メモリア

「俺」って、なんなんだろ?
妖怪だって事は判ってるし、自分の名前だって判ってる。
…んー…っと、どう言えばいいのかな〜。
この名前で呼ばれてる「意味」を知りたいって、事かな、多分。
「孫悟空」って名前の意味を。
俺にとってこの名前がどんな意味を持つのかって。

一度、八戒に教えて貰った事がある。八戒に教えて貰ってってとこが
ポイントね。三蔵に聞いたら「黙れ、サル」って言われちゃうから。
他の事聞いてそういわれるのはさ、いんだよ。
でもさ、これって興味本位じゃねんだよな。俺にとっちゃ大問題。
意味の無い名前ならさ、どうだっていいじゃん。俺達が妖怪で、
三蔵が人間だって事ぐれーのちっちぇえ事じゃん。
でも、多分重い部分だと思う。俺達にとっての「名前」って。

三蔵が「三蔵」になったのって今の俺より小っちゃい時だったって、
聞いた事がある。其れまで「こ−りゅ−」って名前だった、みて−。
本人に聞いた訳じゃねーしさ、聞くつもりも無い。
俺にとって三蔵は三蔵だもん。それから他は要らない。
でも、他の妖怪や人間達って、違うみたいだ。

「…何も無い事の真理を悟る、って聞いた事がありますね」
困ったような顔の八戒。うん。苦労かけてると思う。
俺バカだもん。バカって自覚あるもん。其のバカに物事を教えるって…、
まともな「三蔵」って苦労人だよなー。三蔵にはぜって−できね−よ。
「真理って、本当の事って事だよな」
「そうですね」
「じゃ、何も無い事、って?」
「砕かずに難しい言葉、遣っちゃいます?」
「同じこんがらがるんでも其の方が良い!」
何時でも脱落OK!みたいな俺の返事に溜息混じりの笑顔を返される。
三蔵ならここで張り扇100連発でマグナム1発追加だな、うん。
「虚無。虚ろな事、むなしい事、ですね」
「空しい事の本当を判る…何か遠回しに『莫迦』って言ってる気がする」
「でも意味はあると思いますよ。僕の今の名前にも意味がありますから」
「今の」かぁ…あれ、前の名前って…。
「なー、はっかい」
「ひょっとしたら思い出しちゃったんですね」
「うん。…悪ィ」
「悟空の所為じゃ無いですよ。でも、ネ」
「何?」
「僕も一度考えた事があって…でも其処で止まっちゃいましたね」

猪八戒。其れは三仏神から与えられた法名。
生まれてから其れまで名乗っていたのは猪悟能。
直訳を探すならば、「立派な悟り」。
悟る事に立派とか上下って、あるんだろうか?

「悟る、ですよね。問題は」
あーあ、八戒まで巻き込んじゃった。特に、こんな事で。
俺だって八戒にこんな事を考えさせてグルグルにしちゃ
なんねって事は判ってる。今はさ、八戒もにっこり笑って
三蔵に反撃できるけど、初めて会った時やあの人形野郎と
会った時とか…やばかったもん。
…あ、多分俺の取り越し苦労みたい。八戒の顔、楽しそうだもん。
ひょっとしたら、八戒も知りたいのかな?
今判んなくてもさ、せめてヒントぐらい欲しいじゃん。
「二人の宿題にしましょうか。悟浄は多分茶化しにいきますから」
「いえてる!」
「これで僕達が真面目な三蔵の弟子なら、話が早いんですけど」
「なんで?」
「『仏様の教えの本当の部分を、自分の体で判る事』って意味が
あるんですけど…あの三蔵と一緒に居て、判ると思います?」
「全然!」 
言い切っちゃうもんね。

「オーオ、一丁前に問答しちゃって」
「意地悪だねぇ、あんたも」
「オヤ地蔵菩薩本体。いつ旅から戻った?」
「今だよ。まだ分身が6体程旅行中だ。あんたの秘蔵の酒を
貰おうと思ってな」
「慈悲の象徴の清らかなお方がこんなだからな」
「其の侭返すよ。麻雀の借金の肩代わり、忘れた訳じゃ
あるまい?」
「まま、先ずは一杯」
慌てて杯を差し出す観世音に地蔵は意地悪く微笑む。
「あの問答の答えな」
「ああ。簡単な事だけどな」
「訳判らん教典押し付けるよりは、旅させた方がいいってか」
「可愛くない連中だけどな」
「嘘扱け。口元、緩んでるぞ」
                         
続きは次回の講釈で。
                  (2000.12.27)
《コメント》  
ウーン。謎ばかり増やしてしまった気が。
長月さんとの遣り取りで考え付いたSSですが…
後2回続く、かも知れません。
物語書くのは苦痛じゃなくて寧ろ愉しみだから良いんですが。
お付き合い下さいませ。



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