憧れの騎士様
エピソード3・ルーサー編
NEXT BACK INDEX
たまには冒険抜きで遠出をしたいとリンが言い出して、常夏の海へとバカンスにやってきた。
行き先を提案したのはオレだ。
動機はリンの水着姿が見たかったからだ。
リンはオレの下心などには気づかず、たまには泳ぐのもいいねと賛成してくれた。
しめしめと内心ほくそ笑んだが、彼女が買った水着は露出度の低いヤツで、期待が外れてがっかりした。
だが、海に来て、落胆は消えた。
ワンピース型の水着の胸元から覗く、深い谷間。熟した果実のごとく重そうに実った胸。腰から足へと描かれる曲線は、引き締まっていながら肉感的で、触りたくなるほどだ。
どんなに覆い隠しても、リンの魅力的な肢体は輝いていた。
逆に隠されているせいで、想像力をかきたてられる。
しかし、浮かれてばかりはいられない。
遠巻きにこっちを見ている野郎共の視線が気になる。
ヤツらの目は明らかに、リンの胸やくびれた腰を追い、さらには尻に足へと注がれていた。
興奮気味の男達の視線に晒されているというのに、リンはまったく気がついていない。
急にオレの腕をとって抱きついてきた彼女は、保護者が子供にするような注意をした。
「わたしから離れないで。知らない女の人に声をかけられても、ついていっちゃダメ。奢ってあげるとか言われても、それは親切じゃなくて、罠なんだからね!」
オレを幾つだと思ってるんだよ。
誘われてホイホイついて行くほど、女に飢えてもいない。
いや、リンには飢えているな。
だから、大丈夫。
それより、リンの方が心配だ。
「うん。今日はリンと一緒にいるよ。リンこそ、知らない男についていっちゃだめだよ」
リンは自分を誘ってくる男なんていないと、笑い飛ばした。
これだから、心配なんだ。
リンはオレを女達からガードするためにくっついているから、今の所は安心かな。
胸の膨らみがオレの腕に押し付けられてて、その柔らかさにデレッと顔を緩める。
こうして歩いていると、カップルに見えるだろうな。
開放的な空気が漂うこの海で、リンとの仲がどうか進展しますように。
人の多い砂浜から離れて、岩場の近くまで来た。
水遊びをするべく浅瀬に入り、リンに水をかけた。
「やったな! おかえしだ!」
笑いながら、リンが掛け返してきた。
オレも負けじと応戦する。
暑い太陽の下で、オレ達は昔に返ったかのごとく遊び始めた。
彼女が腕を動かすたびに、豊かな胸が揺れ動いて目の保養になる。
窮屈そうな生地の中に押し込まれているのが、余計にそそる。
この眺めはオレだけのものだ。
断じて他の男になど見せるものか。
結界でも張って閉じ込めたいぐらいだ。
オレの邪まな考えを神様が怒ったのか、楽しい時間はすぐに終わりを告げた。
「きゃああああっ!」
岩場の奥から女性の悲鳴が聞こえて、何事かとリンと顔を見合わせた。
次々と逃げてくる人、自警団の避難を促す声を聞いて、オレはリンの手を引いて駆け出した。
宿に帰り着くと、他の客も戻ってきていて、大勢の人が海の魔物について話していた。
「見たこともない魔物だそうだよ。クラゲやタコに似ていて、たくさんの触手を使って襲って来るんだって」
触手と聞いて、リンの体が微かに震えた。
ちょっと前、仕事でオレ達が遭遇した魔物がそうだった。
リンは魔物にかなりいやらしいことをされたせいか、今回は乗り気ではないようだ。
今日は遊びに来たんだし、魔物退治は他の人に任せておけばいいよな。
「遊べないなら、昼食にしようか。ここの宿はエビの料理が有名なんだって」
リンの気分を変えてあげようと食事に誘った。
食事も旅の楽しみの一つ。
海の幸も堪能して帰ろうね。
しかし、この選択は失敗だった。
レストランでは海の魔物の情報交換が行われていたのだ。
魔物に懸けられた賞金は一千万ゴールド。
それを聞くなり、リンの目の色が変わった。
オレの手を掴み、彼女は言った。
「ルーサー! わたし達も魔物退治に挑戦しましょう!」
「ええ? やめようよ。装備だって持ってきてないのに、危ないよ」
オレはびっくりして、止めにかかった。
だが、リンの目は燃えていた。
こうなると、ちょっとの説得では動かせない。
「装備はギルドに行けば何とかなる! 成功したら、家が買えるわ! ルーサーだって欲しいでしょう? わたし達のマイホーム!」
オレ達のマイホーム?
