7月29日 |
---|
今日は朝から大変だった。何たって今日はハリーが来るのだから、色々やることがある。にもかかわらず、リーマスは中々起きてこなかった。 やっぱ昨日明け方までやりまくったのがまずかったらしい。でも『しばらく出来ないから』と袖を引いたのはあいつだ。俺はハリーが来ることにばかり気を取られてそんなことすっかり忘れてたんだが、そう言われると何か物凄くやりたくなった。だから、まぁ、何だ、仕方ないかと思って寝かせておいたんだが。 起きてきたリーマスはやけに機嫌が悪くて、正直参った。自分でもっととか言ってたくせに、何でそうご機嫌斜めになるかな? 人の話を無視して欠伸を連発しやがるから、めちゃめちゃ濃い紅茶を入れてやったけど、リーマスが完全に目覚めるのにはまだ時間がかかった。普段はそんなに寝起きの悪い奴じゃないから、あれはぜってー俺へのあてつけだ。ったく、ガキみたいなことしてんじゃねーよ。 それはともかく、久し振りに会ったハリーは以前に見たときよりずっと大きくなっていてびっくりだ。子供ってのはほんとにすぐ大きくなるもんだな。これじゃあ何年後かには俺より大きくなるかもしれない。あー、でもジムは俺よりは小さかったしなー。うーん、どうだろう? ハリーは俺たちの家に興味津々で、荷物を置くとあちこちを見たがった。せっかくだからこないだ俺が作った二台目の車を見せたら、心底驚いたように口を開けていた。ああ、この反応! これこそが俺が求めていた新鮮な反応だ。リーマスの奴は眉を顰めて『……そう』と言っただけだったからな。何であいつはあんなに淡白なんだ? 夕食は三人で料理。リーマスはいつも通り傍で皿出しとか洗い物とかに専念していたが、それをハリーは不思議がった。ネビルと一緒に調理実習したいかと訊いたら、うーんと微妙な表情で首を傾げ、納得したようだ。リーマスは笑って俺たちのやり取りを聞いていたけど、内心はどうだったんだろう。まぁ、あいつが包丁振るうとき傍にいるのは、かなり本気で勘弁して欲しい。 夕食は何だかめちゃめちゃ美味かった。ハリーはいつも家でやってるとかで料理は得意なようだったが、それ以前に三人で囲む食卓っていいもんだな。あー、何か少し昔に戻ったみたいだ。これがあと7日も続くのかと思うと、俺って幸せ者かもしれない。 |
7月30日 |
今日はハリーをお隣のルー兄妹に引き合わせた。二人とも人懐っこい子供だから、すぐにハリーとも仲良くなってくれて一安心だ。ツィーは初めあんぐり口を開けてハリーを見ていたが、そのちんまりした様子がまた可愛い。リーマスの奴は仕事だとかでどっかに出かけていったけど、あのツィーはちょっと見せてやりたかったな。 そう言えば俺は未だにリーマスが何の仕事をしているのだか知らないんだが、どうしたものか。直接聞いたところではぐらかされるのがオチだろうし、真面目に話されるのも何だか恐い。ああ、どうかまともな職業でありますように! 夜はルーさんの誘いでバーベキューだった。最近は煙のあんまり出ない薪が売ってて、何かと便利なもんだ。マグルは魔法が使えない分を補うために、道具の発達が目覚しく、毎回俺は驚かされる。ああ、やっぱパソコン買おうかな。うー、でもあと一年か二年すればもっと凄い性能のが出るだろうし。 子供たちがバナナを焼いてる横でジャッキーに訊くと、やはり買うならもう少し待って新型モデルが出てからの方がいいと教えてくれた。やっぱ最先端で働いてる人の言うことは説得力があるな。リーマスは『あんまり無理して付き合わなくていいんですよ』とか余計なことを言っていやがったが、ジャッキーは俺の味方だ。ビデオの予約録画の仕方も知らない奴がしゃしゃり出る幕はねぇんだよ! |
7月31日 |
