最終章 変貌と告白

 翌日のレミの変貌には、さすがに三人は驚いた。
 呼び鈴を鳴らし、応対があった後で扉の鍵が開く。流行る気持ちを押さえ切れずに、股間をぷっくり膨らませて彼等は扉を開けた。
 そこには、裸のレミが、正座をして三つ指を立てていた。
「おかえりなさい」
 頭を下げて、彼女は戸惑う三人に微笑みかける。
「昨日はありがとう。私の中にたくさんスペルマ注ぎ込んでくれて、凄く嬉しかったよ。今でもお腹の中に大事にしまってあるんだよ」
 レミはゆっくり立ち上がり、両手で臍の下辺りを愛おしそうに撫で回す。ただ呆然としている三人を上がるように促すと、自分はゆっくり中へと歩いていく。
 お互い顔を見合わせながらも、どうしたものか見当がつかない様子の三人。とりあえず靴を脱いで部屋に上がることしかできない。
 彼らには彼女の状況が全く分かりかねていた――何ださっきの丁重な迎え方は? それに昨日あれだけ一方的に犯した相手に向けたあの穏やかな微笑みに何か意味はあるのか? そもそも、腹を撫で回しながら言ったあの言葉はどういうことなのだろう?
 一定距離をおいて少し怯えたふうに見つめる三人に、レミは手を後ろに回して一歩前に出ると、ズンと顔を彼らの目の前に近付けた。彼女の乳房がたぷんと音がするくらい互いにぶつかって弾む。
「さ、今日も私はりきっちゃうよ。今から何しよっか?」
 「淫乱」の言葉で括るに括り切れない、何か別の意味での開き直りの感が、彼女の行動に垣間見える。それはトシ、ケン、トドの三人とも認めるところであった。
「……おい、まさかお前……」口数の少ないケンが、その時珍しく自分から切り出した。その声は恐る恐るといった様子で震えている。「ガキ産む気かよ?」
「赤ちゃん? 私の赤ちゃん……」レミは恥じらうように肩をすくませてもじもじと体を揺すると、小声で答える。「うん、私がちゃんと産んで育てる」
 そんな幸せいっぱいの様子のレミを、しかしケンは冷たく言い放った。
「産めるわけないだろ。 出来ても堕ろすんだ。 お前はずっと俺たちの奴隷なんだよ」
 レミの顔がとたんに凍る。守るように腹に両手のひらを当て、小股で後じさる。
「そ……そんな、そんなの嫌! 私今度こそ赤ちゃん産むの! そうでないと、前に流産した子が浮かばれないよぉ!」
 三人は彼女の言葉を聞いて互いに顔を見合わせる。最初どういうことなのか、意味がつかめなかった。だが、ようやく彼女の言を理解すると、互いにうなずいた。そして、ケンはさらに続けて冷言を放つ。
「一度流してる奴が、どうせまともに出産できるわけないだろ」
「う、産むもん、今度こそ、私の赤ちゃんを――」
 ケンは騒ぐレミをうざったく思ってか、鋭い蹴りを彼女のみぞおちに喰らわせた。後ろに転がるように倒れるレミ。
 その彼女の腹を、ケンは足で踏む。
「今すぐ出せ、ほら、肉壷に溜めた精液全部吐き出せってんだよ!」
「い、いや。出さない、出さないもんっ!」
 ぐりぐりと踏み付けるケンの足を掴み、陰唇を押さえる。レミは腹に溜めた精液を一滴も出すまいと必死に抵抗する。
「このアマぁ、自分の立場を全く分かってねぇ……畜生……」
 ぎりぎりと歯がみして、ケンは足にさらに力を入れる。レミの口から苦渋のうめきが漏れる。
 そこへ、トシがケンを引き離しにかかった。
「おい、もういいだろ……そんなこと俺たちが――」
「甘いこと言ってんじゃねぇよ、全く後先を考えない奴だなぁお前は!」
 トシの手をはたいて、ケンは再びレミの腹を踏みつけにかかる。だが、トシはなおケンを止める。
