サモンナイト3“剣製の魔術師”第九話


この数日、俺は昼はカイルさんの手伝いをしたり、ヤードさんと話し合ったり(召還術を教えてもらったり)、ベルやリゼ達の話し相手になったり、食事を作ったり、結構充実した生活を送っている。

 

・・・遠坂たちが心配してるだろうな、と思うが現状はどうしようもない。

 

せめて、何か解れば調べようもあるんだが・・・。

 

解らないから、とりあえずこの問題は置いておく事にした。

 

そして、夜は・・・・。

 

特訓は俺の”心象世界”で行っている。

 

このリィンバウムに来てから、何時の間にかこの”心象世界”の中心に刺さっている、”青く輝いている○○”ソレを解析しつつ、俺の双剣を叩いている。

 

「その剣に、今の君の心を込めるんだ。」

 

何時の間にか、俺の後ろに赤毛の青年が立ち俺にアドバイスする。

 

何処かで見た事があるような青年・・・。

 

「そうすれば、この剣は”境界線”(グリプス)からのラインが繋がれる。」

 

”境界線”(グリプス)?

 

「君達の世界では・・・そう霊脈みたいなものだ。」

 

っと言う事は・・・。

 

「そう、”境界線”(グリプス)から膨大な魔力を得られる。

そして、君の心が折れない限り、君は不老不死に近くなる。」

 

・・・すごいな。

 

「だが、気をつけろ、この剣は”君の心”だ、この剣が砕かれると、”君の心も砕かれる。」

 

なるほど・・・。

 

I am the bone of my sword.

(体は、剣で出来ている。)

 

自分の”言葉”を言いつつ

 

打つ!

 

打つ!

 

打つ!

 

打つ!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・

 

 

 

 

 

「そろそろ、ここまでにしよう。

君の心を込めるんだ、そう簡単には出来ない。」

 

ああ、解ってる。

 

もう、そろそろ朝だしな。

 

 

 

で、朝だ。

 

 

「今日は、木材を揃えよう。」

 

と言うカイルさんの指示に従って、俺達は森に入る。

 

昼には、材料がそろい、カイルさんと俺がアティさんの知らせで、戻ろうとした時。

 

「あうぅぅぅ・・・・・っ。」

 

?変な声が聞こえるな?

 

ドサ

 

木の陰の向うから、倒れこむ女の人。

 

中華風の服を着て眼鏡をしている。

 

で、耳が長い?

 

「あ、あううぅぅ???」

 

おい(汗)

 

目を回してるぞ!?

 

「きゅうぅぅぅ・・・。」

 

(汗)

 

「おい!?大丈夫か!?」

 

俺達三人は、その本なの人に思わず駆け寄る。

 

「脱水症状だぜ、こりゃ。」

 

とカイルさん。

 

はい?脱水症状ですか??

 

目が点になる俺とアティさん。

 

「あうあうあう???」

 

依然、奇声を発している女の人。

 

「でしたら、お水を。」

 

っと自分の水袋を、差し出すアティさん。

 

おお、すごい勢いで水を飲み干してる!!

 

「ちょっと!?そんなに、急に飲んだら毒ですよ!?」

 

アティさんが叫ぶ。

 

俺もそう思うぞ。

 

「しっかし、ものすげえ飲みっぷりだなあ。」

 

感心するカイルさん。

 

「ぷ・・・っはーーー!!生き返ったーー!!」

 

とたんに元気になる女の人。

 

「でもぉ、お酒だったら、もーっと、良かったんだけどぉ。」

 

は!?さ、酒!?

 

あっけに取られる俺達。

 

まさか・・・・。

 

ただ、旨い酒を飲むためだけに、水分を立っていたと!?

 

「そうよぉ、にゃははははっ♪」

 

・・・・・おい。

 

思わず引いちゃったよ、俺は。

 

カイルさんも、呆れ顔だ。

 

「ああ、なるほど!それで脱水症状ですか。」

 

手をポンと合わせ、解りましたって顔をするアティさん。

 

・・・そうじゃないでしょ?

 

アティさんは、まさか天然体質か?

 

思わず頭を抱えてしまう、俺とカイルさん・・・。

 

「いやはや、しかしまあ、ぶっ倒れちゃったのは、計算違いよねぇ。

干物にならなくて済んだのは、貴方達のお陰だしぃ・・・。

うん、ここはやっぱし御礼をしなくちゃだわ。」

 

は!?

 

礼ですか?