今日はハリーの誕生日! 見事に天気もいいし、実にいい日だ。リーマスも早起きして空を眺め、良かったとか呟いていた。普段は強い日差しを忌々しそうに見上げるくせに、やっぱりハリーのこととなると事情が違うらしい。思わず肩を組んで頬にキスしたら、鼻面を平手でぴしゃりとやられてしまった。窓際はやっぱまずいよな。 久々に会ったロンとハーマイオニーはぐんと大きくなっていた。特にロンはもともと背が高かったのに、益々大きくなっていた。の割にはあんまり体重はかわっていないようで、ひょろ長いように見える。ハーマイオニーは顔立ちが特に大人びてきていて、やっぱ男より女の方が早く大人になるんだな。 昼飯の後、皆でマーケットに買い物に行ったんだが、ロンの反応は素直で宜しい。俺も初めそうだった! つっても、学生時代の話だが。あの巨大さ加減にはむしろ不便さを感じたもんだ。ましてやどの製品を買っていいのだか皆目見当もつかなくて。いやいや、そもそも通貨が違うから、リンゴ一つをとっても魔法界ではこのぐらいの値段だ、とかいちいち考えながら買い物したよなー。 家に帰ってからは皆でケーキを作った。ハリーたちにマーケットで貰った紙袋を取っておくよう言ったら、不思議そうに『でもこれ、穴が開きそうだよ?』と小首を傾げていたが、それがいいんじゃないか。何に使うかはまぁ、言わないでおいたが。 プレゼントは大成功だった。ハリーは絶対ああいうのを欲しがると思ったんだ! リーマスの奴は初め『君が欲しいんじゃないの?』とか疑っていたが、失礼な奴だ。ロンもハーマイオニーも楽しんでいたし、良かった良かった。やっぱりハーマイオニーはマグル世界の現代っ子だから、何気に一番上手かったからびっくりだ。 今度あれでトーナメント戦でもやろうか。賞品は、やっぱ金よりは食べ物とかのほうがいいかな? |
8月1日 |
今日は色々あったはずなのに、かなり忘れてしまった。それもこれもみんなリーマスの奴のせいだ。 えーと、確か今日はお隣のルーさん一家を誘って公園へ行って遊んだ。その後皆でお茶をして、夕食をして、俺たちはバーへ出かけたんだ。 今日は工場の皆と応援するサッカーチームの試合があったから、盛り上がるためにもバーまで出かけたのだ。折角だから皆にリーマスを紹介しようと思って連れて行ったのが間違いだったかもしれない。子供たちだけを家に残すのは忍びないが、あの歳ならもう大丈夫だろう。俺たちもあのころには夜中に学校中で遊びまくったもんだ。 とにかく、俺はバーで待っていた皆にリーマスを紹介した。相変わらず外面のいいリーマスはにこにこしてすぐに皆に溶け込んだが、サッカーがわかるわけじゃない。試合が始まると奥の方に引っ込んで、ジュークボックスの傍でビールを飲んでいた。 いつごろからそうだったのかわからないが、延長戦にもつれ込んだせいでできたハーフタイムにふと目をやると、リーマスは誰か知らない若い男と楽しげに話しこんでいた。いや、リーマスは笑顔だったが、あいつが楽しいとは限らない。が、男は腕にサポーターマフラーを巻きつけておきながらテレビには目もくれず、リーマスばかりを真っ直ぐに見つめている。あれは明らかにリーマス狙いだった。 おかげで俺はハラハラして試合に集中できなかった。勝ったから良かったものの、これで負けてでもいたら大暴れをしたかもしれない。いや、そんなことよりリーマスだ。あいつは気付かない振りをしてたみたいだけど、明らかに男の目つきは妖しかった。試合終了と同時にわざとらしく二人の間に割って入ったら、『ああ、勝ったんだね。おめでとう』とか抜かしやがった。ぐわー、腹立つ! 勝利に盛り上がって皆は朝まで宴会の雰囲気だったが、子供たちが来てるからと言って俺たちは早々に店を出た。他にも帰る客たちに酔い覚ましに歩くと言って別れてから、俺たちは無言で歩いた。