02決行の日

 曇り空の日の夕方、俊司は美露のマンションに向かった。もちろんオートロックだから、彼女の家まで入ることが出来ない。ときおり近所のコンビニで時間を潰したりしながら、彼はひたすら待ちつづける。
 夕日は街の影に落ち、空はゆっくりと黒く染まっていく。昼間は幽霊のようだった月が、それにあわせてこうこうと輝き始める。だがそれも、暗闇に身を潜めた厚い雲がゆっくりと忍び寄り、すっかりその姿を隠してしまった。
 しかし俊司は待ち続ける。いい加減コンビニに寄るのもどうかと思ったので、雑誌を買ってそれを読みながら待つことにした。肌にまとわりべた付くほどに湿ったそよ風がじっとり彼に吹き付ける。
 午後九時ごろになって、ようやく美露が現れた。短いタイトスカートの黒いスーツに黒いパンスト。扇情的だが、どこか取っ付きにくさを感じる服装であった。おまけに彼女は形の刺々しい眼鏡をかけている。さらにウェーブパーマの長い髪も後ろで団子にして結わえていた。最初に会った時とは全く違った雰囲気であった。
 ひょっとして、僕の事をすっかり忘れてしまっているのではなかろうか? 話し掛けても黙殺されるか突っぱねられてしまうかもしれない……俊司の心の隅にそんな不安がよぎる。だが彼は意を決して美露のもとへ歩き出す。
「あの、すいません?」
「……は?」
 何か物思いから覚めたかのように、美露は俊司に振り向く。
「どうも、以前はいろいろすみませんでした」
「あ、あなたはあの時の……いえいえ、あれは私が迷惑かけたんじゃないですか。謝るのはこっちのほうですよ」
「仕事の帰りですか?」
「ええ、そうですけど……どうされたんですか? 何か御用でも?」
「はい、実は相談事が……」
 申し訳なさそうな顔を作って、俊司は心の中でガッツポーズをする。いい感じだ。
「……あ、そうですよね。こんなところで話打ち明けるのも、なんですよね。私の家で聞きましょうか」
「か、かまわないんですか?」
「前の恩人ですもの。その人が悩んでるのを無下にできないでしょ?」
 美露は鍵を開けてドアを開くと、俊司を中に入れる。
 綺麗な内装のロビーを横切り、エレベーターに乗ってそのまま最上階へ。
 エレベーターを降りる。マンションの玄関で待っていた時よりも湿っぽい風が、微かにくぐもった臭いを伴って廊下に吹き付けている。
 その廊下をまっすぐ歩いた突き当たりに美露の部屋があった。
 女の部屋のドアの前にいるだけで、すでに俊司の胸はばくばく高鳴っていた。緊張のあまり、彼の覚悟が薄れそうだ。だが、いたすべきことをしなくては、ここまで来た意味がない。
 カチャンと鍵を開け、美露は俊司を中へといざなう。
「少しちらかってて申し訳ないんですけど……さ、どうぞそちらに」
 とんでもない、と俊司は思った。質素ながらもきっちり細やかに整頓された部屋には、女性ならではの雰囲気があちこちにかもしだされている。フリルのついたテーブルクロスの花柄。その上に置かれた細い花瓶に生けられた一輪の花。薄紅色のカーペット。暖かい色のステンドグラスを傘にした電灯。肌色の冷蔵庫。女性的な暖かい色が部屋中に溢れていた。
 ティーパックを用意して紅茶を入れる美露の背中を見ながら、俊司は策を練る。もちろん、彼の脳裏に渦巻くどす黒く下劣な思惑など、美露自身は全く気付かなかった。ようやく二つのカップに紅茶を入れて振り返った際も、彼の異様な眼光にすら気付かなかったほどだ。
「……で、悩みって何かしら?」
「ええ、その……」俊司はどもりながらも、その目を美露から反らそうとしなかった。
「遠慮しないで。遠慮されると、話が途切れちゃうわ」