「妊娠しようが何しようがこっちの知ったことじゃねぇだろ!」
「馬鹿野郎てめぇまだそんなこといってやがるのかぁ!」
 今度は二人が掴み合う。トシの拳がケンの頬を捕らえ、ケンの膝がトシの腹にめり込む。
 下手をするとどちらかの息が止まらんばかりの激しい格闘が狭い部屋で派手に始まってしまった。トドは止めに入ろうとするが、その凄まじさにたじろいてしまって、一歩踏み込む以上に行動を起こせない。
 ケンの足から解放されたレミはゆっくり立ち上がると、床を転がってなお取っ組み合う二人に叫んだ。
「やめてぇっ!」
 二人の動きが止まった。トドも唖然として、愛しき裸の女を見る。
「二人ともやめて! お願いだから、私の前で喧嘩するのだけやめて!」
 胸の谷間で両手を組んで、祈りすがるように彼女は言う。
「みんな仲良くして。何でも言うこと聞くから、それだけは守って……お願いします」
 ひざまずき、土下座をするレミ。さっきの凄まじい取っ組み合いが怖かったのか、背骨が少し浮いた背中は震えきっている。丸く大きな尻もまた、いつになく緊張したようにこわばっているように見える。それは余りに健気な姿だった。
「レミさん、もういいよ。もういいよ……」
 トドが彼女に駆け寄り、抱きかかえるように彼女を起こす。トドの手にレミの肌の柔らかい感触が伝わる。
 トシは舌打ちをして、未だに自分の体を掴むケンの腕を振りほどく。
「ごめん……悪かった。俺たち、何の考えなしに……ば、バカだからさ」
「ううん、いいの」レミは自分の目の高さに合わせてしゃがみ込んだトシの首に腕を回して抱き締める。「わかってくれたらいいのよ、トシくん」
「おい、そう強く抱き着いてくんなよ、おっぱいが」
「おっぱい? いいんだよ、遠慮しなくて。触って」
 トシの体にレミは自分の柔胸を這わせる。既に固くなっている乳首が妖しく彼の体をなぞる。その胸が目の前にやってくると、彼はたまらずむしゃぶりついた。
 舌でどれだけこねくり回しても、どれだけ押し込んでも、どれだけ吸い付いても、レミの乳首はツンと立ったその姿に戻る。
「ひゃうっ、トシくんいいよぉ。もっと吸い付いて。もっと吸い付いて私のおちちを全部吸い取って」
 レミの胸がトシの頭を抱く。乳房の柔らかい肉は、優しくトシの顔を優しく包み込んでしまった。さらに彼女は両手を使って彼の顔に乳房の柔肉をすりつける。
 柔らかさと暖かさの中で、トシはすっかり欲情してしまった。
「もう俺……俺もう我慢できねぇよお!」
 いそいそとズボンを脱ぎ、パンツまで投げ捨てて、屹立する肉棒を彼女の目の前にさらけ出す。
「もうこんなだ……なんとかしてくれっ」
「トシくん、私のおっぱいで興奮してくれたの……? ありがとう」
 自分で、ゆっくりだがしっかり肉棒を握ってシコるトシを見て、レミは微笑んだ。馬鹿にしているのではない、まるで自分の子供の話を聞く母親のような優しいまなざし。
「そのおっぱいで、俺のチンポを包み込んでくれよ! もう、俺我慢できねぇ……」
 ねだるトシにこたえ、レミはその胸の谷間に彼の熱い肉棒を挟み込む。
「すごいよトシくん、ぴくぴく脈打ってるよ。こんなのが昨日私の中に入ってたんだ」
「ああ……いい、同じくらい良い。すごくすべすべしてて、柔らかい」
 まるで何かに突き動かされるように、最初はゆっくりと小刻みに、だんだんと大胆にトシの腰が動き始める。肉棒もまた、それに合わせてレミの胸の谷間から顔を覗かせたり隠れたりする。レミははち切れそうな亀頭の先端を舌先でチロチロと舐め、彼の本能的な動きにすっかり胸を弾ませていた。もちろんトシも彼女の心臓の鼓動を肉棒で感じ取っていた。