 

「ついてらっしゃい。」

 

問答無用ですか・・・、そうですか。

 

「ああいう女は、下手に逆らわないほうがいいぞ・・・。」

 

っとカイルさんが小声で俺に言う。

 

知っています、タイプは違いますけど、俺も振り回されていましたから・・・・。

 

「・・・・・お前も苦労してるんだなあ。」

 

・・・・しみじみと言わんでください(泣)

 

そんな情けない話をしていると、案内されたのは、森の中の中華風の小屋。

 

「はぁーい、メイメイさんのお店へ、ようこそぉ♪」

 

!?結界!?

 

この小屋に入る際、結界を感じた。

 

で中は、外の小屋とは違い、拾い空間が広がっていて、中華風の部屋で、棚には武器や防具、が展示している。

その奥には、多分占いに使う道具がある。

 

「お店って・・・・、ええええ!?」

 

「なんで。こんな場所にこんなもんが!?」

 

目を丸くする、アティさんとカイルさん。

 

俺は、この店と、目の前にいる女性から、魔力の残照を感じた・・・。

 

「何時でも、何処でも、気軽に利用で着ちゃう、メイメイさんのお店は、それが売りなのよん。」

 

さようですか・・・。

 

俺は、何となくこの人は”魔術師”だろうと思った。

 

それに、”空間圧縮”に”空間連結”ですか・・・。

 

下手すると、封印指定級だな・・・。

 

「ふむふむ・・・、貴方達に相応しい品物は、コレかしら。」

 

何かごぞごぞしながら、取り出すメイメイさん。

 

「おいおい!?こりゃ、新しい海賊旗じゃねえかよ!!」

 

「こっちは教科書ですね。」

 

「で俺は、服?」

 

差し出されたのは、カイルさんに海賊旗、アティさんに教科書、俺には服。

 

でも何で、紺碧色なの?

 

そう、その服は深い青色の服だった。

 

「先生と海賊には欠かせない品でしょ?

にゃは、にゃはははっ。」

 

「で、なんで俺は服なんですか?」

 

「貴方、替えの服、無いでしょう?」

 

確かに・・・、選択はしているが、学生服だけだったしな・・・。

 

しかし、一目見るだけで・・・。

 

「だぁって、あたし本業は占い師だもん。」

 

「ああ、だから、この店の飾り、みんな、シルターンの占い道具なんですね。」

 

納得するアティさん。

 

「この島じゃ、あんましお客さんもいないから、こうして、他の品も扱ってるワケ。」

 

なるほどね。

 

「にしても、さすが先生、よくわかったわねぇ?」

 

と感心するメイメイさん。

 

「学生の頃、そういう本が好きだった時期があったんですよ。

友達を相手に、占ってあげたりしてました。」

 

とニッコリと笑みを浮かべながら、答えるアティさん。

 

へえ

 

「なぜか、不評だったんですけど・・。」

 

・・・・・・・。

 

はい、突っ込めません(爆)

 

「ふーん・・・ね、だったら特別に占ってあげよっか?」

 

とメイメイさん。

 

「じゃーん、これがお品書き♪」

 

えっと、手相に、人相、幸せになれる解明相談なんてものもある・・・。

 

ん?

 

「メイメイさん、この「運命の輪」って何ですか?」

 

と尋ねる俺。

 

「簡単な運試しよ、ほら、あの的に矢を投げて、占うの。

上手く当てたら、京浜も貰えちゃう。」

 

なるほど

 

「面白そうかも。」

 

っとアティさん。

 

「っと貴方はやっちゃ駄目。」

 

え、なんで?

 

「貴方がやると、私が大損だからぁ、にゃははは♪」

 

!?

 

この人、俺の本質を見抜いた!?

 

「じゃあ、私はやっても良いんですね。」

 

「ええ、良いわよ。」

 

アティさんは、やってみる気になったようだ。

 

結果は・・・・三等賞だった。

 

まあ、はずれよりましか。

 

で「にぼし」をゲット。

 

・・・・なぜ「にぼし」?

 

わからん。

 

で次からの御代は、「酒」だそうだ・・・。

 

理由は

 

「お金はみんな、酒代に化けちゃうだもん、だったら、最初からお酒でもらったほうが、メイメイさん幸せ♪」

 

・・・・はあ。

 

「そういう訳で、占いの御代は、お酒でよろしくねぇ?」

 

・・・・・・はははは(苦笑)

 

で、俺達が店を出ようとすると。

 

「ちょい待ち、少年。」

 

ん?俺ですか?

 

「この外套も、持っていきなさいぃ。」

 

!?この外套は!?

 

俺が”心象世界”で着ている物と同じ!?

 

「どうしたんです?」

 

顔色を変えた俺に気づいて、尋ねるアティさん。

 

「な・・・、なんでもないですよ。」

 

俺は、誤魔化す事で精一杯だった。

 

  

「じゃあ、またのご利用、お待ちしてますぅ。

にゃは、にゃははははは。」

 

呆然とした俺達は、店を出た。

 

(続く)




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