人通りが無い場所に来てあいつに『浮気すんな』と言ったら、『してない。君じゃあるまいし』なんて言いやがる。そんな20年近くも昔のことを持ち出すんじゃねえ! 第一あれは浮気じゃないし、そもそもあのとき俺たち付き合ってたわけじゃないだろーが!? いい加減はらわた煮え繰り返ったので俺はリーマスの腕を引っつかむと、文句を垂れるのを聞き流してその辺の安宿に連れ込んだ。こういうとき都心はいい。何かと便利だし、他人に興味が無いから。 リーマスは人目が無くなったせいかあからさまに俺を睨みつけてきたが、かまうもんか。むしるように服を脱がせて、強引に身体を合わせた。俺も頭にきてたからちょっと悪いことをしたかもしれない。リーマスは痛がって暴れたが、抱き込んでしまえばあとは耐えるしかない。苦痛の表情は快楽の表情と同じだと言ってたのは確かリーマスだ。そうかなと思っていたが、なるほど本当だった。 痛がって、でももうそれを口にも出さずに耐えるリーマスの表情はマジでやばかった。めちゃくちゃ欲情した。おかげでつい手加減が緩んで、リーマスはぐったりしてしまったのだけど、物凄く良かったのは本当だ。でも流石に一回出せば俺も冷静になる。狭苦しいベッドの中で丸くなったまま動かないリーマスにかなり焦った。怒らせたのはまぁ、喧嘩両成敗としても、恐がらせたのではないかとか、むしろ屈辱を味わわせたのではないかと心配になった。えーと、だってリーマスも一応自主も自尊もある男なのだから、それはやっぱまずいだろう。 はっきり言って素直に謝るつもりは更々無かったけど、このまま家に帰るわけにもいかない。仕方ないからリーマスを抱き寄せて一杯キスしたり身体中を撫でさすってやったり、それから色々話し掛けてやったら、ようやく機嫌を戻してくれたようだ。それでもまだ少し刺のある視線で、『今のだけじゃ嫌だね』と言ってきた。初め少しムッとしたけど、抱きついてきたリーマスが切ない声を出して呼ぶので、何かもうどうでもよくなった。 リーマスは何でかしている最中によくキスをしたがる。さっきの名残で痛みがあるのか、リーマスは歯を食いしばっていたけれど、やめてくれとは言わなかった。どころか俺にぎゅっと抱きついてシリウスシリウスと泣くように言うので、再び理性がとんずらしないようにするのに精一杯だった。あのくちびるは塞いでおかないとまずいだろう。俺にもリーマスにも。だから結局始終キスをしていたような気がする。しかしあいつ、大丈夫だったかな? |
8月2日 |
今日はロンとハーマイオニーを駅まで送っていった。ハーマイオニーはすぐに自分で電車に乗って帰っていったが、ロンは家族が迎えに来るのを待たなきゃいけない。仕方ないので俺はまたパッドフットになって待っていたのだが、その間ずっとリーマスが俺を不愉快そうに見下ろしていたのを知ってはいる。 朝に一応元気爆発薬を飲ませたのだが、まだ本調子ではないらしくて、時々こっそりと欠伸をかみ殺しているのを何度か見た。明け方タクシーを拾って帰ってきたんだが、リーマスは腰が痛いのか不機嫌そうで、昨日よりも始末が悪かった。が、もちろんそんなことを子供たちに気付かせるあいつではない。この二面性を知ったら、ハリーはどうするだろう。 ああ、いい加減機嫌を直してくれないもんか。いや、俺がいちいちご機嫌取りをする必要はない。……はずだ。くそう、原因はリーマスなのに。 |
8月3日 |
