cc-sky5 肖像画
「色眼鏡で見られるのってやなの。僕は僕だし」
その台詞をさらりといえるのが、彼女の強さなん
だと思う。
「別にわざと隠した訳じゃないの。宣伝するよう
な事でもないしね」
暫く出番はないし、音楽の打ち合わせの邪魔にな
るから、と普段着に戻ってスタジオを出て喫茶室へ。
ぼくと里奈だけでね。
「お兄ちゃんの事は、前話したっけ?」
「うん、あのお兄さんでしょ?」
「名前は言わなかったね」
「聞いてない」
「『餡子スパ』の明媚さん、って言ったら判る?」
「あの明媚さん?」
「うん。あの明媚さん。僕のすぐ上のお兄ちゃん
で元長男」
…驚いてしまった。ぼくに判らなかったのが不思
議だと思う。ニューハーフという立場でありながら、
その枠を感じさせない明媚さん。芸能人に興味を示
さない京介が珍しく褒めた人だった。
「まあ、僕は僕だし明媚さんは明媚さんだしね。
うちの家風なの。自分は自分って言うのが」
「へぇ?」
「カズミだって、嫌でしょ?」
空気が、一瞬止まったと思った。
「………知って、たんだ」
「余計な事を言う人が、呼ばなくても来る家だか
ら。でも、僕は今のカズミしか知らないし」
「でも、聞いたんでしょ?」
「だから、どうしたの?それで僕の知ってるカズ
ミの印象を変えろって?」
苛立った様に、フォークをケーキに突き刺してい
る。
「…怒るよ。僕、カズミのファンを自認してるん
だからね?」
「…ごめん」
「謝るのは僕の方。つい口が滑っちゃった。カズ
ミとうちじゃレベル違いすぎるもんね。御免!」
先に謝られたんじゃ…それに、此処まで潔く謝ら
れたんじゃ…。
「じゃ、後ミックスサンド追加でチャラね」
「カツサンドにしてよ。そんなに廉くで好いの?」
「ファンを自認してるって言われたらねー」
その一言が結構嬉しかったりして。
「お兄さんの事があるから話さなかったの?」
「それもあるけど…母上サンの件もあるの」
「お母さんがどうかしたの?」
「結構厄介な家柄なのよね。遠縁なんだけど」
「何処の?」
何にも言わずにマッチ箱を押し遣って来る里奈。
その箱の文様を見て…あはは…納得。
「今は誓って一般市民だからね。…困ったもんだ
わ」
ホント、お疲れ様。
(続いてしまった^^;)
《コメント》
完結してくれよ〜との葡萄瓜の願いも
空しく又続いてしまいました。
流石に桜戦線まで長くしようとは思って
ません。次回完結を…目指せるかなぁ…(弱気)
cc-sky4.0 花束行進曲
cc-sky6 花嫁衣裳は割烹着?
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