「実は、ある人に恋をしちゃったんです」
 微笑みすら見せていた美露の眉間に縦皺が入る。失恋したばかりの人間に恋の悩みを打ち明けるというのは確かに普通では考えられない。
「申し訳ないけど、今は恋愛のことについては力になれそうにないわ」
「僕、この衝動に耐えられないんです。下手をすると犯罪を犯しそうなんです。その人に告白する前に、出会い様にそのまま押し倒してしまいそうなんです」
 恩人の口から出た過激な言葉に美露は驚く。
「わかったわ……どうぞ、まず紅茶でもお飲みになって。砂糖はいるかしら? ミルクは?」
「僕自身、初めての恋なんです。これほど強い気持ちをどう押さえたらいいのか、わからないんです。あの……美露さんは……?」
「私は……。私だって恋心を抱いた時だってあるわよ。ただ、告白するまでには至らなかった……勇気がなかったの。ずっと二人で幸せでいられる自信がなかったの」
「僕は、自信ありますよ。二人で幸せにやっていく自信ありますよ」
「じゃあ、どうしてその思いを相手にぶつけないのかしら?」
「正気を保っていられるかどうか、わからないんです」
 沈黙。
 いつからか、外で降り出した雨がアスファルトを穿つ音が聞こえている。
 緊張をほぐそうと、美露は紅茶をすする。それから小さな溜め息をつくと、少し考え事をするかのように、少し顔を傾けて人差し指の第二関節にそっと頬を当てる。控えめな頬杖。
「そんなこと言わずに、『案ずるより産むがやすし』、一度告白してみたらどうかしら?」
 そう言った美露の目の前で、はっきりわかるように俊司の雰囲気が一変した。
 さっきの思い悩んだ表情が薄れ、すっかり解放されたような涼し気な感情が横切ったかと思うと、次第にそれが陰湿な影に曇りはじめる。
「案ずるより……産むがやすし……」
 美露が口にした格言が、俊司の口の中で咀嚼されて呪文のような響きをともなう。
 外の雨の音が一層激しくなり始める。
「――くく、そうか、そうですよね……」
「しゅ……、俊司さん一体何を言って――」
 美露は目の前で起きた出来事が信じられなかった。俊司がティーカップを蹴散らしてテーブルを飛び越え、彼女の方に飛び込んできたのだ。
 テーブルクロスは彼の足に蹴られた勢いでひらりと後ろに舞い上がり、テーブルもまた激しく横転した。
 美露の着ているジャケットの襟元を、血管がまがまがしく浮いた俊司の手が強く握りしめる。それを引き寄せて、逆に自ら彼女に近付けてみせる俊司の目は、尋常でない光を発していた。獣――いや、そんな生易しいものではない。
「……案ずるより産むがやすし、ですよね。案ずるより産むがやすしですよねぇえ」
 悪魔の目である。
「――ひ、ひっ」
 恩人の唐突の豹変に気が動転して、大きな声を出せない。そんな美露をいいことに、俊司は両手で彼女の両襟を握りしめると、遠慮一つなく思いきりジャケットを引き剥がした。
 ちぎれ飛ぶボタンが、獣に射止められた獲物の血しぶきのように飛んで散らばる。
「やあああああああああああ!」
 俊司の手は獣の牙。哀れな獲物の叫びに何らひるむことなく、ただ欲望のままにむしる。ジャケットから、さらにベスト、ネクタイ、ブラウス、スカート――
「やめてっ! やあっ、いやあああ!」
 なめらかそうな光沢の白い肌の上に、白いレースのブラジャーと、同じくレース地の純白のショーツ。それは大理石の彫刻と同じくらい細やかな光を発散しているかのようである。だが魔獣にとりつかれたようになった俊司は、その彼女の半裸体を優雅に鑑賞することなど全くしなかった。
 ――したい、したい、したいっ!
