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 名門ブラック家の執事の朝は早い。誰よりも早くに起床し、一日の予定を組み立てることから彼の仕事は始まる。
 この日も執事はいつも通りコックと朝食のメニューを打ち合わせると、彼の三人目の主人を起こすために寝室へ向かった。そして執事はかつて無い困惑に直面したのである。
 かつて彼は二人のブラック家当主に仕え、また多くの来賓客にその仕事振りを賞賛された名執事である。彼の祖父も父も執事であり、他家に使えている息子もまた執事である。きっとまだ幼い孫もそうなるだろう。そうして半世紀以上をブラック家に仕え、すでに妻に先立たれた彼にとっての密かな願いは、四人目の当主の誕生と成長を見守ることであった。だがそれもひょっとしたら夢と終わるかもしれない。この朝優秀な執事はそう小さなため息を漏らした。何故なら彼は見つけてしまったのである。生まれる前からお仕えし、精魂込めてお育てした現在の主人の寝室で、シリウス以外のもう一人の人間を。
 例えばそれが女性であったなら、彼はさり気無く着替えまで用意したことだろう。だが主人の横で寝息を立てているのは男で、しかも二人とも裸である。昨晩正体不明になるまで飲み明かし、着替えるのが面倒臭くなってこういう状態に陥ったのだと思い込もうともした。だが彼は眠る主人の右の首筋に、薄っすらと歯形まで見つけてしまったので、その言い訳は通用しなくなった。自分で噛み付くことは出来ない位置だし、そもそも理由が無い。ならばつまりはそういうことなのだろう。
 かなりの落胆からそれでも執事は数瞬で立ち直った。彼は小さく深呼吸をすると、いつもの厳格な表情を作り、そっと主人の肩に手をかけて朝の来訪を告げた。
 いつもより長く掛かって目覚めたシリウスは、執事が差し出してくれたソーダ水を眠そうな表情のまま口に含む。それで漸く目が覚めたのか、忠実な執事に向かっておはようと挨拶した。

「……リーマスさまはいかが致しましょうか?」

 相変わらず感情を押し殺した執事の言葉に、シリウスは寝台を振り返る。向こうを向いて背中を丸めているリーマスは子供のようだ。

「そうだな、このまま寝かせておいてやってくれ。疲れてるだろうし」

 畏まりました、と一礼した執事は、今日の朝食のメニューを告げると、彼の主人をバスルームに案内したのだった。








 どういうわけかその日の朝食は殊のほか美味かった。別にコックが変わったわけでも特殊な材料を用いたわけでもない。ならば完全に思い込みなのだが、何となくシリウスの機嫌は良かった。
 食後のミルクティーを飲みながら目は新聞に落とされているのだが、実際には彼は何も見てはいなかった。今朝起きてからシリウスはずっとこの調子で、どうにか家人にはばれていないようだが、気を抜くとすぐに口許が緩んでしまい、それを誤魔化すのに苦労していた。だが気付くとシリウスは昨晩のことを振り返っており、これではいけないと実際に頭を振る。いかんいかん、今日は新しい事業の件で銀行の頭取と相談しなければならないのだ。それが済んだら慈善病院の建設に関しての会議にも出席しなければならないのに、こんな調子では不味い。
 そんなシリウスの様子に家人はどこか違和感を感じたようだが、特に目立っておかしな点は見受けられなかったので、それぞれ視線を交わす程度に止めた。それに何より彼らの信頼厚い執事が何も言わなかったので。
 その執事は先ほど主人の着替えを手伝う際に、シリウスの後ろの首筋に幾つか鬱血の跡を発見してしまった。だが彼は巧みに動揺を押し隠すと、見て見ぬ振りをしたのである。幸いカラーで隠れる部分であったので、注進には及ぶまい。みだりに騒ぎ立てて、家人を不安にさせるわけにはいかないし、このことが屋敷外に漏れるのはもっと困る。もしシリウスが度を越した行動に走るようなら、もちろん生命にかえても止めてみせるが、ある程度は許容すべきであろう。
 かくして優秀な執事は沈黙を守ったのである。