「なんだよ……興奮してんのかよ」
 強がってみるが、彼自身も自覚していた。
 ――自分はすっかりレミの胸に惚れてしまっていることに。
 一方トドも、トシとレミを見て耐え切れなくなったのか、彼女の尻をもみしだきながらねだる。
「僕も我慢できないっス。レミさん、中に入れさせて下さい」
 トシの肉棒をしっかり乳房ではさみこみ、レミはやや背を反らしてトドに振り返る。
「いいよ……来て、トドさん」
 腰を浮かそうと両手で持ち上げようとしたトドだったが、レミ自ら腰を浮かしてくる。彼もまた、皮に包まれつつも雄々しく勃起した肉棒を揺らしながら、その先端で入り口を探る。既にレミの股間は愛液でヌルヌルとしていて、皮から少し覗かせるトドの亀頭にべっとりとまとわりつくほどだ。しかも少し白く濁っているものだから、股間から少し肉棒を離せば、まるで射精した後のようにトドの肉棒の先端から半透明の糸がひくほどだ。
 何とかその先端が陰唇の端を捕らえ、ゆっくりと中へと入っていく。しかしトドにしてみれば、それはまるでレミにさそわれているかのようだった。それほどにそこは物凄い湿気を帯びていて、いやらしい粘液ですっかり濡れそぼっていた。
「ひぅ、ああぁっ……トドさんが中に、ああ……すごくいっぱい」
 膣壁がトドの肉棒をすっかり包み込む。包茎だろうがなんだろうが、レミの膣の中ではトドは一人前の男になれた。
「ああ、耐えられないですレミさん。僕、動かします。このまま、このまま中に出しますっ!」
 トドは吠えるように叫ぶと、その太い腰をたくましく振り立て始めた。彼女の尻の肉を波打たせ、体を揺さぶるほどに、レミの腰にトドは叩き付ける。
「ひあぁあ、あぁ、あぅあ、んぉっ……」
「おい、締め付けが緩いぞ、もっとしっかり挟み込んでくれよ」
 トドの肉棒に浸るレミを妬むように、トシは動かしていた自分の腰をズンと彼女の胸に叩き付ける。
「二人ともパワフルですごくいいっ。……私もう、もうとろけちゃいそうなの。いっそあとかたもないくらい溶かし切って欲しい。もっと、もっと……!」懸命に身をよじらせて、レミは嬌声を上げて二人のボルテージを上げようとする。「たくさん私の体に精液をちょうだい。じらさないで、早くちょうだい、ちょうだぁあいぃ」
「ああ、俺もう、いい、イク、イクうっ!」
「僕も、僕もイキますっ、イクっす、沢山出すっスよぉ!」
 二人は同時に射精した。
 トシの精液はレミの胸と顔に飛び散り、トドの精液は子宮の中に注ぎ込まれる。
「あぁ、熱い、暖かい……」
 二人が自分から離れて腰を抜かしたようにへたり込んでも、レミは「お座り」を命じられた犬のような姿で余韻を味わっていた。かすれた甘い声が、彼女の口から漏れる。
 と、その口にケンが自分の肉棒を押し込んだ。
「ふむぅっ!」
「この淫乱メス犬女め! 男のザーメンが欲しかったらくれてやるよ、おらぁしっかり舐めろ畜生!」
 レミの顔を両手でがっちりつかみ、口が閉じるのを許さない。自分も激しく腰を動かし、殺人的なイマラチオを挑んで来た。咳き込み、目に涙をためるレミ、しかしそれを見てもケンはやめない。
「ぐふ、ぐむぅ、ううんっ!」
「ああ、出る、出る……しっかり、飲めよ、ああ出るっ……」
 それはさっきの二人より早い射精だった。レミの喉元を五、六回突いて全てを出し切ると、彼女の口腔の感触と射精の余韻を味わった後で、ゆっくり肉棒を抜く。
 ――すっかり嫌われただろうな。ケンはそう思っていた。
 だが、レミは口の中に溜まった彼の精液を舌先と指先を使って転がし、充分外の空気に混じらせて泡立てると、ゆっくりそれをこくりと飲んだ。