「やあああああ! さわらないで……やめてぇえええええ!」
 下着まで引きちぎろうとする俊司。美露は必死に下着を押さえて守ろうとする。
「脱げよ、おとなしく脱げよオラァ」
 俊司はおもいきり手に力を込めて、まずはブラジャーを引きちぎる。
 泣き叫びながら、あらわになってしまった乳房を両腕で覆い隠す美露。俊司はその手をどけようとするが、彼女はかたくなに彼の魔手から胸を守る。
 腹を立てた俊司は、いらだちのままにうなり声を上げて彼女の頬を平手打ちした。
 手加減一つない強打。バチンと音がすると、美露は座っていた椅子から横に張り飛ばされて床に倒れた。
 そのまま美露は逃げようとした。這いながら起き上がろうと両肘を床につけた彼女の、たわわな乳房ががら開きになった。
 全く見逃さなかった。俊司はそのまま彼女の背に覆い被さると、彼女の両乳を荒々しく握りしめた。
 マッサージでもするかのように、手の平の中で握ったり緩めたり。ゼリーのように柔らかい感触に、先端で息づく少し固い肉豆の感触。俊司は二つの甘美な触感をその手に入れる。
「ひ、っいっ! いたっ!」
 あまりに乱暴に掴まれて、いまにもちぎれそうなくらいに痛がる美露。俊司の手を引き離そうとするが、思うように力が入らない。
 さらに、
「い……ひっ、あぁ、うんんんんっ!」
 彼の両手の人さし指が、それぞれの手に収まっていた乳首を往復ビンタの要領で弾き始めた。
「や、やめっ、やめてっ、や……あっ!」
 肉乳を掴んだまま、俊司は抱えるように美露の上体をゆっくり上に持ち上げる。細い体はゆっくりと反り返り、絶え絶えに呼吸する彼女の、臍の上あたりが苦しそうにひくひく動いているのが良く見える。
「は、あ……あがっ、うあああっ」
 肩を揺らして逃げようとするが、うつ伏せから上体をのけ反らせた格好ではますます息苦しくなるだけだった。そればかりでない、彼女の背を反らせてなおいたぶられる乳首の快感が、今度は彼女の脊髄をさらにきしませる。
 拷問であった。
「く、苦し……ん、あっ、っんあ……は……っはっ、離して……ぇあっ」
「離してほしいですか? ……ねぇ? 離してほしいんですか?」
「うぅう、はなしえぁ……ああはぁあっ……離してぇあぁっ」
 絶え絶えの息を必死に紡いで嘆願する美露だが、俊司は乳首の指ビンタをやめようとしない。どころかさらに小刻みに弾き、合間合間に指の腹で硬い乳首を肉乳の中に押し込めたり根元あたりを指圧の要領でめり込む程に押して乳首を傾けたりして弄び続ける。
 後ろからゆっくり美露の頭に顔を近付けて、俊司は下を伸ばして、その先で彼女の耳朶の裏をくすぐる。
「ぁあっ、あああっ……ひっ、あっやぁっ」
「美露さん、すごく可愛いですよ……すごくやらしくって、ほらほら、もっとその可愛い鳴き声を聞かせて下さいよ」
「やあぁあ、やめってぇ、ひぃいあ、あああああっ」
「いいですよ、美露さん。……じゃあ離してあげますよ。離したら座って、僕の前で大きく股を開いてくださいね。でないと、またうつ伏せにしてこれやっちゃいますからね」
 ようやく俊司は彼女の背から降りる。だが美露はすぐに起き上がれず、そのままうつ伏せのまま胸を床に押しつぶして肩で息をしている。
 ショーツは足のところがめくれて臀肉の半分があらわになっていた。俊司がその部分を平手で軽く叩くと、ぺちんと音を立てて柔らかく弾む。
「ほら、何寝てるんですか。早く起きて僕に美露さんのやらしいところ見せて下さいよ、ほら」
 ようやくむっくりと美露が起き上がる。くるりと体を反転させると、俊司に言われた通りにその場に腰をついて、おそるおそる震える足を開き始めた。逃げる素振りなど、全く見せない。
 彼女は怖いのだ。親切にしてくれた人が突然自分に牙を向いてきたことがショックで、頭が混乱しているに違いない。
 そこに、俊司の言葉。
「そんな開き方じゃだめですよ。もっと開いて下さいよ。両手を後ろについて、背を反らして、アソコを突き出すつもりで大きく脚を開くんです」
「い……いや」
「言うこと聞かないとぶちますよ」
 俊司は普通の語調で言ったのだが、美露は震え上がった。