 満月が近い頃のリーマスは、ほとんど部屋に篭りきりである。この日もそれに違わず、日の出ている間は自室で大人しく眠っていた。ただいつもと少し違ったのは、昼過ぎに咽喉の渇きを覚えて目覚めたとき、彼は自分の部屋にはいなかった。寝ぼけ眼でぐるりと周囲を見回して、漸くここがシリウスの部屋だと思い至る。彼は自分の後頭部を掻くと、衣服を整えてこっそり部屋を後にした。が、すぐにメイドに発見されてしまい、厳格で有能な執事直々に何かスープだけでも食事を取るよう迫られたのだった。
 とにかく、そうして食事を終えてから、彼はいつも通り自室で睡眠を取っていたのだが、夕食どきになって再び目を覚ました。しかし夏の時期この国は日が落ちるのが極端に遅い。リーマスが目覚めたときも冬ならとっくに日が落ちている時刻だったが、窓の外はまだわりと明るかった。
 それならもう少しゆっくりしていよう、とリーマスは再び寝台に横になる。彼は暑いのは苦手だったが、人狼として意識を無くしてしまう夜が短いことが嬉しくて、夏はそれなりに好きだった。ただ、満月が近い日に外へ出ると、夏はあの刺すような日差しの所為で貧血を起こしてしまうのが困ったものである。きっとシリウスなどは、夏ともなれば山へでも登ったり、ポロに勤しんだりするのだろうが。
 そう言えばシリウスはもう戻っただろうか。この時間になっても夕食を告げに来ないのは、主人が戻っていない証拠だろう。この家の執事は何故かリーマスの健康を非常に気使っている。最初はシリウスの命令なのかと思っていたが、どうも日によって極端に食べる量や具合の違うリーマスを心配しているらしい。この時期ひたすら眠くて食欲が無いリーマスに、何とか栄養を補給させようと日々コックと相談を繰り返しているらしいのだ。そんな執事の行動はリーマスにとって不可解だったが、彼が厳格な無表情の下に、とても温かな感情を隠しているのだと気付くのにそう時間はかからなかった。それは昔から召使という人種にあまり好かれたことの無いリーマスにとって、少々くすぐったい感じのする不思議な感覚だった。
 家人の態度は主人の人格の反映なのかもしれない。そんなことを考えながらリーマスは寝返りを打つ。古来より有能な指揮官の下に一人の弱兵も無し、と言うが、つまりそれだけ頂点に立った人間の人格や指導力によって、部下もまた左右されるということだ。ならばあのシリウスの下で働く召使も、多かれ少なかれ彼に影響されていることだろう。いや、ひょっとしたらシリウスの父や祖父の影響かもしれないが。
 何にせよリーマスにとっては歓迎すべきことである。今までにも何人か彼を可愛がってくれた召使はいたが、それはごく少数で、大抵が人狼である彼を忌み嫌った。自分たちと同じ下層の出のくせに、主人に気に入られたというだけで絹の服を着、我が侭を言い、甘いお菓子ばかり食べていられることが許せない、というのが彼らの言い分だ。
 視野が狭く自分の都合のいいことしか見ていない彼らは、リーマスが毎晩半死半生になるほど暴行を受けていたり、わけのわからない薬を飲まされたりしているのを見ようとはしない。そうして主人の見ていないところでリーマスをいびるのだ。中には人狼化直後の朝に、リーマスが余りの体力消耗のため動けないことをいいことに、よってたかって輪姦した者たちもいた。それがリーマスには日常で、ここのように人狼など気にせず彼を客人扱いするような家は今までに無かった。あの一時期の疑心暗鬼は、その急激な環境の変化に混乱したせいで起こったことでもあるだろう。不幸を当然としてきた人間には、突然降ってわいた幸福が信用できないものである。