「おいしかったよ、ケンちゃん」
 おどけたように首を傾けてレミは彼にそう言うと、萎えた彼の肉棒にキスの雨。それから、両手指で持つと、それに頬をすりつける。
「ケンちゃんも大好き。トシくんもトドさんも大好き。みんな大好き。みんなの精液私の中にたくさん出してくれて私すごくうれしい。……だから脅したりなんかしないよ。大丈夫、赤ちゃん出来たら私が責任持って育てるから。ケンちゃんやトシくんやトドさんは、大きくなってくる私のお腹の赤ちゃんを見ていてくれたらそれでいいよ」
 舌先で舐めるように、ケンの肉棒の裏筋にキスをする。
「私、がんばるから。だから、三人とも仲良くして、ね?」

   ‡

 あたらしいパパたちのこと、教えてあげる。
 トシくんはねぇ、とにかく熱いの。でもすこし水っぽいかな? まるでシャワーみたい。でもきもちいいのよ。子宮の中でも、体にも。
 ケンちゃんはまったりとしてる。それでいて私をとろとろにしちゃうくらい強い香りがあるの。それを嗅いだだけで、ほんとにセックスしてる気分になっちゃう。
 トドさんのが一番どっしりと重い。はじめて中に出されたとき、子宮がとつぜん重くなっちゃったみたいだった。でも一番飲みがいがあったかな?

 ママの中には、三人のパパの精液がたくさんつまってるよ。すっかり混ざりあって、あなたをまってるわ。
 さあ、はやくおいで。私があなたを優しくあたためてあげる。
 あなたのことをかんがえるだけで、ああ、インランなママのからだがまたほてってくるよ。
 あなたがくるまで、ママずっとパパたちとエッチして待ってるからね。その方が、来やすいでしょ?
 ママはエッチなきもちになってるとすごくしあわせなの。ママがしあわせだったら、あなたもきもちよくママの子宮に来れるでしょ?
 はやくおいで。やわらかいおっぱいも、あなたにおちち早く飲ませたくてうずうずしているの。

  ‡

 レミがようやく服を着たのは、その日夜になってからだった。
 それは、三人からのプレゼントだった。有名なブランドのものと店の人に聞いて買ってきたらしいのだが、その名前を聞いてもレミはさっぱりわからなかった。
 早速、昨日貰った「プレゼント」を一緒に持って外に出ることにした。
「レミさん、似合い過ぎ」
 トシが彼女の後ろから声をかけると、よたよたと歩くレミは「いや……」と鼻にかかった声で怯えるように呟いてきゅっと肩をすくめてその場にうずくまろうとする。だが、ケンに手綱を引かれて立てと促されると、彼女は諦めたようにゆっくり腰を上げ、やや前屈みになった姿勢で再びよたよたと歩き始めた。
 今夜のレミは、長い髪をアップに結って、うなじの短い毛並みを挑発的に見せていた。それが赤い鋲付きの首輪と相まって、見ている三人の加虐心をさらにあおった。
「今が一番幸せ一杯なんじゃないのか? なんせ子供とプレゼントでお腹いっぱいだもんな」
 ぴんぴんに立つレミのクリトリスにはピンクのローターが震えていて、フリルのついたレザーのGストリングがそれを押さえ付けている。皮を剥かれたクリトリスにじかに当てられているせいで鋭敏に感じるのだろう、時々びくんと尻の肉を緊張させてえくぼを作る。
 その淫らに反応するクリトリスを入り口に立てたレミの膣の中には、かねがね彼女が大切にしているあの桃の形の木の彫刻が納まっているのだ。さらにその奥に繋がる子宮は、自分達の精液で渦巻いて一杯になっているのである。――それを考えただけでも、三人はそれぞれ自分達の愚息をいきり立たせずにはいられない。