新しくこじんまりした家の前で、エプロンを着けた新妻のリンが、オレを出迎えてくれる光景が脳裏に浮かんだ。
リンがいれば、家は慎ましくてもいい。
二人で作る愛の巣。
そしてさらに愛を育めば、かわいい雛が増えていくんだ。
「も、もちろん欲しいよ。わかった、付き合うよ」
オレは自分の妄想に酔いしれながら同意した。
「決まり! 腹ごしらえが終わったら、冒険者ギルドへ行きましょう。剣は持ってきてるから、鎧を調達しないとね」
リンは拳を握り締め、気合を入れて、運ばれてきたエビにかじりついた。
オレはローブを持ってきているから、問題ないな。
魔法剣もあるし、いざとなったらこれで切り抜けよう。
ギルドに出向き、リンが装備を揃えている間に、情報収集を始める。
魔物はクラゲ型とタコ型の二種類いて、最近起こった嵐で遠くから流れついてきたらしい。
巣まで作って繁殖を始めたので、密かにギルドに退治の依頼を出して警戒していたところ、女性客に襲い掛かってきたそうだ。
何とか追い払って、女性を救い出し、人に被害は出ていないそうだけど、時間の問題だろう。
観光地だけに対策を急ぐ意味もあり、賞金が一千万まで吊りあがったということだ。金額が示すとおり、危ない仕事かも。
挑戦者もほとんど残っていないようだ。
明日辺りに、別の街から噂を聞いた冒険者が来るだろうけど、今日はオレ達が最後だろうな。
一通り話を聞き終えて、オレはリンの様子を見に行った。
時間がかかってるけど、装備は見つかったのかな?
試着室の前で待っていると、リンが出てきた。
恥ずかしそうに頬を赤らめている彼女の格好を見て、鼻血を吹きそうになって手で押さえた。
ヘソも露わな、ビキニタイプの鎧!
規格外にでかいリンの胸は、胸当ての中でぎゅうぎゅうに押し込められて、谷間をくっきり作っていた。
オレは店内にいる連中の目から隠すために、彼女を抱きしめた。
「な、何て格好してるのさ! それで外に出る気!?」
「他の装備がないんだから、しょうがないでしょ! わたしだって恥ずかしいよ!」
恥ずかしさで半泣きのリンだが、やはりやめるつもりはないらしい。
意地っ張りだな。
「し、仕方ないなぁ」
悩殺寸前で、理性が崩壊していくのを何とかくい止め、ローブを脱いで彼女に着せた。
「じゃあ、このローブ着てて。向こうで脱げばいい」
「う、うん」
はあ、魔物より先に、オレが襲っちゃいそうだよ。
魔物の住処である岩場の洞窟に着いた。
ヤツラが女性を襲うのは、捕食行為の可能性が高い。
硬そうな男より、柔らかそうな女の方が、おいしそうだからか?
