だけでイッて、気絶しちゃったみたい。
 熱もまだあったし、そのせいかな。
 ルーサーに悪いことしたかも。

 熟睡している彼の寝顔を見つめて、短めに切られたサラサラの黒髪を撫でた。
 こうして見てると、昔の面影がまだ残ってて、かわいく思えてくる。
 頬にそっと唇を寄せたら、ルーサーの目が開いた。

「リン、おはよう。熱は?」

 寝ぼけ眼をこすりながら、彼はむくっと起き上がった。

「うん、一晩寝たら治っちゃった。ルーサーの看病のおかげだね」

 感謝の気持ちを詰め込んで笑顔を浮かべると、ルーサーはわたしを抱きしめた。

「良かった。じゃあ、さっそく昨夜の続きをしよう」

 押し倒されて、パジャマの上から胸を揉まれた。
 突き出された唇が迫ってきて、反射的に拳を繰り出していた。

「朝っぱらから、何するの!」

 拳はルーサーの腹に入った。
 ぐほっと呻いて、彼がこっちに倒れこんでくる。
 わたしは体を起こして避けた。
 ルーサーがベッドにぼてんと突っ伏す。

「リ、リン……。な、何で? 昨夜はオレのこと好きって……」

 お腹を押さえながら、ルーサーがうろたえた様子でわたしを見上げた。
 そりゃ、そうだろう。寝付く前までは両思いになったような雰囲気だったんだから。

「知らない。何のこと?」

 覚えていたけど、とぼけてしまった。
 だって、あれは熱のせい。
 不思議なことに、今のわたしはそんな気分じゃなかった。
 どうしてあれだけ乱れてしまったのか、どう考えてもわからない。

「うん、あれは熱のせい、気の迷いよ。わたしが処女を捧げる相手は、やっぱり騎士様なのよ!」

 清々しい気持ちで、声に出す。

「ちゃんと覚えてるんじゃないかぁ」

 後ろでルーサーがむせび泣いていた。
 うっ、良心が激しく痛む。

「な、泣かないの。そういう所がダメなんだからね!」

 言葉ではきつく拒絶できても、ルーサーの涙を見ていると心が揺らぐ。
 好きって言ってくれている彼に、わたしのこの仕打ちは酷いかもしれない。
 それにルーサーは、わたしが騎士様を好きでも好きだって言ってくれた。その気持ちに、ちょっとぐらい応えてもいいよね?

「昨夜はありがと。ちょっと頼りになったし、感謝してるよ」
「ちょっとだけ?」

 不満そうに呟くルーサーに苦笑してしまう。

「処女はあげないけど、これはお礼の気持ち」

 自分から唇を重ねた。
 ルーサーのびっくりしているまん丸な瞳がかわいくて、笑いたくなってきた。
 昨夜を思い出すような、ディープなキスをたっぷりして唇を離す。
 お互い顔が赤くなってる。
 かなり照れくさいかも。

「この調子で、頼れる強い男になってね。騎士様と出会うより先だったら、ルーサーに初めてをあげる」
「本当!?」

 いきなり復活したルーサーが飛びついてきた。
 ベッドの上に押し倒されて、もつれ合って転がる。
 わたしを下に組み敷いたルーサーは、嬉しそうに胸に頬ずりしてきた。
 服越しに、顔で胸がふにふに押されて、何か変な感触がする。

「オレ頑張るから、今の言葉はちゃんと守ってね!」
「頼れる強い男になることが条件よ?」
「うん、わかってる!」

 わかってるって、ちゃんと聞いてたの?
 もう一つの条件は『騎士様に出会う前に』なんだよ。

 ルーサーは幸せそうな顔をして、わたしの胸に埋もれていた。
 微笑ましい様子に頬が緩んで、胸元にある頭を撫でて、天井を仰ぐ。
 胸に宿るのは、不安を織り交ぜた複雑な感情だった。

 もしも、その日が訪れたとして、あなたはわたしを望んでくれる?
 わたしには、あなたに選んでもらえる自信がないよ。

 わたしには騎士様がいる。
 だから、平気。
 あなたが誰を選んでも、笑って祝福してあげる。

 あなたはわたしの大事な弟分。
 それでいて、世界で一番大好きな人だから――。

 END

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