「いっいやっ、言う通りにしますから殴らないで……」
 大慌てで美露は後ろに両手をつくと、限界まで脚を開いて見せた。
「なぁんだ、やればできるんじゃないですかぁ。……でもものすごくやらしい格好ですねぇ。まるで僕を欲しがってるみたいだ」
 美露はすっかり頬を赤らめている。その顔をそむけると、一本一本の先を汗で濡らした髪が白い首や肩にばらけてまとわりついている。重病で汗をかく死際の女患者のような面影すら感じさせるほどに、その様は病的な魅力を香らせる。
「……ふ、ふふ、嬉しいなぁ。だって、僕の好きな人がこんなに股を開いて……おやおやぁ」
 何か未露の体に見つけたようである。俊司は美露に近寄ると、膝をついてさらにその顔を彼女の股に近付いた。
 震えがさらにひどくなる美露の脚。限界まで開いていることもあって、いまにも釣ってしまいそうである。
「あー、濡れてるぅ。美露さんのパンツがやらしく濡れてるぅ。美露さん、なんですかこれ?」
 白いショーツのすこしこんもりと膨らんだ股間あたりがすこし色が変わっていた。俊司が人さし指の腹でそのあたりを押さえると、生暖かい粘液で濡れたような感触がじわりと沸き上がる。
「なんなんですか、これは?」
「あ、ああっ、……お、おさえないでっ」
 俊司の指が押さえ付けている場所、そこには美露の秘唇がパンツの裏で大きく開いていた。その中心を押さえ付けられて、彼女の肩がビクンとはねる。
「一体これはなんで濡れてるんですか? 美露さん」
「あっ……それは、それは……」
 言えない。言おうとしない。
 恥ずかしい言葉が言えないでいるのだ。
 にやにやと口元で笑みを浮かべて、詰め寄る。
「何涙目になってるの? 口が聞けないんですか?」
「う……っんううんっ!」
 さらに俊司の指が、パンツの上から美露の秘裂に押し込まれる。
 唇を噛んであえぎ声をこらえていたが、さらにぐいぐいと押し込まれると、彼女は堪忍したようにその口を開いた。
「こ、これは……あ、アソコが熱っぽくて……」
「ふふうぅん、熱っぽかったんですかぁ――ということは、」
(いやっ、その先を言っちゃやだっ!)
 そう叫ばんとするような羞恥の表情を顔に浮かべて肩をすくませ体を固くする美露に身を乗り出し、上体の横に両手をついて自分の唇を彼女の耳もとに寄せると、俊司は彼女の聞きたくない言葉をささやいた。
「さっきのに感じてたんですね」
「いっ、いやっ、違う――」
「すごく嬉しかったんだ」
「いやっ!」
「もっとさっきのやって欲しかったんだ」
「違いますっ! 違うぅ――」
「それで、セックスしたいんだ」
「違うぅぅう……」
「オマンコに僕のチンポをズポズポ入れて欲しいんだ」
「やあああああああああ!」
 激しく頭を横に振り、必死に彼の言うことを否定する美露。
 だが俊司はすかさず彼女の目の前で突拍子もない行動に出た。
 幅の広い赤黒い舌が、汚く白みを帯びた表面を美露のショーツに這わせたのだ。
「ひ、やっ!」
 反射的に脚を閉じようとしたが、俊司の腕にがっしり押さえ付けられて動かすことができない。
「んんんっ、すごく美味しい……しかもすごくいい匂いがする……これが、牝の匂いなの? 美露さん、これがあなたのやらしいオマンコの匂いなんですか?」
「ひっ、やっ、やあああっ! やめて、顔を離して! お願いだから離してぇえええ!」
 うっとりとしたような俊司の声に、美露は自分の背筋が何か冷たいものでさすられるような気分になった。
 パニック――髪を振り乱し、是が非でも彼から逃げ出そうと体を激しく揺り動かしてもがく。
 しかし俊司は彼女を離すどころか、その歯でショーツのゴムを噛むと思いきり噛みちぎった。
「あぁ……あ」
 突然自分の身に起きたことが分からぬ彼女の両瞳に、狂犬のようにうなってみせながら口に荒々しくちぎられたショーツをくわえた俊司の顔が映る。
 雷光。部屋の窓から不気味に差し込むその青白い光が、俊司の眼をぎらりと輝かせた。
 今度こそ本当に、美露は猛獣の哀れな獲物となった。その場で大きく脚を開いて、体を硬くしてしまった。
 舌舐めずりをして、俊司は再び顔を彼女の股に近付けると、あけびの外皮を開くように陰唇を広げた。
