サモンナイト3“剣製の魔術師”第三十八話
海賊船に戻った俺は早速、御菓子作りに取り掛かった。
さて・・・どんなお菓子を作るか・・・。
うむ・・、ここは「フルーツ・ロールケーキ」にしよう。
これなら、かなりの量が作れるしな。
まずは、生クリーム作りから入るか、おっと生地も作らないとな。
そして、作り出すこと1時間。
完成っと・・・・
ん?
完成した「フルーツ・ロールケーキ」を切って皿に盛り付けて、ホッと一息を入れて振り返ると其処には。
「「「「「・・・・・・・・。」」」」」
じっと「フルーツ・ロールケーキ」の皿を見る、アティさん、ソノラちゃん、ベルちゃん、リゼちゃん、オマケにスカーレル・・・。(汗)
「シロウさん、それって・・・御菓子ですか?」
「ええ、そうですよ、「ロールケーキ」って言います。」
アティさんの質問に答えると。
「「「「「きゃあ〜〜〜〜〜〜♪」」」」」
と黄色い声を上げる、5人。
「こんな所で、こんな立派な御菓子を食べられるなんて思いもしませんでした♪」
「あたしなんて、こんな上等な御菓子食べるの、生まれて初めてだよ♪」
「「レストロ・メニエ」のケーキに匹敵しますわね♪」
「本当に・・・、とっても美味しいです♪」
「ほんと、ほんと、こんなに美味しいお菓子食べるのって久しぶりだわ♪」
テーブルを置き、スカーレルの部屋から、紅茶セットを持ってきて、おやつタイムに突入し、「フルーツ・ロールケーキ」を食べて盛り上がる女性陣、いや・・・、スカーレルは男だけどな・・・・。
「しっかし、たいしたもんだ、ここまで本格的なもんを作れるなんてな。」
「本当にそうですね、しかも甘さにくどくなく、甘いのが苦手な私や、カイルでも食べられます。」
カイルさんや、ヤードさんも好評のようだ。
取り合えず、ホッと一息だな。
後は、明日にでももう一本作って、配りに行くか。
翌日、各郷に、配った後、最後にラトリクスにやってきたが。
ん?
アティさんと、クノンが補給施設にいるぞ。
・・・珍しいな、クノンが外に出ているなんて。
「如何したのですか?」
「あ、シロウさん。」
振り返るアティさんと、黙ってお辞儀をするクノン。
「外に出ているなんて、珍しいねクノン。」
「必要に迫られれば、私とて単独行動をいたしますが?」
俺の言葉に、答えるクノン。
どっか、棘のある言葉だなあ・・・。
どうやら、一寸ムッとしたようだ。
「気を悪くしたのなら、ごめん。」
「お気になさらずに。
それに、今回の用事は、私が出向かなくてはならないものですし。」
「と、いうと?」
と首を傾げながら、問うアティさん。
「アルディラさまが、摂取される薬の原料を取りに良くのです。」
!?
アルディラさん、まさか具合が悪いのか!?
顔色を変える、俺とアティさん。
「そうではありません。
融機人が、この世界で生存するために必要な免疫体の、強化ワクチンの材料です。」
・・・・・つまり、このリィンバウムでは、融機人は、病気にかかりやすいっと?
「そうです。」
「なるほど、予防するための薬ですか。」
そういや、このリィンバウムでは、予防接種って無さそうだし、アティさんは分かりにくいかな?
それでも、医療術を学んだ所為か結構すんなりと理解してくれた。
「でも、凄いですね、クノンはそんな事も出来ちゃんなんて。」
感心するアティさん。
俺もたいしたもんだと思うぞ。
「それが本来、私が召喚された目的ですから。」
感心する俺達に、淡々と答えるクノン。
「良かったら、私も手伝いましょうか?」
「あ、俺も手伝うよ、クノン。」
「いえ、必要ありません。
必要な材料は、廃坑の奥にしかありませんし、肉眼では判別しにくい鉱石ですから・・・・。」
なるほど・・・それじゃ、手伝えないか・・・。
「では、失礼いたします。」
お辞儀をし、ラトリクスから出、廃坑に向うクノン。
取り合えず、俺はおすそ分けにアルディラさんの所に行くけど、アティさんはどうします?
「私もついていきます。」
俺とアティさんは、中央管理施設に向う。
中に入ると、厳しい顔をしたアルディラさんがいた。
「如何したんですか?」
「丁度良かったわ、今さっき、ラトリクスの外れにあるセンサーに、ジルコーダの反応があったの。」
何だって!?
・・・まあ、女王は倒したから、前のように増える事は無いからましだけど・・・。
そう思っていると。
「あ!?」
顔色を変えて、大声を上げるアティさん。
「ジルコーダの巣があったのは「廃坑」でしたね。」
・・・・あ!?
不味い!!クノンが薬の原料を探しに行ったのも「廃坑」だ!!
「何ですって!?
まさかクノン・・・。」
クノンが危ない!!
俺、アティさん、アルディラさんは廃坑に向って駆け出した。
(続く)
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