今日もリーマスは機嫌が良くない。それでも昨日よりはまだましか。 ハリーが宿題を教えてと言ってリーマスに習っている場面は、夢のように微笑ましかった。本当ならこれが日常になるはずだったのに、あんなことさえなければな……。 俺も何か教えてやりたかったんだが、リーマスがお前に用は無いとばかりに追い払うので諦めるしかなかった。まぁ、一応は教師だったリーマスのほうが教え方が上手いのは事実だろうし。 なーんて大人しくしていたらあの野郎、調子くれてまたろくでもないことをしやがった! 夕方に三人で買い物に行ったとき、俺がちょーっと目を離した隙に一昨日の若造と仲良くしやがって。リーマスは偶然会っただけだとか抜かしてやがったが、しらっとした口ぶりが怪しすぎる。偶然にしたって出来すぎてるじゃないか。 おかげで俺は再びはらわたが煮え繰り返る思いをしたが、ハリーの手前だ、落ち着け俺。そんな風に俺が必死になって平静を保とうとしているのに、リーマスと来たら飄々としていつもと変わりが無い。ぐあああ、ムカツク! 何なんだあいつは!? 今こうして俺が頭にきてるのも全部お前のせいだっつーのに、何がポンドが安いだとかテムズ河にカルガモの親子が来ただとか抜かしてんだ!? あー、ムカツク。マジでムカツク。やっぱりあいつは一遍シメてやらなきゃいけないようだ。ちくしょう、ハリーが帰ったら見てろよ。 |
8月4日 |
おかしい。ハリーが来るこの数日間は、面白おかしく幸せな日々になるはずだったのに。何処をどう間違えたのか、愛憎渦巻く危険な日々に代わりつつあるぞ? 今日もリーマスの行動は怪しかった。俺が庭で水撒きをしている間にコソコソとどこかに出かけていったらしい。ハリーはドイツ語で電話が掛かってきたと教えてくれたが、英語でもラテン語でもヘブライ語でもないということは、相手は魔法族じゃないな。この家に越してきて以来、ふくろうでの郵便はあまりに目立つので、リーマスは魔法族を相手でもよそでふくろうを飛ばすか、電話で連絡を取っている。ラテン語やヘブライ語は外国の魔法族との会話のための共通外国語だから、学校で7年間みっちり叩き込まれた。 ところがどうやら今のホグワーツではどちらの授業も無いらしい。古代ルーン語はまだあるらしいが、だとしたらどうやって古文書を読んだりするんだ? 会話はまぁ、英語が話せりゃどうにでもなると俺も昔から思っていたけど、せめてラテン語はあってもいいのに。 いやいや、そんなことはどうでもいい。リーマスの奴、まさかあの若い男に会いに行ったんじゃないだろうな? 昨日のうちにここの電話番号を教えておいたとか。ううう、いや、流石にそれは無いだろうけど、ああ、でもあいつは何考えてるかわかんない奴だからな。 その証拠に帰ってきたリーマスは何を尋ねても無視しやがった。こいつ、ハリーの前だから俺が何も出来ないと思って! 本気で頭に来たから夜、寝室に入ってからまた目にものを見せてやろうとしたら、『隣にハリーがいるんだぞ』と言ってどうしても拒む。どうせこの部屋には消音の魔法がかかっているんだからどうでもいいじゃないか。でもまぁ、確かに思春期の子供がいる部屋の隣ってのは自重すべきかもしれない。だからハリーの部屋とは逆側についているバスルームへ引っ張り込んだ。 リーマスはびっくりしているようだったが、構うもんか。それでもどういうわけかこないだほどの抵抗は見せず、リーマスはやすやすと俺に従った。もしかしたらこれ以上刺激すると、俺が何かするんじゃないかとでも思ったのか。だとしたら不本意にも程がある。幾ら何でも手をあげたりなんか俺はしないぞ。あの若造みたいな奴なら大いに有り得るけどな。 戸惑ったような、嫌がるような、そんな素振りを見せながらもリーマスは俺の言うままに床に膝と両手をついて項垂れた。その奇妙なまでの従順さがまた気に入らない。小声で軽く罵りながら腰に手を掛けると、肩越しに睨みつけてきたが、抵抗する気は無いようだった。 『お前が悪いんだからな』と言って後ろから強引に挿入したら、押し殺したような悲鳴を上げてリーマスは背を仰け反らせた。