裸に剥くのは、装備が食事の邪魔だからだろうな。
ということは、リンが危ない。
でも、自分が攻撃の要だから、前に出るってきかないだろうし、どうしよう。
「ルーサー。これ、ありがとう」
リンがローブを脱いで渡してきた。
ローブを着こんで、彼女の後ろにつき、後姿に目が釘付けになる。
お尻が半分見えていた。
ほとんど裸じゃないか。
この鎧を開発したヤツは何を考えていたんだろう。
この眺めは生殺しだ。
抱きついて、触りまくりたい。
緊張感の欠片もなく、オレはリンの後ろで、湧き起こる性欲と戦っていた。
洞窟は地底湖へと続いていた。
湖といっても、海と繋がっているらしく、湛えているのは海水だ。
水の上には、小さなクラゲ型の魔物がたくさん浮かんでいた。
敵意が洞内に満ちる。
オレ達は問答無用で侵入者とみなされたようだ。
「来たよ、ルーサー!」
戦闘開始。
オレは補助に徹して、冷気を帯びる魔法でリンの剣を強化し、防御魔法で体をガードする。
リンの剣の腕前は、凄腕とまではいかないけど、一流に手が届くぐらいの強さがある。
ふいをつかれたり、相手が上級の魔物でない限りは、彼女の敵ではない。
華麗な軌跡を描く刃が、次々と敵を切り裂き、倒していく。
真剣な顔で剣を振るうリンを見ているのは好きだ。
血にまみれる姿は見たくないはずなのに、相反する感情が沸き起こる。
昔から木刀を使って、剣の稽古に励むリンは本当に楽しそうで、オレはそんな彼女を見ているのが好きだった。
かなりの数を倒したと思った時、急に魔物達が湖の中へと沈み、逃げ始めた。
リンが肩の力を抜いた。
だが、オレは警戒を解かなかった。
ヤツらがオレ達に敵わないと悟って逃げたのなら、次に出てくるのは……。
「リン、油断しないで。何か来る!」
水しぶきが上がる。
盛り上がった海水が弾けて、雨のように降り注いできた。
怯んだ隙をつかれて、影から伸びてきた触手に、オレは足を捕らえられた。
「うっ!」
海中に引っ張り込まれる寸前に、リンが手を伸ばしてくれたのが見えた。
だが、オレはその手をつかめないまま、暗い海の中に落とされた。
足を掴んだ巨大なタコ型の魔物が、底を目指して泳いでいく。
溺れさせる気か?
オレはカナヅチなんだ。
泳ぎ方なんて知らない。
だが、魔法を使えば、水中戦でも負けはしない。
詠唱を省いて魔法を使い、風の力で薄い空気の層を体の周りに作り上げ、呼吸を確保した。
これなら水圧に潰されることもない。
魔法を使った影響か、ついでに絡み付いていた魔物の足を外すことにも成功した。
魔法剣に魔力を注いで刀身を具現化し、間髪いれずに力を解放する。
光の剣を一振りすると、暗い海が一瞬黄金色に輝いた。
魔力の光はオレの意思を汲み、付近にいた全ての魔物達を消滅させて、母なる海へと還していった。
魔法で水流を作り、その流れに乗って海面へと上る途中で沈んでくる人影を見つけた。
リンだ。
装備を剥ぎ取られ、裸同然の彼女を受け止めて、地上に戻る。
気を失っていたけど、心臓は動いていた。
人工呼吸で息を回復させて、一息つく。
ここにもう用はないな。
オレはリンを抱え上げ、洞窟の外に出た。
外はすでに夜になっており、満月がくっきりと見えていた。
岩場を抜けて砂浜に出る。
念のために魔物や人を寄せ付けない結界を張り、リンを砂浜に寝かせた。
白い砂はきめ細かく、寝転んでいても心地よい。
ローブを脱いで、彼女の上に被せた。
結果的には守れたけど、今回は危なかったな。
魔法剣があるからといっても、これからは過信しないようにしよう。
「う……」
微かにリンが声を出した。
彼女の瞼が徐々に開いていく。
オレは傍らに膝をついて、顔を覗き込んだ。
「リン、大丈夫?」
オレの顔をじっと見ていたリンの目に、涙が浮かんだ。
どうしたんだろう?
傷はなかったと思うけど、どこか痛いのかな?