 だが今はどうにかそれにも慣れた。シリウスとの関係も良好であるし、考えてみれば素晴らしい僥倖である。以前いた屋敷もかなりリーマスにとっては楽園のようなものだったが、こことは比べものにならない。以前いたところではリーマスは丁重に無視されていた。主人だけが彼に口をきき、毎日のように枕を交わしていた。それ自体にリーマスは不満は無かった。相手は若くてそれなりの容貌で、嗜虐的でもなければ、異常性愛者でもなかった。それなりにリーマスを大事にしてくれていたし、血を見るようなことを要求されたりしなかった。
 それで充分だと思っていたのに、シリウスの寛容さはむしろ危機感が欠落していると言っても過言ではないだろう。もしリーマスが散歩を装って庭へ出て、そのまま行方をくらましたりでもしたらどうするつもりだろうか。はじめの頃はそんな風に意地悪く考えていたが、実際にリーマスに逃亡の思考などは無い。そんなことをしたところで、どうなるというのだ。食べる物も着る物も無く、満月の夜には人を襲って最後には化物だと殺されるのがおちだろう。リーマスにとって、誰かを襲って殺したり、仲間にしてしまうことほど恐ろしいことは無い。そんなことをするくらいならば、死んだ方がましだ。ここにいればあの呆れるほど厳重な檻がリーマスを守ってくれる。ならばここにいた方がいい。
 それに、とリーマスは天蓋の隅にシリウスの顔を思い描く。昨晩の行為は、リーマスにも思いがけず良かった。以前に一度したときは、理性が吹っ飛んでいた上に、殴られて意識もほぼ無くなっていたので、全く記憶に無い。無理に入れられて痛かったのかすらも覚えていないのだ。けれど昨夜は、何度も達せられたし、シリウスのただ息をするくちびるすらリーマスを興奮させた。何故だろう、シリウスにはリーマスがして欲しいことがわかるかのようであった。
 あの容貌だからさぞや経験は多いだろうとは思っていたが、あれほどとは思っていなかった。想像していたよりずっと良くて、リーマスは無意識に何度もねだってしまったほどである。あの大きな掌の感触を思い出すと、今でも背中の辺りがぞくぞくする。左の鎖骨の辺りに、子供の頃に木から落ちて怪我したのだという小さい傷痕があった。背中に二つほくろがあって、脚の付け根の辺りを舐められるのが弱い。抱き合ってリーマスの中に吐精したときのあの表情ときたら、何と甘かったことだろう。
 ……困った、とリーマスは枕を抱き締めながらため息をついた。また彼としたくなってきた。しかし昨日の今日であるし、でも明日にはできなくなるし。それに明後日は疲れてそれどころではないであろう。しかししたいと言ってシリウスの方が承知するかどうか。余り寝ていないだろうし、疲れてもいるだろう。リーマスから積極的にしたがるのは、あまりいい方法ではない。足元を見られ相手を増長させて、ぞんざいな扱いを受けるようになるだけだ。ならば前のように自慰で満足するだけだ。どうせこの間までずっとそうだったのだし。ずっと前から、あの人とするのはどんなだろうと、そんなことを考えながら……。
 突然リーマスは身体を起こすと、寝台のカーテンを開いて薄暗い扉の方を見た。微かに足音がしたのである。普段ならば聞こえないような音だったが、人狼化の影響で満月が近い時期は耳が非常に良くなるのだ。その足音は真っ直ぐこちらへ近付いてきて、すぐ側で止まった。前室の扉の開く音がし、普段でも聞き取れるほどの足音がする。それがやむと、遠慮がちに扉がノックされた。

