サモンナイト3“剣製の魔術師”第三十二話
翌日
俺は気になって、付いて行こうと思ったんだけど、アティさんが
「大丈夫ですよ、話を聞きに行くだけですし。」
とか言いながら、アティさんは一人で出て行った。
しかし・・・気になる・・・。
しょうがない、こっそり付いて行こう(爆)
アティさんのこと、心配だしな。
それに・・・、作為を感じる・・・。
アルディラさんは、何でアティさんにケンを抜かせようとするんだろう?
その訳を知っているような気がする・・・。
そう思いながら、視覚を魔術で強化して、後を付いていく。
ん?
アルディラさん、アティさんをどこかに連れて行く気の様だ。
連れて行く方角は・・・、遺跡?
「シロウさん、待ってください。」
ん?この声は・・・ファリエルさん?
俺が振り返ると、其処にはファルゼンバージョンのファリエルさんがいた。
ファリエルさんもやはり?
「ええ・・・、昨日の件で気になってしまって。」
どうします?止めますか?
「・・・いえ、アルディラがどんなつもりで、あの「喚起の門」にアティさんを連れて行こうとするか分からないので、付いていきます。」
とファリエルさん。
「シロウさんはどうします?」
俺は、アルディラさんのことをもう少し知りたいですし、アティさんに害が及ぼさない限り、手を出さないようにします。
「じゃあ、一緒に付いて行きましょう。」
そうですね、じゃあ、俺の後についてきてください。
そう言いつつ、強化した視覚を駆使して後を突いていく。
「分かりました。」
アルディラさんとアティさんの後を追跡する、俺とファリエルさん。
アルディラさん達が向っている先には、変な形をした建物が見えてくる。
「あれが「喚起の門」です。」
あれが・・・。
俺は、この「喚起の門」からおぞましい、歪んだ「何か」があるように感じた・・・。
そう、まるで「聖杯」・・・。
「この島にいる人たちは、皆この門を使って召喚されたんです。」
・・・・無色の派閥が?
「ええ・・・、そして実験台にされて・・・。
だから、この遺跡は危険なんです。」
しかも、いまだに稼動中・・・ですね?
「!?・・・ええ。」
驚くような息を潜む声を出したが、俺が多分「喚起の門」で召喚された事を思い出し、納得するファリエルさん。
「ただ・・・、この門の中枢は破壊されていて、制御不能になっています。」
!?
と言うことは、ランダムに召喚される事がある・・・と?
「はい。」
危険だ・・・。
「だから、私達「護人」が生まれたんです・・・、そのランダムに呼ばれた未知の外敵から島の皆を守るために・・・。」
そうですか・・・。
「じゃあ、あなた達「護人」はこの島の人から見たら、「正義の味方」ですね。」
「!?そう・・・でしょうか?」
不安そうに、俺の言葉に返事をするファリエルさん。
「私は、ただ兄さんが望んだこの島を守りたいだけなんです・・・、本当にそれだけなんです。」
沈んだ声を出すファリエルさん。
その言葉に俺は返答する事ができなかった。
そう・・・、ここ最近俺は、そもそも何を持って「正義」とするか迷いつつある。
絶対的な「正義」って何だ?
英雄の真似事をして、100の内90を助ける事が「正義」なのか?
違うはずだ・・・、そう俺の力ではそもそも100を助ける事が難しいのは分かりきっている事だ。
それに、遠坂にも言われた「余計なお世話」みたいな事もあるかもしれない。
そう・・・「正義」の押し売りは駄目なんだ・・・。
じゃあ、どうすれば「正義の味方」になれるのか・・・・。
(続く)
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