よくぞ発見されました!
ここはワガママな彼女の後日談です。
「……そう、一度こっちに来るの?で、例の件はレイリアもイヤだって言ってるの?
……分かったわ、詳しい話はこっちでレイリアに直接聞くわ。
まったくアンタもレイリアも……ラインフォードの名前を甘く見てるわね。教育を間違ったわ。
シーリス、アンタもレイリアと一緒に帰って来なさい。
たまには元気な顔を見せるのが親孝行ってものよ。
……じゃあ待ってるから。帰ってきたらママに教わった特製味噌汁飲ませてあげるからね?
……ふふふ、たまにはアタシにも作らせてよ。じゃ、待ってるからね」
ふぅ〜…頭が痛い問題ね。シーリスもダメ。レイリアもダメ。
まったくあの2人はラインフォードの名前を甘く見てるわ!……特にレイリアがね。
あの子、アタシを甘く見てるようだけど……そろそろ頃合ね。
結婚式に間に合うように仕込んどかなきゃね。
ふふふふ……ちゃんとアタシの罠に気づく事が出来るのかしらね?
早く気づかないと、相川くんと結婚できなくなっちゃうわよ?
2重のトラップに気づくかしらね?うふふふ、楽しみだわ。……あの子にも連絡しないとね。
……例えわが娘でも、アタシに逆らう裏切り者は許さないわ!
……もちろん、それに騙された愛する旦那でもね。
その旦那はアタシを恨めしそうな顔で見ている。……なに?なんでそんな顔してんの?
ま、いいわ。とりあえずは問題を片付けなきゃね。
「リク、ちょっとナルディアを呼んでらっしゃい。大至急、急いで、駆け足でね!」
「なぁニース。シーリスからの電話だったんだろ?
オレにも少しは話させてくれてもよかったんじゃないのか?」
「アンタが何を話すっての?口答えはしないの!さっさと呼んでくる!」
「なんだよ、滅多にない娘からの電話だったのに……もう慣れたけど、男女差別だよなぁ」
駆け足でナルディアを呼びにいくリクの背中を見て思う。
……さすがにこの歳で3人目を生むのは無理よねぇ。最近はリクのアソコも元気ないし。
う〜ん……問題はナルディアをどう説得するか、なのよね。
まぁラインフォード家存続の危機なんだから、断わらせはしないわ。
「失礼します。ニース様、何か御用でしょうか?」
「ナルディア、アンタおじい様と結婚しなさい。
これはラインフォード家当主としての正式な命令よ」
「きゅ、急にいったい何なんですか?……前から言っているように、お断りいたします!」
まだ断わるの?まったく頑固ねぇ。歳をとってからますます頑固になったんじゃないの?
でもね、今回は頷いてもらうわ。でないと……アンタもおじい様も可哀想よ。
「今回はアタシも本気で言ってるの。アンタに結婚してもらわないと、この家が危ないの」
「……は?この家というと……ラインフォード家がですか?」
「そう、ラインフォードの名が途絶える危機なのよ」
眼鏡を机に置き、目頭を押さえる。こうしているとアタシも歳を取ったって感じるわ。
「……さっきシーリスから電話があったの。
レイリアが高校卒業後に結婚して、相川君と同じ高校で働くそうよ。
……シーリスと同じく、ラインフォードの名を捨ててね」
「ええ?レ、レイリアお嬢様もですか?相川くんはどう言っているのですか?」
「さぁ?そんな事知らないわよ。でもね、これで2人の娘がラインフォードの名前を捨てたわ。
これがどういう意味を持つか分かるわよね?」
「……だから私にカシュー様と結婚しろとおっしゃるんですね?」
「そう、アンタが結婚して、アンタとおじい様の子供であるオルソンがラインフォード家を継がな
きゃいけないの。でないとこの家は途絶えるわ。
……今さらオルソンがおじい様の子供じゃないなんてウソはナシよ」
「……少し考えさせてください。オルソンにラインフォードの名を継がせるというのは……
いきなりすぎて考えがまとまらないんです」
「……ゴメンね。アタシ、リクとナルディアにはワガママばっかり言ってるよね?」
「いいえ、私もリクもニース様のワガママが大好きですから。
ですが、今回の件は少し時間を……」
アタシに頭を下げ、部屋を出て行くナルディア。
きっとおじい様のところへ相談に行くのね。……どうせまたちゅっちゅちゅっちゅするんでしょ?
アンタ達もいい年なんだから少しは自重しなさいよね。
でも、あんなに困り果てたナルディアは初めて見るわね。
やっぱりこの反応が普通よね?なんで娘達はラインフォード家を甘く見てるのかしら?
「なぁニース。レイリアが結婚するってホントか?
いつかはするだろうと思ってたが……早すぎはしないか?」
「なに言ってんのよ。アタシを16で妊娠させたアンタが言っても説得力がないわよ」
「妊娠させたって……お前がねだって来たんだろうが。
『ナルディアが羨ましい!アタシも子供が欲しい〜!』ってな」
「……使用人のクセに生意気な口をきくじゃないの。お仕置きが必要ね」
引き出しの中から愛用のお仕置き棒を取り出す。
ずいぶんと使ったんだけど、まだまだ使えるわね。さすがはニッポン製ね!
「ま、待て待て!オレはウソをついてないぞ?っていうか、それはもうヤメテ。
お前と違って、オレは尻が気持ちよくないんだから」
「……そういえばそうね。さっきの言葉にはウソはないわね。なら今日は許してあげるわ」
必死な言い訳のリクに免じて許してあげるわ。アタシが慈悲深い当主で感謝なさいよ?
……アンタがレイリアの罠にかかった件は許さないけどね。
アンタが美人局にひっかかった事を、アタシが気づいてないと思ってるんでしょ?
うふふふふふ……お仕置きするのがすっごく楽しみだわぁ。
美人局とはいえ、浮気をしたんだからね。
睡眠薬で眠らされてたとはいえ、アタシ以外の女と同じでベッドで寝たんだからね。
…………泣いても許さないわ。
「ニ、ニース?なんでそんな怖い顔してるんだ?」
「アンタには関係ないでしょ!……そういうアンタはどんな顔してんのよ。
眼鏡外してるからよく見えないわ。もっと近づきなさい!」
リクに顔を近づけるように命令をする。
リクは言われるがままに顔を近づけ、アタシをそっと抱きしめる。そして、そのまま……
3人目、チャレンジしてみようかしらね?
|