 腹を全く覆わないヘソ出しルックの、下同様にフリルつきのレザーで出来たトップレスのベスト。――黒光りする布地からいやらしく飛び出てその先端を尖らせる乳房を、しかしレミは手で隠すことができない。黒い長手袋を履いた彼女の腕は、両親指にはめられた小さな指枷で自由を奪われていた。
 結局人に見付からないようにするには、普通に歩けばカツカツと鳴るピンヒールの黒いロングブーツを履いた両足を、音を立てぬように動かすしかない。しかしだからといって小股で歩いていると、手綱を持つケンに、覆われない尻たぶをこう言いながらぶたれてしまう。
「あ? 何チンタラ歩いてんだよ。さてはオマンコだけじゃもの足りねぇのか? じゃあ尻も満足させてやる。赤くなるまでぶってやるよ!」
 家を出る前、マンションの廊下をいやいや歩いている時に、ケンは辺りに響くほど大きな音を立ててレミの尻を叩き続けた。彼女が泣いて謝るまで彼はひたすら叩き続けたせいで、今でも彼女の尻は半熟の桃の皮のようなまだらなピンク色に腫れ上がっていた。
 モンローウォークでレミは歩いていた。赤くなった尻をぷりぷりと左右に揺らして、彼女の足は太ももを擦り付けながら前へ出される。
 それを見ながら、トシはニタニタ笑う。
「その歩き方、フェロモンぷんぷんだよなぁ……いや、この臭いはザーメンの臭いだったか」
 レミの乳房と顔には、トシの精液がべったりと塗りたくられていた。顔はトシの肉棒で、乳房は彼女の手で塗り込めた。おかげで彼女の顔と乳房は、街灯の弱い光にてらてらと輝いている。
「おい、ちょっとこっち振り返ってみ」
 ケンが手綱をぴんと引っ張って命令する。レミは素直にそれに従って、上半身をねじって三人のいる後ろを振り返る。丸みある乳房の尖る先端までつややかな横姿を見せて、レミは潤んだ目を彼らに見せる。引っ込み気味にしている腰は、ローターの刺激のせいか時々ぴくぴくと震わせる。
「レミさん……かわいいっス……」
 トドは間抜けにもかちこちになった自分の股間を押さえて中腰になってしまった。
 トシがレミに向かってこう言った。
「よおし、今からお前の好きなところに行こうか。もちろん家に戻るのは許さない。大通りに出るのは一向にかまわないが、警察には近付くな。まぁ、そんなことすればレミさんの変態姿が他人の目に映ることになるんだけどな」
 びくんとレミの体が反応する。
「……もうやめようよぉ……」
「今さら何泣き言言ってやがる。言うこと何でも聞くってさっき言ってたじゃないか」
 ケンは手綱をウェーブさせて、ベストからはだけたレミの背中でぺちりと弾けさせる。
「ひゃんっ」
「うるせぇよ、今さら引き返すもんか。とっとと歩けや」
 今度はトシに尻を叩かれた。「ひうっ」とレミは背をのけぞらせてうめき、再び足を動かし始める。

 行き先を任されて縄に繋がれたレミが足を向けた場所は、墓地であった。
 夜の墓地が不気味で怪しいことくらい彼女にもわかってはいた。だが、家の外に安心できる場所はそこの中にしかなかった。
 彼女の後ろについてくる三人はレミの変わった趣向に当初驚いた様子であったが、それ以外に大したリアクションを見せない。彼らは多分幽霊の存在を信じていないにちがいない。随分と堂々としたものである。
 ひっそりとした墓石の群れの中を進んでいったところで、レミはようやく立ち止まった。
 最初そこに何があるのか、三人にはわからなかった。
「外に出た時、いつもここに来るの。堕ろした子供の供養にね」
 そうレミが話した時に、彼らはようやく理解した。
 レミの前に、花崗岩で出来た大きな観音菩薩像が立っている。