「……リーマス、起きてるか?」

 いつもより幾分押さえ気味の声は、間違いなくシリウスのものだ。リーマスが寝ている可能性を考慮してのことだろう。リーマスは返事をしつつ寝台を下りる。何だろう、シリウス直々にやって来るなんて。
 細く扉を開くと、まだ帰宅して間もないのか、着替えてもいないシリウスが立っていた。

「夕食、まだだろう? 俺もこれからだから」

 一緒にどうだ、とシリウスは誘う。別にわざわざ本人が来なくても、いつも執事が呼びに来てくれるというのに。

「いや、あんまり食欲無いから……」

 消極的だがわかりきっていた返答にシリウスはそ、そうかと困ったように呟く。だがそれで引き返すわけでもなく、

「チョコレート買ってきたから、それくらいなら食べられるだろう?」

 温かいミルクと一緒に、とシリウスは提案する。リーマスが甘党であることを充分承知しているので、どこか期待の篭った眼差しである。期待された方は方で、さる有名な職人の名を聞くと同時にそれなら、と思わず返事をしてしまった。それが彼の弱点というか、幼い一面である。

「じゃあ、着替えたら食堂で」

 そう言い置いて嬉々とした様子のままシリウスは立ち去っていった。彼はとても、半日ぶりにリーマスの顔が見たかったのである。
 リーマスはシリウス如きの見え透いた誘いに乗ってしまったのが自分でも少々気にいらなかったが、好物にはかえられまい。そもそもリーマスの甘党は、小さい頃初めての主人にかなり酷い扱いを受けていた頃、彼を不憫に思ったメイド長がこっそりお菓子を分け与えてくれたことに起因する。
 あの頃のリーマスは何を得るにも主人のご機嫌を取らねばならず、爪を立てたというだけで3日も食べ物はおろか水すら与えてもらえないことが多々あった。そんな中でリーマスを心配し、憐憫の情を催してくれるのは彼女だけで、部屋で首輪に繋がれて泣いてばかりいた彼を慰めようと、チョコレートやマドレーヌをくれたものである。
 お菓子というのは栄養価が高く、また甘味は特に空腹を素早く満たしてくれる。だから彼女はリーマスにお菓子をくれたのだろう。それ以来、リーマスにとってチョコレートなどの甘いお菓子は、ささやかながらも幸福の味として無意識に認識されるようになり、彼は甘い物が大好きになったのである。








