「―――!!」
ソロの瞳が驚愕に大きく見開かれる。ピサロはそんな彼に皮肉めいた微笑を浮かべると、
そのまま彼に口づけた。
「ん…っ。ふ…あっ、や‥‥ヤダ‥っん‥‥‥」
強引に口内へ潜り込んだ舌が、逃げる彼を追いかける。支配するよう巡る舌先に、混乱す
る思考を更に霞ませてゆくソロ。
「んん‥‥はぁ‥っ。はあ…ふ‥ああっ‥や‥‥」
首筋から辿った唇が胸元へ降りると、ソロの背がしなった。
ピサロは彼の胸の飾りをねっとりと舐め上げながら、その両手で脇腹を緩く滑べらせる。
弄っていた指先は、やがて徐々に息を弾ませるソロの下芯に伸びて行った。
「ああっ‥ん…やだ‥ぁ‥‥」
布越しに触れられビクンと躯を震わせながらも、ソロは嫌々と首を振る。
彼はぽろぽろと大粒の涙をこぼし始めた。
「‥何を泣く?」
「‥わかんない‥よ。ふぅ…あっ。や‥ダメ‥‥‥」
怪訝そうに言うピサロに、ふるふると首を振ったソロが、困ったように眉を寄せる。
ピサロはひそかな吐息の後、下穿きごと一気に引きずり降ろすと、ぐいっと脚を開かせ、
秘所へ指を沈めて来た。
たっぷりと絡ませた唾液を潤滑に、ゆっくり沈む指先。蕾みを開くように弧を描きながら、
差し挿れられる指が増やされる。
「あっ…あん‥。はあ‥‥」
内壁を掻き回す指先が幾度も抽挿を繰り返すと、ソロの腰が焦れるよう揺らめいた。
「‥もう足りぬのか?」
愉悦交じりにピサロが問いかける。ソロはじっと彼を見つめた後、きゅっと口を結んだ。
…今までなら簡単に口に出来た言葉が、どうしても紡げない。
ピサロは無表情な面を作ると、抜いた指の代わりに己を宛てがい、一気に貫いた。
「あ――!? はあっ‥‥!! くう‥っ。」 面→おもて
急激な圧迫感にソロの顔が渋面に歪む。シーツをぎゅっと掴む両手が微かに震えた。
「あ‥っ。やだ‥まだ動かないで。あん‥っ。」
ゆっくりと律動を開始したピサロにソロが抗議する。だが、滴っていた花芯を握り込まれ
ると、甘い吐息へすり替えられてしまった。
「あっ‥あっ…。やあ‥っん‥‥はあ‥」
律動に合わせて上下させてくる手先が、彼を高みへと誘う。内からの衝動と混ざり合った
うねりが、出口を求め収束して行った。
「あ…ピ‥サロ。も‥うオレ‥‥‥」
限界を迎えたソロが、解放を望むよう瞳を交わした。
「もう…なんだ?」 承知って→わかって
ピサロが承知っていながら訊ねる。ご丁寧に出口をきつく閉ざしたまま。
「‥‥達かせて。‥お願い‥‥‥」
最後に視線を外したソロが懇願した。
ピサロは下芯から手を離すと、身体を起こし、ソロの上体をぐいっと引き寄せた。
対面座位の格好にさせられたソロは、繋がりがより深められ、下肢をぶるりと震わせる。
「あ…っ。あん‥はぁ‥っ‥ああ‥‥」
躯の奥に灯った熱が大きく煽られ、ソロは欲望を弾かせた。
ぐったりと身体をピサロに委ねるソロ。ピサロは律動を速めると、大きく穿ち己も昇り詰
めた。熱い飛沫が最奥に叩きつけられる。ソロは小さく身動ぐと、熱い吐息をこぼした。
「ソロ…。」
ピサロがそっと彼の頬に手を添えると、そのまま顔を上げさせた。
「ピサロ‥ゥん‥‥」
まだ惑う瞳を伏せるソロに、しっとりと唇が重ねられた。
口唇をなぞるように舌が辿り、空いた隙間からソロの中へと入り込む。湿った水音を響か
せながら睦み合ううち、ソロはピサロの首に巻き付けた腕に力を込めていった。