尋ねようと口を動かしかけたら、リンが飛びついてきた。
「うわっ!?」
無様に尻餅をついて、リンに押し倒される。
リンはオレの首に腕をまわして、しっかりとしがみついた。
目線を下に向けたら、そこには彼女の迫力のある大きな胸が、オレの体に押し当てられて潰れているという、刺激的な光景が飛び込んできた。
慌てて目を逸らす。
そんなところを見ている場合じゃないだろ。
「ルーサーは泳げないから、死んじゃったかと思った」
リンはオレが死に掛けたことが怖かったって、ぼろぼろ涙をこぼして、肩を震わせていた。
勝気な彼女が泣くほどに心配してくれたのだと知って、嬉しかった。
オレもリンの背に腕をまわして抱きしめる。
まだまだ一緒にいたいんだ。
君を置いて死んだりしないよ。
「心配かけて、ごめんね。えーと、うん、かなりやばかったけど、いつも通りの良いタイミングで騎士様が来てくれてさ。あの人も、たまたま遊びに来てたらしくて、すごい偶然だよね」
今回も騎士に助けられたことにする。
かなり苦しい説明だったが、リンからは疑問の声は上がらなかった。
良かったって繰り返して、オレから離れようとしない。
変だな。
いつもならここで目を輝かせて『騎士様は!?』って、問い詰めてくるのに。
「もう無理な仕事はしない。賞金なんかどうでもいい。ルーサーがいなくちゃ、家を建てる意味がないんだよ」
リンはそう言って、オレの唇に自分のそれを重ねた。
オレがいなくちゃ意味がない?
それって告白?
ちゃんと説明してくれないと、自分の都合のいいようにとっちゃうよ?
両思いな雰囲気の中で、思い人に裸で抱きつかれていては、反応するなという方が無理な話だろう。
オレの下半身がむずむずと動き始めた。
「あれ?」
リンが不思議そうな声を上げ、オレの股間に目をやる。
不自然に膨らんだそれを見つめられ、恥ずかしくなって顔が真っ赤になっていく。
「リ、リンが、悪いんだからね! そ、そんなカッコで抱きつくからっ!」
オレはリンを責めるように叫び、飛び離れた。
めちゃくちゃカッコ悪い。
こんな場面で欲情するなんてと、自己嫌悪に陥る。
リンに嫌われたかも。
押さえて場を取り繕おうとしても、一度起き上がりかけたものが急に鎮まるはずもなく、我慢をしているせいで、だらだら汗が湧いてくる。
頭の回転は速い方だと自惚れていたけど、蓄えた知識も、この場では全然役に立たない。
泣きそうになったオレの耳に、リンの優しい声が届いた。
「我慢しなくていいよ」
意外な言葉に、彼女の方を向く。
リンは裸身を隠すことなく立ち上がり、オレに微笑みかけた。
月明かりに照らされた彼女の肌は、ほんのりと輝いて見えて、気まぐれに地上に舞い降りた月の女神のようだった。
惚けた顔で、オレはリンに見とれていた。
「ルーサーのそれ、どうすれば治まる? 危ない目に遭わせたお詫びに、何でもしてあげる」
オレの後ろにまわったリンが背中に抱きつき、甘く囁いた。
柔らかい膨らみが、今度は背中に押し付けられる。
「な、何でも?」
喉を鳴らして、確認を取る。
この状況で何でもと言えば、性的な行為に違いない。
リンの大胆な誘いに、夢でも見ているのかと疑った。
「嘘は言わないよ。ルーサーの好きなこと言って」
ここはやっぱり、リンの全てが欲しいと言うべきか?