下半身だけをむき出させた姿で犯され、さぞや口惜しいことだろう。苦痛と恥辱に歪む表情を想像するだけで興奮が増し、俺は一人で愉快だった。俺の言うことを聞かず、浮気なんかするとどうなるのか思い知らせてやる。 俺は相当頭にきてたから、今度こそ本当に好き放題リーマスを蹂躙してしまったのだけど、リーマスは感心にもほとんど声をあげなかった。バスルームじゃ余計に音が反響することを考えたのか、俺を煽らないためなのか、それとも単なるクセなのか。 ともかく、俺は充分満足してから床に倒れたリーマスを抱き起こし、様子を窺った。リーマスは苦痛に息を殺して耐えているようだったが、俺に抱き起こされても嫌がる素振りを見せなかった。何だか拍子抜けしたが、ぐったりしたリーマスを膝の上の抱いて今度は優しく話し掛けてやった。 こういう場合、俺がいかにお前を愛していて、そのせいでこういう風になったんだぞと言って聞かせるのには充分な効果がある。リーマスが変なことさえしなければ、俺たちはもっと上手くやれるし、お前にこんなことをしてしまうのは愛情の裏返しなのだぞ、というようなことをとりあえず吹き込んでみた。我ながらちょーっと陳腐だとは思ったが。 リーマスはその間も大人しく俺の胸に抱かれ、ぼーっとしたように焦点の定まらない目でどこかを見ていた。あまりに反応が無いので心配になって呼ぶと、顔を上げはする。理解したのかしてないのか、全くわからない。 どうしたものかと逆に不安になり始めたとき、リーマスが俺を呼んだ。しばらくぶりのまともな反応にホッとして答えると、上向いて目を瞑ってしまう。キスしろと言うことか。他に手が無いからキスしたら、リーマスはちょっと嬉しそうに微笑んだ。 その後のことはなし崩しだからどうでもいいとして、結局あいつは俺の言うことをちゃんとわかってくれたのか。あーもー、やっぱりリーマスのことはサッパリわからん。わからんが、まぁ、それもまたよいということにしておこう。でないと身が持たねぇよ。 |
8月5日 |
今日は朝から爽やかだった。天気はちょっと曇りがちだったけど、そのくらいで俺の上機嫌は損なわれない。何たって昨日はリーマスが珍しく素直に色々言ってくれたからだ。 そうだ、折角だからここに書いておくとするか。そうすればあれは夢幻じゃなく現実にあったことで、後で幾らリーマスが否定しても実際にあったことだという証拠になるし。 リーマスは最後、俺に必死にしがみ付きながら、愛していると言っていた。俺が言ったのを復唱しただけのような感が無いでもないが、言ったことは事実だ。普段『あー、はいはい、愛してるよ』とかしか言わないから、情感たっぷりのあれは奇跡に近い。これでしばらくはリーマスに強みが出来た。くくく、見てろよ! そう言えば後になって、『その声は反則だ』とかとも言ってたが、あれは一体何なんだ? 別に普段と変わらないはずなんだが。どうせ普通に訊いたところで快く教えるような奴ではないから、そのうちまたどさくさに紛れて訊いてみるか。 ともかく、今日でハリーとはお別れだ。もう少し休みが長く取れたら良かったのに。リーマスも別れが惜しいのか、珍しく寂しそうな表情を浮かべていた。俺も思わずハリーをぎゅっと抱き締めながら涙腺が緩みかけたが、流石に泣きはしなかった。 ハリーは何度もこちらを振り返りながら立ち去っていき、波乱万丈な8日間は終わってしまった。明日からはまた日常が始まるのだ。 家に帰ると妙に静かで、俺はしんみりしてしまった。が、リーマスは相変わらず特に気にした様子も無い。何であんなにあいつはサバサバしていられるのだろう。別に冷たいわけじゃないんだが、ちょっと腑に落ちない。 まぁ、いいか。夕食を食べたら、昨日の続きもかねて、リーマスとベッドの中でじっくり話し合ってみるとしよう。 |