「ふ‥ぁ。ん…ピサロ‥‥‥」
甘い蜜を堪能したソロは、唇が離れた後もくったりと彼に寄り添い、肩口に顔を埋めた。
緩々と滑り落ちた腕がピサロの背にまわると、ソロはほんの少し力を込めた。
愛しむような仕草が、先程からの否定の声が心からの拒否でない事を物語る。ピサロは
ひそやかに嘆息した。汗で顔に張り付いた翠の髪を優しく梳き上げると、耳に揺れる
ピアスの飾りを指先で転がす。
「ピサロ‥訊いてもいいか?」
ソロが躊躇いがちに声を出した。
「…なんだ?」
「…このサントハイムの人達の失踪事件、それもあんた達の仕業なのか?」
「なんの事だ?」
「ここの城の人達が、忽然と姿を消したって‥。神隠しとかって噂もあったけど…
みんな魔物の仕業じゃないかって思ってる…。」
「‥報告は受けていないが。ここは空の城だったと聞いたぞ。」
「じゃあ、ピサロじゃないんだね?」
ほう‥とソロが安堵の吐息を漏らした。
「可笑しな奴だな。そんな事が気掛かりなのか?」
「…あんたには‥わかんないよ。」
俯きながら口を尖らせるソロ。
「…そうだな。」
ピサロはそう答えると、楔をゆっくりと引き抜くようソロの腰を上げ、ぐい‥と捩り込ま
せた。
「あ‥っん。ピ‥サロ‥‥」
まだ熱を帯びていた内壁を擦り上げられて、ソロが甘い吐息をこぼす。
緩急混ぜた突き上げが繰り返されると、彼に取り縋りながら、ソロが艶やかに啼き出した。
「あ‥はあ‥。あ‥んっ…は‥‥‥」
「ソロ‥」
ソロが促され顔を上げる。紅と蒼の瞳が交わされると、ソロは自ら唇を重ねた。
口内をゆっくり巡った舌に誘われるよう、ピサロの口腔に舌が導かれゆく。
熱い吐息を飲み込みながら、ソロは身の内にたぎる奔流に悸えた。
「ピ‥サロ。ああっ…」
名残惜しげな銀の糸を引き、離れた唇から、情欲を帯びた声が上がる。
「あ‥も‥もう‥っ。ああ‥っ。」
浮かされるように嬌声を上げながら、ソロがピサロの頭を掻き抱いた。
「ふ‥ぁ。あ‥っん。ああ―――!!」
躯の奥まった場所に熱い飛沫を感じながら、ソロも追うように昇り詰めた。
「…ソロ。戻るぞ。」
「ん‥。え…?」
微睡んでいたソロが、がばっと身体を起こした。
あれからもう1戦励まれて、最後に意識を飛ばしてしまったソロは、すっかり身支度を整
えたピサロに起こされた。
「…あ。‥ありがとう…。」
きれいに拭われてる身体を確認したソロが、小さく礼を伝える。
差し出された服を受け取ると、そのままさくさくと着替え始めた。
支度を終え、ピサロの元へ歩み寄るソロ。
「おまたせ…。」
「では‥参るぞ。」
移動呪文の風が止むと、ソロがゆっくりピサロから離れた。
サランの町。宿の屋上。夜の闇が色濃く支配する中、2人が瞳を交わした。
「…おやすみなさい。」
ソロはそれだけ言うと、階段へと足を向ける。
「ソロ。」
不意に声を掛けられ、足を止めたソロが振り返った。
「なに?」
「…いや、いい。」
ピサロは小さく首を振ると、手先で行くよう促した。
「…じゃ。」
俯いたソロがひそかに嘆息する。彼はそのまま視線を下向かせたまま階下へと降りて行っ
た。
残されたピサロは、ひっそりと嘆息した後移動呪文を唱え、サランの町を去って行った。
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