だけど、リンはお詫びだって言った。
オレのこと、好きだからじゃないんだな。
見るにみかねて、性欲処理の手伝いをしてくれるだけなんだろう。
そんなことまでしてくれるなんて、好かれているんだとは思うけど、オレの思ってるのとは何か違う。
結ばれる時は、今じゃない。
よし、決めた。
処女は次の機会にもらうことにして、今夜は存分にリンを味見する。
オレは彼女の魅力の一つである胸へと狙いを定めた。
「リンの胸をオレの自由にさせて!」
胸と聞いて、リンは戸惑ったような顔をした。
それだけでいいの? って聞くから、頷いた。
胸だけでも十分なんだよ。
だって、リンの生足を見てるだけでも、おかずにしてしまえるオレだ。
そのたわわな乳房を好き放題にできるだけで何回でもイケると、自信を持って言える。
いかん、想像だけで興奮してきた。
「いいよ、好きにして」
リンは余裕の表情で、オレに体を任せてきた。
まずはソフトなタッチから。
正面から手を伸ばして、下から膨らみを持ち上げる。
リンの公認だから、今日は焦らずじっくり触れる。
痛がる姿は見たくなかったので、感触を堪能しながら、さほど力は込めずに弾力を確かめるように、手の平の上で弾ませてみたりする。
「あん……。ルーサー、それ気持ちいいよぉ」
うっとりとした表情で、リンが呟いた。
こっそり覗き見た自慰では、リンは胸を触っていた。
好きなんだろうと思っていたら、正解だった。
この機会に、リンが喜ぶポイントを調べよう。
その前に、まずはオレを満足させてもらわないとね。
オレも服を脱いで裸になり、リンの前に立った。
上を向いてそそり立つ、オレ自身を見つめて、リンはほうっと色っぽいため息をついた。
「子供の時に見たのと全然違う。すごい……」
照れた顔で俯き、恥らいつつも目はオレのものを追っている。
「これを胸で挟んで」
オレの注文に、リンはびくっと怯えたような顔をしたけど、すぐにそろっと近寄ってきた。
両手で自分の胸を持ち上げて、肉棒を挟みこむ。
「ね? こう?」
上からの眺めは最高だった。
大好きなリンの胸に、オレ自身が挟まれている。
しかも、オレのために自分からご奉仕してくれてるんだ。
シチュエーションだけで上り詰めたオレは、幾らも経たない間に溜まった精を放っていた。
勢いあまってリンの顔や胸へとかかってしまい、肌を汚していく。
「ご、ごめん!」
顔にかけたことは、さすがに怒られるのではと思ったけど、リンは「平気」って笑ってくれた。
「これでいいんだよね。宿に帰ろうか?」
射精で元に戻ったのを見て、終わったと思ったのだろう。
立ち上がりかけたリンの肩を掴んで座らせる。
「すぐにまた大きくなるから、まだ終わってないよ」
「え? そうなの?」
「うん、だからもっと触らせて」
オレはリンを寝転がせ、胸を手の平で下から包み込むように揉みあげて、乳首を舐めた。
舌を使って嬲りながら、吸い付いてみる。
「う…ううん、はぁん……。やぁ、変な気持ちになるよぉ」
艶めかしい声音で喘ぎ、リンはオレの言うなりに触らせてくれた。
してって言えば、どんなえっちな奉仕でも恥ずかしがりながらもやってくれる。
彼女の胸で何回出したかわからない。
オレばっかりも悪いよな。
リンにも満足してもらおうと、途中で奉仕を交代してみた。
「ん……いやぁ…、もういい、もういいからぁ……。あん、それ、やぁ……」
オレの手で達して、淫らな声を上げる彼女がたまらなく愛しくて、調子に乗って責めまくった。
リンは「やめて」と言いながらも、本気で嫌がっている様子はなかった。
オレが触らないから、秘所は自分で慰めている。
大胆な痴態を見せながらも、羞恥で赤く染まる表情が、オレのやる気を煽る。
「リン、かわいい。もっと声を聞かせて」
オレはさらに彼女の胸に愛撫を加え、絶頂に導いた。
幾らなんでもやり過ぎな気がしてきて、そろそろ終わることにする。
やっぱり最後は胸に包まれてイキたいな。
ぐったりしているリンの胸を使わせてもらい、オレは精を放った。
全て出し切って、大満足で息をつく。
胸だけでこれほどだと、本番で得られる満足度は計り知れないだろう。
大きく呼吸をしているリンの上に被さり、頬に感謝の気持ちをこめてキスをした。
「良かったよ。おかげですっきりした」
声をかけたら、リンがにっこり微笑んだ。
そして力尽きたように、眠ってしまう。
幸せの余韻を二人で味わいたいから、本番はもっと加減しないとな。
魔法を使い、水の力でこの場にだけ雨を呼び、情事の汗で汚れたオレと彼女の体を洗い流す。
火と風の力も使い、温風を作り上げて仕上げに乾かした。
魔法使いになって便利だと思うのは、実はこんな時だったりする。
オレはリンにローブを着せて背負うと、宿に運んだ。
部屋のベッドに彼女を寝かせて、宿を抜け出し、ギルドに行って賞金をもらった。
大騒ぎされると困るので、誰が退治したのかは、内緒にしてくれるようにと頼んでおく。
明日もここにいるんだから、ゆっくりしたい。
それにリンには騎士が退治したことにしているから、生真面目なところがある彼女は、オレが賞金を受け取ったことを知れば、騎士様に渡せと言うに決まっている。
このお金は内緒で貯めておこう。
いつかマイホームを買う時の資金にするんだ。
お金を預けて宿に戻り、ようやく休めた。
リンの隣のベッドにもぐりこんで、明かりを消す。
今日は大変な一日だった。
明日は何事もなく、リンと遊びたいな。
「ルーサー、起きて! 騎士様はどこ!」
リンの手がオレの胸倉を掴んで激しく揺すった。
はあ?