「藤吾さんと生活するようになってから、外に出るのが怖くて仕方ないの。でも、ここで祈っている間はなぜか気持ちが安らぐんだ。何というか、少しだけ勇気がわくというか」
「なるほど、勇気ねぇ」
 にたにた笑いながらトシがレミの側に寄る。
「じゃあさ」トシがレミのGストリングの両サイドにある留め金を外す。Gストリングははらりと下に落ちてしまった。「ここで子供産めよ。俺たちの前で産み落としてみろよ」
 有無を言わさず、トシはレミの頭を地面に押し付ける。
「観音様に祈るんだ、どうか安産でありますようにって。インランなレミの出産シーンをどうか最後まで見届けて下さいってな」
 ヒューヒューとケンが冷やかしの歓声をあげる。トドは罪の意識を顔にただよわせながらも、どうしたら良いか分からずただちらちらとレミの姿を見るのみだ。
「さあケツを上げろ! できるだけ足は開いとけよ。どれだけいきんでもオマンコの開きぐらいが悪かったら産まれるものも出てこねぇからな」
 下卑た笑いを浮かべるトシ。彼はさらに彼女に耳打ちする。それはこの疑似出産の恥ずかしいシナリオの、羞恥的な台詞。
 唇を噛むレミの腹を撫で、トシは「んじゃ、始めよっか」と言って彼女の尻を叩いて離れる。
 ゆっくり開くレミの唇は震えている。だがそれでもなんとか彼女は声を絞り出す。
「……私、鬼島レミは、夫を亡くしてから、他に男を作ってザーメンをいっぱい飲んで喜んでいる……ヘンタイ未亡人です。子宮は三人のザーメンでぱんぱんになってるのに……ヴァギナはエッチなお汁でグッショリ濡れて、ペニスが欲しくて四六時中ヒクヒクしてます。クリトリスも乳首も、痛くなるほどにピンピンに立っておさまりが……おさまりがつかないです。
 そんな私も、今ここで産気付きました。もう産みたくて産みたくて仕方ありません。ああ……どうか、私のオマンコ見て下さい。やらしいオマンコが大きく開いて子供を産み落とす様子を見て……ああ、見てください……」
 最後の台詞で、レミの声は熱にうかされたようにかすれて、まるで吐く息の音だけで喋っているようなふうになっていた。顔はすっかりのぼせたようになっており、目がトロンとしている。
「ふぐぅ、んうんっ……!」
 背をしならせ、尻にえくぼを作って腰に力を入れ始めるレミ。体をわななかせ、時々その華奢な胴体をうねらせる。
「あぁあ……動いてるよぉ、入り口に向かって動いてる、あぁああ、いい、イキそう……」
 高く上げた尻をさらに高く上げ、レミはひたすらぷるぷると振り立てる。三人の目に、濡れそぼったピンク色の陰唇がぱっくりと中身をのぞかせているのが見える。
 レミの体に、鳥肌が走る。
「ああ、ひぃい、イイ、イク、ああ、あああぁっ!」
 大きな声でレミは鳴く。上の唇も涎でぐっしょりと濡れて、まるでルージュのような光沢を見せる。その舌は、めくるめく体の感覚に酔い切って、べろんとだらしなく口の外に濡れそぼった先を出すと、地面を這いずり回る。
「えぇあ、ひぅ、イク、イグぅう……っ!」
 それは一瞬の光景であった。
 開き切った陰唇の奥、ヴァギナの入り口に木目のようなものが見えたかと思うと、肉穴は大きく開いて丸い木の彫刻をぽっこりと突き出し、そのまま白く濁った粘液で汚しながらゆっくりと排出していく。それから、レミの腰がびくびくっと震えた直後、木の彫刻はまるでコルク栓が音を立てて抜けるかのように、膣液の糸を引きながら地面に落ちる。
 小さなうめき声を上げて、レミの腰はぐったりと地面につく。彼女は息こそしているが完全に白目を剥いていて、土のついた舌をだらしなく口から出したままにしていた。
