サモンナイト3“剣製の魔術師”第四十話
翌日、早速メイメイさんに頼んで、「無限回廊」を開けて貰い特訓を開始。
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こんなもんかな?
何時間か分からないけど、結構特訓をしたようで、剣の腕や魔術の精度が上昇したように感じるぞ。
さて一旦外に出るか。
外に出ると、もう夕方だ・・・・。
丸一日特訓をしていたのか俺は!?
腹が減るわけだ・・・。
船に戻ると、ソノラちゃんがアティさんに食って掛かっているぞ!?
なんだなんだ?
「・・・ビックリしました、ですむ問題じゃないってば!」
「・・・どうしたんです?」
俺は、カイルさん達に話しかける。
「ああ、あんまり先生が遅かったんでな、気になって、俺とソノラ、ヤードとスカーレルの4人で先生を探しにいったんだが・・・、そこで先生が帝国軍の隊長とやりあっていてな。」
な!?
「大丈夫だったんですか?」
「ああ、どうやら帝国軍のやつらも偵察が目的だったようで、先生の提案で戦闘にならずに澄んだんだが・・・。」
なるほど、一人でこの時間までウロウロしていたアティさんを叱ってるんですね。
「ですけど・・・シロウ、貴方も遅いですわよ。」
「そうです、私達心配していたんですよ。」
黙って聞いていたベルちゃんとリゼちゃんが、俺に心配そうに話しかける。
う・・・。
「軽率でした・・・。」
思わず誤る俺。
・・・・俺って弱!?
そう思っていると。
「補給や援軍が望めないこの状況で、うかつな事で兵を消耗させるのは得策じゃない。
彼女は頭がいいんです、だからそれくらい計算済みですよ・・・。」
ソノラちゃんのお叱りを物ともせず、反論するアティさん。
「彼女の事、信頼してるんですね。」
「信頼と言うより、確信って感じですね。
彼女は私と違って、勉強も素行も完璧な優等生でしたから。
正直、敵に回したら相当厄介な相手だと思いますよ。」
俺の質問に答えるアティさん。
「なるほど・・・、あの帝国軍の女性隊長さんの名前は・・・、アズリアさんでしたっけ?」
「ええ。」
俺の質問に頷くアティさん。
「しかし先生よ、だからと言って、引くわけにもいかねえゼ。
俺達は、ヤードと約束をしてるんだ。
二本の剣を取り返して見せるってな。」
「剣の力の凄まじさは、実際使っている貴方が、一番わかっているでしょう?
軍事目的に利用される事は、絶対に避けるべきなのです。」
カイルさんが言った後に続けて喋るヤードさん。
「それは、でも・・・。」
迷うように答えるアティさん。
「センセの気持ちはわかるけどね、剣を渡す事は無理よ。
だとしたら・・・、向うとの戦いも避けられないワケよ。」
「・・・・・。」
シュンとなっているアティさん。
うーん・・・確かにこのままだと前面衝突は必至だな。
何とか被害を最小限に、できれば戦闘を止めさせたいんだけど・・・。
・・・だめだ、いい案が浮かばない。
まあ・・・、妥協案では、こちらが有利なうちに講和して、彼らは「剣は嵐の時に行方不明」って事にして誤魔化してもらうとか?
流石に天災だと上層部も強くは言えないだろうし・・・って甘い考えだろうな・・・。
「ちょっと、みんな!
これじゃ、まるで先生が悪いみたいじゃないのよ!?」
「そうですわ!」
「そうですよ!」
「いや、別に俺らはそう言うつもりで言った訳じゃ・・・。」
ソノラちゃん、ベルちゃん、リゼちゃんの抗議の声にダジダジのカイルさん。
「前から思ってたんだけどさ、そもそもあの剣って何なのよ!?
ヤードだって知っている事の全部を話した訳じゃないんでしょ?」
「それは・・・。」
ソノラちゃんの話を振られて、言葉を詰まらせるヤードさん。
・・・確かに、あの「暴走召喚」とか・・・宝具でも易々とできるもんじゃない・・・・。
しかし・・・、俺の心象世界にある、あの青のケンとアティさんの「緑の賢帝」(シャトルス)が共鳴したとき、もう一本のケンだと思う共鳴を感じたんだが・・・・。
・・・・やはり、もう一本のケンはこの島にある。
しかも、誰かが所持している可能性が高い・・・。
帝国軍じゃない、持っていたなら躊躇無く使ってくるだろう。
じゃ、一体誰が・・・・?
「良いの、ソノラ。
私は、別に気にしていないから・・・・。」
「また、そうやって笑って誤魔化して!」
ソノラちゃんの声に、顔色を変えるアティさん。
「得体の知れないものが自分の中にあるんだよ、どうなっちゃうかもわかんないんだよ、不安じゃあ・・・、ないはず、無いじゃないのよぉ・・・。」
涙ぐむソノラちゃん。
「大丈夫だよ、ソノラちゃん。
いざとなったら、何とかするから!」
俺は、ソノラちゃんの頭に手を置き、喋る。
「アティさんがそんな事にならないように、頑張るから、な!!」
「・・・うん。」
頷いて、自分の部屋に戻っていくソノラちゃん。
「取り合えず、今夜はもうお開きだ。
この件については」、また明日、話をしよう。」
お開きを宣言するカイルさん。
その夜、寝付けずに一寸外の風を当たろうと、甲板に出ようとすると、アティさんと、ベルちゃん、リゼちゃんが甲板で話をしている。
・・・・・・・・・。
一瞬、俺も会話に入ろうかと思ったが・・・、止めよう・・・。
「・・・彼女には、弟がいて、その弟さんはとても体が弱いのうなの。」
アティさんの声が聞こえてくる・・・。
どうやら、あのアズリアって隊長の話をしているようだ。
「・・・・そんな弟の代わりに家を支えていくために、彼女は軍人になる事を決めたそうなんです。」
・・・そうか、どうやらアズリアは大きな手柄が欲しいみたいだな・・・。
やはり、戦いは避けられないか・・・・。
おっと、これ以上いても無粋だし、もう寝よう。
俺はそうっと部屋に戻り、ベットに横になった。
目を瞑ると、さっきの会話が浮んでくる。
・・・・弟か・・・・。
俺はなぜか「弟」に引っ掛かりを覚えた。
(続く)
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