ああ……、朝かぁ。
リンてば、今頃になって騎士のことを聞くなんて、昨夜はオレの勝ちだったな。
寝ぼけた頭で、架空のライバルに対する勝利の感動を噛みしめる。
そうそう答えなくちゃ。
「うー、騎士様ぁ? ええっとねー、もう、帰っちゃったぁ」
眠くて適当に答える。
探しに行っても、どこにもいないんだ。
帰ったことにしておけば、リンも諦めるだろう。
「残念だったねぇ」
これで問答は終わりと思ったら、リンは呆けた後、ハッと我に返って詰め寄ってきた。
「嘘つくんじゃないわよ! 吐きなさい、知ってるんでしょ!」
もう、騎士様、騎士様って、うるさい。
オレは彼女の腕を掴んで、寝床の中に引っ張り込んだ。
昨夜はオレの愛撫であんあん言ってたくせに、目が覚めるなり他の男を追いかけるなんて、ひどいじゃないか。
腹が立ってきて、全力を出してリンを捕まえた。
「こら! 離しなさい!」
「やだよ、昨日は色々あって疲れたんだ。リンも寝ようよぉ。騎士様には、オレが代わりにお礼言っといたからさぁ」
「わたしが言わなきゃダメなの! あっ、胸を揉むな!」
「だって、リンのおっぱいはオレの好きにしていいんでしょう?」
昨夜はオレのものだった膨らみを、パジャマの上から揉む。
いくら触っても飽きないなぁ。
多分、リンのだから好きなんだ。
「それは昨夜だけ! 今日は違うの! やっぱりルーサーみたいな甘えん坊に処女はあげない! 騎士様にあげる!」
リンは暴れてそんなことを言ったけど、無視を決め込んで二度寝する。
いつの間にか、彼女はおとなしくなっていた。
頭を叩かれたみたいだけど、そんなに痛くなかった。
何か「ばか」とか聞こえたな。
いいんだ。
リンが一緒にいてくれるなら、バカでも、弱くて泣き虫のルーサーのままでもいいんだ。
「ルーサー、答えて。わたしのこと好き?」
何を今さら聞くのかな。
オレは薄く目を開けて、笑って見せた。
「好きだよ、愛してるよぉ。リン……」
オレの気持ちは、いつだって同じ。
リンは頬にキスをして「ありがとう」って言ってくれた。
夢なのかな?
どっちにしても幸せだ。
大変な目に遭ったけど、来て良かったな。
明日からは、再びいつもの日常が繰り返される。
それでも少しは距離が縮まったって自信を持った。
リンが騎士様じゃなくて、弟分のルーサーを選んでくれた時、オレは本当のことを打ち明ける。
君の騎士はオレなんだって。
誰よりも近くで、ずっと見てきた。
そしてこれからも、永遠に君を守り続けるよ。
END
NEXT BACK INDEX
Copyright (C) 2005 usagi tukimaru All rights reserved