 妖しい汁気にみちみちた、熟れてみずみずしいサーモンピンクの秘裂。
 甘い淫蜜の匂いに誘われて、俊司は汁気に満ちた自分の汚い色の舌を伸ばす。
「あ……あっん」
 惚けたように開いた膣の門、尿道口の小さな入り口、恥じらう肉の花びらの根元、あるいは、皮にかくれて縮こまっている小さな赤い豆。舌先がそこを這うたび、むずがゆくて切ない感覚が腰をぴくっとひくつかせる。
 彼女の心の中に恐怖が充満したせいか、それは最初微々たるものでしかなかった。だが、俊司の手が彼女の尻やほっそりした脇腹を捕らえて撫で回すと、それは徐々に大きくなっていく。
「あ……ひゃあぁっああああっ。あっあああ」
 ただべったりと秘裂全体を舐めていただけの俊司の舌先が、その動きをはっきりさせる。舐められて美露が鳴き声を漏らすポイントを見つけてはその辺りを執拗に舐め回す。掘り下げれるところまでいたぶり回すと、また新しいポイントを求めて舌を這わせるといったあんばいだ。
 俊司の鼻をくすぐるのはもはや彼女の小さな黒い茂みだけではなくなった。皮の中に隠れていた肉のつぼみはだんだんと膨らみ始め、さらに秘裂の奥から湧き出ているねっとりした甘い液体が鼻にまとわりついた。
「ひゃ、あっああうっ、ひにゃああ、んうんっ」
 びくんびくんと動く美露の腰。濡れそぼった秘裂を舌でまさぐるたびにオクターブを上げていく彼女の声。
 もう我慢ができなくなった。おもむろにズボンを脱いで、トランクスのパンツをも脱ぎ捨てると、ぶらぶらと揺れた長くて太い肉の茸を片手でしっかり握りしめた。
「あ、……むぷうあ、ほら……あっ! 見てほら美露さん、ぼくの、ぼくの熱いチンポぉお!」
 上体をばっと起き上がらせると、俊司は両膝立ちの姿勢で、ちょうど美露の顔の真ん前で自分の肉茸が迫りくるようにもっていく。
 握る手は、既に透明な先汁をほどばしらせた肉茸をおもむろにしごいていた。外からの雷の光で、それは不気味に光る。
「これが……ああ、これが、ううう、これがああ、これが俺の――あああっ!」
 そのまま、我慢できずに先から噴き出した白い濁液が勢い良く美露の顔に当たった。
 キメの細かい肌の上に弾けてちらばり、ねっとりと下に垂れる俊司の精液。あたりに精液特有の青臭い臭いが漂う。
 美露には、眼に入らぬように目蓋を閉じるのが精一杯であった。事が済むと、彼女はゆっくり細目を開ける。
「ああ、美露さん……美露さん……きれい……」
 精液を出し切ってから斜下に傾きかけていた肉茸が、ふたたびむっくりと立ち上がり始める。ビクッビクッと脈打ちながらゆっくりと膨張しながら起き上がってくるその姿を見て、美露は嫌悪感を顔に表して後ずさる。もちろん俊司はそのままにしない。元気を取り戻した自分の肉棒を再び握りしめてしこり始めると、後ずさる美露に更に迫る。
 美露の背中に、壁が当たる。彼女の目の前に、強い臭いを漂わせてそそり立つ俊司の肉茸。
「セックス、させてください……膣内にたくさん、出させて下さい」
 荒い息を漏らしながらも、さっき肉茸を握りしめていた時より冷静な口調の俊司。
 強く瞬く雷光と空を引き裂かんばかりに轟く雷鳴が、引導を渡さんばかりに美露を威嚇する。
「ひ……んぐ……」
 目尻からとめどなく涙が伝い、頬にまとわりついた精液に混じる。
 嗚咽の声を漏らして、美露は泣き始めた。
 最低の行為であることは承知の上であった。俊司は後に引かない。そのまま彼は彼女に体を倒すと、両腕に抱き締める。
「舌を、出して下さい」
 無慈悲に命令する俊司に、美露はゆっくりとした動作であったがそれに従う。
 小さな紅い唇から飛び出してきた花のつぼみのような美露の舌を、俊司の唇が食らい付く。
「ぅあ……えむぅ!」
「むぅっむ、うまい……おいしい、美露さんの舌、あんむぅ、ぅう、うまい……」
「おぅ、ぐんぅっ、ぇあむっ!」
 舌をしゃぶっていただけだったのだが、やがて俊司は唇を寄せて、押し付け、今度は自分の舌を無理矢理彼女の口の中に押し込んだ。