 かつてまだ健在だった頃の祖母が、小さなシリウスにこんなことを言った。歴史上どんな大国も必ず滅びたし、多くの国を制覇した英雄も権力を手にすると必ず堕落した。もしお前が英雄となって国のために死んで、お前の名前がついた勲章ができたとしても、私はちっとも嬉しくない。そんなものを受け取るくらいなら、愚かでも手足が無くなってしまっていても、お前が生きていてくれる方がずっといい。だからお前はせめて英明な君主におなり、と。だがどうやらそれも無理そうだ、とシリウスは月光に照らされる美しい獣を見つめながら天国の祖母に謝罪した。
 出来ればシリウスも英明な君主でありたかった。だがこの獣を手中にしている限り、彼はお世辞にも英名などとは言えないだろう。
 今シリウスは地下の蔵の中に椅子を持ち込んで、優雅に寝そべる獣を眺めている。すでに今晩の獲物を始末した狼は、満足げに銀の毛並みを整えている。初めこの蔵に充満する血の匂いに流石のシリウスもかなり辟易したが、時間が経てば嗅覚は麻痺してしまうもので、すぐにどうでもよくなった。そんな些細なことより、この美しい獣を見ていたいという欲求の方が強くて、今夜も彼は狼を陶酔した表情で見つめていたのである。
 初めの頃狼はシリウスを警戒していたが、今では慣れたのか何なのか、全く無視している。シリウスのことなどまるで眼中に入っていないようなその素振りがまた美しく、シリウスは溜息をついた。そして穏やかな祖母の微笑を思い出しては、後ろめたいような引け目を感じる。これは何十年後かに再び祖母に出会ったら、口を利いてもらえないかもしれない。そんなことを考えて思わず苦笑が漏れたが、シリウスは狼を見ることをやめはしなかった。
 今、狼は自分の前足を枕に頭を垂れて目を瞑っている。眠っているのだろうか。それを確かめたくて檻の中に入りたい衝動に駆られるが、流石にそんな暴挙に出たりはしない。シリウスは音を立てないように立ち上がると、そっと鉄格子に近寄った。そうしてできるだけ顔を近づけて、寝息を立てているか確かめようとする。だが狼は檻の中央にいるので、流石に微かな寝息を聞き取ることはできなかった。それで仕方なくシリウスは元の椅子に戻っていった。
 椅子に戻ると、シリウスは脚を組んで肘杖をついた。狼は相変わらずピクリともしない。あの獣がリーマスだなんて、未だに妙な感じである。眸の感じにどこか似たような雰囲気はあるが、それ以外に共通点などは無い。そもそもあるわけがない。
 今ではシリウスはリーマスの身体を隅々まで知っている。少し尖がった耳だとか、割と小さめの足だとか。しみはおろか、ほくろ一つない肌だとか、骨の浮き出た腰のラインだとか、もう彼の身体で知らない部分など、精々耳と鼻の穴くらいなものだろう。意外に感情の豊かな眸だとか、柔らかくてよく動く舌だとか、しっとりと汗ばんだ内股だとかは、忘れようとしても無理な話である。
 かつてシリウスはリーマスが一生狼のままで、人間になど戻らなければいいと本気で思っていたが、今はもうそんな気持ちは欠片もない。わずか2回ほど寝台を共にしただけであるのに、もうシリウスはリーマスを手放すことはできないだろう。昨晩も末梢器官をつなぎ合わせながら、このまま溶けて一つになってしまいたいと思ったほどだ。なるほど、多くの人々が人狼を欲するわけである。
 狼でも人間でも、リーマスはシリウスにため息をつかせる存在だ。この僅か数日間で、シリウスの中でのリーマスの立場は劇的に変化した。場合によっては、シリウス自身より大切かもしれないほどに。その地位は狼と並びうる。そんなちょっと寝たくらいで、これほど存在価値が変わるとは思ってもみなかった。だが別段困るようなことではない。もともとシリウスはできればリーマスとは良好な関係を築きたいと思っていたことだし、その観点から言えば歓迎すべき事態である。それにしても少々極端すぎる気はするが。
 以前の二人はいつ殴り合いに発展するかといったほどの険悪な仲であったのに、今のシリウスにはリーマスを殴ることなどとても出来ない。以前にあったあのことも、かなりの自己嫌悪に陥るほど反省した。それはリーマスの余りにも不幸な生い立ちを聞いてしまった所為も大きい。リーマスがまだ小さい子供であったら、可哀相にと言って一日中抱き締めてやっていたかもしれない。シリウスが生きてきたのとは余りにも異なるその世界。できればシリウスは彼をこちらに引き戻してやりたい。もう彼が幸福であることを猜疑するようなことはさせたくない。そう強く思うほどにリーマスはシリウスの中で大きな存在となっていた。
 だがもちろんそんなことはリーマス本人には口が裂けても言えないことだ。余りにも不幸な人生の所為ですっかり悲観的で皮肉屋になってしまった彼のことであるから、シリウスがそんなことを言ったところで鼻で笑って精々楽しみにしているよ、とでも言い捨てるだろう。だからシリウスは何も言わないが、その代わり不言実行に及ぶまでである。
 流石にシリウスはまだリーマスを愛しているとは思っていなかったが、では愛していないのかと問われれば憮然とした表情でそんなことはないと言っただろう。だがさしあたり彼らの仲はまだそれほど進展しておらず、シリウスの中におけるリーマスの地位は、この目の前の狼と同列か或いはやや下なのであった。










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