 見れば、彼女の膣口はぱっくり大きく開いたまま、中のヒクつく膣壁が丸見えになっている。
 ――そこで展開されていたのは、彼等の想像を絶する壮絶で官能的な光景だった。
 三人は声一つ出せず、一歩も動けず、ただ絶頂を迎えた彼女の姿を見つめることしかできない。

   ‡

 深夜の街の裏路地を、藤吾とレミは歩いていた。
「なかなかいいもんだろ、街でおっぱいさらけながら歩くのもよ」
 紺色のブレザー姿のレミ。シャッター閉まる夜の街をその姿で歩いているのも異様なのに、上半身に纏っている服の全てをまくってブラジャーをつけていない裸の乳房をあらわにして歩いている姿はもっと異様で、淫靡であった。
 それが嫌でたまらなくて、レミの顔は涙でぐしょぐしょに濡れているのだが、歩く度に微かに揺れる乳房はその先端を硬く尖らせて斜上にピンとつっ立てている。
 自分でまくっているのだ。レミはその気になればまくっている両手を離してその場から逃げることができる。だが、怖くてできない。
 一度、彼の言うことを聞かなかった為に彼女は頬に鉄拳を喰らっていた。口から血が出た。次はおそらく歯が折れてしまうだろう。そんなひどく痛い思いをするくらいなら、逃げるチャンスを伺いながらも彼に与えられる全てを捧げていた方がいいと彼女は思った。だから恥ずかしくても彼の命令する通りにしているのだ。
 そんなレミのスカートに、藤吾が手を入れてくる。スカートの下は彼の命令で何も身につけていない――ショーツを履いていないのだ。彼の手指の先はそのまま、経験の浅い彼女の割れ目に当たった。
「ひゃうっ!」
「濡れてないなぁ……いいんだぜ、びしょびしょに濡らしちまいな。昨日すっかりお前は俺の女になっちまったんだ。淫乱に振る舞ってかまわないぞ」
 皮につつまれてせり出たクリトリスを指の腹でころがしながら、藤吾はレミの髪をもう一方の手でかき分けて首を舐める。
「ひあっ、やめてください……」
「心配すんなって、素直に感じていたらいい。『気持ち良い』って言ってみ」
 いやがるレミに構わずひたすら藤吾は彼女の首を舐め回す。
「いやぁ、気持ち悪くてくすぐったい……」
「『気持ち悪い』じゃねぇ! 『気持ち良い』だ。ほら言ってみろ」
「……き、気持ちいい……」
「それを言い続けるんだ」
「あぁ、気持ちいいです……ぐぅう、気持ち……いい」
 彼女自身不思議であった。昨日ひたすら一方的に陵辱してきたこの男に、今自分は首をなめられて感じてしまっている。いじられているクリトリスもさらに硬さを増し、比例して敏感になっていく。
 秘裂がじゅんと濡れる。藤吾の指はその淫液を先に絡ませて、クリトリスを指の腹でとんとんと小突く。藤吾の手がレミのスカートをまくると、彼女のクリトリスと彼の指の間を粘っこい糸が引いているのが丸見えになった。
「ああっ、やめ――きゃあぅっ!」
 そのままの勢いで、藤吾の指の人さし指第一関節までが陰唇の中にめり込んだ。
「うお、あったけーなここはぁ」
 かき回す藤吾の指。レミは腰を動かして指から逃れようとするが、無理であった。膣の前庭でミミズかなにかのようにもごもご動く藤吾の指に、皮肉にもレミは腰を振り立て続けることになる。
「あぁあ、あうぅ」
 彼女の秘裂はすっかり濡れそぼった。藤吾が指を抜くと、名残惜しそうにレミの愛液が糸を引く。
「ああ、いや……こんなの……」
 藤吾が指を抜いてもなお、レミは腰をひくひく動かし続ける。そのわけを、彼女は認めたくなかった。だが、藤吾はずばりとそれを答えてしまった。