 絡み合いながら、激しく攻め立てる俊司の舌。絡み合いながら、必死に抗い続ける美露の舌。だが、お互いが息苦しくなる程の長い接吻の中で、果てたのは美露のほうであった。そのまま彼女の舌は彼の舌に弄ばれ、伝って流れてきた彼の唾液にまみれた。
 口を離した時には、美露の口は俊司の唾に溢れていた。
 雷鳴。
「じゃあ……いきますよ」
 ゆっくりと、俊司の決してきれいとはいえない無骨な形をした小さな腰が、美露の下腹部に沈み込んでいく。
「……ぃあ……や、あ、うあああっ!」
 大きな雷鳴。何をか叩き割らんほどに響く。
 ズンと美露の体の中で震えたのは、その雷鳴のせいなのか、俊司の肉茸の貫く力のせいか。
 びくっ、びくびくと俊司は腰を動かし始めた。最初は意識的に、しかしだんだんと頭がすこし朦朧としはじめるとほとんど本能的に、彼は美露の柔らかく生暖かい肉の中で肉茸をしきりに動かす。
 美露が喘ぎ声とも取れぬような奇妙だが艶かしい鳴き声を張り上げる。だが、外の雷にその声をかき消される。
 ただ、二人は強い雷光に時々照らされながら、玉の汗をかく体の肌を輝かせて体をうねらせる。
 俊司も言葉にならぬ言葉をしきりにくり返して彼女に叫ぶ。その声も、外の雷にかき消される。
 がむしゃらに動いていた俊司の腰が、突然止まった。かと思えば、今度は彼女に自分の腰を叩き付けんばかりに強い突きを二、三発。
 それから余韻を噛み締めるように腰を痙攣させるようにひくひく動かしながら、涙と精液でぐしょぐしょになった美露の顔を両手で抱き締めた。
 美露の愛液をまとわりつかせ、未練を残すように肉穴から白っぽい汁の糸を引っ張って俊司の肉茸がゆっくりと抜かれる。
「はぁあ……僕は、こ、これで満足で……す」
「あ……あぁ……、……? な、何するの? ちょ、……ちょっと」
 美露の腰を持ち上げると、俊司はそれを彼女の顔に近付ける。美露の背は茹でた海老のように丸まり、強い淫臭が彼女の鼻をくすぐる。
 目の前に自分の恥部が、指でぱっくりと開かれて奥までさらされる。
 別に美露自身自分の性器を見るのは初めてではない。性に目覚めた思春期のころ、自分の部屋で手鏡に指で開いた陰唇を映し出して見たことがある。
 しかし今自分の目の前にある肉唇は白っぽい粘液で濡れそぼっており、さっきのセックスが忘れられないといわんばかりに肉襞をヒクつかせている。
(ああ……こんなの……)
「……い、いやっ」
 思わず顔を背ける美露だったが、俊司はさらに彼女の背を丸めさせて腰を彼女の顔に近付けて、よく見ろとばかりに顔をそっちに向けさせる。
 俊司の腕の力に抗い切れずに再び恥部と面向かう美露。
 自身の陰唇の奥深くからどろりと白い液体が流れ出る。
「たくさん流し込みましたからねぇ。おいしかったでしょ? オマンコで飲んだ僕のザーメンミルク」
 声にならない絶望の悲鳴を力なく吐き出して、美露は姿勢の息苦しさとてらてらといやらしく電灯の光を反射する自分の濡れそぼった肉唇のグロテスクさに顔をしかめる。
「ゲームの始まりですよ。……警察に訴えるか、それともこのまま僕の……」
 俊司はそれ以上言うことなく、美露の陰唇を指でいじり回しはじめる。
「う……うぅぁ、や、やめ……て……んんっ」
 自分の目に見えるところで、自分の肉襞が知らぬ男に弄ばれる。指が奥に入れられるたびに、肉洞から俊司の精液が沸き出すようにこぼれてくる。
 屈辱に満ちみちたいわれなきこの仕打ちに羞恥心を激しく掻き立てられ、美露は正視していられない。顔を背け、視線を背け、必死に見まいとする。
 しかし俊司は耳もとの髪を引っ張ったり前髪を強く掴んだりしてそれを許さない。
「ほら、ちゃんとよく見て!」
「ひうぅ……」
 目尻からこぼれる涙。
 いじられた肉洞が吐き出した精液の泡立ちが弾け、飛沫が涙粒に混じる。
 彼のいう「ゲーム」という言葉が何を意味しているのか、美露にはわかっている。
 俊司は自らの持つ動物的な宿命を行使して、女として生まれた美露を縛り付けようとしているのだ。
 美露の目からまたも涙がこぼれはじめた。

 淫靡な悪夢を現実に覆したような生活の始まりであった。

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