「さっきのがそんなに気持ちよかったか、レミ? もう止まらなくてしょうがないのか?」
「ああ、いっちゃいやぁ」
「かまやしねぇよ。俺が見ててやるから、自分で慰めてやりな、ほれ」
 立っているレミの頭を押さえ込み、強引にしゃがませる。さらに、閉じようとする彼女の両脚を持って、一気に股を開かせた。
「俺はおまえのコイツが見てぇのよ。ぱっくり開いた肉の穴を、お前の指がねちょねちょいじくる様子を俺に見せろ」
 レミの前に回り込んで、藤吾はじっと彼女の開いた陰唇を見遣る。
「お前に惚れたのも、コイツのおかげなのさ」

   ‡

「自分から御開帳かよ」
 軽い口調で言い放つトシであったが、その声はいつもと響きが違っていた。だがそもそも、今日のレミの様子自体がおかしかったのだから、彼の微妙な声の響きはいまさらという感じであったし、取り合うほどのものでもない。
 レミは三人の前で大きく股を開いてしゃがみ込んでいた。媚びを売るような視線で彼らを見上げ、ちろちろと赤い舌を覗かせては、上下両唇を舐めて潤ませる。
「見てて、私のオマンコ」
 レミは右手の人さし指と中指で大陰唇をさらに広げてみせる。彼女自ら自分の秘部を開いて見せたことに、三人は興奮のあまり言葉を失って呆然と彼女を見ている。
「藤吾さんが惚れ込んだわけを教えてあげる。あなたたちがそれを見てどう思うか、知りたいの」
 彼女の左手の指が陰唇の裏の襞をいじり回し、クリトリスを転がして遊ぶ。淫液はさっきに増して多く湧きだし、彼女自身もときどきビクンと背を硬直させてのけぞる。
「ほら、よく見てて。もっと……んくぅ……もっとちゃんと見なきゃダメ」
 一足長自分から彼らににじり寄って、レミは弄る肉穴を前に突き付ける。トシもケンもトドも、今日一番積極的なその姿に、ただ唾を飲み込んで食い入るように見つめるのが精一杯だ。
「あ……ああぁ」まるで神憑かりにあった予言者ながらに首をかくんとうなだれると、恍惚の目線をさらに淫らに柔らかくして、うわ言のように言う。「来たわ……来たよ、来たぁ――よく見てて、三人ともよく見てて!」
 と、レミは自慰にふけっていた左手をどけ、濡れそぼる陰唇を分けていた右手指二本をさらに広げる。
 ぶるっと彼女の太ももが震える。
 それは、陰唇の奥から勢いよく飛び出すと、緩やかな放物線を描きながら地面に叩き付けられた。
 街灯はあったが、随分と弱々しいために四人のいるところを充分照らすことができない。しかし、レミを見ていた三人には、細々と小水を噴き出す彼女の濡れそぼった秘裂が輝いて見えた。
 勢いはゆっくりと衰え、次第に弱々しい雫となって、小水で出来た小さな水たまりの中に滴って小さくはかない王冠を作るのみに至る。
「こ、これが……藤吾さん、私がおしっこしてるのこっそり覗き見て、むりやり……あぅぅ、疼くよぉ、クリトリスと乳首がすごく疼く……」
 疼くクリトリスと乳首を押さえるどころか、今度は両手で陰唇を大きく開いた。
 彼女が本当に言いたいことは明かであった。
 ――こんな私が好きなら、早くこの中にあなたたちのを入れてっ!
 トドが一歩踏み出す。ついでトシやケンもレミの前に行こうとする。
 いつしか、三人は我先にと彼女の股間を目指していた。
「みんな、来て――」
 広げた陰唇をさらに大きく広げ、三人の肉棒が自分の膣の中で我一番とひしめき合う様子を想像しながら、顔一面に陶酔した笑みを表すレミ。
 いやらしく濡れた桃色の秘裂はさらに潤いを増していく。

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